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一人で会社を設立する際の4つのリスク

この記事では、一人で会社を設立するメリット・デメリット、
会社設立するときの手続きの流れ、会社設立する際の相談相手など
一人で会社を設立する時に知っておきたい情報をまとめています。

一人で会社を設立する際の4つのリスク

一人で会社を設立するからには当然リスクを伴います。

しかし、事前にリスクを知っておけば、きちん対策をすることができるでしょう。

今回は4つに分けて、リスクを説明していきます。

①死亡してしまった際に会社を存続できないリスク

一人で会社を経営していた場合、経営者が突然死亡してしまったときには会社がなくなってしまうリスクがあります。

一人で株式会社を経営する場合と一人で合同会社を経営する場合とで、経営者が死亡したときの状況やリスクも代わってくるので、それぞれ分けて説明します。

一人で株式会社を経営している場合

一人で株式会社を経営している場合、代表取締役が死亡した際に、株式を相続した方がいれば、その株主が代表取締役になります。

そのため、株式は相続人に引き継ぐことができれば会社を存続させることができます

相続人が新たに株主となるため、その株主が新しく代表取締役を選べば、会社を存続させていくことも可能です。

ただ、相続人がいない場合においては自分で作り上げた会社が即座になくなるリスクがあります。

一人で合同会社を経営している場合

一人で合同会社を経営している場合、上記の株式会社とは違い、株式という考え方がないため、出資をしている人が社員という形を取ります。

合同会社の場合、合同会社に出資した社員は持分と呼ばれる権利に近いものを有するのですが、持分は相続されないため、代表社員が死亡した場合には合同会社も自動消滅してしまうのです。

一人で経営している合同会社の自動消滅を防ぐためには、あらかじめ会社の定款の中に、「代表社員が亡くなった場合、代表社員の相続人に代表社員の持分を承継すること」を記載しておくことで、一人で経営する合同会社が自動消滅してしまうというリスクを回避することができます。

②一人で経営する会社の法人口座開設に関するリスク

一人で会社を設立する際、法人口座を開設するべきか、という問題が出てきます。

一人で運用するのであれば、個人口座で十分だと感じる人も多いからです。

一人会社設立時に法人口座を開設することにはメリットとデメリットがあります

取引先から信頼が得られる

法人口座を作ることの最大のメリットは、社会的な信用度も増し、取引先から信頼を得られるということです。

代表者である人物の個人名義口座を会社の口座として使うことは、取引先や世間からは個人事業主と同じように見られてしまいます。

せっかく法人格を得て信用を増すことができているにもかかわらず、個人事業主と同じという風にみられてしまっては、会社としての信用度はマイナスになります。

また、税務署からも代表者個人名義の口座と法人の口座が同じであるということが、個人の財産として法人の財産を利用したり、逆に法人の財産として個人の財産を計上しているように見られてしまったりすることがあります。

よって、会社の信用度を損なわないためにも法人口座を作る必要があります。

事業によっては法人口座の開設は時間・費用の効率が悪い

法人口座を作ることの最大のデメリットは、一人で法人口座を作っても、一人規模での事業は個人口座で十分なことが多いことです。

法人名義の口座を開設するためには多くの書類を要します。

これらの準備に労力を割いてしまうようであれば、個人口座でも十分かもしれません。

以下にまとめます。

法人口座開設に必要な書類

  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 定款
  • 代表取締役の印鑑証明書
  • 会社実印
  • 銀行印
  • 本人確認書類(運転免許証など)

そのほかにも金融機関によって必要な書類が異なるので、法人口座を開設したい金融機関のHPで一度は確認しておきましょう

また、以下の書類もあると手続きが楽にすすむことがありますので、用意しておきましょう。

  • 法人設立届書の控え
  • 事業計画書
  • オフィス賃貸契約書
  • 会社案内やパンフレット

法人口座開設時に、事業内容の説明を求められることがありますので、上記の書類があるとより楽に説明することができます。

ただ、上記のように法人口座の開設にはかなりの労力や費用がかかるため、事業内容や費用によっては個人口座でもよいでしょう。

自分の事業内容や規模を加味しつつ開設を検討するとよいでしょう。

法人口座を作るのにかかる時間は?

