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不動産会社を設立するには?メリットや補助金の仕組みを解説!

現在では、会社を設立することは決して難しいことではありません。

しかし、業種の中には開業に資格が必要だったり一定の資金を用意しなければならなかったりするものもあります。

不動産会社もその一つです。

しかし、不動産会社を設立するメリットは大きく、設立する際には補助金も利用できます。

今回は、不動産会社を設立するために必要な資格や資金、手順、利用できる補助金などをまとめました。

不動産会社の設立の手順やメリット

はじめに、不動産会社を設立するのに必要な資格や資金、手順などを紹介します。

これを把握しておけば、不動産会社を設立するまでに何を、いつまでにやるべきなのか分かるでしょう。

不動産会社を設立するために必要な資格や資金

会社設立に必要な資格について

不動産業を開業するには、「宅地建物取引業免許」が必要です。

この免許は、「宅地建物取引士」を設置していることが受け取り条件の1つとなっています。

「設置」とは、従業員、もしくは自分が宅地建物取引士の資格を取得し、業務に従事していることです。

また、宅地建物取引士は専任であること、業務に従事する人数が5人に1名以上であることが定められています。

すでに別の不動産会社に勤めていたり開業していたりする有資格者に兼任してもらうことはできません。

会社設立に必要な費用について

宅地建物取引業法により、宅地建物取引業者は開業する際、営業保証金として1千万円を法務局に供託することが定められています。

この1千万円というのは、「主たる事業所」のみであり、これに支店が加わると1店舗につき500万円が必要です。

つまり、事務所を一箇所だけ開業する場合は1千万円、事務所一箇所に加え支店を一店同時に開業すると、1,500万円が必要になります。

ただし、全国宅地建物取引業協会や、公益社団法人全日本不動産協会・不動産保証協会などに入会すれば、この営業保証金は免除となります。

その代わり、入会した協会に「主たる事務所(本店)60万円、従たる事務所(支店)1箇所につき30万円」の弁済業務保証金分担金の納付が必要です。

これならば、費用がかなり節約できます。

これに加えて、不動産会社を設立するときは、事務所の設置が宅地建物取引業法によって義務づけられていますので、事務所を借りる資金も必要です。

自宅を事務所にする方法もありますが、独立した事務所を構えた方が後々便利です。

不動産会社を設立するための手順

業務の内容を決める

不動産会社の業務内容には以下のようなものがあります。

  • 賃貸仲介業
  • 売買仲介業
  • 買取販売業
  • 賃貸管理業
  • 不動産コンサルティング業
  • 不動産デベロッパー

「宅地建物取引業免許」を取得していれば、どのような業務でも行うことができます。

しかし、土地や建物を売買する「買取販売業」や物件の建築や販売を手がける「不動産デベロッパー」は、一件の仕事で大きな利益が出やすい反面、多額の資金や豊富な知識が必要です。

