会社設立前に税理士へ相談すると、税務設計・創業融資・設立後の経理体制まで見据えた準備がしやすくなります。
ただし、税理士資格だけでは設立登記の申請代理はできないため、税理士報酬・法定費用・司法書士報酬は分けて確認しましょう。
📋 この記事で分かること
- 会社設立を税理士に依頼するメリット
- 設立代行費用・顧問料の相場
- 税理士に依頼するデメリットと注意点
- 税理士・司法書士・行政書士の役割の違い
- 依頼するベストなタイミング
- 失敗しない税理士の選び方のチェックポイント
- 相談から設立完了までの流れ
目次
会社設立を税理士に依頼するメリットとは?3つのポイントで解説
結論として、税理士に会社設立を依頼する最大のメリットは、資本金や決算期の設計を含めた節税対策を初年度から実践できる点です。
手続き代行だけでなく、融資・記帳・税務申告まで一気通貫で任せられるため、経営者は本業に集中できます。
節税につながる資本金・決算期の設計ができる
資本金の金額は、消費税の免税判定や登録免許税、定款認証手数料の区分に直結する重要なポイントです。
株式会社の定款認証手数料は、2022年1月の改定で資本金額に応じて3万円(資本金100万円未満)・4万円(100万円以上300万円未満)・5万円(300万円以上)の3段階になりました。
さらに2024年12月の改定で、発起人全員が自然人3人以下・発起設立・取締役会非設置の要件を満たす資本金100万円未満の株式会社は1万5,000円に軽減されています。
決算期の設定次第では、設立1期目の消費税免税期間を最大限に活用できるケースがあるのです。
こうした制度設計は自己判断だと見落としやすく、専門家の初期関与が結果的にコスト削減につながります。
事業計画書・資金繰り計画の精度を高められる
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、創業前または創業後おおむね7年以内の事業者を対象とする制度です。
融資限度額は最高7,200万円(うち運転資金4,800万円)とされ、創業から2期程度までは原則として無担保・無保証人で利用できます。
3期目以降は改めて経営者保証免除の要件を満たさなければなりません。
税理士は事業計画書の数値の整合性や資金繰り計画の精度を高めるサポートをしてくれます。
そのため、審査担当者に伝わりやすい書類作成につながるのです。
自己資金の割合や借入希望額の妥当性についても、第三者の視点でチェックしてもらえる点が心強いところです。
設立後の記帳・税務申告まで一気通貫で任せられる
設立時から顧問契約を結んでおくと、日々の記帳や年次の決算申告、税務署への各種届出まで継続して依頼できます。
届出のなかには青色申告承認申請書のように、期限が厳格なものもあります。
原則として「設立の日以後3か月を経過した日」と「第1期の事業年度終了日」のいずれか早い日の前日までが提出期限です。
このほか、市区町村への法人設立届、従業員を雇用する場合の労働保険関係成立届、社会保険の新規適用届なども設立時期に応じて必要になります。
期限管理を専門家に任せることで、税制優遇の適用漏れや届出の遅延を防げるのです。
給与計算や社会保険関連の手続きも、提携する社会保険労務士と連携して対応できる事務所が増えているのが実情です。
会社設立を税理士に依頼する費用相場はいくら?設立代行費用と顧問料
税理士に会社設立を依頼する費用は、設立時にかかる法定費用に加え、代行手数料や設立後の顧問料が発生します。
金額の内訳を理解しておくと、見積もり比較がしやすくなります。

会社設立時にかかる法定費用と税理士への依頼費用
| 項目 | 自分で手続き | 税理士に依頼(顧問契約あり) |
|---|---|---|
| 登録免許税(株式会社) | 最低15万円 | 最低15万円(変動なし) |
| 定款認証手数料(株式会社) | 1万5,000円〜5万円(要件・資本金区分による) | 同左(司法書士等への別途報酬は除く) |
| 定款印紙代 | 紙4万円 | 電子定款で0円になるケースが多い |
| 設立代行手数料 | 0円(自分で対応) | 実質0円〜15万円程度 |
| 専門家によるチェック | なし | 資本金・決算期などの設計を相談可能 |
株式会社の登録免許税は資本金の0.7%(最低15万円)、合同会社は資本金の0.7%(最低6万円)です。
紙の定款には収入印紙4万円が必要ですが、電子定款であれば印紙代は不要になります。
税理士事務所が電子定款の作成に対応していれば、この4万円分のコストを抑えられるのです。
設立代行手数料の相場は5万円〜15万円程度で、顧問契約を条件に手数料を抑える事務所も見られるでしょう。
電子定款に対応した事務所を選べば、印紙代4万円を確実に節約できます。見積もり時に対応可否を確認しましょう。
