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法人化の条件とは?メリット・デメリット、ベストなタイミングを徹底解説

法人化の条件とは?メリット・デメリット、ベストなタイミングを徹底解説

個人事業主、フリーランス、株式会社など世の中にはさまざまな働き方があります。

その中でも、個人事業主として事業を行っている方にとっては、「どのタイミングで法人化すればいいのか?」というのが最大の課題といえるのではないでしょうか。

この記事では、法人化するとどのようなメリット・デメリットがあるのか?

そして、法人化の条件の見極め方を詳しく紹介しています。

法人化(法人成り)とは?

開業手当を提出している個人事業主が、株式会社のような法人に成るための手続きを行うことを法人化(法人成り)といいます。

法人化で個人事業主よりも有利に事業ができることが多いです。

会社設立と混同されがちですが、会社設立が0から法人として開業を行うのに対して、法人化は既に個人事業主として進めていた事業を引き継いで開業できるため、より有利にスタートを切ることができるのです。

2006年の法改正によって、実質資本金1円、役員一人以上(非公開会社)での株式会社設立が認められており、若年層、少人数から株式会社を設立する起業家が年々増加傾向にあると言われています。

法人化のメリット・デメリット

個人事業主から法人に変わるとさまざまなメリットを得ることができます。

一方、法人化を行うことでおこるデメリットも存在します。

ここからは、メリット、デメリットの面から法人化を見ていきましょう。

法人化のメリット

法人化で得られるメリットには、節税、信用度向上、損害補填軽減などがあります。

それぞれ見ていきましょう。

  • 節税対策になる
  • 社会的信用
  • 損害の補填が有限になる

節税対策になる

まず、最も大きなメリットとして挙げられるのが節税対策です。

法人化を行うことで下記のような多くの節税メリットを得ることができます。

  1. 経営者の給与を会社から受け取る考え方になるので、給与所得控除が利用可能。
  2. 欠損金の繰越控除(赤字がでた年度をそれ以降で相殺できる制度)可能期間が長くなる。個人事業主2年間、法人10年間。
  3. 経費のほとんどを事業活動の為の支出として計上できるため、経費対象の幅が増える。
  4. 退職金制度を利用可能になる為、退職所得控除を利用することができる。

社会的信用

法人化の大きなメリットの1つが社会的信用向上です。

就職や融資対象として考えた場合、個人事業主と株式会社の2つであれば、やはり株式会社の方が優先されます。

法人化を行うことで求人で優秀な人材が集まりやすく、融資の審査も通りやすくなるということです。

人材や融資をスムーズに行うためにも法人化は必要だと言えます。

有限責任になる

個人事業主が行う事業で損害が出た場合、個人資産を差し押さえてでも損害を補填しなければなりません。

これを、無限責任といいます。

しかし、法人の場合は合同会社もしくは株式会社なら有限責任になります。

有限責任の場合は、出資額以上の金銭的負担を求められることがありません。

法人化のデメリット

節税メリット、社会的信頼性アップと、法人化はいい所ばかりのように見えますが負担が増える面もあります。

デメリットとして考えられるものは以下の3つです。

  • 法人化には費用がかかる
  • 均等割(地方税)を払う必要がある
  • 社会保険加入が必要

法人化には費用がかかる

法人化を行うためには設立する為の手続き費用がかかります。

最もかかるのが定款、登記費用です。

個人で行った場合でも20~25万円ほどかかり、代行業者などに依頼すればプラスで依頼費用がかかることも多いです。

【法人化にかかる費用(株式会社の場合)】

◆ 定款認証 5万円
◆ 定款の収入印紙代:4万円(電子定款であれば不要)
◆ 謄本代2000円
◆ 登録免許税 15万円~ 
◆ 登記証明書 1通600円 
◆ 印鑑証明書 1通450円

【法人化にかかる費用(合同会社の場合)】

◆ 定款の収入印紙代:4万円(電子定款であれば不要)
◆ 謄本代2000円
◆ 登録免許税 6万円~ 
◆ 登記証明書 1通600円 
◆ 印鑑証明書 1通450円

均等割(地方税)を払う必要がある

個人事業主は赤字の場合住民税が免除されます。

しかし、法人は、赤字であっても均等割という地方税を支払うことが必要です。

個人事業主の際に住民税免除を受けていたのであれば、この負担はかなりのデメリットになるでしょう。

社会保険加入が必要

法人化をすることで社会保険への加入義務が発生します。

特に、少人数からのスタートの場合に社会保険料の負担が大きくなってしまう可能性もあるでしょう。

しかし、個人事業主であっても一定の従業員数以上であれば加入が必要となります。

法人化した方がいい条件とは?