このため、新規参入のハードルが非常に高い業態です。

賃貸・売買仲介業や賃貸管理業・不動産コンサルティング業などは、資金はそれほど必要ありませんが、仕事一件当たりの利益は販売業には及ばないでしょう。

新規参入しやすい業態である反面、利益率が低かったり、一件当たりの利益が低く粗利を生みにくかったりするのが特徴です。

また、複数の業務を同時に行うこともできますが、あまり手を広げすぎても1つ1つの業務がおろそかになります。

用意できる資金、自分の経験や人脈を考慮して慎重に決めてください。

事務所を決める

前述したように不動産業を営む場合は、必ず事務所を設置しなければなりません。

事務所はどのような場所に設置してもかまいませんが、事務所専用の出入り口を設置し、居住空間との分離、他法人と共用する場合は間仕切りが必要です。

つまり、住宅の一部を事務所にする場合は、出入り口付きの独立スペースを確保する必要があると宅建業法で定められています。

また、コワーキングスペースなどを借り、そこを事務所にすることもできません。

ですから、事務所用として貸し出されている物件を借りるのがおすすめです。

なお、インターネット上での取引を主にしようと考えている方も、事務所をいい加減に選んではいけません。

不動産に関する契約の中には、対面でないと行えないものも多いです。

また、取引や相談を対面で行いたいという顧客も出てくるでしょう。

事務所が行きにくい場所にあったり清潔感がなかったりすると、業務にも悪影響が出ます。

予算が許す範囲で立地条件のよく、使いやすい事務所を選んでください。

会社を設立するメリット

宅地建物取引業は、個人事業主でも行えます。

しかし、不動産が高額ですから「取引するならばきちんとした会社としたい」という方が多いのです。

また、会社を設立して法人化した方が、人材も集まりやすく資金調達も容易になります。

個人事業主でスタートし、事業が拡大する際に法人化することもできますが、宅地建物取引業を始めるときに法人化するほうが手間はかかりません。

なお、宅地建物取引業者のうち、法人は80%、個人事業主は20%です。

ここからも、会社設立したほうが有利なことが分かります。

会社を設立する流れ

会社を設立するには、以下のことを決めておく必要があります。

  • 会社名
  • 事業目的
  • 事業所の場所
  • 会社の形態

これらのことは宅地建物取引業を始める際にも必要なので、会社設立の手続きと同時に行っていくことができます。

これらを決めたら、定款を作成して定款認証を行いましょう。

その後資金振り込みを行って登記申請を行います。

個人でも行えますが行政書士や司法書士、その他会社設立をサポートしてくれる業者に依頼することも可能です。

会社設立までには1~2週間以上はかかります。

時間に余裕を持って行いましょう。

資格・免許の申請

前述したように不動産業を開業するには、「宅地建物取引士」の有資格者を設置し、「宅地建物取引業免許」を取得することが必要です。

業務従事者が5名以上になるかどうか分からない場合は、確定ししだい必要な人数の宅地建物取引士を設置しましょう。

なお、業務従事者には、営業・事務などの業務担当者だけでなく、事務所に常勤している者全員が含まれます。

役員や開業者が事務所に常勤しているなら、務従事者に含まれます。

宅地建物取引業免許は、事務所が一箇所ならば事務所がある都道府県の知事に申請し、事務所が複数あるならば、国土交通大臣に申請します。

協会への加入

前述したように、協会に加入すれば営業保証金の供託が免除されます。

協会に加入するメリットは資金面だけではありません。

開業相談を受けられたり研修会・情報交換会への出席ができたりします。

また、不動産流通標準情報システム(レインズ)に代表される不動産取引情報サイトの利用もできるので、全国の不動産情報をスムーズに活用できるようになるでしょう。

加入できる協会は、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全国宅地建物取引業保証協会と同時加入)、公益社団法人全日本不動産協会などがあります。

