中国人をはじめとする外国人が日本で会社を設立することは、以前と比べてかなり容易になりました。これは、規制が緩和され、グローバル化が進展する中で、多くの外国人経営者が日本で活躍している背景があります。
本記事では、中国人が日本で会社を設立する際に必要な手続きや、留意すべきポイントについて詳しく解説します。
日本で会社を設立する際の基本的な手続き
1. 屋号の決定
屋号とは、会社の名称のことです。日本では、屋号を日本語で記載する必要があります。そのため、中国で使用されている繁体字や簡体字は利用できませんが、日本で一般的に使用されている漢字であれば問題なく使用できます。中国の会社が日本支社を設立する場合は、中国語の会社名を日本語の漢字に置き換えて使用することが一般的です。また、新たに日本で会社を設立する場合、自由に屋号を決めることが可能です。
2. 会社構成の選定
会社設立に際しては、出資者や取締役を決定する必要があります。2015年以前は、取締役の一人は日本に住所を持つ必要がありましたが、法改正により全員が海外に住所を持っていても取締役になることが可能になりました。このため、海外在住の中国人でも問題なく取締役として活動できます。
3. 事業目的の策定
会社の設立にあたっては、どのような事業を行うのかを事前に決める必要があります。事業目的は具体的に決まっていなくても、主要な活動内容を記載しておけば問題ありません。また、経営管理ビザを取得するためには、事業目的の実現可能性が重要視されるため、詳細な事業計画を策定することが求められます。
4. 所在地の設置
会社の所在地は、連絡先となる住所です。テナントオフィスやレンタルオフィスを利用する場合が多いですが、外国人であることから、テナントを借りる際に制約があることもあります。場合によっては、中国人オーナーのテナントを選ぶことで、契約がスムーズに進むこともあります。
5. 定款の作成
定款は会社の基本情報を記載する重要な書類であり、法人設立に必須です。最近では電子定款が主流となっており、印紙税法の対象外であるため印紙代が不要となります。定款作成や認証は、設立代行業者に依頼することが一般的で、これにより手続きがスムーズに進行します。
6. 公証役場での定款認証
株式会社を設立する場合、定款を作成した後、公証役場で認証を受ける必要があります。認証には1週間から2週間程度かかり、費用として印紙代と認証手数料が必要です。ただし、電子定款を利用することで印紙代を節約できます。また、合同会社の場合は定款の認証が不要であり、さらにコストを抑えることができます。
7. 資本金の振り込み
定款の認証が完了したら、資本金を日本の銀行口座に振り込む必要があります。資本金の振り込みは、会社設立手続きの中で重要なステップであり、法人登記の際に必要となります。
8. 法人登記の手続き
法人登記は、法務局で行う会社設立の最終ステップです。登記に必要な登録免許税は、株式会社の場合は15万円、合同会社の場合は6万円です。登記が完了すれば、正式に会社が設立されます。
9. 税務署への届出
会社設立後、税務署に対して法人設立届出書や青色申告の承認申請書などを提出する必要があります。これにより、税務処理が適切に行われるようになります。
中国人が日本で会社を設立する際の注意点
1. 印鑑証明書の必要性
中国人が日本で会社を設立する際には、印鑑証明書が必要です。日本に住んでいる場合は、日本国内で印鑑登録を行い、証明書を取得できますが、短期滞在の中国人や海外在住者の場合は、中国の印鑑証明書を日本語に翻訳したものを提出する必要があります。
2. 日本への来訪が必要
日本で会社を設立する際、原則として日本に来る必要があります。ただし、代表取締役が日本人である場合は、来日せずに会社設立が可能です。しかし、中国人一人で会社を設立する場合は、必ず来日する必要があります。
3. 銀行口座の開設
日本で会社を設立するためには、日本国内の銀行口座が必要です。資本金を振り込むための口座は、日本で認められた銀行のものに限られます。しかし、最近ではマネーロンダリング対策が厳しく、銀行口座の開設が難しくなっています。短期滞在者の場合、口座を開設できないケースもありますので、時間をかけて準備することが重要です。
経営管理ビザの取得とその注意点
1. 経営管理ビザとは
経営管理ビザは、外国人が日本でビジネスを展開するために必要なビザです。従業員を2人以上雇用するか、資本金が500万円以上の会社を経営する場合に取得が可能です。ただし、ビザ取得の要件は厳しく、事前に法人を設立しておく必要があります。
2. ビザが取得できない場合
経営管理ビザが取得できない主な理由は、会社の信頼性にあります。法人が安定的に運営されていることを証明できないと、ビザが発給されません。したがって、法人設立後にもしっかりとした事業計画を持ち、安定した運営を行うことが重要です。
まとめ
中国人が、日本で会社を設立するのは、昔に比べれば簡単になっています。ただし、中国人が会社を設立した後に、ビザを取得するためには高い壁があるのも事実です。
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