個人事業主として事業を営んでいると「個人事業主から合同会社に切り替えるべきか」と悩むことがあるでしょう。
ただ、どのような違いがあり、どちらがお得か理解できていない人は多いはずです。
今回は、個人事業主や合同会社の特徴や違い、切り替える際の流れについて解説します。
目次
個人事業主とは
個人事業主とはどういう存在なのか基本的な点を理解しましょう。
個人で事業を営んでいるのが個人事業主
個人事業主とは「個人で事業を営んでいる人」のことです。
法人とは異なりあくまでも個人でビジネスをしています。
そのため、法人とは法的に扱いが異なっており、さまざまな点で違いがあります。
開廃業は届け出をするだけで費用はゼロ
個人事業主は法人と比較すると簡単に設立できます。
基本的には税務署に開業届を提出するだけでよいからです。
届け出を出すのは書類を提出するだけであり、手数料の支払いはありません。
法人とは税率が異なっている
個人事業主は税率が法人とは異なっています。
個人事業主の税率は最大60%(所得税率45%+住民税10%+事業税5%)に対して法人税は実効税率で30%程となります。
| 個人事業主 | 法人 | |
| 年間利益 | 5,000,000円 | 5,000,000円 |
| 個人+法人の税金合計 | 1.,046,000円 | 595,400円 |
法人の方が450,600円税金が安くなります。
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また、請求される税金の種類も違います。
法人の場合は法人税や法人住民税を請求されるのです。
一方、個人事業主については所得税や住民税が課税されます。
それぞれ税額を計算する期間や課税方法にも違いがあるため注意しましょう。
法人の場合は決算月を自由に設定することができるのですが、個人事業主の場合は課税対象期間が毎年の1月から12月と固定されています。
無限責任
法人は有限責任なのですが、個人事業主は無限責任とされています。
無限責任とは、事業の責任をすべて負うことです。
個人事業主の場合は事業のために借金をした場合、事業を廃止したときにすべての借金を個人で責任を持って返済しなければいけません。
合同会社とは
合同会社とは何なのか基本的な点を説明しましょう。
2006年に生まれた法人形態
2006年に会社法が改正されたときに生まれた新しい法人形態が合同会社です。
それまであった有限会社が廃止されて、代わりに合同会社が生まれました。
今では多くの合同会社が誕生していて、設立数は増加傾向にあります。
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経営者と出資者が同一
合同会社の大きな特徴は経営者と出資者が一致している点です。
最初に発起人として出資を行った人たちが、設立後は経営者として経営業務に携わります。
出資者が主体的に経営に参加していくのが特徴であり、株式会社よりも経営の自由度が高いとされているのです。
外部の意向に左右されずに自分たちでさまざまな決定ができます。
株式会社より設立費用が安い
合同会社は株式会社よりも設立費用が安くなっているのが特徴です。
登録免許税の最低金額が合同会社は6万円で株式会社は15万円と定められています。
また、株式会社は定款の認証を受ける必要があり、合同会社は不要です。
合同会社であれば、定款認証料の5万円を節約できます。
合計すると株式会社の設立費用は18.2万円~20.2万円、合同会社は6万円です。
単純に設立費用だけを考えると合同会社の方がお得といえます。
決算の公告義務がない
合同会社には決算の公告義務がないという特徴があります。
株式会社は決算の公告をする必要があり、会社の貸借対照表などを周知させることが求められているのです。
一方、合同会社には貸借対照表を公告する義務がありません。
個人事業主から合同会社へ切り替えるかどうかのポイント
個人事業主から合同会社へ切り替えるか判断する際は、これらの違いを理解することがポイントです。
合同会社への切り替えは設立費用がかかる
合同会社を設立するには6万円の設立費用がかかります。
また、合同会社を設立する際には資本金も用意しなければいけません。
資本金は最低1円から認められているのですが、会社の運転資金となるためある程度まとまった資金を用意するのが一般的です。
個人事業主の場合は資本金という概念がないため、ここは大きな違いと考えられます。
なお、合同会社の設立費用を節約する方法はあり、これを駆使すると費用負担を軽減することは可能です。
とはいえ、資本金としてまとまった金額が必要となることには変わりありません。
個人事業主 VS 法人の比較表を作成してみましたのでご確認下さい。
所得が高いと合同会社の方が税率が低い
個人事業主の税率は累進課税であり、課税される所得金額が増えるほど税率も高くなります。
所得が695万円から899,9万円の場合は税率が23%、900万円から1,799万9千円の場合は税率が33%です。