業務内容に合わせた団体を選びましょう。

不動産管理会社の経営方法は3種類

不動産会社を開業し、不動産管理業務を主な内容とする場合、3種類の経営方法があります。

ここでは、その経営方法の特長やメリット・デメリットを詳しく解説します。

管理委託方式

管理委託方式とは、個人や法人所有の不動産を管理し、その対価として管理料をもらう経営方法です。

駅前によくある不動産屋の営業形態といえばイメージしやすいでしょう。

仕事内容は賃貸契約の締結や入居、退去時の手続き、家賃の回収やクレーム対応となります。

大家さんの仕事を代行するといった感じです。

この方法だと、不動産会社は扱っている物件がどのようなものであっても、リスクはほとんどありません

人気物件を扱えれば管理料は増えますが、空き部屋が増えてもダメージを受けるのは物件の所有者です。

その一方で、多数の物件を抱えないと利益が上がりにくいのがデメリットといえます。

少人数でこぢんまりと経営する会社ならよいかもしれませんが、成長しにくい方式でもあります。

一括転貸方式

一括転貸方式とは、個人や法人が持っている不動産物件を会社が一括で借り上げ、不動産会社が賃借人と契約を結ぶ方式です。

サブリース方式とも言われ、近年はCMなどで名前を聞いたことのある方も多いことでしょう。

物件の所有者が空き部屋を抱えるリスクをなくせるので、「この方式ならば貸家業をやりたい」と思う方もいます。

この方法だと、不動産を所有している個人や法人は家賃を保証されます。

その代わり、不動産会社はより高い管理料を所有者から取ることが可能です。

たとえば、首都圏の駅前など人気の物件を借りることができれば、より高い利益を望むことができます。

その一方で、空き室が増えた場合、会社の負債が増えるので物件をよく確認して選ぶことが大切です。

たとえば、地方都市などでは、賃貸物件は新しい単身者向けの物ほど需要が高く、少しでも古くなると空き部屋が目立つことがあります。

また、物件の所有者が同意しなければリフォームなどはできません。

さらに、首都圏であっても周りに築浅の物件がたくさんある場合は、競争が激しく利益を上げるのが難しいこともあるでしょう。

また、所有者ともめた場合、契約更新が不可になることもあります。

会社の仕事内容は管理委託方式とほぼ同じですが、不動産会社がやり方を決められるので、仕事もしやすいでしょう。

自己所有方式

自己所有方式とは、会社がこれはと思った物件を買取して、賃貸に出す方式です。

所有者が会社にあるので、リフォームも自由にできます。

また、賃貸料などはすべて会社の収益となるので、利益も上げやすいでしょう。

収益率の高い物件を手に入れれば、安定した経営もできます。

ただし、この方法を行うには、資本が必要です。

会社名義で融資を受けて物件を購入することもできますが、設立仕立ての会社では銀行などから融資を受けるのは難しいこともあります。

また、借り入れを行って手に入れた物件に借り手がつかなかった場合、一気に負債が増えることもあるでしょう。

ですから、物件を選ぶ知識も重要です。

この他、税金でのデメリットもあります。

不動産を取得する度に、建物の所有権移転により登記費用、不動産取得税がかかるほか、毎年法人住民税もかかります。これら税金の申告を税理士に依頼しなければならないため、税理士報酬費用も必要です。

これら経費の合計が家賃収入などを上回った場合、せっかく取得した物件は負債となります。

ある程度不動産業を行って人脈や情報網を作ってから手を出した方がよいかもしれません。

それぞれのメリット・デメリットを把握して決めよう

不動産管理業務は、不動産会社の代表的な業務の一種です。

まずは不動産管理業務から初めて、取扱う業務内容を増やしたいと考えている人もいるでしょう。

しかし、経営方法をよく考えて選ばないと、利益が上がりにくいばかりでなくリスクを抱えることにもなります。

事務所を構える地域にどのような不動産があり、需要がどこにあるかも考えて選びましょう。

住宅には需要がなくても事務所に需要がある場所もあれば、その逆もあります。

不動産会社設立のメリット・デメリット

前述したように、不動産業務は個人事業主でも行えます。

しかし、会社を設立した方が、メリットも大きいです。

その一方で、デメリットもあります。

この項では、会社を設立するメリット・デメリットを主に税金や必要経費の面から説明しましょう。

不動産会社設立のメリット

所得税より法人税の方がお得

不動産会社を設立するメリットとして、はじめに「信用度が高まる」「人が集めやすい」などを上げました。

この他に、所得によっては法人化して法人税を払った方がお得というメリットもあります。

不動産を所有し家賃収入や管理費の収入が合った場合、個人ならば収入に応じて「所得税」がかかります。

所得税は5%~45%なのに対し、法人税利益が年800万円以下の場合は15%、800万円を超えた場合は23.2%です。

つまり、ある程度不動産から収入がある場合は、法人化した方が税金は安くなります

また、所得税の実効税率が法人税の実効税率を超えた場合には、税額を引き下げることが可能です。

給与所得控除を受けることができる

自分で不動産所有していて、そこから収入を得ていた場合、管理や建物維持に必要な費用を確定申告する際に「必要経費」として申告することで、控除額を上げることができます。

