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企業や会社運営費用・ランニングコストの内訳|合同会社と株式会社で比較

法人設立において、株式会社に次いで人気のある形態が、合同会社です。

会社法の改正によって禁止された有限会社に代わる存在として登場した合同会社ですが、年々存在感を増していき現在では毎年20,000社以上の合同会社が設立されています。

今回は合同会社について、ランニングコストや気をつけておくべきポイントについて紹介します。

合同会社について

年に20,000社以上、設立される法人の20%以上を占める合同会社ですが、その実態について詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。

まずは、合同会社の特徴や、他の会社形態との違いについて解説します。

株式会社と合同会社の違い

まずは、株式会社と比べた合同会社の特徴について、大きく3つの側面から解説します。

費用が安い

合同会社の特徴として、株式会社に比べて費用がかからないという点が挙げられます。

設立費用は、株式会社が登録免許税約15万円と定款認証費約5万円の合計20万円であるのに対して、合同会社は約6万円で設立できます。

また、ランニングコストにおいても株式会社より抑えることが出来ます

合同会社の場合は、株式会社に課せられる決算公告義務がないため、6万円の官報掲載費がかかりません。

また、役員の任期も設定する必要がないため、任期終了時に再登記する費用もかかりません。

つまり、合同会社は株式会社に比べ、設立費用14万円、年間費用数万円〜数十万円節約出来るということになります。

経営の自由度が高い

合同会社の場合、一人一人の出資額に関係なく利益配分が行われます

そのため、株式会社のように株主の意向に左右されることなく経営を行うことができ、株主総会の開催や取締役会の設置も必要ありません

一方で合同会社では株式会社のように上場することは出来ません。

資金調達がしにくい

株式会社よりも経営の自由度が高く、費用も抑えられる合同会社ですが、一方で資金調達は株式会社よりもしにくいのが特徴です。

株式会社は株式を発行することで出資を集めることが出来ますが、合同会社では株式を発行することが出来ません。

また、合同会社は株式会社よりも社会的な信用度が低いため、融資を受けにくい場合があります。

個人事業主と合同会社の違い

合同会社と個人事業主の一番大きな違いは、合同会社は「法人」であることです。

そのため、合同会社は個人事業主と比べて税制上で様々なメリットを受けることが出来ます。

まず挙げられるのが、税率の違いです。

個人事業主の利益にかかる所得税は累進課税となっており、195万円以下の課税所得では税率5%、195万円を超えると10%、330万円を超えると20%と増加していき、最終的には45%まで上昇します。

一方で法人の利益にかかる法人税の税率は課税所得800万円以下で15%、800万円以下で23.9%となっています。

つまり、課税所得が330万円以上あれば、法人を設立することで節税することができます。

また、経費として計上できる項目の数も、個人事業主より法人の方が多いです。

アップルやアマゾンなど有名企業も多数

合同会社は、株式会社と比べた知名度の低さなどから、合同会社=中小企業というイメージを持たれがちです。

しかし、街中やニュースで日頃目にする大企業の中にも、合同会社として経営を行っている企業はたくさんあります

アップル、アマゾン、グーグル、西友、DMM、これら全て合同会社です。

アマゾンは2016年、DMMは2018年に、会社の形態を株式会社から合同会社へと変更しています。

このように、合同会社はその費用の安さ・経営上の自由度の高さから、近年非常に注目を集める会社の形態になっています。

合同会社のランニングコスト

上で述べたように、合同会社の大きなメリットの一つにその設立コスト・ランニングコストの安さが挙げられます。

しかし、もちろん全くランニングコストがかからないという訳ではありません。

では、実際に合同会社のランニングコストはどのような項目があるのでしょうか。

法人住民税

法人住民税とは、平たく言えば、「法人が存在していることに対して課せられる税」のことを指します。

そのため、合同会社含むあらゆる法人は、赤字であっても年間7万円の法人住民税を支払う必要があります。

これは、法人設立のデメリットと言えるでしょう。

しかし、法人、特に合同会社を設立することで、多くの費用面のメリットがあるため、ある程度の売上がある場合は、法人を設立した方が総合的に得をするケースがほとんどです。