所得が4,000万円を超えると税率は45%になります。
一方、法人税も累進課税ですが、最大税率は23.4%です。
また、法人は所得が800万円の部分については法人税が15%となっています。
このように所得が高くなると個人事業主の方が税率が割高であり、合同会社に切り替えたほうが良いかもしれません。
また、合同会社など法人は税率が低いだけではなく経費として計上できる項目が多いのもメリットです。
個人事業主よりも経費にできる場面が増えるため、結果的にかなりの節税効果を期待できます。
合同会社の方が社会的な信用が高い
一般的に、個人事業主よりも合同会社の方が社会的に信用は高いと考えられています。
合同会社は法人格であるため、その時点で個人事業主よりも信用を得られやすいのです。
登録情報は公開されており、誰でもすぐに素性を確認できます。
対外的な側面に魅力を感じるならば、個人事業主から合同会社へ切り替えたほうが良いでしょう。\
また、事業で重大な過失があるとみなされると、代表者が損害賠償責任を負うケースもあるのです。
積極的に個人事業主から合同会社へ切り替えるべきケース
個人事業主よりも合同会社の方が良いケースについて紹介しましょう。
副業で勤め先に収入がバレないようにしたい
会社員の場合、個人事業主で収入を得てしまうと副業していることがばれてしまいかねません。
合同会社を設立して法人として売上を受け取る方法が考えられます。
個人として売上を受け取りたくないならば、合同会社への切り替えを検討すべきです。
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将来的に事業を拡大したい
事業を拡大する予定があるならば、合同会社へ切り替えたほうが良いでしょう。
多くの場合、個人事業主よりも合同会社の方が銀行から多額の融資を得やすいからです。
また、法人を対象とした助成金や補助金も日本にはたくさん存在しており、それらを活用すれば多くの資金を集められます。
なお、事業を売却したいと考えるならば、合同会社ではなく株式会社を視野に入れるべきです。
許認可が必要な事業を計画しているならば合同会社が良い
事業の中には許認可が必要なものがあり、個人事業主のままだと許認可を得るのが困難なものが含まれます。
そのような事業に参画したいならば、早々に合同会社へ切り替えた方が良いでしょう。
たとえば、建設業許可のように一定の財産的要件が定められている許認可があります。
多くの資金が求められる許認可の場合は、法人の方が資金調達の方法が多様なため有利です。
法人の方が実際に事業を始めたあとも信頼されやすくなるため、許認可事業を行う場合は合同会社を選んだ方が良いでしょう。
個人事業主から合同会社へ切り替えるための流れ
個人事業主として事業を運営している人が、合同会社(LLC)へ切り替える場合、法人登記が必要です。
続いては、個人事業主が法人化するための基本的な流れを解説します。
合同会社の基本事項を決定する
法人登記に向けて、いくつかの基本事項を決定しなければなりません。
合同会社を設立する際には、主に以下の内容を決定します。
- 会社名(商号)
- 事業目的
- 本店所在地
- 出資額(資本金)
- 業務執行社員(役員)
これらは登記時に必要となる情報です。
会社名や所在地については、事業のブランドや運営拠点に関わる重要な内容ですので、慎重に検討しましょう。
また、法人化に伴い、事務所を新たに準備するケースも多くあります。
必要書類の作成
基本事項を決定したら、次に法人登記に必要な書類を作成します。
特に重要なのが「定款」で、会社の組織や運営ルールをまとめた最も基本的な書類です。
なお、株式会社とは異なり、合同会社の定款は公証人による認証が不要です。
定款以外にも、設立登記申請書や出資金の払込証明書など、いくつかの書類が必要となります。
資本金の払い込み
資本金は、発起人(出資者)の個人口座などに一度払い込みます。
この資本金は、会社設立後の事業運営の元手(軍資金)となるお金です。
法務局への書類提出
資本金の払い込みが完了したら、あとは作成した書類を法務局に提出します。
その後、担当者による書類の確認や手続きが進められ、問題なければ正式に法人登記が完了するという流れです。
時期に左右されますが、2週間程度は必要になると考えておきましょう。
▶ 合同会社設立にかかる費用とは?費用を安く抑える方法もご紹介!
▶ 初めてでもわかる会社設立の流れ【完全版】
合同会社と個人事業主で悩んだときは専門家に相談しよう!
これから事業を始める際には合同会社と個人事業主で悩むケースは多いでしょう。
どちらにもメリットとデメリットがあります。
また、これから始める事業の種類によっても、最適な選択は異なってくるでしょう。
専門家にも相談した上でじっくりと考えることが大切です。
合同会社と個人事業主で悩んだときには経営サポートプラスアルファまでご相談ください。
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