結論、会社名は使える文字と商号のルールを守ったうえで、事業内容が伝わる名前を選ぶことが大切です。
📋 この記事で分かること
- 会社名(商号)に使える文字・符号のルール
- 会社の種類(法人格)の表記義務と使用が制限される言葉
- 同一商号・類似商号の規制と調べ方
- 商標権の侵害を避けるための商標調査の方法
- 後悔しない会社名を決める7つのポイント
- 実例から学ぶネーミングのヒント
- 会社名を登記後に変更する場合の手続きと費用
目次
会社名(商号)を決める際に必ず守るべき法律ルール
会社名(商号)には、法律上使用できる文字・符号が定められています。
ルールに反する名称は、そもそも法務局で登記を受け付けてもらえません。
まずは基本ルールから押さえましょう。
使用できる文字・符号の種類
会社の商号に使用できる文字は、次の5種類です。
- 漢字
- ひらがな
- カタカナ
- ローマ字(大文字・小文字)
- アラビア数字
符号は「&」「’」「,」「-」「.」「・」の6種類が認められていますが。
ただ、これらは字句を区切る際に限って使用でき、商号の先頭や末尾には置けません。
唯一「.」(ピリオド)だけは省略を表す符号として、末尾に使用することも認められています。
ローマ字表記で複数の単語を並べる場合は、単語間にスペースを入れることも可能です。

| 区分 | 使用できるもの | 位置の制限 |
|---|---|---|
| 文字 | 漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字(大小)・アラビア数字 | 制限なし |
| 符号(6種) | 「&」「’」「,」「-」「.」「・」 | 字句を区切る場合のみ。先頭・末尾は不可(「.」は末尾も可) |
【参考】会社名に数字を使っても大丈夫?会社名に利用できる文字やルール、「勝てる」名前にするためのポイントを徹底解説
会社の種類(法人格)の表記は必須
商号には「株式会社」「合同会社」など、会社の種類を表す文字を名称の前か後ろのいずれかに必ず入れる必要があります。
英語表記の「Co., Ltd.」や「Inc.」だけでは法人格を表す文字として認められず、日本語での法人格表記が必要です。
前株(株式会社〇〇)にするか後株(〇〇株式会社)にするかは自由に選べるため、語感やブランディングの観点で決めて構いません。
銀行・保険など使用が制限される言葉
銀行や信託会社、保険会社など、法律上一定の許認可を受けた事業者であると誤認させる名称には制限があります。
- 「銀行」であることを示す文字(銀行でない者は使用不可)
- 信託会社であると誤認されるおそれのある文字(信託会社でない者は使用不可)
- 保険会社であると誤認されるおそれのある文字(保険会社でない者は使用不可)
- 公序良俗に反する言葉
- 官公庁・公的機関と誤認させるような表現
「保険」などの文字が含まれるだけで一律に禁止されるとは限らないため、候補名と事業内容を踏まえて司法書士や行政書士に事前確認することをおすすめします。
【参考】商号とは?登記する際のルールや決め方、禁止事項について
同じ会社名を使うとどうなる?同一商号・類似商号のルール
平成18年の会社法施行により類似商号規制は原則廃止されましたが、同一住所での同一商号や不正な目的での商号使用は現在も禁止されています。
事前調査を怠ると思わぬトラブルにつながるため注意が必要です。
同一住所での同一商号は登記できない
商業登記法第27条により、既に登記されている会社と本店所在地・商号がまったく同じ場合、登記は受理されません。
バーチャルオフィスやシェアオフィスを本店所在地にする場合は、同じ住所を利用する他社と商号が重複していないか、契約前に必ず確認しましょう。
判断基準は「同一の所在場所における同一の商号」であるため、番地表記のわずかな違いだけで安易に回避できると考えず、慎重に確認することが大切です。
「不正の目的」での商号使用は会社法で禁止されている
平成18年(2006年)の会社法施行以降、同一住所以外での類似商号の使用そのものは禁止されなくなりました。
ただし会社法第8条は、他社であると誤認させる不正の目的での商号使用を禁止しており、違反すると使用差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。
