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学生が会社設立するメリットデメリットは?やり方や成功例を徹底解説!

近年では、学生として学びながら会社の設立を志す人も増え、実際に在学中に会社設立をして成功をおさめる、というケースも増えてきています。

社会人でも若い経営者の成功が雑誌やテレビなどのメディアで取り上げられることも多く、そうした刺激からも、多くの学生が起業を目指しています。

しかし、会社設立をしたいと思ったときには、どのようなことをすれば良いのでしょうか。

この記事では、学生が会社を設立するメリットやデメリット、学生が会社設立する方法や会社設立に失敗してしまう原因などをご紹介します。

学生が会社設立するメリット・デメリットは?

学生が会社設立をするとなると、資金も実務経験も社会人より不利なため、苦労することが多いのではないか、と考える方もいるかもしれません。

しかし、会社設立時に学生だからこそ受けられるメリットも少なくありません。

メリットを生かして会社設立をすれば、普通の社会人が会社設立するよりも有利な場合もあります。

また、メリットはありますが、同時にデメリットも存在します。

メリット・デメリットを認識したうえで、メリットを伸ばしてデメリットをカバーしながら会社設立・運営することができれば、会社の業績を大きく伸ばすことができるかもしれません。

学生が会社設立するメリット

年長者からの支援を受けやすい

学生での会社設立は、一見、孤独に見えるかもしれませんが、年上の経営者や投資家などの支援が受けやすいというメリットがあります。

年上の経営者や投資家から見ると、会社設立を目指す学生は「頑張っている若者」と映ります。

とくに成功している経営者や投資家は、自身も若い時分には「頑張っている若者」だった人が多く、自身の若い頃と重ね合わせたりもしながら、親身になって支援をしてくれるケースも少なくありません。

社会人になってからの会社設立では、「学生」というブランドが失われ、このメリットはやや小さくなります。

若いから仕事をもらえることもある

流行や消費活動など、情報の最先端にいるのは若者です。

もしも似たような条件で2つの会社のどちらに案件を依頼するか迷っている時、「若いから」という理由で案件が得られる可能性があります。

「若さ」や「学生であること」は、普通の会社は持っていない要素で、それだけでも他社との差別化をはかることができる力なのです。

リスクが少ない

社会人が起業する場合には、自分の生計を自分で建てているという方が多いでしょう。

そのため、もしも会社設立が失敗してしまうと、収入もほとんどなくなり、生活できなくなってしまいます。

学生のうちに会社設立をする場合には、もしも失敗したとしても、ある程度、親を頼ることができるでしょう。

少なくとも、すぐに路頭に迷うということはないでしょう。

そういった意味では、社会人の会社設立に比べて、リスクは少なくて済むでしょう。

また、社会人の会社設立では生活がかかってくるために保守的になってしまい、リスクが大きいことにはチャレンジしにくいですが、学生の会社設立ではリスクが少ないため、大きなチャレンジやリスクのともなう選択がしやすい、というメリットもあります。

今後に期待してもらえる

普通の社会人の設立した会社では、本来の業務のほかに、社会通念やビジネスマナーは備わっていて当然、と考えられます。

そのため、本来の業務でどれだけ良い成果をあげても、ビジネスマナーに不備があれば、顧客からの評価はその分減点されるでしょう。

一方、学生が設立した会社では、「学生なので社会経験はない」ものと見られることが多いため、たとえばビジネスマナーに不備があったとしても大目にみてもらえ、結果として純粋に本来の業務だけを評価してもらえる、ということにつながります。

また、本来の業務でも、ちょっとしたミス程度であれば大目にみてもらえることが多いでしょう。

顧客には「頑張っている若者を応援したい」という気持ちがある場合が多いため、ちょっとしたミスよりも、本来の業務の成果や、今後の伸びしろに注目してもらえる可能性が高いでしょう。