しかし、管理や維持にそれほど費用がかからない場合は、控除できる額が少なくなり、税金をたくさん払わなければなりません

不動産会社を設立して法人化して、そこの役員となれば収入を法人からの給与という形にすることができます。

そうすると、給与所得控除を受けることができます。

役員が多ければそれだけ控除額も大きくなり節税になるでしょう。

生前贈与もお得にできる

不動産関連の生前贈与したい場合、親から子供へそのまま名義を変更すれば、贈与税がかかります。

贈与税の税率は10%~55%です。

資産価値の高い不動産を生前贈与した場合、高額な税金を払わなければなりません

しかし、法人化しておけば贈与したいお金の一部を会社の収入とし、そこから相続したい人へ「給与」という形で支払います。

そうすれば、生前贈与が行われたことになり、かかる税金も所得税や住民税だけです。

長期間にわたり少しずつ「給与」という形で財産を贈与しておけば、贈与税を払うことなく財産分与ができるでしょう。

ただし、相続させたい人が社会人として働ける年齢(15才以上)になっていくことが条件です。

税金面以外のメリット

不動産会社は在庫を抱える商売ではありません。

賃貸・売買に仲介できる物件があれば、利益を上げることができます。

たとえば親から受け継いだ不動産があった場合は、それを賃貸に出し、会社が管理をしているという体で給与を得ることができます。

そこで経験を積み、もっとたくさんの不動産の賃貸・売買の仲介をすることができれば、会社を大きくすることができるでしょう。

自営業で独立するのは大変ですが、不動産業界は新規でも参入しやすい業界と言われています。

今までの経験を活かし、独立することもできるでしょう。

不動産会社設立のデメリット

会社設立時に費用がかかる

会社を設立する際、株式会社だと30万円前後の設立費用が発生します。

また、設立の際に司法書士や行政書士などに書類製作を依頼した場合、その費用も必要です。

資本金は少額でも起業はできますが、設立時の費用は確保しておかなければなりません

また、設立の際は書類を作成する手間もかかります。

赤字でも税金がかかる

法人化すると、赤字でも税金がかかります。

法人税や所得税などは、赤字の場合は0円ですが、都道府県民税や市民税などは均等割といって、住んでいる都道府県の法人が頭割りにする形で支払います。

都道府県民税は5万前後、市民税は2万円前後のところが多いでしょう。

また、従業員が1名でもいる場合は、社会保険の加入義務が生じます。

これも赤字だからといって免除されません。

つまり、利益が出ない場合は会社を維持する費用の方が高くなってしまうのです。

これは会社を経営する際のリスクの1つと言えます。

赤字になった場合は経費などの支払いに苦労することもあるでしょう。

そのうえ、税金や社会保険までかかるとなれば廃業を検討しなくてはならないこともあります。

事務負担が増える

会社を設立すると、会計処理や税務申告が個人事業主だった頃より複雑になります。

専門の事務員を雇った場合は、人件費も発生します。

また、法人の税務申告は税理士に依頼しなければなりません。

法人である限りこれらの手間や出費は続きます。

自分の代わりがいない

会社勤めをしているときは、病気などで休んでも仕事を代わりにしてくれる人がいた、ということも多いでしょう。

しかし、不動産会社を立ち上げ少人数で営業している場合は、自分が仕事をできなくなったとき、代わりに任せる人がいません。

ですから、常に緊張感をもち、健康に留意しながら仕事をする必要があります。

少しくらい体調が悪くても休めません。

利益が出なければ自分の給料が出ないということもあるでしょう。

それでも休めないのがデメリットです。

個人事業主でもある程度経営できる

事業拡大をせず、副業(副収入)や年金暮らしで稼ぎを得たい場合もあるでしょう。

その場合には、わざわざ会社を設立する必要がありません。

例えば、賃貸業であれば、宅地建物取引士の資格はなしで開業できます。

賃貸業、すなわち、不動産賃貸や不動産投資を行い、今後も物件を多く持とうと思っていない場合は、個人事業主で問題がないでしょう。

しかし、不動産売買や不動産仲介を行う場合には、資格取得代や資本金などがかかるので、会社設立した方が良い場合もあるかもしれません。

資金にある程度余裕を持たせないとデメリットを強く感じる

不動産業に限らずどの業種でも、開業からしばらくの間は利益よりも持ち出しが多くなる可能性があります。

すでに自分が多数の不動産を抱えており節税対策で起業したのでなければ、収益を上げる物件と巡り会ったり、顧客をつかんだりするまでに時間がかかるでしょう。

そのようなことに備えて、ある程度開業前までに資金を用意しておくことが大切です。

資金に余裕がなくても顧客をある程度つかんでいるならばすぐに利益が出ると思いがちですが、予期せぬ事もあります。

見切り発車はできるだけ控えましょう。

資金に余裕があれば、気持ちにも余裕が出てきます。

不動産会社を設立するのに必要な資金はいくら?