有名企業や地域で知られたブランド名に似せた社名は、たとえ同一住所でなくてもトラブルの原因になり得るため避けましょう。
商号調査の具体的な方法
国税庁の法人番号公表サイトでは無料で法人名・所在地を検索でき、登記情報提供サービスでは有料(全部事項情報は1件330円)で詳細な登記情報を確認できます。
設立予定地の周辺で同一・類似の商号がないか、登記申請の前に必ず確認しておきましょう。
検索時点の情報しか反映されないため、申請直前にもう一度確認すると安心です。
商標権の侵害を防ぐ!会社名を決める前に必須の商標調査
商号として登記できても、既存の商標権を侵害していれば使用差止や損害賠償のリスクが残ります。
特許庁が提供するJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で、事前に確認しておくことが欠かせません。
J-PlatPatでの調査方法

J-PlatPatでは、会社名の読み方(称呼)や表記、事業に関連する商品・役務の区分を指定して、似た商標が既に登録されていないかを無料で検索できます。
同じ表記でなくても、読み方が似ている・業種区分が重なる商標が見つかった場合は、専門家(弁理士)への相談を検討しましょう。
商標調査を怠るとどうなるか
他社の登録商標と同一・類似する名称を、指定商品・指定役務と同一・類似する商品やサービスの識別標識として使用すると、商標権侵害として使用差止や損害賠償を請求されるおそれがあります。
一方、自己の会社名を会社名として通常の方法で表示する行為には商標権の効力が及ばない場合もあります。
具体的な判断は使用方法や商品・サービスとの関係によって異なるため注意しましょう。
設立から時間が経ったあとに社名変更を迫られるケースもあり、名刺やドメイン、契約書などの変更コストは決して小さくありません。
会社名を決める前に、商号調査(登記情報提供サービス)と商標調査(J-PlatPat)はセットで行うのが安全です。
会社名の決め方 失敗しないための7つのポイント
法律ルールをクリアしたうえで、事業内容の伝わりやすさや将来性を意識すると、長く使い続けられる会社名になります。
ここでは実務上おさえておきたい7つの視点を紹介します。

| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ①事業内容や理念を伝える | 事業内容や創業の理念を反映させ、取引先や顧客に伝わりやすくする |
| ②読みやすさ・覚えやすさを重視する | 長すぎず、口頭で伝えやすい長さで、一度聞けば正確に伝わる社名を意識する |
| ③海外展開を見据えた表記・発音を確認する | ローマ字表記の発音や意味を辞書・翻訳サービスで事前確認する |
| ④ドメイン・SNSアカウントの取得可否を確認する | 「.co.jp」「.com」等のドメインや主要SNSアカウント名の空き状況を確認する |
| ⑤第三者に聞いてもらい伝わるか検証する | 家族や知人に口頭で伝え、一度で正確に書き取ってもらえるかテストする |
| ⑥縁起・語呂を意識する | 必須ではないが、画数や語呂の良さを取り入れると印象に残りやすい |
| ⑦将来の事業拡大を見据えた拡張性を持たせる | 将来の展開を想定し、やや広がりのある名称にしておく |
①事業内容や理念を伝える
会社名に事業内容や創業の理念を反映させると、取引先や顧客に事業内容が伝わりやすくなるのが利点です。
抽象的な言葉だけの社名にすると、初対面の相手に事業内容が伝わりにくくなる点には注意が必要です。
【参考】会社名のアイデアの出し方は?決め方のルールや注意点を解説
②読みやすさ・覚えやすさを重視する
文字数が長すぎる社名や、読み方が難しい漢字を使った社名は、電話口や口頭での伝達時に聞き間違えられやすくなります。
長すぎず、口頭で伝えやすい長さで、一度聞けば正確に伝わる社名を意識すると、名刺交換や営業の場面でスムーズです。
③海外展開を見据えた表記・発音を確認する
将来的に海外の取引先やお客様が想定される場合は、ローマ字表記にしたときの発音や意味を事前に確認しておきましょう。
日本語では良い意味でも、外国語では別の意味に取られる言葉もあるため、辞書や翻訳サービスで簡易チェックすることをおすすめします。