ここでは、法人化したほうがいい条件について解説します。

「メリットが多いのなら、すぐにでも法人化したい」と安易に法人化してしまうと、税金対策にならなかったり、法人になったメリットよりもデメリットが強く出てしまったりという事態になりかねません。

法人化によって発生する費用などの負担以上のメリットがあると見込めることのできる、条件の揃ったタイミングでの法人化を行ってください。代表的な条件は以下の2つになります。

  • 年間利益800万円以上になった時
  • 年間利益1,000万円以上になった時

年間利益800万円以上になった時

法人化で節税メリットが現れ始めるのは、年間利益が400万円を超えたあたりからです。

一方、デメリットとしてご紹介したように、法人化によって増える金銭的な負担もあります。

全体の負担を考慮した場合、年間利益700~800万円以上になったあたりが法人化の条件として適当だと言われています。

【個人事業主、法人それぞれにかかる主な税金】

個人事業主

消費税、住民税、【所得税、個人事業主税】

法人

消費税、法人住民税、【法人税、法人事業税】

個人事業主、法人ともにかかる税金の種類が違います。

【】部分が違い、計算方法も異なる為、法人化によって新たにかかる金銭的負担も考慮し、トータルで個人事業主の際よりも、節税になるタイミングが法人化の条件です。

【個人事業主 所得税の税率】

所得税の税率は5~45%で所得額が高くなるほど税率があがり、330万円以上~695万円以下で20% 695万円以上~900万円以下で23%です。

所得金額(年間)

税率

1千円 ~194.9万円

5%

195 ~ 329.9万円

10%

330~ 694.9万円

20%

695 ~ 899.9万円

23%

900 ~ 1799.9万円

33%

1800~ 3999.9万円

40%

4000万円 ~

45%

所得税の税率(国税庁)

【法人 法人税の税率】

法人税は資本金1億円以下の法人では、800万円以下15%、800万円超 23.2%とされています。

 

所得金額(年間)

税率

資本金1億円以下の法人など(普通法人)

800万円以下

15%(適応除外事業19%)

 

800万円以上

23.2%

法人税の税率(国税庁)

年間利益1,000万円以上になった時

法人化の条件として、もう一つあげられるのが「年間利益1,000万以上になった時」です。

こちらは消費税が2年間免除されるという節税メリットを得ることができます。

個人事業主は、課税売上高1,000万以下であれば消費税の免税事業者となり納税義務が免除されます。

1,000万円以上になってからは消費税の支払い義務が発生するのですが、このタイミングで法人化を行うと、2年間免除してもらうことが可能です。

ただし、このタイミングでの法人化であっても消費税の免税事業者に該当しない場合もあります。

【消費税の免税事業者に該当しない場合】

◆ 資本金の額または出資の金額が、1,000万円以上の法人。
◆ 特定期間(前年の1月1日~6月30日)の課税売上高が1,000万円を超えた場合。

法人化の注意点

ここでは、注意点をご紹介します。

法人化手続きに時間がかかる点、そして、法人化後の会計処理・事務処理の増加・複雑化です。

見落としがちな部分ですので法人化の際には注意してください。

主な注意点は、以下の2つです。

  • 法人化手続きには時間がかかる
  • 会計処理・事務処理が増加・複雑化。必要に応じて税理士依頼が必要

法人化手続きには時間がかかる

一言に法人化といっても、個人事業主から法人に切り替わるまでにはさまざまな手続きが必要となります。

主な手続きとしては、必要書類の用意・署名・提出、定款作成・認証、登記申請、印鑑届出です(かかる期間2~3週間程度)。

想像していたよりも時間も手間もかかり、不備があれば期間がのびて1~2カ月かかってしまうということにもなりかねません。

滞りなく進められるように事前準備をしっかりおこないましょう。

また、弊社経営サポートプラスアルファなら最短1日で法人を設立することが可能です。

会計処理・書類実務が複雑化。必要に応じて税理士依頼も必要

法人になると事務処理、会計処理の量が増加、複雑化します。

法定調書、源泉徴収税額納付書、賃借対照表など個人事業主では行う必要のなかった処理も増えていきます。

事務員を採用する、税理士に管理を委託するなど法人化前の対策が必要です。

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まとめ

法人化の主な条件として「年間利益800万円以上になった時」、「年間利益1,000万円以上になった時」です。

条件は異なりますが、どちらもより税金対策ができるタイミングでの法人化ということになります。

税金対策からは外れますが、個人事業主でも常用労働者が5人以上になると社会保険加入が義務付けられていますので、福利厚生の充実や新たな労働者採用を考慮して、ここを条件に法人化する場合も多いでしょう。

個人事業主、法人、それぞれにかかる税金は種類や計算方法がことなり、会社一つ一つの状況も異なりますので、今回挙げた条件に一致していたとしても、事前のシミュレーションは必ず行ってください。

また、経営サポートプラスアルファでは、個人でも法人でも独立を少しでも考えている人のご相談に乗らさせていただいております。

相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。