個人口座を開設する時間よりも法人口座を開設する時間はより多くの時間がかかります

法人口座開設には審査に時間を要するため、1~2週間くらいかかると考えておきましょう。

そのため、開設までの時間にはゆとりを持たせるようにしましょう。

上記のように法人口座の開設にはかなりの労力や費用がかかるため、事業内容や費用によっては個人口座でもよいでしょう。

自分の事業内容や規模を加味しつつ開設を検討するとよいでしょう。

③社会保険に個人で入る必要がある場合のリスク

社員が自分一人でも社会保険への加入が義務づけられています

自分以外に社員がいない場合も社会保険に加入する義務がある

一人で会社を設立し、自分以外に社員がいない場合でも、健康保険法第3条と厚生年金保険法第9条に「適用事業者に使用される者」は「被保険者である」と明記されているため、社会保険への加入が義務づけられています

「使用される者」というのは法人格から報酬を受けている者と法的には解釈されるため、法人の代表にも適用されるので気をつけましょう。

社長1人の会社の場合でも社会保険に加入しなければなりません

一人会社でも社会保険に入らなくていい例外

一人会社でも社会保険に入らなくてよい場合もあるので注意が必要です。

役員報酬がない場合や保険料以下の報酬の場合に社会保険に加入することはできません。

つまり、社長の給与がゼロの場合には社会保険に入らなくて良いということです。

各自治体によって健康保険料が異なりますので、健康保険料の詳細は各自治体の健康保険料を参考にしましょう

社会保険に加入しない場合に加入すべき制度

起業後すぐに事業がうまくいくということは稀です。

事業が軌道に乗らない間は自分に対して報酬を出すことができず、結果として社会保険にも入れないということもあります。

そういった場合は、社会保険に変わる保険に入るとよいでしょう

以下では社会保険にかわる「健康保険制度」と「年金制度」について解説します。

  • 健康保険制度
  • 年金制度

健康保険制度

健康保険制度にも、「国民健康保険」と前職時に加入していた「協会けんぽの任意継続」という2つの選択肢があります。

「国民健康保険」は、他の保険制度に加入していない人は誰でも加入することができるので、社会保険に加入しない場合は「国民健康保険」に入るのが良いでしょう

「協会けんぽの任意継続」は前職の退職時から2年間しか継続できず、かつ、加入期限や保険料の支払い期限を1日でも遅延してしまうとその日に資格を失ってしまうので、気をつけましょう。

扶養家族が多い場合には前職での「協会けんぽの任意継続」をしていくほうが費用を少なくすることができます

年金制度

年金は国民年金保険に加入する形で年金を支払う義務を果たしていくことです。

社会保険時の厚生年金の継続はできないため、国民年金保険への加入が必要ですが、年金支給額が少なくなることを防ぐために付加年金や国民年金基金、小規模事業共済に加入することも選択肢としてあるので、知っておくと良いでしょう。

④一人会社の経理に関するリスク

経理の仕事は事業の根幹となる業務です。

経理と一口に言っても、資金管理や資産管理、決算業務など多岐にわたります。

一人で行うのは重労働ですし、一人経理にはリスクも伴います

以下の見出しでは、経理の業務と一人で経理を行うことへのリスクについてご説明していきます。

会社のお金管理は全て経理が担っている

経理と一言でいっても、「資産管理」や「資金管理」、「決算業務」と多岐にわたります。

「資産管理」は商品や資材の在庫管理や土地建物といった固定資産、はたまた販売している商品の代金の受け取りや支払いの管理も入ります。

「資金管理」は銀行振込や送金といった入出金業務だけでなく銀行からの借り入れも業務内容になるうえ、「決算業務」は株主や投資家に対して自社の財務状況を報告していく書類作成も必要です。

以上のことから、経理の仕事である「資産管理」や「資金管理」、「決算業務」は会社を継続

存続させていくためには必要不可欠な業務であるお金の動きを担うことになります。

一人経理は非常に危険

一人で経理をしていくことには人件費や税理士への相談料の節約といったメリットもありますが、デメリットもあります。

複数で分担する経理業務を一人で行っていくことで、ミスも多く出てくることはその一つです。

さらに一人で経理をしていると疑問点や改善点などを見つけることが出来なくなったり、業務の進行が遅くなったりすることもあります。

誰かと協力したり相談したりしながら進めていくことができないと、場合によっては事業自体に専念することが難しくなってしまいます。

経理に関する無料の相談先

「税務署」と「日本税務研究センター」は無料で相談を受け付けています。

初歩的なことから丁寧に教えてくれる税務署

国税局のHPの「タックスアンサー(よくある税の質問)」には、税金に関するルールをわかりやすく解説している記事もあります。

また、管轄の税務署の電話相談センターに電話をしたり、面接相談を予約すれば、直接相談したりすることもできます

全て無料ですので、積極的に利用していきましょう。

専門性も非常に高い日本税務研究センター

税に関する学術的な調査も行っている「日本税務研究センター」でも、経理に関しての相談にのってくれます。

税務署と同じように、「日本税務研究センター」のHPにも「相談事例Q&A」にもよくある経理の質問内容は書かれていて、こちらも電話での相談も行っていますので、直接経理の疑問点をきくこともできます