④ドメイン・SNSアカウントの取得可否を確認する
候補の社名が決まったら、法人登記の前に「.co.jp」や「.com」などのドメイン、主要SNSのアカウント名が取得できるかを確認しましょう。
同名の企業やサービスが既に存在すると、Web上での認知獲得やブランディングに支障が出る可能性があります。
⑤第三者に聞いてもらい伝わるか検証する
自分では自然に聞こえる社名でも、第三者に口頭で伝えると聞き取りにくい、書き取れないというケースがあります。
家族や知人に社名を口頭で伝え、一度で正確に書き取ってもらえるかをテストしておくと安心です。
⑥縁起・語呂を意識する
日本では画数や語呂の良さを気にして社名を決める経営者も少なくありません。
必須の要素ではありませんが、取引先への印象や記憶への残りやすさという観点で、縁起の良い響きを取り入れるのも一つの方法です。
【参考】【実例紹介】縁起のいい会社名とは?縁起のいい会社名の作り方も詳しく紹介
⑦将来の事業拡大を見据えた拡張性を持たせる
創業時の事業内容だけに特化した社名にすると、将来事業の幅を広げたときに社名と実態がずれてしまうことがあります。
現在の事業を軸にしつつも、将来の展開を想定してやや広がりのある名称にしておくと、社名変更の手間を避けやすくなります。
【実例】会社名の由来から学ぶネーミングのヒント
実在する企業の社名を由来別に見ていくと、自社に合った会社名を考えるヒントが得られるはずです。
ここでは代表的な4つのパターンを紹介します。
| パターン | 代表例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 理念・ビジョンを社名に込める | サイボウズ株式会社、株式会社シーラ、株式会社フィル・カンパニー | 創業のストーリーを語れ、採用・顧客説明で共感を得やすい |
| 事業内容をそのまま社名に反映させる | 三菱商事、サイゲームス、トヨタ自動車 | 初対面の相手にも事業内容が直感的に伝わりやすい |
| 創業者の名前を社名にする | 株式会社マツモトキヨシ、株式会社ニトリ、株式会社出光興産 | 創業者個人の信用や情熱を反映でき、老舗・家族経営企業に多い |
| 造語・言葉の組み合わせに由来する社名 | ラクスル株式会社、株式会社エドウィン、アートコーポレーション株式会社、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、カルピス株式会社、株式会社サントリー | 独自性を出しやすいが、由来の説明を工夫する必要がある |
理念・ビジョンを社名に込める
サイボウズ株式会社、株式会社シーラ、株式会社フィル・カンパニーのように、事業を通じて実現したい理念やビジョンを社名から感じ取れるようにするパターンです。
創業のストーリーを社名から語れるため、採用活動や顧客への説明の場面で共感を得やすいという特徴があります。
事業内容をそのまま社名に反映させる
三菱商事、サイゲームス、トヨタ自動車のように、事業内容や業種を社名にそのまま反映させるパターンです。
初めて社名を聞いた相手にも事業内容が直感的に伝わりやすく、BtoBの取引先開拓では特に有効です。
創業者の名前を社名にする
株式会社マツモトキヨシ、株式会社ニトリ、株式会社出光興産のように、創業者の姓や名前をそのまま社名に用いるパターンといえます。
創業者個人の信用や情熱をそのまま社名に反映できるため、老舗企業や家族経営の企業で採用されやすい傾向があります。
造語・言葉の組み合わせに由来する社名
既存の単語を組み合わせた造語や、営業時間・事業の特徴を反映した言葉に由来する社名にするパターンです。
株式会社サントリーも、赤玉(サン)と創業者「鳥井」の姓(トリー)を組み合わせた社名とされ、このパターンに近いといえます。
独自性が出しやすい一方で、意味が伝わりにくくなることもあるため、由来や込めた意味を採用ページやコーポレートサイトで説明しておくとよいでしょう。
会社名は登記後に変更できる?手続きと費用の目安
会社名は登記後でも変更できますが、法務局への変更登記に加えて、印鑑・銀行口座・取引先への周知など多くの手間と費用がかかります。
安易な変更は避け、設立前の検討に時間をかけることが結果的に近道です。
商号変更の手続きの流れ
商号変更の主な手続きは、次の流れで進みます。
