【記載がない事業はできない】定款に事業目的をたくさん書いても問題ない?専門家が徹底解説

定款の事業目的は、会社法に数の上限の定めがないため、たくさん書いても登記できます。

ただし、書いていない事業は原則として行えず、多すぎると事業の中身が伝わりにくくなります。

会社を設立する際には、定款に事業目的を記載しなければなりません。

事業目的は、会社が行う事業の範囲を示す大切な項目です。

事業目的をたくさん記載することには、メリットだけでなくデメリットもあります。

本記事では、事業目的を複数書く利点とリスク、許認可で注意する点や変更の手続きを解説します。

事業目的を記載する理由

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法律で定められている

事業目的を記載することは、法律で定款の絶対的記載事項に定められています。

そのため、目的のない定款は認められません(会社法27条1号)。

法人は目に見える実体がないため、業務の範囲を決めておかないと、どのような業務でも行えてしまいます。

それでは取引先などが混乱しかねません。

こうした混乱を防ぐため、法律で事業目的を記載させ、業務の範囲を示しているのです。

お互いが信頼した状態で取引をするため

法人同士が取引をする際は、お互いの信頼関係が成り立っていることが前提になるでしょう。

取引先との間でトラブルが起きたときも、信頼関係がないと解決は難しくなりがちです。

実際に、事業目的が記載されていない企業を信頼することは難しいでしょう。

このため、さまざまな企業から信頼されるためにも、定款に事業目的を記載する必要があります。

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事業目的に記載してない事業をするのは問題ない?

定款の事業目的に記載のない事業を展開することは、問題ないのでしょうか。

結論から述べると、定款の事業目的にない事業を行うのは避け、先に目的を追加するのが基本です。

民法34条で、法人は定款で定めた目的の範囲内で権利を持ち、義務を負うとされているためです。

事業目的に記載されていない事業を行う際は、基本的に定款を変更する必要があります。

定款の変更には費用がかかる

事業目的を変えるには、株主総会の特別決議で定款を変更します(会社法466条・309条2項11号)。

合同会社は、定款に別の定めがなければ、総社員の同意で定款を変更します(会社法637条)。

目的は登記事項のため、変更から2週間以内に変更の登記を申請しなければなりません(会社法915条1項)。

このとき「費用がかかること」に注意しておきましょう。

法務局に目的変更登記を申請する際にかかる費用(登録免許税)は、3万円です。

目的をいくつ変えても、1回の申請につき3万円です。

すでにある事業目的の範囲に入る事業なら、定款を変えなくても問題ありません。

記載のない事業を始める際は、登録免許税を納めて目的の変更登記をしておくと安心です。

(出典:e-Gov法令検索「会社法」、e-Gov法令検索「民法」、e-Gov法令検索「登録免許税法」)

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事業目的はいくつまで書ける?数の考え方

会社法には、事業目的の数の上限の定めはありません。

登記の際、目的が具体的かどうかは審査されませんが、内容が不明確な目的は登記できません。

ただし、実際に行う予定のない目的が多いと、取引先や金融機関が事業の中身をつかみにくくなります。

今行う事業と、近いうちに始める予定の事業に絞って書くのが基本です。

最後に「前各号に附帯する一切の事業」と書き、関連する業務まで含める書き方もあります。

(出典:法務省「会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A」、法務局「株式会社設立登記申請書」記載例)

