整骨院は、独占業務なので開業できる人が限定されている業種です。
また、今後高齢化や健康に対しての意識が向上するにつれて、整骨院の需要は拡大していくと言われます。
そこで、この記事では整骨院を開業するまでの流れや必要な資格について紹介します。
整骨院開業の流れ
整骨院開業の流れは、以下のようになっています。
- 事業計画の策定
- 資金計画の策定
- 施術圏調査
- 医療機器選定
- レイアウト設計
- 内装工事
- 申請手続き
- 人材採用
- マーケティング
事業計画の策定
整骨院を開業するにあたって事業計画を策定することが重要です。
事業計画とは、整骨院を開業した後どのように収益を伸ばしていき、最終的にはどこをゴールにするのかを事前に決めることを指します。
事業計画は細かく決まっている方が、融資を受けやすいなどメリットがあります。
一方で、事業計画は大まかに決まっていれば問題ないとも考えられます。
事業計画は、あくまでも自分のために作成するもので、大きな目的はビジネスの方向性を確認した上で収益性を確保するということになります。
また、当初の計画に囚われてしまい、臨機応変に動けないとなることは本末転倒です。
とはいえ、まったく計画なしに収益を上げられるほど、整骨院の開業は甘いものでもありません。
ですから、変更はあるものと承知しながらも、事業計画はしっかりと作成してください。
5年後までにはどのような形になっていて、10年後までにはどのような形になっているのかを明確に決めることができると、事業の方向性を明確にすることができます。
資金計画の策定
整骨院を開業するにあたって数百万円の資金が必要になります。
全額を自己資金から支出する場合は、資金計画については策定しなくても大丈夫です。
一方で、融資など受ける場合は資金計画を明確に作成することが必要でしょう。
しかし、起業経験がなく過去に整骨院における実績などもない場合は、融資を極めて受けにくいと考えてください。
融資は、日本政策金融公庫など起業者向けに融資をしている創業融資だと比較的通りやすいと言えるでしょう。
もし開業時に融資を検討しているのであれば、まずは日本政策金融公庫を候補としてください。
そのほかに、地域によっては補助金などがある場合もあります。
施術圏調査
施術圏を調査するのも整骨院を開業する上で必要になります。
施術圏とは整骨院のお客さんをどこから呼ぶか、のことです。
一般的に、整骨院の場合は3〜5キロ圏内が施術圏になります。
しかし、これはあくまでも周辺に整骨院がない場合です。
整骨院が密集している地域はそのぶんライバルの数も多くなり、施術圏が狭くなることもあります。
反対に、整骨院の数が少なく整骨院の需要が高い地域であれば、施術圏が大きくなる傾向があるでしょう。
施術圏は立地によっても大きく異なってきます。
施術圏を調査することで、その立地が整骨院開業に向いているのかを判断することが可能です。
医療機器選定
整骨院で使うハイボルテージ治療器・低周波治療器などの医療機器の選定も事前に行うようにしましょう。
整骨院の場合、基本的には柔道整復師がいれば問題ないので必要な医療器具は少ないです。
レイアウト設計
整骨院ではレイアウト設計も重要になります。
複数の柔道整復師を雇って整骨院として開業する場合は、複数の個室を用意した上で施術できる環境を作るのが重要です。
また、お客様の動線が一歩通行になるようにするのも一つの手段でしょう。
内装工事
内装工事は、3ヶ月程度かかることが多いです。
ただし、整骨院の場合は居抜き物件を利用できる可能性も非常に高いでしょう。
最近では、コンビニなどの居抜きで整骨院を開業することもあります。
整骨院の場合、過去にどのようなお店であったかは関係ないことが多いです。
これは、整骨院の場合、施術台などが設置できれば問題ないためです。
申請手続き
整骨院を開業するにあたって柔道整復師の資格は必要です。
しかし、それ以外にも保険診療を行う場合は届出が必要になるなど様々な届出が必要になります。
このように、一般的な店舗を開業するための届出だけではなく、整骨院を開業するために必要な届出も必要になるので事前にしっかり準備をするようにしましょう。
人材採用
整骨院では、自分一人で営業することも可能です。
そのため、人を全く採用しないで柔道整復師一人だけで経営することもできます。
実際に、一人だけで経営している整骨院は多いです。
しかし、規模が大きくなってくると複数の柔道整復師を雇う場合もあるでしょう。
また、最初から都内のターミナル駅などに店舗を設ける場合、ある程度の集客を見込めるので複数の柔道整復師と事務職員を雇うこともあります。
このような場合は、一か月前には人材採用を行っておき、店舗内でのレギュレーションやマニュアルを作成して、開店の一週間前までにはスタッフ研修を終了しておくようにしましょう。
マーケティング
整骨院ではマーケティングも重要になります。