各種変更手続き費用

法人設立後に、登記事項に関する変更を行う場合は、費用がかかります。

会社名の変更や本店所在地の変更、役員の辞任などが該当します。

登記事項を変更する変更登記には、登録免許税が1万円〜6万円ほど必要になります。

この登録免許税は、変更をするたびにかかってくる費用になるため、登記の際は後々の変更がなるべくないようにしっかりと熟考の上で登記事項を決定することが重要です。

税理士・社会保険労務士費用

法人を設立した場合、税制面での優遇を受けられる一方で、複雑な税務申告・会計処理を行う必要が出てきます。

また、設立後に人を雇用した場合、雇用保険や労災保険への加入も必要です。

専門知識がない人がこのような手続きをスムーズに行うのは非常に難しく、また事業そのものが疎かになってしまうため、税理士・社労士を雇うケースがほとんどです。

税理士の顧問料は、会社の規模にもよりますが月数万円程度です。

そのため、ランニングコストとして、年間10万円〜30万円程度を想定しておく必要があります。

合同会社のランニングコストは、大きく上記の3つです。

変更手続きを何回もするようなケースを除けば、年間20万円〜40万円ほどには抑えられることになります。

合同会社が向いている業種・業界

ここでは、実際にどのようなタイプの企業が合同会社に向いているのかを解説します。

社員が数人の場合の小規模企業

合同会社の特徴は、経営の自由度が高く、利益分配が自由に行えることです。

大人数が経営に参画する企業では、経営の自由度が高いが故に議論が膠着したり、利益分配でトラブルになったりするケースがあります。

一方で、少人数の場合は逆に経営の自由度の高さがそのまま意思決定のスピードに直結しやすいです。

そのため、合同会社は社員数が数人のベンチャー・スタートアップに適した会社形態になっています。

年商1,000万円弱の個人事業主

合同会社は株式会社と比べて設立費用やランニングコストが安いため、大きな収益を得られていない個人事業主の方が法人化する場合に適しています。

特に、年商が1,000万円を超えるタイミングで法人化することで、2年間の消費税納税免除を受けることが出来るため、大きな節税効果が見込めます

BtoCの事業

合同会社のデメリットとして、株式会社に比べて社会的な知名度・信用度が低いという点があります。

このため、他企業や金融機関への営業において、株式会社より不利になりやすいです。

しかし、一般消費者向けの事業の場合、一般消費者は「サービスを提供している会社が合同会社か、株式会社か」という点はそこまで気になりません。

このため、カフェやペットショップ、学習塾、ITサービスなどの一般消費者向けサービスを興す場合は、合同会社が向いていると言えます。

ブランドを築き上げた大企業

先ほど合同会社の形態をとる大企業として挙げたアマゾン、DMMのように、既にブランド力を築き上げた株式会社も、経営の自由度や費用の安さから、合同会社に切り替えるメリットが強いです。

しかし、これはかなり特殊なケースになります。

合同会社設立のときに気を付けておくべきポイント

設立前にどの程度節税できるのか整理しておく

個人事業主から合同会社を設立する場合、節税の度合いや、かかる費用の違いについて、予め整理しておく必要があります。

売上によって節税効果は変わってくるので、しっかりと自分の事業の売上から節約できる金額を概算することが大切です

また、あまりにも売上が立たない状況で会社を設立すると、法人住民税や税理士の顧問料が払えず解散に追い込まれる場合もあります。

出資者を決めておく

合同会社を設立するためには、最低1人の出資者が必要です。

また、所有と経営が分離されている株式会社とは異なり、合同会社の出資者は、原則として必ず経営に参加しなければなりません。

設立前に、経営にも参加してくれるような出資者を見つけておく必要があります。

社会保険には必ず入る

社会保険とは、健康保険と厚生年金の総称です。

この社会保険は、会社の規模や形態に関係なく、あらゆる法人に加入義務があります。

このため、もちろん合同会社を設立する場合でも、社会保険に加入しなければなりません

会社設立後5日以内に年金事務所に申請する必要があるため、注意が必要です。

また、従業員を雇う場合は、上記の健康保険・厚生年金に加えて、雇用保険・労災保険にも加入する必要があります。

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いかがでしたか。

合同会社には、株式会社と比べて設立コスト・ランニングコストが安い、経営の自由度が高いといったメリットがあり、節税効果も個人事業主に比べて高いことから、近年人気の会社形態の一つとなっています。

特に、少人数のスタートアップや、売上がある程度ある個人事業主にとっては、非常に相性の良い会社形態であると言えるでしょう。

しかしながら、会社設立にかかるコストは、お金のように目に見えるものだけではありません。

会社名や所在地などの登記事項の決定、登記書類の作成と提出、日々の会計処理や社会保険への加入など、会社を設立するためには多くの煩雑な手続きを必要とします。

これが目に見えないコストです

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