若年層のマーケティングがしやすい

「若年層にマーケティングがしたい」と考えている企業はたくさんありますが、そうした企業の多くは、若年層のマーケティングのための有効な手段を持ちません。

しかし、大学生が設立した会社では、まわりにたくさんの大学生がいますし、友人の友人、アルバイト先と、若年層の幅広い人脈を使ったマーケティングが可能です。

このように、学生が設立した会社には、「普通の企業にはできないこと」ができる可能性があり、そうした能力を求める企業があります。

時間や体力に余裕がある

会社の立ち上げ時には、しなければいけないことが次から次へと出てきて、時間も体力も必要になります。

学生なら、社会人に比べると時間は取りやすくなりますし、若いので体力面でも有利と考えることができます。

会社設立は、学生にとっても社会人にとっても、同じように大変です。

しかし、学生が会社設立のために努力する姿は「頑張っている若者」として映り、年長者や投資家・経営者からの支援がより受けやすくなる、という可能性があります。

学生が会社設立するデメリット

融資を受けづらい、資金調達しにくい

学生が会社設立する際、ぶつかりやすい問題であり、デメリットともいえることは、学生は資金調達が難しい、ということです。

株式会社を設立する場合には、手続きにかかる費用だけでも最低20万円程度が必要になります。

この費用のほかに、さらに資本金も準備する必要があります。

社会人として何年か働いた後であれば、ある程度まとまった貯金があるかもしれません。

しかし、学生の場合には、手続きにかかる費用の約20万円でも、かなりの大金でしょう。

また、学生は社会経験もなく、会社設立の時点では目に見える実績はありません。

「学生」という身分は「お金を稼ぐ」ための身分ではないため、社会的信用力は低く、銀行などに融資を受けることも困難です。

学業や就職活動との両立は大変

学生の会社設立で起こりがちな問題としては、学業や就職活動との両立を考えなければならない、ということが挙げられます。

とくに、就職活動をするべきか、自分で会社を設立してそのまま卒業を迎えるのかについては、多くの学生が悩むポイントです。

自分の進みたい道に進めるよう、目標をしっかり持って、学業と会社のバランスを取っていくことが重要です。

増加傾向にある学生起業家

2013年に行われた世界34ヵ国、759大学が参加した大学生の起業意識調査「GUESSS 2013」によると、参加国全体では、卒業5年後に起業家になることを希望する者が30.7%であったのに対し、日本は10.4%にとどまりました。

日本における学生起業家の割合は、海外に比べると少ない水準です。

しかし、現在、終身雇用や年功序列といった日本式の働き方が徐々に廃れつつあり、政府の主導する「働き方改革」や、書店に並ぶ海外のビジネス書の数々など、日本人の就業に対する意識は、今まさに変化しているところです。

