会社設立の際、電子定款で作成できれば便利です。
ただ初めて電子定款で作成する場合、必要なものや作り方が分からず不安に感じている人もいるでしょう。
そこで、電子定款の作成について詳しく紹介していきます。
目次
電子定款とは?
電子定款とは、PDFファイルで作られた定款のことです。
会社を設立する際、定款の作成と申請をしないといけません。
以前は紙媒体の定款しか認められませんでしたが、インターネットの普及によって電子媒体での作成や申請が認められるようになりました。
これから定款を作成する方は、紙媒体か電子定款を選ぶことができて便利です。
電子定款は必要なものを揃えれば、自分でも行えます。
また、最近では電子定款を利用する法人も増えて、一般的な申請方法になっているとも言えるでしょう。
電子定款の作成で必要なもの
電子定款を作成する場合、必要な機器やソフトがあります。
具体的には、以下の4つです。
- マイナンバーカード
- 電子署名ソフト
- ICカードリーダー
- 電子署名
マイナンバーカード
マイナンバーカードは、電子証明書付きのものが必要です。
マイナンバーカード交付申請方法は、以下の4つの方法があります。
- スマートフォン
- パソコン
- 証明写真機
- 郵送
その後交付通知書が届くので、お近くの自治体にマイナンバーカードを受け取りにいきます。
交付通知書は申請から1カ月程度で届きます。
電子定款の作成を考えている場合は、早めに申請してください。
また、写真の不備があれば、さらに時間が掛かることも考えられます。
マイナンバーカードは電子定款の作成以外にも、自治体サービスや身分証明書に使えるので作成しておくと便利です。
電子署名ソフト
電子署名ソフトは、定款をPDF化して、電子署名を入れる際に利用します。
役割のイメージは、紙の書類におけるハンコに近いです。
電子署名ソフトを使えば、電子文書が正式な書類だと証明できます。
電子署名ソフトは、数多くのメーカーから発売されています。
今から購入する場合は、以下の3つをもとに選ぶのがいいでしょう。
- 使いやすいもの
- コスト
- 電子署名の入れ方が分かりやすいもの
既にお使いの電子署名ソフトを利用する場合は、電子定款に対応しているか確認してください。
電子署名ソフトも、その他の業務で利用できる可能性があります。
今後も使うことを想定して、選ぶこともおすすめです。
ICカードリーダー
ICカードリーダーは、マイナンバーカードの読み込みに使います。
今から購入する場合は、マイナンバーカードが読み込めるタイプを探してください。
ICカードリーダーによっては、マイナンバーカードに対応していないものがあるので注意が必要です。
よく確認して購入し、マイナンバーカードの読み込み方を事前に確認しておくとスムーズです。
電子署名
電子署名は、プラグインソフトで行います。
プラグインソフトは、定款に電子署名をするために必要なものです。
色々なメーカーから発売されていますが、Adobe Acrobatであれば、PDF署名プラグインソフトを利用することができます。
そのため、特にこだわりが無ければ、Adobe Acrobatをおすすめします。
電子定款を作成する流れ
電子定款を作成する大まかな流れを確認していきましょう。
なお作成前に事前に必要な物は用意しておいてください。
定款を作成する
定款の作成方法は、紙も電子も同じです。
会社法に従って、以下の3つを決めていきます。
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事
- 任意的記載事項
定款の作成が不安な方は、専門家や公証役場に内容を相談するといいでしょう。
また、作成後問題がないかチェックしてもらってから、PDF化した方が手間が掛かりにくいです。
定款をPDF化
定款の内容に問題が無ければ、定款をPDF化していきます。
定款の作成をWordやGoogleドキュメントでしている場合も、PDF変換ソフトを使えば簡単に変換可能です。
電子証明書の発行
ICカードリーダライターを使って、マイナンバーカードのICチップの中にある電子証明書を読み込ませてください。
これで、電子証明書の発行が完了します。
電子署名を行う
PDF署名プラグインソフトの指示に従って、電子定款のPDFデータに電子署名を挿入してください。
電子定款への電子署名は、代表者のものだけで有効になります。
これで、電子定款の作成は終わりです。
電子定款を認証してもらうには?