「日本税務研究センター」は日本税理士会連合会と全国税理士共栄会が1984年に設立した日本最大の税に関するシンクタンクなので、教えてもらえる経理の情報は信頼がおけるものですので、積極的に利用していきましょう。

相談料も無料です。

個人事業主になる場合と一人で会社設立する場合の違い

事業を始めるにあたって、個人事業主になるか会社を設立するかでは、税制面をはじめとして大きな違いがあります。

事業の内容や規模に応じて適切な形態があります。

個人事業主と一人で会社設立をする違いについて、メリット、デメリットの観点から解説していきます。

個人事業主になるメリット・デメリット

個人事業主のメリット

  • 開業、廃業手続きが簡単
  • 税務申告が楽
  • 経理の事務負担が少ない

個人事業主のデメリット

  • 社会的な信用問題(融資や雇用)
  • 失業給付が存在しない

メリット①:手続きが楽

個人事業主の開業手続きは、税務署に開業届を出すだけで簡単に行えます。

法人設立と違って、別途費用が発生することもありません。

開業届は国税庁のホームページからもダウンロードすることができます。

入力可能なpdfファイルなので、必要事項を打ち込むだけで書類は完成します。

事業がうまくいかず、廃業したいときにも費用がかからないのが特徴です。

法人が廃業する場合、解散登記などをはじめとした各種登記類、社会保険類の手続きが必要です。

専門家を頼る場合、廃業するだけで10万~20万程度の費用が発生することもあります。

メリット②:税務申告が楽

一定以上の所得がある場合、税務署へ正しく申告する必要があります。

個人と法人とでは申告する税務の科目数が違います。

法人の場合は複数の税務科目があるため、専門家の知識なしで申告するのは困難でしょう。

税理士など専門家に依頼する場合には依頼料が発生します。

メリット③:経理の事務負担が少ない

個人事業主の場合、経理業務が大幅に少ないことも特徴の1つです。

一人社長であったとしても、区分が法人である以上、給与は発生します。

その給与に関する書類や、株式会社であれば株式発行の書類、株主総会などの準備書類を用意する必要があります。

デメリット①:信用が低い

個人事業主の場合、クレジットやローンなど、融資が受けにくくなります。

法人と比べて、社会的な信用が低いからです。

同様の理由で、雇用の問題や取引先の開拓に苦戦することもあります。

社会的な信用を考えるのであれば、法人化する方が良いでしょう。

デメリット②:社会保険が薄い

個人事業主は雇用保険に加入していないため、求職者給付(失業給付)などを受けられません。

体調不良で動けなくなった場合、収入が途絶える可能性もあります。

一人で会社設立するメリット・デメリット

メリット

  • 社会的に信用がある
  • 税金をコントロールしやすい

デメリット

  • 設立に時間と費用がかかる
  • 赤字でも支払いがある

メリット①:社会的に信用がある

金融機関からの融資が受けられやすく、資金調達が楽になります。

少ない元手で大きな金額が動かせるので、レバレッジを効かせたいときには法人という形態が最適です。

同様のことは採用面や取引面にも言えます。

会社を設立する際には会社登記の申請が必要となります。

その際には代表者の名前や、住所、電話番号などが必要で、この情報を非公開にすることはできません。

どこの誰がやっている会社なのか、それをはっきりさせることで、信頼を得ているというわけです。

メリット②:税金をコントロールしやすい

法人の場合、経費に勘定される科目が増えます。

代表的なものでいうと、社長または経営者家族の給与や生命保険料、住宅賃料などが該当します。これらを経費計上することで、控除額を多くすることが可能です。

メリット③:有限の責任になる

個人事業主の場合は、借入などの負債に対して経営者自身が責任を負わなければなりません。

しかし、法人の場合は有限責任となり出資した範囲内での責任で済みます。