卒業後5年以内の起業や学生の起業は今後増えていき、世界的な水準に近づくことが考えられています。

元学生起業家の経営者の事例

学生起業家から成功した経営者の事例を。

いくつかご紹介します。

学生起業家から大企業となっている例は「新しいことにチャレンジ」して成功しているケースが多いようです。

Facebook/マーク・ザッカーバーグ氏

現在ではSNSの代表ともいえる大企業Facebookは、もともとは、ハーバード大学を卒業した人の同窓会向けのサイトでした。

それからアイビーリーグの大学にも開放するようになり、現在では全世界から利用されています。

Facebookは、卒業後に全世界に散らばった後も同窓会として交流したい、という学生の願いを反映させたサービスです。

こうしたニーズは同窓会以外の一般の人にもあり、広く開放されることで大きなビジネスに成長しました。

学生のニーズから一般のニーズへと移行して成功した事例として見ることができます。

また、学生起業の世界的にもっとも有名で成功した事例と言うことができるでしょう。

オン・ザ・エッヂ/堀江貴文氏

有限会社オン・ザ・エッヂは、株式会社ライブドアの前身で、堀江貴文氏が大学在学中に設立し、後に株式会社ライブドアという大きな企業になりました。

もともとの事業は、ホームページの制作会社でした。

株式会社Gunosy/福島良典氏

ニュースキュレーションサービスのGunosyも、福島良典氏が大学生だったときに作られました。

ニュースをまとめるという発想が新しく、2017年には東証一部上場を果たしました。

現在の主要な株主はKDDIです。

BASE株式会社/鶴岡裕太氏

「ネット上で物を販売してみたい」という思いをサービスにしたのがBASEです
BASEは、サイトに決済システムを簡単に付けるための仕組みです。

BASE 株式会社では、BASEのほかに、支払いアプリのPAY IDも運営しています。

学生起業家が起業前にすべきこと

どのような事業をするか考える

学生が起業を考えるときに、おそらくふたつのケースに分類することができるでしょう。

ひとつは「したい仕事(事業内容)が決まっていて、そのために起業する」ケース、もうひとつが「とにかく起業することが目的」というケースです。

学生の場合、後者のような、起業したいという気持ちがあってもどのような事業で起業するのかが決まっていない、というケースが多いのではないでしょうか。

気をつける点として、自分にとっては非常に良いサービスだと感じても実現可能性が低い場合や、実現しても会社として成立しないような、利益の出ない業態があるもあります。

事業内容が決まっていなくてとにかく起業したい、というケースでは、こうした実現性が低い事業や、利益が出ない事業に取り組んでしまいがちなので、注意が必要です。

起業をするのであれば、「会社を運営しているんだ」という、覚悟と心構えが必要になります。

どのような事業に取り組むかを決めることは、その後の成功を直接左右する、起業において要なことだといえるでしょう。

学生の起業であっても、「起業をすること」ではなく、「どのような事業をする」ことを決めていることは、会社設立前にする、もっとも重要なことです。

詳しい人に相談をする

学生の場合、会社での就業経験も、起業をした経験もないのが普通です。

そのため、会社設立についての知識や、そもそもの会社についての一般的な知識も、社会人と比べれば不足しています。

同年代の友人や知人など同様で、会社設立の際に頼りたいのは、もうすこし関係性の遠い、会社設立について詳しい人や、社会経験が豊富な人です。

そうした人に相談すれば、手続きの方法はもちろんですが、個人事業主と会社設立のどちらが良いかといったアドバイスなども受けることができるでしょう。

また、より詳しく相談したい場合や、身近な人への相談でもまだ不安が残る場合には、専門家や会社設立のサポートをする会社の力を借りるのがおすすめです。

また、もしも身近に会社を経営している人がいるとすれば、まずはその人に相談してみましょう。

会社設立を考えている場合、以下の人に相談すると良いでしょう。

税理士・司法書士などの専門家

士業は、税務や法律、手続きなどの専門家です。

会社設立や運営のサポートも士業の大切な仕事で、会社設立のサポートをしてくれる士業はいろいろありますが、税理士や司法書士、行政書士へ相談・依頼するのが一般的です。

それぞれの士業で専門分野が異なり、対応してもらえる内容も異なるため、何を相談したいのか、何をして欲しいのかを、相談する前にある程度まとめておきましょう。

たとえば行政書士の対応分野は、書類作成と認可取得の代行です。

飲食店や建設業では、業務を行うために、国や自治体に許可を得なければなりません。

こうした手続きは、行政書士に相談・代行の依頼ができます。

また、司法書士は登記手続きや定款認証などのサポートや代行が可能です。

会社設立の手続きでは、いちばん頼りになるのは司法書士でしょう。

税理士は、税務処理の専門家ですが、事務所に司法書士や行政書士がいることが多く、連携して、さまざまな業務に対応してくれることがあります。

会社運営の税務や会計業務全般についても相談できるので、会社設立後には税理士のお世話になる機会が多いかもしれません。

こうした専門家は、無料相談を行っているケースもあります。

気になったら、一度問い合わせをしてみても良いでしょう。

会社設立をサポートしてくれる会社

会社設立のサポートを専門にしている会社であれば、会社設立に関するほぼすべての業務を任せることができるでしょう。

また、定款や登記書類の作成をサポートしてくれるツールもあり、できるだけ自分で手続きを進めたい場合にはツールを使い、わからないところはサポート会社を活用する、という方法もあります。

会社によっては対応してくれる分野や料金が異なるため、相談や見積もりをしてみましょう

親など、周りにいる頼りになる大人

実家が自営業を営んでいるという場合には、親は身近にいる「起業経験がある人」です。

一度、話を聞いてみましょう。

また、親以外でも、実際に会社設立をしたことがある大人が身近にいれば、どこで申請をするのか、どこに相談をするのかがわかっているはずです。

身近に頼りになる大人がいないか見まわしてみて、もしもいる場合には、相談してみましょう。

実際の手続きを教えてもらえたり、アドバイスがもらえるかもしれません。

学生起業家におすすめのビジネス4選

起業をする、といっても、どんなビジネスを始めるべきか考えだすと、なかなか考えがまとまらないかもしれません。

学生が起業するのなら、たとえば学生(若さ)を強みにできるビジネス、学生でも始めやすいビジネス、学生ならではのビジネスなど、ざっくりと範囲を狭めると、考えをまとめやすくなるでしょう。