現在は資本金1円でも会社は設立できます。

しかし、実際はある程度資金がなければ設立しても会社は運営できません。

また、設立にかかる諸費用も必要です。

この項では、不動産会社を設立するのに必要な資金の種類と金額の目安を解説します。

法人設立費用

法人設立費用とは、株式会社や合同会社を立ち上げる際にかかる費用の総称です。

株式会社を設立するには、会社の根管となる規則である「定款」を作成し、公証人に正当性を証明してもらわなければなりません。

それには、以下のような費用がかかります。

  • 定款用収入印紙代:4万円
  • 公証人に支払う手数料(認証手数料):5万円
  • 定款の謄本手数料:約2千円~(1P/250円)
  • 登録免許税(登記):15万円

合計で24万2千円~です。なお、登録免許税は資本金が約2,140万円以下であれば15万円、それ以上資本金がある場合は、資本金額の0.7%のうち高いほうとなるので注意しましょう。

つまり、資本金が多ければ登録免許税は高くなります

なお、現在は「定款」を電子化することができ、電子定款の場合は収入印紙を貼る必要はありません。

費用を節約したい場合は、電子定款を利用しましょう。

一方、合同会社の場合は、公証人による定款の承認は不要です。

そのため、必要な費用は定款用収入印紙代の4万円と登録免許税が6万円~だけとなっています。

合同会社の場合は、資本金が約857万円以下であれば登録免許税は60,000円、それ以上は資本金額の0.7%のうち高いほうです。

ただし、不動産会社の場合株式会社の方が信用度は高く、将来会社を大きくしやすいというメリットがあります。合同会社と株式会社が競い合った場合、株式会社の方を選ぶ方が多いでしょう。