整骨院の場合、周辺の地域からのお客様がメインなので、エリアマーケティングを行うことが多いです。
施術圏はおおむね3から5キロ圏内なので、3から5キロ圏内を中心にポスターやチラシなどを配布してエリアマーケティングを行っていくのが有効でしょう。
また、最近では地域を限定してWEB広告を配信することもあります。
一方で、接骨院のターゲットが高齢者の場合、インターネット広告よりもチラシなどの効果が高いことも多いので、ターゲット層を明確にした上でマーケティングを行うことが重要です。
そして、整骨院では口コミでのマーケティングも重要になります。
口コミでは人から人にオフラインで繋がっていく口コミもあれば、口コミサイトで繋がっていくオンラインの口コミもあります。
整骨院の開業で必要な資格・申請・免許
整骨院の開業で必要な資格・申請・免許は、以下の3つです。
- 柔道整復師国家試験
- 施術所開設届
- 受領委任取扱いの届出
柔道整復師国家試験
柔道整復師国家試験は、整骨院を開業するために必要な資格です。
専門学校や大学に通うことで取得できる資格で、国家資格なので取得要件は比較的厳しい資格と言えるでしょう。
一方で、整骨院の開業は柔道整復師国家試験の合格者に限られています。
そのため、独占業務ができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
施術所開設届
施術所開設届は、整骨院を開業する際に市役所に提出する届出のことです。
施術所開設届は、施設を開業する場合のみではなく、出張メインで業務を行う際にも提出が必要になります。
記載事項は、施設名称・開設者の氏名などです。
また、施術所開設届に記載する事項は、市区町村によって異なることも多いので、自分の居住する市区町村の情報を確認した上で提出しましょう。
受領委任取り扱いの届出
受領委任取り扱いの届出は、保険診療を行う際に必要な届出になります。
整骨院では、完全自費診療でメンテナンス目的としても開業することが可能です。
しかし、多くのお客さんを集客するには、保険適用で施術ができるようにした方がいいでしょう。
整骨院を開業した場合の年収とは?
整骨院を開業した場合の年収は、400万円〜1000万円のレンジで上下することが多いです。
整骨院に限らず、開業する場合の年収が明確になっていないことが多いでしょう。
これは、周辺環境の変化やお客様の数の変化などにより、整骨院の収入が上下して、収入の上下に連動して個人に入る年収も変化するためです。
整骨院で開業して失敗する人の特徴とは?
整骨院で開業して失敗する人の特徴は、以下の3つです。
- コミュニケーションが上手くない
- 客のニーズを理解できていない
- 営業・マーケティングができない
コミュニケーションが上手くない
整骨院では、コミュニケーションが集客において重要になります。
整骨院のお客様の多くはリピーターです。
そして、リピーターを多く付けることができると、継続的に収入を上げることにもなるでしょう。
このようにお客様にリピーターになっていただくためには、店内の居心地の良さなど店員のコミュニケーション方法が大きく左右します。
そのため、お客様と適切なコミュニケーションを取っていけるコミュニケーション能力が必要になってくると言えるでしょう。
客のニーズを理解できていない
お客様のニーズを理解していくことも重要です。
お客様によっては保険適用の診察だけではなく、自費でもいいからより快適な生活を送りたいと思ってる人もいます。
一方で、地域的なニーズとしては高齢者が多く、高齢者向けの在宅診療などを行ってもらいたいというニーズもあるでしょう。
このように、個人のニーズと地域のニーズを汲み取った上で、その店舗にとって収益を最大化させる施策を行えることが、整骨院を開業して成功するためには重要になってきます。
営業・マーケティングができない
整骨院を開業して収入を上げるためには、営業・マーケティングが必要になります。
整骨院のようなサービス業の場合、いかに集客できるかがポイントです。
ただ単に整骨院を開業したからといっても、勝手に入ってくるほど整骨院業界は甘くはありません。
整骨院の開業を考えている方であれば釈迦に説法でしょうが、いざ自分が開業するときには重要な点がすっぽりと抜け落ちてしまうことは珍しくありません。
くれぐれも慎重に整骨院の開業準備を進めてください。
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まとめ
整骨院を開業をする際には地域のニーズなどを汲み取った上で、適切なマーケティングを行うことが重要です。
経営サポートプラスアルファでは、個人でも法人でも整骨院の開業を少しでも考えている人のご相談に乗らさせていただいております。
相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。