ここでは、学生起業家におすすめのビジネスをいくつかご紹介します。

ネットビジネス

現在の学生は、子供の頃からインターネットを活用しているため、年長者に比べてインターネットを上手く使いこなすことができるという傾向があります。

また、そうした理由からも、インターネットを駆使したビジネスの世界では、比較的若い年齢の人が多く活躍しており、価値観が近く、新規参入も容易です。

ただし「インターネットを駆使したビジネス」と言うと範囲が広すぎるため、ここからどう掘り下げていくのかが大切です。

人材紹介

「人材を紹介するシステム」を作り上げれば、設備や人員など準備するべきものは少なく済むために、比較的実現しやすいビジネスモデルです。

最初に会社設立をしてしまえば、あとは大学の友人や知人などのつながりから人材を紹介するだけです。

学生の場合には新卒紹介であったり、家庭教師やアルバイトのマッチングや派遣サービスなども考えられます。

また、学生なら学内の友人や知り合いを集めやすいことからも、学生にはおすすめです。

飲食店

飲食店はだれでも利用した経験があると思いますので、事業内容をイメージしやすい、という意味でも、始めやすい事業のひとつです。

起業というとBtoBのイメージが強いですが、飲食店のようなtoCの業態のほうが要領をつかみやすく、経営経験がない状態からビジネス感覚を磨くのにも適しています。

アプリ開発やシステム開発

「起業家」と聞くと、こうしたIT関係の事業を思い浮かべる人もいるかもしれません。

学生の起業の中でも、アプリ開発やシステム開発などのIT関係は、注目をあびている分野です。

IT分野で学生起業家が活躍している理由としては、学生であれば、学生や若者の生活に密着したアプリやシステムなどの開発がしやすい点があげられます。

とくに近年のスマートフォンの普及は目覚ましいものがあり、スマートフォンアプリの開発などでは、大きなチャンスがあります。

20年前の若者はスマートフォンを持っていませんでしたが、現在の若者はみんなスマートフォンを使いこなしています。

つまり、「スマートフォンのある生活をした若者」は以前には存在していないので、現代の学生がいちばんよく若者のニーズをとらえていると考えられるでしょう。

こうした「新しい分野」では若者が参入しやすく、また若者のほうがアドバンテージを持っています。

デメリットとしては、専門知識を持っていないとできない仕事なので、すべての学生にはおすすめができません。

失敗する主な原因は3つ

学生でも会社設立をすることができ、社会人の会社設立にはないメリットもあります。

学生ならではの事業や、学生でも始められる事業もあり、社会人よりも有利な条件で会社設立ができると考えられます。

とはいえ、実際に学生起業をしてみると、そこまで甘いものではありません

過去にも多くの学生が会社設立に挑戦し、失敗してきました。

この項では、学生が起業に失敗する主な原因をご説明します。

1,資金

株式会社の設立には、手続きだけでも最低20万円程度は必要です。

また、この手続きにかかる費用とは別に、会社設立時には「資本金」を準備する必要があります。

学生にとっては、手続きに必要な20万円だけでも大金で、さらに資本金まで準備するのは難しいというケースが多いでしょう。

資本金は「会社の体力」を見るための指標として使われることがあります。

資本金「1円」でも会社を設立することができますが、資本金額が少ない場合には金融機関からの融資を受けることが困難になります。

学生の会社設立では、会社の資本金額が少なくなることが多いため、金融機関からの融資による資金調達が困難です。

また、資本金が「会社の体力」ともいわれるのは、資本金を使って会社が運営されるからです。

会社設立後、ほとんどの会社では、すぐに収益を出して黒字にすることができません。

半年前後の期間で経営を軌道に乗せられるケースが多く、それまでは赤字になってしまうことも少なくありません。

この期間の運転資金には、資本金を使います。

資本金が「1円」であれば、「1円」の赤字を出した時点で、理論的には倒産することになります。

実際にはすぐに倒産ということは考えにくいですが、資本金は当面の運転資金でもあり、こうした意味でも「会社の体力」なのです。

一般的な起業では、開業する際に当面の運転資金を考慮して資本金などを決定します。