ただ、法人でも社長名義で連帯保証人になっているケースもあり、その場合は社長個人も責任を負わなければなりません。

所得税の係り方にも違いがあります。

個人事業主の場合、売上から経費を除いた利益全額に所得税がかかります。

これは、利益と所得を同じものと見なしているためです。

法人の場合だと、利益を所得とプール金に分けることができます。

その分けた所得にのみ所得税が係るんですね。

売上を100万、経費を20万だとして計算してみます。

・個人事業主の場合
100万円(売上)-20万円(経費)=80万円(利益兼所得)
→80万円(利益兼所得)に税金がかかる。

・法人の場合
100万円(売上)-20万円(経費)-30万円(所得)=50万円(利益)
→30万円(所得)に税金がかかる。

法人だと給与は自由に決定できるので、所得税を抑えることが可能です。

また、個人事業主の所得税と法人の法人税(法人所得税)を比較すると、法人税のほうが累進制が緩やかという特徴があります。

デメリット①:設立に時間と費用がかかる

個人事業主のときと比べると、準備物が増えます。

代表的なものだと、会社登記申請、定款作成、印鑑証明、代表社員の準備などが挙げられます。

開業届を税務署に提出するだけの個人事業主とは違い、地方自治体にも届け出の必要があります。

設立の際には資本金とは別に費用が発生します。

登録免許税や戸籍謄本などを合わせて、だいたい25万円程度必要となります。

後述する合同会社の場合だと、最低6万円で設立することができます。

予算があまり取れない方は視野に入れてみてはいかがでしょうか。

デメリット②:赤字でも支払い義務が存在する

法人の場合だと、赤字運営であっても、発生する支払いがあります。

税金や固定費、人件費などです。

個人事業主の場合、赤字であれば所得税や住民税が免除されることがあります。
これは所得から税額を計算するためです。

法人の場合、資本金なども計算に入るので、小規模法人であっても7万円程度は収めなくてはなりません。

そのほか、物件を借りているのであれば家賃や光熱費などの固定費は発生します。

また一人で会社を設立した場合でも、社会保険への加入義務があります。

従業員を雇っている場合は、人数分の給与と社会保険料を払わなくてはなりません。

一人会社の株主総会

株式会社を設立した場合、株主総会を開催する必要があります。

ただ株式の一切を譲渡せず、一人で会社を設立した場合でも、株主総会を開く必要があるのでしょうか。

結論から言うと、形式としては開催する必要があります。

ただ、省略できる箇所がいくつか存在します。

以下、詳細を解説します。

一人の会社でも株主総会を開く必要がある

一人会社での株主総会では、以下の2つを考える必要があります。

  • 目的事項への同意書類
  • 株主総会議事録

同意書類について

これは主に、株主としての仕事になります。

そもそも同意書類というのは、総会を開く内容を記した目的事項への同意となります。

その内容は決算報告内容や、役員の選任決議となります。

事業の調子を確認したり、次期の布陣を確認したりといったところでしょうか。

つまり、自分で作成した事業報告書や、自分でが代表取締役である選任決議に、株主である自分が同意をする、といった形です。

この同意書で使うのは、個人の認印となります。

総会議事録の作成について

今度は代表取締役の仕事になります。

目的事項への同意書に対して、それを総会の決議と見なす、議事録(定時株主総会議事録)を作成する必要があります。

この議事録には会社の印鑑を捺印します。

会社法的には、同意書面や電磁的記録の保管があれば、書面での作成は不要と見なされます。保管は10年間する必要があります。

通常の株主総会の流れ

ここで、通常の株主総会の流れについて確認します。

通常の株主総会では、以下の6つの要素に区分できます。

総会の流れ

  • 取締役会で総会の取り決めをする
  • 総会招集通知を株主に発送
  • 株主総会の開催
  • 議事録の作成
  • 役員変更登記の申請
  • 決算公告を行う

