法人登記をするとき実家でもいいか悩んでいる人もいるかもしれません。
結論から申しますと、実家でも法人登記は可能ですし、特にフリーランスで始める人にはおすすめです。
そこで今回は、法人登記を実家でするメリットとデメリットを紹介します。
これから事業を始めようと考えている人は、ぜひ参考にして下さい。
法人登記は実家でもできる
会社の本店所在地について制限は特に設けられていないので、実家を本店所在地として法人登記することはできます。
中には本店所在地がオフィス街などにないと契約しない考えもあるようですが、フリーランスとして法人成りする場合は気にする必要はないでしょう。
そのため、実家に住んでいる両親などが本店所在地として法人登記しても良ければという条件をクリアできれば、取引上で何か制限されることはないです。
とくに創業間もない頃はオフィスにお金を掛けるのも大変なので、わざわざ費用を出すことはありません。
また、すでに住所が決まっているので法人登記をすぐにできるメリットもあります。
実家で法人登記をするメリット
実家で法人登記するメリットは、以下3つがあります。
- 住所が変わる可能性が小さい
- オフィスをレンタルする必要が不要
- 外部から登記に関して規制が入ることが少ない
メリットをしっかり抑えて実家を法人登記の検討をしてみてはいかがでしょうか。
それぞれ詳しくメリットを見てみましょう。
住所が変わる可能性が小さい
実家は頻繁に引っ越しをする可能性が低いため、法人登記しても住所が変わりにくいメリットがあります。
レンタルオフィスの場合、どうしても引っ越さざるを得なくなり、登記変更や顧客への告知もしなければならず手間が掛かりますが、実家ならばその心配はありません。
しかし、事業が大きくなったり、従業員が増えていった場合はレンタルオフィスの利用を検討してもいいでしょう。
法人登記の変更は多少手間はかかりますができないことはないので、初期投資を抑えるために実家から事業を始めても問題ありません。
オフィスをレンタルする費用が不要
実家を法人登記すればオフィスをレンタルする費用が不要で、とくにフリーランスとして事業を始めた人にとって初期投資を節約できます。
また、光熱費の一部を経費計上できるのも魅力的です。
一等地にオフィスをレンタルしても家賃が高く、その後の資金繰りがうまくいかなくては意味がありません。
もし実家を出たくなったとしても、その後変更は可能なので特に事業を始めたては実家の住所を法人登記するのも1つの手段でしょう。
外部から登記に関して規制が入ることが少ない
持ち家の場合、周囲の人から法人登記について規制が入ることは少ないです。
なぜなら、自分が所有する建物のため自由に使用できるため、基本的には問題になることはないからです。
しかし、独身用の賃貸マンションやシェアオフィスの場合は法人登記ができなかったり、追加費用がかかったりすることもあるので注意しましょう。
契約書や管理規約に居住専用や事務所としての利用不可などの制限があると契約違反となるため、事前に確認してください。
大家にとっては事業用か居住用かは大きな違いで、もし事業用の用途で貸していた家賃の消費税を申告していないと脱税になってしまうリスクもあるため、勝手に賃貸物件を法人登記してしまうと大きなトラブルになります。
実家で法人登記をするデメリット
実家で法人登記をする場合のデメリットは、次の5点です。
- 実家に住んでいないと書類のやりとりが面倒
- 登記場所と営業場所が離れていると融資を受けにくいことがある
- 信用を得られないことがある
- 住宅ローン減税の対象でなくなることがある
- 登記された住所は誰でも閲覧できる
実家を法人登記すると初期投資を抑えられるなどのメリットはありますが、デメリットもあるので理解した上で検討しましょう。
ここでは実家で法人登記した場合のデメリットを詳しく解説します。
実家に住んでいないと書類のやりとりが面倒
実家で法人登記すると法務局などからの書類は実家に郵送されます。
そのため、実家に住んでいないとわざわざ取りに行かなくてはならず、場所が遠ければ非常に面倒です。
また、実家に住んでいる両親などに書類管理を依頼しなければならず、「無くしてしまった」「受け取ったかわからない」などのトラブルも考えられます。
全てメールなどの電子データでやり取りをできないものや書類は多々あるので、書類管理のコストやタイムラグに気を配らなくてはなりません。
登記場所と営業場所が離れていると融資を受けにくいことがある
登記場所と営業場所が離れていると、銀行側が嫌がり融資を受けにくいことがあります。
距離があると何かあった時に来てもらいづらい、または銀行からも訪問しづらいため敬遠されるためです。
そのため、なるべくなら登記場所と営業場所が同じ方が融資も受けやすいと考えておきましょう。
信用を得られないことがある