しかし、学生の会社設立では資金が限られている場合が多く、運転資金を考慮しない自転車操業のようになっているケースも多いため、資金の問題が、学生の会社設立の失敗でいちばん多い原因といえるでしょう。

2,信用

ふたつ目の原因として、会社の信用が挙げられます。

学生は資金力がないために、会社の資本金額が少ないケースが多くなります。

資本金額は会社の体力でもあり、会社の信用力にも直結しています。

たとえば金融機関から融資を受けたくても、資本金額が小さければ会社の信用力も小さく、融資を断られてしまう可能性が高くなります。

また、取引などを開始する際にも、相手方が信用力として資本金額を見た場合には、資本金額が小さいと取引をしてもらえないケースもあります。

また、資本金額以外にも、「学生だから」という理由や実績がないことから信用が得られないことも考えられるでしょう。

学生は年長者の支援を受けられるという点がありますが、逆に、学生だから信頼してもらえないというケースもあります。

社会人の会社設立のように生活がかかっていないことや、社会経験が乏しいことから、信頼できる相手として扱ってもらえない、というケースです。

この場合、相手の考えを変えることは難しく、実績をつけて信用力を高めるしかありません。

しかし、実績や信用力をつけるまでに十分な仕事を受けることができず失敗に至ってしまうケースも少なくありません。

3.事業計画

3つ目の原因は、事業計画です。

学生の場合、「起業すること」が目的になっていて、しっかり事業計画を練ることなく起業してしまう、というケースがあります。

会社設立の手続きをすることはできますが、しっかりとした事業計画がなければ、事業を継続していくことはできません。

また、事業計画はあっても、それが自分の興味はあるけれど実現性に欠けるものや、実現性はあるけれど収益性が低いものの場合にも、失敗に至ってしまいます。

これは、学生の場合、会社設立時の社会経験が乏しいため、事業を現実的・客観的に見られていないことが原因と考えられます。

会社設立をする際に、いちばん重要なのは事業計画です。

事業計画をよく練り、まわりの大人や専門家にも相談して。

実現性が高く、継続していくための収益が見込める事業計画になっているか、いまいちどよく考えてから会社設立をしましょう。

信用力を獲得するために法人化すべき!

事業を行うためには、絶対に会社を設立しないといけないわけではありません。

「個人事業主」として事業を行う方法があります。

しかし、学生の会社設立の失敗の主な原因は、「資金」「信用力」「事業計画」でした。

個人事業主は「信用力」において、法人よりも大きく劣っています

学生の方も、もしも就職するのなら「株式会社」と「個人事業主」なら、「株式会社」を選ぶのではないでしょうか。

法人と個人事業主の信用力の差は、客観的にこのくらいある、ということです。

「個人事業主」になるためには届出が必要ですが、手続きは会社設立よりもずっと簡単で、登記も行わないので費用もかかりません。

しかし、登記をしていないので、「個人事業主」であることは信用の裏付けにはなりません。

学生が会社設立に失敗する主な原因のひとつは「信用力」です。

会社設立して法人化すれば、法務局で登記番号を確認することもでき、これは、社会的にも大きな信用の裏付けとされています。

「資金」の問題の解決はそれぞれの状況によるところが大きいですし、「事業計画」は、熟考してブラッシュアップすることで、より良いものにすることができます。

「信用力」については、「法人」を選ぶか「個人事業主」を選ぶかで、大きく変わります。

自分の選択によって、学生の会社設立の失敗の主な原因のひとつを小さくすることができるのです。

実績や資本金額で信用力を高めることの難しい学生にとって、法人化はいちばん簡単に信用力が獲得できる方法です。

こうした理由からも、学生が事業を行う場合には、会社設立をして法人化すべきなのです。

学生が会社設立をする方法と手順

日本では、印鑑証明を作ることができる15歳になると、誰でも会社設立することができます。

成人と学生では、会社設立の手順に違いはありません。

学生の場合、資金の準備が難しいために、やや難易度が高くなるとも言えますが、会社設立自体は学生でも可能です。

自分で手続きを行っても良いですが、細かい部分などに不安があれば、専門家に相談しながら進めていきましょう。

方法

1.必要なことを決める(会社設立の準備)