ですから、不動産会社を設立するならば株式会社のほうがおすすめです。

協会への入会金

前述したように、宅地建物取引業(不動産業)は開業する際営業保証金として1千万円を法務局に供託することが定められています。

しかし、全国宅地建物取引業協会や全日本不動産協会に加入すれば、保証金を払う必要はありません

どちらの協会に加入するかは、業務形態によって決めましょう。

不動産会社の8割以上がどちらかの協会に加入しています。

入会金は協会の支部によって異なりますが、大阪府の場合は、以下のとおりです。

  • 宅地建物取引業協会:140万8千800円
  • 全日本不動産協会:135万1千円

なお、宅地建物取引業協会に入会する際は、全国宅地建物取引業保証協会との入会がセットになっています。

全日本不動産協会に入会する場合は、不動産保証協会や流通センターなどにも同時加入するようになっています。

また、加入したら年会費も必要です。

協会に入会すると営業保証金免除のほか、開業に関するサポートやセミナーなども受けられます。

なお、ここでは大阪府の例をあげましたが、都道府県によって入会金はそれほど大きく変わりません。

宅建都道府県庁申請料

不動産業を開業するには「宅地建物取引業免許」が必要ですが、申請には料金がかかります。

都道府県知事免許の申請料金は3万3千円、国土交通大臣免許が9万円です。

一つの都道府県内だけで会社を開設する場合は都道府県知事免許、複数の都道府県にまたがって会社を開設する場合は、国土交通大臣免許が必要です。

はじめて不動産会社を設立する場合は、都道府県知事免許を申請する場合がほとんどです。

事務所を立ち上げる費用など

前述したように、不動産業は、オンラインのみでの開業はできません。

必ず事務所を構える必要があります。

事務所を借りるには敷金・礼金・保証金などが必要です。

また、駐車場も必須ですので別途駐車場代も必要になる物件もあるでしょう。

自宅を使用する場合は家賃がかかりませんが、前述したような「事務所」の形態をなしていない場合は、リフォームが必要です。

なお、業務形態によっては、事務所ではなく通常のマンションでも開業できることもあります。

ただし、マンションによっては商用利用が禁止されていることもあるので、規約をよく確認して借りましょう。

不動産会社を開設する費用は最低でも200万は必要

ここまで解説してきた費用の合計は、事務所を借りる費用を除いて約200万円です。

これに事務所を借りる費用などが加わっていきます。

人を雇う場合は、人件費も必要です。

また、会社設立のために必要な定款の作成などを外部の業者に依頼した場合は、その費用もかかります。

なお、不動産会社設立にかかる費用の平均は約400万円です。

申請にかかる費用とは別途に200万円もかかることもないかもしれませんが、ある程度のお金を用意しておくと、急な出費にも対応できます。

できるだけ開業にかかる費用を節約したいという場合は、電子定款を利用するなどしてみましょう。

また、申請する書類の作成を業者に依頼する場合も、値段を比較してみることが大切です。

不動産会社設立までにかかる日数

不動産会社設立までにはある程度の日数がかかります。

どの手続きにどのくらい時間がかかるか分かれば、いつからどのような準備を始めれば目安が付けやすくなるでしょう。

宅建業免許の審査期間は30日~

不動産会社設立には、まず「宅建業免許」を取得しなければなりません。

行政庁が発表している審査期間は、都道府県知事の宅建業免許で30~40日、国土交通大臣の宅建業免許は、約100日です。

この期間はあくまでも目安なのでもっと早く審査が終わる可能性もありますが、逆に書類に不備があれば審査期間が伸びることもあります。

1箇所の不備について1週間~2週間ほど審査期間が伸びるので、提出前によく確認してください。

また、事務所の写真に不備がある場合も再提出を求められます。

写真撮影をする際は、不動産会社として営業ができる体を調えて撮影しましょう。

供託所に営業保証金を供託するのに必要な日数

供託所に営業保証金を供託するのは、最短で1日で行えます。

宅建業免許を取得している場合、供託金が供託できたらその日から不動産会社を開業することが可能です。

営業保証金は1千万円です。

すぐに事務所を開設したいという場合は営業保証金の供託も選択肢にいれましょう。

保証協会の加入審査に必要な日数

営業保証金の免除を受けるには、宅地建物取引業協会や全日本不動産協会の加入が必要です。

加入審査にかかる日数は、宅地建物取引業協会(全国宅地建物取引業保証協会)の審査期間が2週間程度、日本不動産協会(不動産保証協会)への審査期間は4週間程度です。

これも目安ですが、不備があれば審査期間は伸びます。

協会への加入は宅建業免許をもっていなくても行えます。

宅建業免許を申請中として加入を申し込めば、宅建業免許が下りるのと同時に、保証協会への加入が認められることもあるでしょう。

なお、国土交通大臣へ宅建業免許を申請した場合、事務所を構える都道府県にある保証協会へ加入をする必要があります。

ですから、それだけ審査日数も必要です。

2箇所ならば4週間以上、3箇所ならば6~8週間はかかることもあるでしょう。

その他、会社設立にまで必要なことを行う日数

不動産会社に勤務している社員が独立して会社を設立する場合、退職届を出してから退職するまで最短で2週間程度かかります。

退社証明は会社によっては1日で発行してくれますが、退社日に退社証明が発行されることもあるでしょう。

有給が残っている場合は有休を消化しながら各申請手続きをするのがおすすめです。

このほか、事務所の契約、事務機器の購入やリースには1日~2週間程度かかります。

宅建業免許の申請には事務所の写真が必要です。

ですから、免許申請前に事務所を契約し、体裁を整えておかなければなりません。

事務所の候補が複数ある場合は、選ぶのに時間がかかります。

早いうちから動いておきましょう。

不動産会社設立までにかかる日数は約3か月

不動産会社設立までに、かかる時間は最低でも3か月はかかるとみておいてください。

余裕を持つならば、4か月ほどかかるとみておきましょう。

事務所を探すところからはじめる場合は、半年ほどかかる可能性もあります。

あまりタイトなスケジュールだと、不測の事態が起こった場合に退所ができません。

事務所を借りたときから費用がかかるので、事務所が見つかったら各種申請をすると費用がムダになりません。

会社から独立する場合は、一か月前くらいから退職の意思を伝えておくとスムーズにことが運ぶでしょう。

不動産の会社設立で使える補助金

不動産会社を設立する際、条件によっては補助金が使えることがあります。

この項では、使える可能性がある補助金の種類を解説しましょう。

教育訓練給付制度

教育訓練給付制度とは、資格を取得する際に使える可能性がある制度です。

不動産会社の設立に用いる場合は、「宅地建物取引士」の取得に利用することができます。

この制度を利用すると、資格取得のために専門学校に通ったり通信教育を受講したりした費用のうち、20%が給付されるのです。

宅地建物取引士は独学でも取得可能ですが、専門学校に通ったほうがより確実に資格が取得できます

利用できる条件は、利用が初めての場合は雇用保険に1年以上加入していること、1度利用したことがある場合は1度目の利用が平成26年10月1日以前であること、最後の受給日から3年以上の月日がたっており、かつ雇用保険に3年以上加入していることです。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、従業員の待遇を改善したさいに利用できる助成金です。

現在は労働力世代の減少から、売り手市場が続いています。

できるだけ優秀な従業員を確保したいが、正社員分の給与を出す余裕がない、もしくは、健康診断を行ったり諸手当を手厚くしたりしたいが、資金がないという場合に利用することが可能です。