都心の一等地にオフィスを構えている場合、その住所だけで信頼を得られる可能性がありますが、田舎の実家で登記をしていると信用されないケースもあります。
また、実家だと従業員がいないか家族経営であるかどうかがわかりやすいので、事業規模や資金面で従業員を多数抱えている会社に比べると低く見られるでしょう。
信用力を低く見られると取引にも悪影響が出る可能性があります。
住宅ローン減税の対象でなくなることがある
実家を法人登記すると、住宅ローン減税の対象でなくなる場合もあります。
住宅ローン減税は、居住用の土地・建物だけを対象とした制度のことで、事業用の土地や建物については、住宅ローン減税の対象外だからです。
住宅ローンの契約には、「居住用でなくなった場合には期限の利益を喪失する」と記載されていることが多いため確認するといいでしょう。
なお、登記先や開業先住所として利用すると、事業用に転用されたと判断されて契約違反になります。
登記された住所は誰でも閲覧できる
現在、会社の登記簿上の住所である本店所在地は、法人番号公表サイトにて確認することができるため、誰でも住所を閲覧できます。
プライバシー上で大きな問題となるため、実家で法人登記したときにおいて一番のデメリットといえるかもしれません。
そのため、実家の住所が世間に公開されていることと同じなので、何らかのトラブルが起きる可能性があるのでその覚悟が必要です。
いきなり面識のない人が実家を訪問することも否定できないため、自分が住んでいない場合は両親などに嫌な思いをさせることもあるかもしれません。
実家を法人登記すると許認可を受けられない?
業種によっては実家を法人登記したくても行政から認められないこともあるので覚えておきましょう。
居住部分と明確に区分したスペースの確保が必要、玄関に商号を表示しなければならないなど、業種によっては営業許可を得るための基準が設けられているケースもあるからです。
そのため、登記前に許認可条件を確認し、実家での法人登記に問題ないかを確認しておくといいでしょう。
実家で法人登記をするのがおすすめの人
実家で法人登記をするのがおすすめの人は以下になります。
- 一人で事業を行っている人
- 自分以外の人が実家に居住していない人
- 実家で事業を展開している人
理由をそれぞれ見てみましょう。
一人で事業を行っている人
一人で事業を行なっているならば、実家で法人登記をするといいでしょう。
事業を始める時、レンタルオフィスを借りる必要なくすぐに法人登記できますし、オフィスの賃貸料を払う必要もありません。
初期費用を大きく節約できるだけでなく、短時間で事業を始められるメリットがあるからです。
また、1人であればスペースもそこまで必要としないし、仮に自分が住んでいなくても両親などに協力を得られれば、郵便物管理の心配もないでしょう。
営業場所と実家が離れていると時間が掛かりますが、両親に会いに行く理由もできるためいいのではないでしょうか。
そのため、これから事業を1人で始める人には、実家で法人登記をおすすめします。
自分以外の人が実家に居住していない人
自分以外の人が実家に居住していなければ、迷わず法人登記をすべきです。
特に持ち家であれば自由にできるため、大家などの存在を気にする必要もありません。
郵便物の受け取りも問題ないですし、すぐに事業を始められるメリットは大きいです。
また、光熱費の一部を経費計上できるため節約もできます。
ただし、近隣住民に対してのケアは必要で、外部から多くの人が訪問するケースなどは気にするといいでしょう。
また、事業によってはスペース確保ができず認可されない場合もあるため、法人登記の条件を確認した上で進めて下さい。
実家で事業を展開している人
すでに実家で事業を展開しているならば、そのまま法人登記するといいでしょう。
事業を実家で行っているならば実績もあるため、安心して進められるメリットがあります。
ただし、同一住所に同一商号(会社名)は認められないので、違う屋号や社名にしなければなりません。
また似通った社名だとトラブルが起きる可能性もあるため、なるべく違いのわかるものにするといいでしょう。
まとめ
オフィスレンタル費用を節約でき、住所が決まっているのですぐに事業を始められるメリットだけでなく、光熱費の一部を経費計上できる点もお得です。
しかし、登記簿で実家の住所が公開されるプライバシーの問題や、もし実家に住んでいないと郵送物の管理面で手間が掛かる点は理解しておきましょう。
また、当然ですが実家に両親などが住んでいる場合は理解してもらう必要があります。
家族内の話なのでそこまで大きな問題にならないでしょうが、必ず確認してから法人登記をして下さい。
これから事業を始める人にとって実家で法人登記はおすすめなので、ぜひ参考にして下さい。
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