会社を設立する際の重要なステップの一つは、会社名の決定です。特に、アルファベットを使用した会社名は近年人気がありますが、その選択にはメリットとデメリットがあります。
この記事では、アルファベットを使った会社名を選ぶ際の利点と注意点について詳しく解説します。
アルファベットを使用した会社名のメリット
1. 海外展開のしやすさ
アルファベットを使用した会社名は、海外の取引先や顧客にとって認識しやすく、発音も容易です。これにより、国際的なビジネスを展開する場合に有利に働きます。例えば、日本語での会社名が発音しにくい場合でも、アルファベット表記を用いることで、ビジネスコミュニケーションが円滑に進みやすくなります。
2. 記憶に残りやすい
アルファベットを使用した会社名は、簡潔でインパクトがあり、覚えやすいという特徴があります。特に、ブランドイメージを強化したい場合や、スタイリッシュな印象を与えたい場合には、アルファベットを活用することで視覚的にも優れたロゴを作成しやすくなります。
3. デザイン性の向上
アルファベットを用いることで、会社ロゴや広告素材においてデザインの自由度が高まります。シンプルでモダンなデザインが好まれる現代において、アルファベットの活用は企業のブランディングに貢献します。
アルファベットを使用した会社名のデメリット
1. 聞き間違いや誤記入のリスク
アルファベット表記は、特に日本国内では発音やスペルの認識において誤解を招く可能性があります。日本語表記の会社名と比べると、アルファベットの並びや発音が難しく、聞き間違いや書き間違いが発生しやすいです。特に、取引先や顧客とのコミュニケーションにおいて、名前が正しく伝わらないリスクがあります。
2. フォーム入力や銀行振込でのエラー
日本国内の多くのシステムは、日本語やカタカナを基準に設計されているため、アルファベットを使用した会社名が原因で、銀行振込やオンラインフォームでエラーが発生することがあります。これにより、取引がスムーズに行えなくなる可能性があり、ビジネスの効率に影響を及ぼすことも考えられます。
3. 商標登録やドメイン取得の難しさ
アルファベットを使用した会社名は、シンプルなものほど他社と被りやすく、商標登録が難しい場合があります。また、すでに使用されている可能性が高く、希望するドメイン名の取得が困難になることも考えられます。このような場合、商標やドメイン名の調査が必要となり、追加の手間やコストが発生します。
会社名を決定する際のポイント
他社との重複を避ける
商標登録を行う前に、既存の企業名と重複しないかを確認することが重要です。これは、将来的な法的トラブルを避けるためにも欠かせないステップです。
発音やスペルの簡便性を考慮
アルファベットの会社名を選ぶ際には、発音しやすく、スペルが簡単なものを選ぶことが推奨されます。これにより、誤解やエラーのリスクを最小限に抑えることができます。
商標とドメインの取得
会社名が決定したら、速やかに商標登録とドメイン取得の手続きを行うことで、他社に先を越されることを防ぐことができます。
会社名の登録・変更方法
ここまでで、会社名をつけるためのルール、メリット・デメリットについて分かっていただけたのではないでしょうか。
ここからは、会社名の登録・変更方法についてご説明します。
会社名(商号)の手続きは、管轄の法務局で行う必要があり、手続き方法には主に以下の2通りがあります。
・会社名を新規に(会社設立と同時に)登録する場合
・既に登録した会社名を変更する場合
会社名を新規に(会社設立と同時に)登録する場合
会社を設立する際は、管轄の法務局へ会社設立登記申請手続きを行う必要があります。
会社設立登記申請の必要書類として、定款という設立予定の会社に関する法律のようなものを作成するのですが、そこに会社名となる商号を記載します(会社種類によっては公証役場で定款認証が必要)。
定款を含めた必要書類をもとに会社設立手王機申請を行い、内容に問題がなければ会社名が登記簿に登録されます。
海外との取引で会社種類部分も英語表記で表したい場合は、定款に「本会社はABC株式会社と称し、英文ではABC Co.,Ltd.とする」といった文言を入れて手続きしてください。
既に登録した会社名を変更する場合
会社名を変更する場合は、定款の内容によって方法が2パターンに分かれます。
定款に「英文ではABC Co.,Ltd.とする」といった文言を入れている
・定款に「英文ではABC Co.,Ltd.とする」を入れておらず日本語表記の会社名のみ
・定款に「英文ではABC Co.,Ltd.とする」といった文言を入れている
法務局で商号の更正申請を行い、商号を訂正します。
申請後は、日本語、英文での利用時ともにアルファベット表記の会社名を利用できるようになります。
定款に「英文ではABC Co.,Ltd.とする」を入れておらず日本語表記の会社名のみ
商号変更申請を行ってください。定款変更のために、登記申請書、株主総会議事録、株主リスト、委任状(代理人の場合)、登録免許税3万円、代表取締役の個人実印、代表取締役個人の印鑑証明書、変更前の会社実印、変更後の会社実印、印鑑届出書などを準備し、法務局で手続きを行う必要があります。
まとめ
平成14年に商業登記規則等の改正によって、アルファベットを含む、会社名に利用可能な文字・記号が増やされたことにより、会社名の可能性が広がりました。
アルファベットのみにしたり、漢字や記号も混ぜて見たりと、さまざまな名前を付けることができます。
既に登録した会社名をアルファベットに変更することもできます。
必要な場合は、法務局で更生または変更手続きを行ってください。
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