総会の取り決め

株式総会を開くにあたって、まず取締役会を開催します。

ここで総会の日時や場所、議題や投票形式を取り決めます。

取締役会が存在しないときは、代表取締役が詳細を決定します。

招集通知を発送

総会の詳細が決定したのち、株主に総会にむけた招集通知を発送します。

この通知は事前に行う必要があります。

株主の同意がある場合、招集期間の短縮や通知を省略することが可能です。

招集は原則、総会当日の1週間前までに発送しなくてはなりません。

また、書面投票や電子投票を受け付ける場合、この招集手続きは省略できません。

株主総会の開催

総会当日では議事進行における諸注意、各種報告、株主からの質疑応答、議案の採決を行います。

よって第三者を招聘して開催する場合には、報告書類の準備なども必要となります。

主だった決議事項は「年度決算の報告」、「剰余金の配当内容」、「役員の改選」となります。

議事録の作成

開催日時や場所、議事内容、提出意見、出席役員の氏名など必要事項を記載します。

重ねてにはなりますが、議事録の作成と保管は義務づけられています。

注意しましょう。

役員変更登記の申請

総会の終了時点で、任期を満了した役員は退任します。

総会で決定された者が正式に役員に就任します。

この変更について、会社の役員登記を変更申請する必要があります。

登記申請には費用が発生するので、注意しましょう。

なお、2週間以内に届け出をしなかった場合、罰金が発生します。

決算公告を行う

総会で承認された計算書類の貸借対照表を公告する、決算公告の必要があります。

この決算公告は定款によって官報へ掲載したり、日刊新聞紙へ掲載したり、電子公告をしたりと、いずれかの方法をとります。

公告を掲載する場合には、掲載費用(6万円程度)が発生します。

一人の場合なら省略できる

一人で会社を設立し、役員会が存在しない(非設置型)場合や、株式のすべてを保有するオーナー社長の場合は、株式総会自体を簡略化することができます。

しかし、あくまで簡略化(省略)であり、非開催ではありません。

一年に一回は開催する義務があります。

開催したことにして議事録を作らず、放置していた場合、リスクが発生することがあります。

省略化のリスクについて

それは「株主総会決議不存在確認の訴え」の対象になるからですね。

この訴えが通ることで議決自体を無効にできます。

そしてこの訴えは、期限や提訴権者に制限がありません。

少数株式保有者(新規参入株主)でも訴えることができます。

これにより、過去に省略して議決した内容を不当だと訴えることが可能となります。

将来的に上場を検討し、株式を公開したいと考えている場合は、省略せずに総会を執り行うほうが良いでしょう。

それでも省略したい場合

必ず議題を作り、穴のないような議決を続けましょう。

株式の上場や会社規模の増大、株式の発行や株主の増加を視野に入れている場合、これまでの議事録を遡られても大丈夫なようにしておく必要があります。

不当に高い報酬なども訴えの対象になることがあります。

株式の譲渡をまったく考えていなければ問題はありませんが、事業の拡大規模など想像できる人はいません。

万が一に備えておく必要があります。

一人で会社を設立するなら株式会社?合同会社?

会社を設立するにあたって、株式会社と合同会社を選ぶことになります。

結論から言うと、出資問題と会社ブランドで決めるほうがよいでしょう。

スモールビジネスで始めたい場合、合同会社をオススメします。

「でも、合同会社なんてあまり聞いたことがない」
合同会社は会社法の改正で生まれた、比較的新しい会社形態です。

一般的な認知度は株式会社に比べて劣ります。

しかし、起業する人全員が株式会社にする必要はありません。

以下に株式会社と合同会社の大きな違いについてまとめます。

株式会社と合同会社とは

代表者名

株式会社では「代表取締役」を、合同会社では「代表社員」の名称を、それぞれ使うことになります。

会社形態に応じて代表者名は決まっています。

合同会社では「代表取締役」が使えません。

そういう場合には、CEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)をオススメします。

会社名も「合同会社」を名乗るのに抵抗がある場合、LLCの表記をすることも可能です。

合同会社の「代表社員」について補足です。

社員と従業員は区分されていますので、労使関係を結ぶ被雇用者は従業員となります。

採用にあたって出資してもらう必要はありません。

所有・経営が分離しているか

株式会社は株式を保有するだけで経営に参加することができます。

会社の所有者と経営者が分離している状態と言えます。

株式をすべて保有するオーナー社長は、所有者であり経営者となります。
一方、合同会社には株式という概念がありません。

合同会社は出資することで代表社員になることができ、かつ経営に参加しなくてはなりません。

決算公告の義務

合同会社には株主がいないので、株主総会の開催義務がありません。

いわば出資者全員が株主のようなものだからです。

株式会社には必要な決算公告の義務はなく、各種媒体への掲載義務もありません。

掲載料の6万円を削減できるのは合同会社の小さな特典でしょう。

二つの会社を比較して

設立の費用や手間

費用や手間は、株式会社>合同会社です。

手早く立ち上げたい人には合同会社をオススメします。

費用面の違いは以下の通りです。

株式会社の設立費用

  • 定款認証:5万円
  • (定款印紙代:4万円)
  • 登録免許税:15万円
  • 合計:24万円(20万円)