【参考】【税理士が解説】定款作成代行のメリット・デメリットを解説|代行利用時のポイントも紹介
顧問契約時の月額顧問料・決算料の相場
設立後に顧問契約を結ぶ場合、年商1,000万円未満の会社で月額1万円〜3万円、年商1,000万円〜3,000万円で月額3万円〜5万円程度が目安です。
決算申告料は別途、月額顧問料の4〜6か月分が相場とされています。
契約前に、記帳代行や年末調整、給与計算が顧問料に含まれるかを必ず確認しておくと安心です。
含まれる業務範囲は事務所ごとに差があり、見積もり時の比較ポイントになります。
会社設立を税理士に依頼するデメリット・注意点
税理士への依頼は多くのメリットがある一方、費用負担と相性の問題という2つの注意点があります。
契約前にこの点を理解しておくことで、依頼後のミスマッチを防げるでしょう。
- 継続的な費用が発生する
- 税理士との相性次第で経営に影響が出る
継続的な費用が発生する
顧問契約を結ぶと、設立後も毎月の顧問料が固定費として発生します。
売上が安定しない創業初期は、この固定費が資金繰りの負担になる場合があります。
スポット契約や設立時のみの依頼が可能かどうかを事前に確認するとよいでしょう。
税理士との相性次第で経営に影響が出る
税理士は長期にわたって経営情報を共有するパートナーです。
連絡のレスポンスの速さやクラウド会計への対応力、業種知識の有無は事務所によって差があります。
契約前に無料相談を利用し、担当者との相性を確認することをおすすめします。
契約前に必ず複数の事務所の無料相談を利用し、相性やレスポンスの速さを比較しましょう。
会社設立は税理士・司法書士・行政書士のどこに相談すべき?士業比較
| 士業 | 主な業務範囲 | 会社設立での役割 |
|---|---|---|
| 税理士 | 税務相談・記帳代行・決算申告 | 資本金・決算期の設計、融資相談、設立後の税務顧問 |
| 司法書士 | 登記申請の代理 | 定款作成・法人登記の申請代理(税理士は登記代理不可) |
| 行政書士 | 許認可申請書類の作成 | 定款作成のサポート、許認可が必要な業種の書類作成 |
会社設立の手続きは複数の士業が関わるため、それぞれの役割を理解しておくと相談先を選びやすくなります。
結論として、税務・資金調達面は税理士、登記申請は司法書士が専門です。
税理士に相談するのが向いているケース
節税対策や資金調達、設立後の経理体制を重視する場合は税理士への相談が適しています。
多くの税理士事務所は提携する司法書士と連携しており、登記手続きも含めてワンストップで進められる体制を整えているからです。
飲食業や建設業など許認可が必要な業種では、行政書士との連携実績があるかも確認するとよいでしょう。
司法書士・行政書士との違いと役割分担
会社・法人登記の申請代理を専門的に取り扱うのは司法書士です。
行政書士は飲食業や建設業など許認可が必要な事業の書類作成を得意とします。
税理士資格だけでは登記代理ができないため、登記手続きは提携司法書士(または弁護士、本人申請)に依頼する流れが一般的です。
3士業がワンストップで連携している事務所であれば、窓口を一本化でき、書類のやり取りにかかる手間を減らせます。
【参考】法人登記とは?必要な手続きは?準備するべきことや注意点まで解説!
会社設立を税理士に依頼するベストなタイミングは設立前
税理士への相談は、設立前・設立準備段階で行うのが最も効果的です。
設立後に依頼すると、初年度の節税機会をすでに逃しているケースが多いためです。
設立前に依頼するメリット(青色申告・消費税免税等)
設立前から関与してもらうことで、次のようなメリットを確実に得られます。
- 青色申告承認申請書の提出期限(設立の日以後3か月経過日と第1期の事業年度終了日のいずれか早い日の前日まで)を確実に守れる
- 資本金1,000万円未満であれば、原則として設立1期目は消費税の免税事業者となる
ただし、インボイス(適格請求書発行事業者)に登録した場合は登録時点から課税事業者となり、この免税は適用されません。
また2期目以降は資本金要件を満たしていても課税事業者になることがあります。
BtoBの取引が中心になる見込みであれば、登録の要否や課税事業者となる時期を早めに検討しておくことをおすすめします。
設立後に依頼する場合のデメリット
設立後に依頼を開始すると、数か月分の記帳を遡って整理する必要が生じ、初期費用がかえって割高になることもあるでしょう。
決算期や資本金の設計はすでに確定しているため、節税の余地が限られる点もデメリットです。
節税効果を最大化したい場合は、設立前の早い段階で税理士への相談を始めることが重要です。
会社設立で失敗しない税理士の選び方のチェックポイント
