会社を設立する際には、定款に事業目的を記載する必要があります。これは法律で定められた必須事項であり、事業の範囲を明確にするために非常に重要です。
しかし、事業目的をたくさん記載することにはメリットだけでなく、デメリットも存在します。本記事では、事業目的を複数記載することの利点とリスク、そして適切な記載方法について詳しく解説します。
目次
事業目的を記載する理由
法律で定められている
事業目的を記載することは、法律で定款の絶対的記載事項に定められています。
このため、定款に必ず記載する必要があります。
また、法人は実態がなく、業務の範囲を制限しないとどのような業務でも行うことができてしまい、様々な混乱が起きるでしょう。
このような混乱を招かないように、法律で事業目的を記載することで、業務の制限をしているのです。
お互いが信頼した状態で取引をするため
法人同士が取引をする際は、お互いの信頼関係が成り立っていることが前提になるでしょう。
万が一、取引先との間に何かトラブルが起きた場合、取引先との信頼関係が構築できていないと解決するのが難しくなることも考えられます。
実際に、事業目的が記載されていない企業を信頼することは難しいでしょう。
このため、様々な企業から信頼されるためにも、定款に事業目的を記載する必要があります。
事業目的に記載してない事業をするのは問題ない?
定款の事業目的に記載のない事業を展開することは、問題ないのでしょうか。
結論から述べると、基本的に、定款の事業目的に記載されていない事業を行うことはできません。
法律で「定款に記載のある範囲内で事業を営むこと」と定められているためです。事業目的に記載されていない事業を行う際は、基本的に定款を変更する必要があります。
定款の変更には費用がかかる
定款を変更する際は「費用がかかること」を留意しておきましょう。
法務局に目的変更登記を申請する際にかかる費用(登録免許税)は、3万円です。
変更内容や変更数に限らず、一度の申請に3万円かかります。
会社設立の際に作成した定款の事業目的と整合性があれば問題ありませんが、事業目的に記載されていない事業を行う際は、登録免許税の支払いを行って定款を変更するようにしましょう。
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事業目的をたくさん記載するメリット
1. 事業拡大の可能性を広げる
定款に多くの事業目的を記載することで、将来的に新たな事業を開始する際に、定款の変更を避けることができます。これにより、事業拡大の際に発生する手続きやコストを削減でき、柔軟な事業展開が可能となります。
2. 投資や融資を受けやすくなる
多岐にわたる事業目的を持つ企業は、多様な収益源を持つと見なされ、投資家や金融機関からの信頼を得やすくなることがあります。これは、事業のリスク分散が可能であると判断されるためです。多角化した事業目的は、安定した経営を目指す上で有効な手段となります。
3. 規模の経済を活用
複数の事業目的を持つことで、異なる事業間でのリソースの共有が可能になります。例えば、同一の施設や人材を複数の事業で活用することで、コストの削減が期待できます。これにより、効率的な経営が実現できるでしょう。
事業目的をたくさん記載するデメリット
1. 信頼性の低下
事業目的が多すぎると、取引先や金融機関から「焦点が定まっていない」「実現可能性が低い」と見なされるリスクがあります。これは、特に中小企業や新興企業にとって致命的です。事業内容が分かりにくくなることで、信用を失い、取引や融資が断られる可能性があります。
2. 定款変更の費用と手間
将来的に事業内容が変わった場合、その都度定款を変更する必要が出てきます。定款の変更には登録免許税(通常3万円)がかかり、手続きも煩雑です。これが頻繁に発生すると、時間とコストの負担が増加します。
3. 取引先への不信感
あまりにも多くの事業目的を記載すると、取引先が「どの事業がメインなのか不明」と感じることがあります。これにより、取引先からの信用を損なうリスクが生じます。特に専門性が求められる分野での事業展開を考えている場合、事業目的を絞ることが重要です。
事業目的を記載する際の注意点
1. 具体的かつ明確に記載する
事業目的は、誰が見ても理解できるように具体的に記載することが大切です。曖昧な表現を避け、具体的な業務内容や業界を明示することで、取引先や金融機関からの信頼を得やすくなります。
2. 将来的な事業展開を考慮する
現在行っていない事業であっても、将来的に展開する可能性がある事業は定款に記載しておくべきです。しかし、あまりにも多くの事業を羅列すると分かりづらくなるため、簡潔にまとめることが重要です。
3. 他社の定款を参考にする
どのような事業目的を記載すればよいか迷った場合は、同業他社の定款を参考にすることも一つの方法です。法務局で手数料を支払って確認するか、企業のホームページで公開されている定款を参考にするとよいでしょう。
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事業目的がまとまらない場合は
事業目的がまとまらない場合は、会社設立の専門知識のあるプロに頼る方法もあります。
事業目的に関わらず、会社設立に関する質問や悩みを相談することができるでしょう。
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