合同会社の設立費用

  • (定款印紙代:4万円)
  • 登録免許税:6万円
  • 合計:10万円(6万円)

※定款印紙代は電子定款の場合、必要ありません。

認知度について

新しい区分のため、まだ馴染んでいないというのが実情でしょうか。

現状のイメージとしてもっとも近しいのは、以前の有限会社になります。

会社の信用を問われる際に、「合同会社はダメだけど株式会社なら大丈夫」という与信判断が下されることもあります。

決算公告が可視化されている株式会社は、信用という点で頭1つ抜けます。

営業活動や取引をするにあたって、社名を押し出すかブランドを押し出すかでも変わってきます。

信用を得るために、費用や繁雑な事務費用にお金を払うという考えも間違いではないでしょう。

上場について

合同会社は上場ができません。

市場に上場する場合や、株式を発行する際には株式会社である必要があります。

通常業務には差し障りありませんが、対外的に出資を募る際には注意しましょう。

なお、合同会社で設立したとしても、株式会社に切り替えることは可能です。

利益配分について

合同会社の場合、出資額にかかわらず利益は等配分であることに注意しましょう。

これが原因で社員同士の問題に発展することもあります。

複数人で会社を設立する際には、定款に「出資額に応じた利益配分」の文言を記載しておくと良いでしょう。

合同会社がいい場合と株式会社がいい場合

以上をまとめて、合同会社か株式会社か、選ぶ基準を紹介します。

小規模の場合は合同会社から

「出資の必要性がない」かつ「会社ブランドは気にしない」のであれば、合同会社を強くオススメします。

費用面はもちろんですが、それよりも株式周りの諸雑務が多くなります。

会社である以上、経費計上できる科目は個人事業主より増えます。

これにより節税がしやすくなるメリットもあります。

合同会社はランニングコストが抑えられるのも特徴です。

役員任期に期限がないので登記の費用もかかりませんし、前述した決算公告の掲載料も発生しません。

事業を始めたての頃は何かと物入りです。

固定出費をいかに抑えるかが赤字経営脱却の近道になります。

株式会社への切り替えも可能なので、必要に応じて乗り換えるほうが良いでしょう。

出資や対法人を気にするなら株式会社

合同会社の難点は、出資の難しさにあります。

株式会社のほうが、会社形態的に出資を受けやすいです。

また中小企業を相手に取引をする場合、やはり株式会社のほうが何かと都合が良いでしょう。

株式会社という会社形態は、目に見えない安心感に守られています。

メルカリやLINEのようなB to Cの場合、多くは社名よりもサービス名が先行するでしょう。

ですがB to Bの場合だと、会社名にまで確認が入るのは珍しいことではありません。

活動形態や取引先の客層に合わせて、株式会社という名前を「買う」のも正しい選択の1つです。

一人で会社設立の登記をする流れ

会社を設立する際には登記書類を作成し、法務局へ登記申請をする必要があります。

ここでは登記に必要なものとその流れを解説します。

定款の内容の決定と印鑑の作成

定款内容の決定

登記には会社定款が必要となります。

そもそも定款とは会社における憲法のようなもので、運営のルールを定めたものです。

定款の内容は大きく3つに区分することができます。

中でも一番重要な「絶対的記載事項」は、記載に漏れがある場合、定款自体が無効となります。

絶対的記載事項

  • 事業の目的
  • 商号(社名)
  • 本店の所在地
  • 出資の価額あるいは最低額
  • 発起人の氏名、名称、住所
  • 発行可能株式総数(株式会社のみ)