- 新しい商号について商号調査・商標調査を行う
- 株主総会の特別決議(株式会社)や総社員の同意(合同会社、原則)で定款を変更する
- 変更の効力発生日から2週間以内に、法務局へ変更登記を申請する
- 税務署・都道府県・市区町村・年金事務所・許認可庁などへ必要な届出を行う
- 銀行口座・取引先・名刺・ウェブサイトなど社内外の表記を更新する
商号変更にかかる費用の目安
商号変更の登録免許税は株式会社・合同会社ともに原則3万円です。
このほか、代表者印の作り直し費用や司法書士報酬などが加わり、総額では数万円〜十数万円程度かかるのが一般的です(銀行口座の名義変更手数料は金融機関により無料の場合もあります)。
会社形態や依頼先によって金額は変わるため、具体的な費用は司法書士や税理士に確認することをおすすめします。
会社名がなかなか決まらないときの対処法
候補が絞りきれない場合は、視点を変えることで検討が進みやすくなります。
- 司法書士や税理士など専門家に相談する
- 既存企業の社名リストから発想を広げる
- 生成AIやネーミングツールで候補を大量に出してから絞り込む
焦って決めるよりも、法律ルールを満たした候補を複数用意し、比較検討する時間を確保するのが大切です。
まとめ
この記事では「会社名の決め方」について解説しました。
押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 会社名(商号)を決める際に必ず守るべき法律ルール
- 同じ会社名を使うとどうなる?同一商号・類似商号のルール
- 商標権の侵害を防ぐ!会社名を決める前に必須の商標調査
- 会社名の決め方 失敗しないための7つのポイント
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設立手続き・資金調達から設立後の税務まで、専門家が一貫してサポートします。
よくある質問(FAQ)
Q. 会社名の決め方に法律上の制約はありますか?
はい、あります。使用できる文字は漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・アラビア数字の5種類で、符号も6種類のみ字句の区切りとして使用できるルールです。加えて、会社の種類(株式会社等)を表す文字を必ず含める必要があります。
Q. 会社名にひらがな・カタカナ・アルファベットを混在させても良いですか?
問題ありません。日本語表記とローマ字を組み合わせた社名や、数字を含む社名も登記できます。ただし符号の使用位置には制限があるため、先頭・末尾に符号を置かないよう注意しましょう。
Q. 同じ会社名の会社が既にあっても登記できますか?
本店所在地が異なれば、原則として同じ商号でも登記は可能です。ただし同一住所での同一商号は登記できず、他社との誤認を招く不正な目的での使用も会社法で禁止されています。
Q. 会社名を決める前に商標調査は必須ですか?
法律上の義務ではありませんが、強くおすすめします。商号として登記できても、既存の商標権を侵害していれば使用差止や損害賠償を請求されるおそれがあるためです。特許庁のJ-PlatPatで事前確認しておくと安心です。
Q. 会社名は登記した後に変更できますか?
変更については可能とされています。ただし株主総会の特別決議(合同会社は原則総社員の同意)による定款変更、変更の効力発生日から2週間以内の変更登記、印鑑や銀行口座・取引先への周知など多くの手続きが発生し、登録免許税(株式会社・合同会社ともに原則3万円)などの費用もかかります。
Q. 会社名に使ってはいけない言葉はありますか?
銀行・信託会社・保険会社であると誤認されるおそれのある文字(許認可を受けた事業者以外は使用不可)や、公序良俗に反する言葉、官公庁と誤認させる表現は使用できません。事業内容によっては個別確認が必要です。
Q. 会社名がなかなか決まらないときはどうすればいいですか?
専門家に相談する、既存企業の社名から発想を広げる、生成AIやネーミングツールを活用するなどの方法があります。候補を複数用意し、法律ルールを満たすか確認したうえで比較検討することをおすすめします。
監修:税理士法人経営サポートプラスアルファ(本記事は税理士法人が運営するメディアの編集方針に基づき作成しています)