事業目的をたくさん記載するメリット

1. 事業拡大の可能性を広げる

定款に多くの事業目的を書いておくと、新しい事業を始める際に定款を変更しなくて済みます。

事業を広げるときの手続きや費用を減らせるため、柔軟に事業を展開できます。

2. 投資や融資を受けやすくなる

幅広い事業目的を持つ会社は、収益源が多い会社と見られることがあります。

事業のリスクを分けられると判断されれば、投資家や金融機関から信頼を得やすくなる場合もあります。

多角化した事業目的は、安定した経営を目指すうえで役立つでしょう。

3. 規模の経済を活用

複数の事業目的を持つと、事業の間で設備や人材を共有しやすくなります。

例えば、同じ施設や人材を複数の事業で活用すれば、費用の削減が期待できます。

その結果、効率的な経営につながるでしょう。

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事業目的をたくさん記載するデメリット

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1. 信頼性の低下

事業目的が多すぎると、取引先や金融機関から「焦点が定まっていない」と見られるおそれがあります。

特に設立したばかりの会社では、信用の面で不利になりかねません。

事業の内容が分かりにくいと、取引や融資を断られる可能性もあります。

2. 定款変更の費用と手間

事業内容が変わるたびに、定款を変更する必要が出てきます。

目的の変更登記には、1回の申請につき登録免許税3万円が必要です。

変更が重なると、時間と費用の負担が増えます。

3. 取引先への不信感

あまりに多くの事業目的を書くと、取引先が「どの事業が主なのか分からない」と感じることがあります。

その結果、取引先からの信用を損なうおそれが生じます。

専門性が求められる分野で事業を行う場合は、事業目的を絞ることが大切です。

許認可が必要な事業は目的の書き方に注意

許認可が必要な事業では、定款や登記の目的に、その事業を行う旨の記載を求められることがあります。

例えば、労働者派遣事業の許可について、東京労働局は定款の目的を「労働者派遣事業」と書くよう案内しています。

目的の文言が求められる内容と合わないと、定款の変更と登記をやり直すことになりかねません。

その間は許可の申請が進まず、事業の開始が遅れるおそれがあります。

許認可の窓口の手引きで、求められる文言を事前に確かめておくと安心です。

(出典:東京労働局「よく聞かれるご質問集(労働者派遣・請負事業主の方へ)」)

業種ごとの事業目的の書き方の例は、次の記事で紹介しています。

【参考】事業目的とは?事業目的の書き方や一覧・例など

事業目的を記載する際の注意点

1. 具体的かつ明確に記載する

事業目的は、誰が見ても分かるように具体的に書くことが大切です。

あいまいな表現を避け、業務の内容や業界を示すと、取引先や金融機関の信頼を得やすくなります。

2. 将来的な事業展開を考慮する

今は行っていなくても、将来始める可能性がある事業は定款に書いておくとよいでしょう。

ただし、多くの事業を並べすぎると分かりにくくなるため、簡潔にまとめることが大切です。

3. 他社の定款を参考にする

どのような事業目的を書けばよいか迷ったときは、同業他社の定款を参考にする方法もあります。

登記事項証明書は誰でも取得できるため、同業他社の事業目的を確かめられます(商業登記法10条)。

(出典:e-Gov法令検索「商業登記法」)

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事業目的についてよくある質問

Q. 事業目的はいくつまで書けますか?

会社法に数の上限の定めはありません。

今行う事業と、近いうちに始める予定の事業に絞ると、事業の中身が伝わりやすくなります。

Q. 定款にない事業をするとどうなりますか?

法人は、定款で定めた目的の範囲内で権利を持ち、義務を負います(民法34条)。

新しい事業を始める前に、目的を追加する定款変更と登記をしておくと安心です。

Q. 事業目的を追加する費用はいくらですか?

目的の変更登記の登録免許税は、1回の申請につき3万円です。

司法書士などに頼む場合は、その報酬が別にかかります。

Q. 事業目的を変えたら、いつまでに登記しますか?

変更が生じてから2週間以内に、本店所在地で変更の登記を申請します(会社法915条1項)。

Q. 他社の事業目的は調べられますか?

登記事項証明書は、手数料を納めれば誰でも取得できます。

目的は登記事項なので、同業他社の書き方を確かめられます。

事業目的がまとまらない場合は

事業目的がまとまらない場合は、会社設立の専門知識のあるプロに頼る方法もあります。

事業目的に限らず、会社設立に関する質問や悩みも相談の対象です。

税理士法人の「経営サポートプラスアルファ」は、提案型の会社設立のサポートを提供しています。

最短1日で会社を設立できるだけでなく、会社設立の代行費用0円のサービスも利用できます。

また、経営サポートプラスアルファは、電子定款に対応しているため、定款の収入印紙代4万円がかかりません。

24時間いつでもLINEやチャットワークなどで相談できるため、気軽に相談しやすい体制です。

事業目的についてのお悩みは、経営サポートプラスアルファにお任せください。

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記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。