相対的記載事項や任意的記載事項は、場合に合わせて追加しましょう。

印鑑の作成

会社を設立する際に、準備が必要な印鑑は4種類あります。

必要な印鑑

  • 代表者印
  • 銀行印
  • 社印
  • ゴム印

代表社印は会社登記を行う際に必要な印鑑です。

この印鑑がなければ登記自体ができないので、設立を考える際には早めに発注しておかなければなりません。

銀行印は銀行口座用の印鑑です。

口座をすでに持っている場合は確認程度で大丈夫です。

請求書や領収書の発行で使うのは社印となります。

社印は角印で用意しましょう。

最後に必要な印鑑がゴム印になります。

これは代表者の氏名や電話番号、住所などが掘られたものです。

定款の作成・認証

定款や印鑑を作成したら、公証役場で認証してもらう必要があります。

その際、絶対的記載事項は必ず確認するようにしましょう。

公証人役場は、地域ごとに管轄があります。

会社の本店所在地に合わせて役場を選びましょう。

また、公証を担当する公証人の予定も確認しておきましょう。

公証役場によっては、定款をFAXすることで事前に内容を確認してもらえることもあります。

問い合わせてみるといいでしょう。

公証役場へ持っていくモノ

  • 定款3通
  • 発起人全員の印鑑証明書1通ずつ
  • 収入印紙代(4万円)
  • 公証人への手数料(5万円)
  • 定款の謄本交付手数料

手数料、印紙代を合わせると、大体10万円程度になります。

謄本交付手数料は、250円/ページです。

事前に確認しておきましょう。

定款認証には代理人を立てることも可能です。

その際には別途委任状が必要になるので、その点は注意しましょう。

また印紙代は電子定款にすることで削減可能です。

しかし、電子定款にするためには専用のライターや特定ソフトが必要になるので、0から揃える場合、却って高くつく可能性があります。

PC環境と照らし合わせて選びましょう。

資本金の払い込み

資本金の目安となるのは100万円~1000万円です。

注意しなければならないのは、1000万円以上用意する場合です。

初年度から消費税が課税されることがあります。

通常は設立から2年間は消費税の課税がありません。

しかし、1000万以上の資本金がある場合や、上半期で一定以上の収入が発生した場合、支払い能力がありと見なされます。

課税額を調整したい場合には、資本金を調整すると良いでしょう。

払い込み手順一覧

  • 発起人の口座開設(準備)
  • 口座に資本金を振り込む
  • 振り込んだ通帳をコピーする
  • 資本金の払込証明書を作成する

法人名義の口座は設立後でなければ作成できないので、個人口座から始めます。

設立が終わった後に、法人口座へと移行しましょう。

すでに資本金が口座に入っている場合でも、一度「振り込む」必要があります。

また、株式会社を設立する場合、定款の認証を受けた後に払い込みます。

後述する登記申請は払込日から2週間以内に行う必要があるので、振り込みのタイミングには注意が必要です。

登記書類の作成と登記申請

登記申請の必要な書類も、発起人が揃える必要があります。

登記に必要な書類

  • 登記申請書
  • 登記事項などを記載した別紙
  • 定款
  • 印鑑届
  • 発起人の決定書
  • 就任承諾書
  • 選定書
  • 代表取締役の就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 本人確認証明書
  • 出資の払込証明書
  • 資本金に形状に関する証明書