電子定款が作成できたら、認証してもらう手続きを取ってください。
- 定款認証申請者の情報を登記・供託オンライン申請システムに登録します。
- 申請用総合ソフトのダウンロードを画面の指示に従って行ってください。
- 申請用総合ソフトで電子定款を本店と管轄の公証役場に送信します。
- 公証役場に電話して受け取り日の予約をしましょう。
- 公証役場に定款を受け取りにいってください。
定款の受け取りには、以下の持ち物が必要です。
- USBなどの記録媒体
- 電子定款をプリントアウトしたもの2枚
- 発起人全員の印鑑証明書
- 電子署名しなかった発起人以外の委任状
- 認証手数料
- 謄本代
- 身元を証明する書類
- 印鑑
公証役場に予約する際、持ち物に関して問い合わせをしておくとスムーズです。
また、認証手数料は、会社設立の資本金等によって異なるので注意してください。
- 100万円未満の場合は3万円
- 100万円以上300万円未満の場合は4万円
- その他の場合は5万円
謄本は1枚につき250円なので、計算して持参するといいでしょう。
手数料に関しても不安があれば、事前に公証役場と相談してください。
電子定款のメリット
電子定款を利用するメリットは、以下の2つです。
- 印紙代が不要になる
- 自宅で定款を作成できる
印紙代が不要になる
電子定款を利用すると、印紙代が掛かりません。
一方で、紙で定款を作成する場合、収入印紙が4万円もかかります。
そのため、会社を設立に際して少しでも節約したいなら、電子定款の利用を考えるといいでしょう。
既に電子定款を利用するための機器を持っているのなら、電子定款を活用した方がお得です。
自宅で定款を作成できる
電子定款を利用する場合、自宅で一連の手続きができます。
外出を極力避けたい場合や人に頼らず定款を作成したい場合に最適です。
少人数で会社を設立するので、なるべく労力を掛けずに作成したいという要望に応えてくれます。
また電子定款を利用すれば、テレビ電話で認証を受けられる場合もあります。
テレビ電話で認証を受けると、公証役場に行く手間も省けて便利です。
なお、テレビ電話で認証を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 発起人等が電子定款に電子署名している
- 発起人がオンライン申請する
- オンライン申請した嘱託人本人である
事前に準備も必要ですが、電子定款を使うメリットが大きいものです。
電子定款を自分で作成するデメリット
電子定款を自分で作成するデメリットは、以下の3つです。
- ミスがあると再認証が必要になる
- 電子定款を作成するための機器を揃える必要がある
- 事務的は負担が増える
ミスがあると再認証が必要になる
電子定款を自分で作成すると、ミスがあるかもしれません。
定款は、会社法で求められている内容が記載されているか確認されます。
そのため、法律に詳しくないと、難しい部分もあるでしょう。
また、何度か確認したとしても、誤字や脱字が発生することもあります。
電子定款は、紙媒体とは違ってすぐに訂正することが難しいです。
そして、ミスがあった場合は、書類を修正する手間が掛かります。
場合によっては、申請を取り下げないといけません。
その結果、開業日が遅れて、機会損失になる可能性もあるでしょう。
電子定款を作成するための機器を揃える必要がある
電子定款の作成は、ICカードリーダライターや電子署名ソフトを揃えないといけません。
全てを一から揃える場合は、コストが掛かります。
そのため、紙で定款を作成した場合の印紙代と比較して、コストが大きく変わらないかもしれません。
作成した機器を今後使わないのなら、紙の定款の方がいいでしょう。
紙と電子のどちらが自分にとってメリットがあるのか、よく考えてください。
事務的は負担が増える
定款の作成を自分で行えば、負担が増えます。
定款を作成するのは、会社設立前の大切な時期です。
想定されるデメリットは、以下の3つがあるでしょう。
- 仕事が中断される
- プライベートの時間が無くなる
- 休息時間が取れない
無理をして体調を崩さないように注意する必要があります。
電子定款は作成代行業者に依頼することもできる
電子定款の作成は、作成代行業者に依頼することができます。
自分で作成することに不安を感じる方は、専門家にお願いすることもおすすめです。
作成代行業者に依頼するメリットには、以下の3つがあります。
- 機器を一から揃えるより安く済むことがある
- 会社の他の業務に集中できる
- 公証役場に行く手間が掛からない
また、代行業者は数多く存在するので、自分の会社に合った業者を選ぶといいでしょう。
選ぶ際には、以下のポイントを確認しましょう。
- 信頼できる業者か
- 電子定款に対応しているか
- どこまでの作業を代行してくれるのか
- 顧問税理士として契約が必要かどうか
また、弊社経営サポートプラスアルファでは、法定費用のみで手数料をいただくことなく法人設立を最初から最後までサポートさせていただきます。
<あわせて読みたい>
まとめ
電子定款は、自分で行うことができます。
また、必要な機器が揃っていれば、紙で定款を作成するよりもコストや手間が省けるでしょう。
ただ電子定款の利用はメリットとデメリットがあって、慎重に考えないといけません。
電子定款は作成代行業者にお願いできるので、自分一人では対応が難しいと感じた場合は利用してみるといいでしょう。
経営サポートプラスアルファでは、個人でも法人でも独立を少しでも考えている人のご相談に乗らさせていただいております。
相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。