・正式な会社名(商号)
当然ですが、正式な会社名が決まっていなければ、会社設立手続きはできません。

・事業目的やビジネスモデル
定款を作成する際に、事業内容を記載する必要があります。

また、事業目的やビジネスモデルが決まっていなければ、会社設立しても事業は始められないでしょう。

・事業所
定款にも住所の記載が必要ですし、法務局への登録にも住所が必要です。

・会社形態
株式会社と合同会社では、会社設立の際の手続き内容が異なります。

手続きを始める前に、どの会社形態にするのか決めておく必要があります。

2.定款を作成する

会社設立の登記申請の際に必要な書類に「定款」があります。

法務局へ会社設立の申請に行く前に、まず定款を作成する必要があります。

定款とは、会社の根底となる規則を記載したものです。

定款には、「絶対的記載事項」という、必ず記載しなければならない項目があり、この絶対的記載事項が漏れていたりすれば、定款は無効になってしまいますので、注意が必要です。

絶対的記載事項は以下の6項目です。

<絶対的記載事項>

  • 事業目的
  • 商号
  • 本店所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名または名称および住所
  • 発行可能株式総数

これらの「絶対的記載項目」以外にも、定款には会社独自の規則も記載することができます。

3.定款を認証する

定款の作成が済んだら、次は定款の「認証」が必要になります。

定款は公式な文書のため、記載内容が正しいものかどうかを第三者に証明してもらう必要があり、この手続きが「定款認証」です。

定款認証は、会社の本店所在地を管轄する法務局に所属する「公証役場」で行います。

定款認証には発起人の印鑑証明書、発起人の実印、身分証明書、委任状、4万円分の収入印紙が必要になります。

定款には紙の定款電子定款の2種類があり、電子定款の場合には4万円分の収入印紙が不要になります。

電子定款では電子認証などの費用はかかりますが、紙の定款よりは費用を抑えることができるでしょう。

しかし、電子定款の作成・認証は紙の定款よりも時間がかかってしまうため、すこしでも早く手続きを進めたいのなら、紙の定款が良いでしょう。

4.資本金の払込

定款に記載した資本金を発起人個人の銀行口座へ振り込み、「払込証明書」を作成します。

「払込証明書」も法務局へ会社設立の申請をする際に必要な書類のひとつです。

会社名義の口座は、会社設立後に開設できるようになるので、会社設立後には資本金を個人名義の口座から会社名義の口座へと移行させます。

資本金額は、制度的には「1円」から会社設立することができますが、資本金の目安は一般的に100万円~1,000万円程度と言われています。

資本金額は「会社の体力」と捉えられることがあり、資本金額が会社の社会的信用につながり、少ない場合には信用力が小さくなります。

しかし、学生の会社設立であれば、資本金額が少なくても当然と受け取ってもらえるため、デメリットは通常より軽減されることが考えられるので、資本金額は可能な金額で大丈夫でしょう。

ただし、資本金額が少ないと融資などを受けるのは困難なので、覚悟しておきましょう。

5.登記書類作成

必要な資料をそろえ、登記書類を作成します。

登記申請に必要な書類は、法務局のホームページよりダウンロードすることができます。

事前に記入して法務局へ持っていくと良いでしょう。

6.登記申請する

次に、法務局での登記申請です。

登記とは、「会社の存在や事業内容などを社会へ公示するための制度」のことです。

設立する会社の本店所在地を管轄する法務局の窓口へ出向き、法人登記申請を行います。

登記申請に必要な書類は、次の項にてご紹介します。

原則として、会社設立登記の申請は代表取締役が行いますが、司法書士だけは登記申請の代行をすることができます

また、法人登記申請は、郵送でも行うことが可能です。

法務局の窓口へ登記申請書を提出した日が会社の設立日になります。

郵送の場合には法務局に到着した日が会社の設立日となります。

登記の申請が済んだら、会社設立の手続きは完了です。

登記の申請書を法務局の窓口に提出した日が、会社の設立日となります。

法人登記申請の手続きは、申請書類を提出した時点で終了ですが、この時点ではまだ登記が完了していないため、会社名義の銀行口座を開設したり、会社としてのスタートを切ることはできません。