正社員化コースや賃金規定等改定コースなど7つのコースがあり、定期的に改訂されます。

詳しくはハローワークや厚生労働省のサイトを確認しましょう。

  • 雇用保険適用事業所の事業主であり、かつ、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定をうけた事業主であること。
  • キャリアアップ管理者を置いていること。
  • 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備していること。

などの条件に当てはまれば利用できます。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、ITシステムの導入や買い換えを希望する際に利用できる助成金です。

不動産業もこれからはパソコンをはじめとするITなくしては立ちゆきません。

この助成金は、ソフトウェアの購入費やクラウド利用費だけでなく、専門家にシステムを作ってもらう経費などに利用できます

A型~C型の3種類があり、15万~約330万円の助成を受けることが可能です。

なお、補助金の募集は毎年行われ、交付申請ができる時期は限られています。

補助金を利用したい場合は、経済産業省や中小企業庁のサイトをこまめに確認しましょう。

住宅セーフティネット制度

住宅セーフティネット制度は、空き室・空き家の解消を目的に造られた制度です。

賃貸住宅を、住宅確保要配慮者(低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など)用にすることで、助成金を受け取ることができます。

ただし、住宅セーフティネット制度を利用すると、住宅確保要配慮者の入居を断ることはできません

たとえば、アパートやマンションの空き室が目立ってきたからと住宅セーフティネットを利用した場合、入居者から反発がでる怖れもあります。

さらに、入居する方によっては孤独死などのリスクも上がるもで、よく考えて申請しましょう。

助成金を利用するメリット・デメリット

助成金を利用するメリットは、返済義務がないことです。

融資は返済義務があるので、利用しすぎると経営を圧迫します。

デメリットとしては、使い道が限られて射ることと手続きが複雑化する可能性があるということ、受けられる条件があることです。

また、助成金は毎年条件が変わることもあるので、去年なら受けられたけれど今年は受けられないということもあります。

助成金を当てにしすぎてもよくありませんが、利用できるならば積極的に利用しましょう。

ただし、不正受給が分かると全額返金を求められるだけでなく、追徴金が請求されることもあるので、注意してください。

不動産業で受けられる融資について

不動産会社を設立する際、自己資金だけでは足りないので、融資を受けたいという方は多い
のではないでしょうか。

この項では、どこからどの程度の融資を受けられるのか、金利やメリット・デメリットを解説しましょう。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫とは、中小企業の資金調達支援などを目的に政府系金融機関の1つです。

日本政策金融公庫で受けることができる不動産業に関する融資は、不動産賃貸仲介業・不動産売買仲介業・不動産投資業に対してです。

ただし、不動産投資業に関する融資の審査は年々厳しくなっており、審査の結果融資を断られることもあるので注意しましょう。

受けられる融資の限度額は3千万円で、そのうち運転資金は1500万円まで利用できます。金利は2020年7月現在で2.46〜2.85 %です。

変動していく可能性もあるので、借り入れを考えている方は、直前に金利をチェックしましょう。

日本政策金融公庫は、事業主の属性も融資の考慮に入ります。

女性・34才以下の若年者、55才以上のシニアは優先的に融資を受けられるので、若年で不動産会社を設立する場合は有利です。

創業融資として利用した場合、運転資金7年以内・設備資金20年以内・据置期間は2年以内の借り入れができます。

銀行

銀行も現在は不動産投資業に関する融資には審査が厳しくなっています。

しかし、不動産賃貸仲介業、不動産売買仲介業に対しては不動産投資業に比べれば審査は緩いので、融資を申し込むことも可能です。

銀行からスムーズに融資を受けるには、自己資金をできるだけ増やしておき、属性を強化しておくといいでしょう。

たとえば、独立して開業する場合は前職のキャリアを十分に活かせることなどを、計画書に記載しておくのがおすすめです。

また、担保価値の高い物件を選ぶなどの工夫も必要になります。

銀行は、メガバンクや地方銀行などいろいろな種類があり、メガバンクでは断られたけれど地方銀行ならば融資を受けられたという例もあるので、複数の銀行に申し込んでみることもおすすめです。