これらの書類は製本する必要があります。

印鑑証明書以外を重ねて、ホチキスで留める程度で構いません。

登記に必要な書類が用意できたら、申請に行きましょう。

登記申請

登記申請は、代表者が法務局へ届け出ます。

資本金を払い込んだ二週間以内に申請する必要があります。

登記の際には収入印紙(15万円)を支払います。

これは定款の印紙とは別に用意する必要があるので、注意しましょう。

また会社設立日は登記申請書提出日となります。

設立日を調整したい場合は、提出日に気をつけましょう。

会社登記は一人で準備するべきか

結論から言うと、専門家に任せたほうが無難です。

提出書類の中には、普段耳慣れない単語や理解が難しい単語が使われることもあります。

そして登記申請には高額な収入印紙を使う必要もあります。

申請が通らない申請書に15万円も払うのは痛手でしょう。

設立のときだけではなく、設立後の経営相談などにも乗ってくれる場合もあります。

無駄な失敗を増やさず、時間を有効活用するためにも、専門家に頼りましょう。

一人で会社設立する際の相談相手

前提として、会社の設立はあくまで手段であり、目的ではありません。

つまり、会社設立の専門家になる必要はないのです。

今後2社目、3社目と会社を設立するならまだしも、今回のためだけに勉強するのは非効率的です。

依頼料を出し渋るより、勉強や手続きに使う時間を本業に当てて稼いだほうが、間違うこともなく、かつ、早いです。

「これを機に勉強しよう」という方以外は、専門家の意見を仰ぐほうが賢明でしょう。

会社設立の専門家は、「司法書士」と「税理士」です。

認可が必要な業種によっては行政書士も必要になりますが、こと設立に限って言うと、司法書士と税理士になります。

以下に、詳細をまとめました。

司法書士

司法書士を一言でいうと、登記手続きのスペシャリストです。

登記とは物や土地などの権利関係を社会に公示するための制度です。

会社登記だけではなく、相続関係の登記にも携わることがあります。

代表的だと不動産の相続登記や、遺言状の作成などが挙げられます。

会社を設立する際、税理士や行政書士が、登記の相談に乗ってくれる場合があります。

ですが、あくまで参考程度に考えておき、司法書士に相談するようにしましょう。

司法書士の報酬の相場は10~15万円程度となります。

司法書士の独占業務

  • 不動産登記
  • 商業登記
  • 法務局への提出書類の作成代行

他の士業では相談に乗ることはできても、書類の作成や手続きの代行はできません。

独占業務の侵犯は法律違反です。

司法書士以外から手続きを持ちかけられたとしても、断るようにしましょう。

司法書士に相談をするメリット

  • 登記手続きを最後まで任せられる
  • 書類漏れの心配がなく、早く仕上がる

前述したように、会社定款や登記申請は厳格に規定があります。

特に定款の絶対的記載事項は、記載漏れがあるだけで定款そのものが無効になる可能性があります。

登記申請も一回の申請につき15万円の印紙代が必要となります。

ミスなく手続きを終えたいというのが起業の際の本音でしょう。

司法書士は相談すると最後まで担当してくれます。

設立後も所在地変更や事業内容、役員変更などの手続きを依頼することもできます。

登記内容に不安を覚える人は相談するのが無難です。

司法書士の中では、最短1日で必要書類を作成してくれるところもあります。

「書類の準備がまだなのに誤って資本金を振り込んだ」など、時間の問題がある場合、司法書士に依頼するのをオススメします。

また、登記の専門家ということもあり、電子定款の環境が揃っている事務所もあります。

定款印紙代の4万円が浮くと考えれば、実質の依頼料は抑えられるでしょう。

税理士

税理士は税金関係のスペシャリストとなります。

主には税金の申告業務や、書類作成などで依頼することになるでしょう。

個人事業主で事業を始めた場合、確定申告などで付き合いがあるかも知れません。

ですが、会社設立の際に相談できる内容は、そこまで多くはないのです。

税理士の中には司法書士と付き合いのある先生もいます。

会社設立を検討している旨を伝えると、司法書士を紹介してくれる場合もあります。

法人化への切り替えタイミングなどもアドバイスをしてくれるので、一人で会社を設立する際には相談してみましょう。

税理士の独占業務

  • 税務代理
  • 税務書類の作成
  • 税務相談

税務代理業務として、税金の申告業務や、税務署が申告内容を受理しなかった場合への不服申し立てを代理で行ってくれます。

その申告に必要な書類や、書類作成のための税額算出も税理士の独占業務となります。

また広く税務相談にも対応しているので、申告の必要性に迷ったり、来年度の税金を概算したりしたいときなどに助けてくれるでしょう。

税理士に相談をするメリット

専門家に質問できる環境というのは、勉強時間や学習能力を買い取っている状態といっても過言ではありません。

税務に詳しくなるためには、膨大な勉強量を必要とします。

本業で忙しい傍ら、税金の勉強時間を捻出するのは難しいでしょう。

税金の勉強は、苦手な人にとっては理解が難しい科目です。

費やした時間と得られる成果が比例するとは限りません。

不慣れな知識で帳簿をつけたり、領収書を集めて仕分けたりするよりかは、専門家に相談して本業に集中するほうが良いでしょう。

また、安心が買えるという考え方もできます。

素人知識で税金周りを担当すると、申告に過不足が発生する可能性があります。

個人事業主ならまだしも、法人の申請科目を1人の素人が担当しきるのは大変です。

万が一申告漏れがあった場合、納付遅滞と見なされて、遅滞金やペナルティを支払う必要があります。

「苦労して申告したのに、ミスがあって余計に支払うことになった」
素人知識の確定申告だと、この可能性は高いです。

税理士への依頼料は安心料だと思うようにしましょう。

税理士によっては、資金調達などの相談に乗ってくれる場合があります。

経営アドバイスや節税対策の相談なども乗ってくれるので、末永く付き合うほうが良いでしょう。

まとめ

以上、起業前に知っておきたい4つのリスクについてご説明していきました。

起業前に4つのリスクとその対策についてしっかり準備しておくことで、起業の際の不安や懸念を減らしていくことができます。<

一人で会社設立をうまく活かせるためにもしっかり把握しましょう。

個人事業主は事業を始めやすいものの、手続きやトラブル時の対応には苦労することが多いです。

実際、事業を始めても、様々な手続きの対応で事業に専念できないのではないかという不安を抱えている方も多いと思います。

経営サポートアルファでは面倒な手続きを代行するサービスから設立後の経営アドバイスまで、包括的なサポートをしています。

起業を考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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