税理士選びで失敗しないためには、実績・専門性・料金・相性という4つの観点を軸に、複数の事務所を比較検討することが重要だといえるでしょう。
以下のチェックポイントを押さえておくと選定の精度が上がります。

創業支援・会社設立の実績が豊富か
創業期特有の資金繰りや届出に精通した税理士は、初回相談の段階で具体的な論点を提示してくれます。
確認したいポイントは次のとおりです。
- 会社設立や創業融資の支援実績があるか
- 自社と同業種の顧問先を持っているか
- 税務調査の対応経験が豊富か
- 資格者本人が相談に対応してくれるか
料金体系が明確でクラウド会計に対応しているか
契約前に、次の項目を書面で確認しておくと安心です。
- 顧問料に記帳代行や決算料が含まれるか
- 追加費用が発生する条件は何か
- クラウド会計ソフトやチャットツールでのやり取りに対応しているか
- 担当者とのコミュニケーションが円滑か
見積もり比較時は、顧問料に含まれる業務範囲を必ず書面で確認しましょう。
会社設立を税理士に依頼する流れ(相談から設立完了まで)
税理士への依頼は、無料相談から始まり、書類準備・定款作成・法人登記という順で進みます。
全体の流れを把握しておくと、必要な準備期間の見通しが立てやすくなります。
- 無料相談で事業内容・資本金の想定額・設立希望時期を伝える
- 発起人の印鑑証明書・本人確認書類を準備する
- 事業目的・資本金・決算期を決めて定款を作成する
- 株式会社の場合は公証役場で定款認証を受ける
- 提携司法書士が法務局へ登記申請を行う
- 登記完了後、税務署・都道府県・年金事務所へ各種届出を行う
無料相談から必要書類の準備まで
多くの税理士事務所は初回相談を無料で受け付けているのが一般的です。
相談時には、事業内容・資本金の想定額・設立希望時期を伝えると、具体的な見積もりが提示されやすいでしょう。
あわせて発起人の印鑑証明書や本人確認書類の準備を進めます。
【参考】【税理士が解説】会社設立準備チェックリスト|必要な手続きを詳細解説
定款作成・認証から法人登記まで
事業目的や資本金、決算期を決めたうえで定款を作成し、株式会社の場合は公証役場で認証を受けます。
合同会社は定款認証が不要なため、その分の費用と手続き期間の短縮が可能です。
認証後、提携司法書士が法務局へ登記申請を行い、登記完了後に税務署・都道府県・年金事務所への各種届出を進める流れです。
まとめ
この記事では会社設立は税理士に依頼すべきかどうかについて解説しました。
押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 会社設立を税理士に依頼するメリットとは?6つのポイントで解説
- 会社設立を税理士に依頼する費用相場はいくら?設立代行費用と顧問料
- 会社設立を税理士に依頼するデメリット・注意点
- 会社設立は税理士・司法書士・行政書士のどこに相談すべき?士業比較
会社設立や法人化に関するお悩みは、税理士法人経営サポートプラスアルファの無料相談をご活用ください。
設立手続き・資金調達から設立後の税務まで、専門家が一貫してサポートします。
よくある質問(FAQ)
Q. 会社設立は税理士に依頼しないと違法ですか?
A. 違法ではありません。会社設立の手続き自体は自分で行うことも可能です。
ただし、節税設計や融資対策、期限管理を考えると、税理士への相談にはメリットが大きいといえます。
Q. 税理士に会社設立だけをスポットで依頼できますか?
A. 事務所によっては可能です。
ただし多くの事務所は顧問契約を条件に設立サポート費用を抑える料金体系を採用しています。
契約前にスポット対応の可否を確認しておくと安心です。
Q. 会社設立を税理士に依頼するとどれくらいの期間で完了しますか?
A. 書類が揃っていれば、相談開始から登記完了まで概ね2週間〜1か月程度が目安です。
事業目的の検討や資本金の準備状況によって前後します。
Q. 個人事業主から法人化する場合も税理士に相談すべきですか?
A. 法人化のタイミングは節税効果に大きく影響するため、相談をおすすめします。
売上や利益の水準によって最適な時期は異なる点に留意しましょう。
Q. 税理士と司法書士の両方に依頼する必要がありますか?
A. 登記申請は司法書士の専門業務のため、税務は税理士、登記は司法書士と役割が分かれます。
多くの税理士事務所は提携司法書士と連携しており、窓口を一本化できます。
Q. 会社設立時の税理士費用は経費にできますか?
A. 設立後の顧問料や記帳代行費用は、法人の損金として計上できるのが基本的な考え方です。
設立前に個人で支払った費用については、支出の目的や法人が負担すべき費用かどうかに応じて、創立費として資産計上したうえで償却する処理が一般的ですが、すべての支出が対象になるとは限りません。
監修:税理士法人経営サポートプラスアルファ