融資を受けた場合、金利は1.5%~2.5%程度となっています。

借り換え

個人で物件を所有し、ローンを組んでいる場合は法人化した際に借り換えをすることで、所得を個人から法人に借り換えをすることもできます。

金利の額にも寄りますが、借り換えの方が低金利だった場合はローンの総額が減り、税制上も優遇を受けられるのでおすすめです。

融資を受けるメリット・デメリット

日本政策金融公庫や銀行から融資を受けることができれば、それを元手に早く事業を大きくすることができます。

また、開業時期を早めることもできるでしょう。

「今よい物件がある」という場合も、チャンスを逃さず購入ができます。

デメリットとしては、返済義務があることや、審査に日数を取られたあげく融資を断られるリスクがあることでしょう。

また、銀行の場合は経営がうまくいかないと、早急に全額返済を迫られることもあります。

ですから、自己資金をできる限り確保しておき、最初は融資の希望額を低くしておくのも一つの方法です。

業績が順調ならば追加の融資を受けることができます。

不動産会社を1人で起業できる?

不動産会社は少人数でも経営していける業界でもあります。

では、一人で起業できるものでしょうか?この項では、1人で起業するメリット・デメリットや必要な資格などを紹介します。

不動産会社を1人で起業する際に必要な資格

結論からいうと、不動産会社を1人で起業することは可能です。

起業後に従業員は必要になる可能性は高いのですが、起業自体は1人でもできます。

1人で不動産会社を起業する場合、本人が「宅地建物取引士」の資格を持っていることが絶対条件です。

これがないと「宅地建物取引業免許」を取得することができません。

不動産会社を1人で起業する際に必要な知識

不動産会社を1人で起業するには、不動産業に関する知識はもちろんのこと、経営の知識も必要です。

宅地建物取引士の免許を取得てもこれらの知識がなければ、起業は難しいでしょう。

1人では心許ない場合は、アドバイザーやサポーターを見つけておくのがおすすめです。

1人で起業しても資金はかかる

1人で起業したら開業資金を安く抑えられるのか?と思う方もいるかもしれません。

しかし、不動産業の開業資金は、半分が開業に必要な免許を取得する為のお金や、保証金です。

ですから、最低でも200万円は必要になります。

その代わり、事務所を借りる費用などは人数が少なければ抑えられることもあるでしょう。

1人ならば自分のペースで起業できる

1人で起業すれば、全ての手続きや開業のタイミングを自分で行うことができます。

複数で起業する場合、開業のタイミングや手続きのペースで意見が割れれば、収集がつかなくなることもあるでしょう。

その点、1人ならば不測の自体があっても自分で動いて開業時期をずらすことができます。

1人で起業する際のデメリット

1人で起業する場合、誰にも相談ができません。

また、不動産業は口コミや人脈が大切です。

人脈を繋いでいくことで、新しい仕事が受けられることもあるでしょう。

1人で起業する場合は、人脈を作りにくいのもデメリットです。

事業を拡大しながら人脈を築いて行けばいいと思うかもしれませんが、開業してしばらく仕事がなければ、事業を続けていくことはできません。

また、1人で起業した場合、信用がなかなか上がらない可能性もあります。

不動産取引は額が大きいので、どうせ取引するならば、大会社の方が安心できる人は多いのです。

ですから、先に商談を進めていても、契約直前でひっくり返されることもあるでしょう。

この他、事務手続きも全部1人で行わなければならないので、業務量が増えます。

大して儲からない仕事に時間を取られるのは大きなデメリットです。

1人で起業しても従業員を雇っていくことが必要

人を雇うのはリスクが伴います。

給与も発生しますし、気が合わなければ仕事中も気まずいでしょう。

しかし、不動産業は1人社長で仕事を続けていくより、従業員を雇って業務を分担していった方がおすすめです。

起業事態は1人で行っても大丈夫ですが、経営していく際はパートやアルバイトでもいいので人を雇った方がいいでしょう。

また、不動産業に関して相談できる人、人脈を繋いでいける人を作っておけば、メインの仕事は自分1人でも対処しやすくなります。

何でもかんでも1人で抱え込まないことも大切です。

不動産の会社設立で困ったことがあればご相談ください

今回は、不動産会社を設立する方法や必要な資格、資金などについて詳しく解説しました。

宅地建物取引士の資格を取得したので不動産会社を設立したい、節税のために所有している不動産の所有を法人に移したいなどの理由で不動産会社を設立したい方は多いと思います。

また、不動産会社に勤めた知識を活かして独立開業したいが、事務手続きなどの作業を外部に委託したい、もしくは分からないことは相談したいという方もいるでしょう。

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