法務局のなかでの登記処理が完了するのを待つ必要があり、通常は1週間から2週間程度で登記が完了します。

また、手続きとしての「法人登記」はこれで完了ですが、実際に会社をスタートさせるためには、登記完了後に税務署や役場への届出、会社名義の銀行口座の開設など、さまざまな手続きが必要になります。

必要書類

法務局で法人登記申請する時には、以下のものが必要になります。

  • 登記申請書
  • 登記事項などを記載した別紙
  • 印鑑届書
  • 定款
  • 発起人の決定書
  • 就任承諾書
  • 選定書
  • 設立時代表取締役の就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 本人確認証明書
  • 出資の払込みを証する証明書(払込証明書)
  • 資本金の額の計上に関する証明書

書類の提出時には、すべての書類を重ねて、左側をホチキスで綴じて、本のような形にします。

書類のサイズは基本的にはA4で統一しますが、印鑑証明書は自治体によってはA5の場合がありますので、サイズが合わない場合には印鑑証明書は綴じずに、別にして提出します。

また、法人登記申請時には、登録免許税という税金を納める必要があり、登録免許税支払いのために収入印紙が必要になります。

収入印紙は事前に郵便局でも購入することもできますが、株式会社の場合の登録免許税は15万円と高額になります。

法務局の窓口で書類に不備がないかをチェックしてもらい、提出前に法務局内の販売所で購入すると良いでしょう。

実は学生起業(会社設立)が最もローリスクな理由

学生起業は難しい、と考える方もいますが、学生の起業は、起業のなかでも最もローリスクという考え方もあります。

通常、起業をすれば、会社の業績は収入に直結するために、社会人が起業をする場合は生活がかかっていて、リスクも大きいと言えるでしょう。

また、もしも事業に失敗してしまえば、路頭に迷うことになるというケースも考えられます。

しかし、学生の場合には、もしもの場合の生活費などは親に頼ることができる場合が多く、もしも事業が失敗しても学生に戻ればいいだけで、卒業してそのまま新卒で就職するという選択肢があります。

つまり、社会人の起業は失敗したらやり直しがききませんが、学生は起業に失敗してもやり直しができる、場合によってはもう一度学生起業もできる、ということです。

学生起業では、失敗を恐れず

ややリスクのあるチャレンジをすることや、新しいことに挑戦することができるでしょう。

しかし、学生の起業では「資金」「信用力」「事業計画」が原因で失敗してしまうことが少なくありません。

「資金」を増やすことは難しいかもしれませんが、「事業計画」をしっかり立て、「信用力」を高めることで成功に近づけることができるでしょう。

とくに「信用力」は、選択や日々の業務によって高めていくことができます。

信用力を獲得するためには、まずひとつは会社設立をして法人化すること、そしてもうひとつ大切なのが、適切な会計処理をすることです。

事業を行うと、事業運営のために資金を管理して、税金を納める必要があります。

法人の場合には、たとえ収益をあげられていなくても、毎年の納税が必要になります。

こうした業務を怠れば、罰則も受けることになり、会社の信用力は大きく損なわれます。

こうした事態を防ぐためにも、事業の運営には適切な会計処理が必須になります。

もしも不安であれば、税理士などの専門家に相談してみましょう。

また、会社経営を行うと、学生のうちには知り合うことのなかったような人脈ができることもあります。

良い影響を与えてくれるような人もいれば、悪い道へ導こうとする人もいるかもしれません。

どんな人のアドバイスを聞くか、誰とビジネスをするかは、会社経営をしていくうえで大きな課題となっていくでしょう。

甘い言葉で誘う人などは、すこし警戒したほうが良いでしょう。

経営に関する相談やアドバイスなら、士業などの専門家や、会社設立をサポートする会社などに相談するのがおすすめです。