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【税理士が解説】FXの会社設立をするには?法人化するメリットも詳しく紹介

FX(外国為替証拠金取引)を個人で行っている方が、一定の収益を上げるようになると、法人化を検討するケースが増えています。法人化には多くのメリットがある一方で、注意すべき点やデメリットも存在します。

この記事では、FXの法人化について、必要な手続きや費用、さらにはメリットとデメリットについて詳しく解説します。

FXの法人化のメリット

1. 税制上のメリット

個人でのFX取引の場合、累進課税が適用されるため、所得が増えると税率も上昇します。しかし、法人化すると、法人税が適用され、税率が一定になります。これにより、高所得者にとっては節税効果が大きくなります。また、法人化することで、役員報酬や経費として計上できる項目が増えるため、さらに節税の幅が広がります。

2. 損益通算と繰越控除の活用

法人化することで、損益通算や繰越控除が可能になります。例えば、他の事業での損失をFXの利益と相殺することができるため、税負担を軽減することが可能です。また、赤字が出た場合でも、その赤字を将来の利益と相殺できる繰越控除が最大10年間適用されます。

3. 社会的信用の向上

法人化することで、取引先や金融機関からの信用度が向上します。個人事業主に比べ、法人としての取引は信頼性が高く、ビジネスの拡大にもつながります。特に、融資や取引条件の改善など、法人であることが有利に働くケースが増えます。

4. 資金調達の可能性

法人化することで、金融機関からの融資が受けやすくなり、事業拡大のための資金調達が容易になります。個人事業主としての資金調達には限界がありますが、法人として活動することで、より大きな資金を集めることが可能になります。

FXの法人化のデメリット

1. 設立と運営にかかるコスト

法人を設立するためには、登記費用や登録免許税など、初期費用がかかります。また、法人としての運営には、決算申告や税務申告などの事務処理が必要となり、税理士などの専門家への依頼費用も発生します。これにより、個人での取引に比べ、ランニングコストが増加する点には注意が必要です。

2. 法的責任の増加

法人化すると、代表者として法的責任を負うことになります。特に、税務や労務に関する法律を遵守する義務が生じ、これに違反するとペナルティが課されるリスクがあります。また、法人としての事業が失敗した場合、その責任を負うことになります。

3. 会計処理の複雑化

法人化により、会計処理が複雑になります。法人税申告や決算処理、各種税務申告など、専門知識が求められる業務が増えます。これに伴い、税理士や会計士のサポートが必要となり、その費用も運営コストとして考慮する必要があります。

4. 法人住民税の負担

法人化した場合、たとえ赤字であっても法人住民税(通常7万円程度)の支払いが求められます。個人事業主であれば赤字の場合、所得税や住民税はかかりませんが、法人の場合はこのような税金が発生するため、運営コストとして考慮する必要があります。

FXの法人化を検討する際のポイント

1. 収益の規模を見極める

法人化を検討する際には、現在の収益規模をしっかりと見極めることが重要です。一定の収益が見込める場合、法人化による税制上のメリットが大きくなりますが、収益がまだ少ない場合は、法人化によるコストがデメリットとなる可能性があります。

2. 専門家への相談

法人化を検討する段階で、税理士や弁護士などの専門家に相談することが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、最適なタイミングで法人化を進めることで、スムーズな手続きと効果的な節税が期待できます。

3. 将来の事業展開を考慮

法人化は、単なる節税対策ではなく、将来の事業展開を見据えた戦略として考えるべきです。法人化することで、事業拡大や新たなビジネスの展開が可能になります。そのため、長期的な視点での計画を立て、法人化のタイミングを慎重に決定することが重要です。

FX投資を法人化するためのステップ

では、FX投資を主な業務とした法人を設立するには、どのような手順を踏んでいけばいいのでしょうか?

この項では、会社設立の手順を簡単に説明していきます。

法人化の形式を決める

法人化には、いくつかの形式があります。

最も知名度があるのは株式会社ですが、このほかに合同会社・合資会社・合名会社があります。

FXを法人化する際、選択肢は株式会社か合同会社です。なお、合同会社は後から株式化することができます。

商号を決める

商号とは、会社の名前のことです。

カタカナ・ひらがな・アルファベット・数字・各種記号が使えます。合同会社、株式会社は必ず商号の中に入れなければなりません。

ただし、××株式会社合同会社のように、会社の形式がわからなくなるような名前はつけられないので注意しましょう。また、商号は会社の顔であり、あらゆるところで使われます。

ふざけた名前にしたり知名度の高い会社名とよく似たものをつけたりすると、余計なトラブルの原因になることもあります。

よく考えてつけましょう。

営業拠点を決める

営業拠点とは会社の住所のことです。

FX投資を主軸としている場合、どのようなところでも開業は可能です。

自宅でもいいですし、貸事務所をレンタルしてもいいでしょう。

ただし、営業拠点には税務署をはじめとする自治体から、納税通知書など重要書類が届きます。ですから、コワーキングスペースなど郵便物が届かない場所を営業拠点にはできません。

出資者と出資額を決める

出資者とは、会社を設立する際に出資金を出してくれる人、出資額の合計が会社の資本金です。

会社の資本金は多いほど信用が高まりますが、FX投資を主軸とする場合は事業の拡大をすることは当分ないので、それほど気にすることはありません。また、資本金の額以上のFX取引も可能です。

出資者が自分だけ、出資額も財産の一部という場合は何の問題もありません。

ただし、複数の出資者がいて株式会社の場合は、出資者に自社株を発行することになります。このとき、自分の所有している株式が50%未満だとほかの出資者が協力した場合は代表取締役を解任できる権限をもつので、気をつけましょう。

役員を決める

役員は、出資者が勤めるのが一般的です。しかし、株式会社の場合は出資したが役員にはならないことも、出資者ではないが役員になることもできます。

合同会社の場合は、出資者が役員を務めます。

代表者を決める

代表者とは、社長のことです。

自分1人で会社を起こす場合は自分が役員兼社長です。役員が複数いる場合は、その中から選びます。

役員以外の人を代表者にすることはできません。呼び名は、株式会社の場合は「代表取締役」、合同会社の場合は「代表社員」となります。

決算期を決める

決算期とは会社の税金の額を決める時期のことです。個人の場合は1月~12月までの売り上げを2月15日~3月15日までの確定申告で報告し、所得税や住民税などの税金を決めます。

会社の場合はどの時期を決算期と定めてもかまいません。ただし、決算期を定めると、その2か月後が税金の申告期限と納付期限になります。

つまり、お金が必要になってきますから、キャッシュが用意できる時期に定めることが大切です。

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記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。