FXは、今や株式と並んでポピュラーな投資です。
副業として行いながら一定の利益を上げている方も多いことでしょう。
投資が順調だと「もっと多くの資金を流用したい」と考える方もいると思います。
資金に余裕があり、大きな取引をやっていきたいと考えている方におすすめなのが、FXの会社設立です。
今回は、FXの会社を設立するメリット・デメリットから設立方法まで詳しく解説します。
FX投資を本腰入れてやっていきたいという方は、ぜひ読んでみてください。
目次
FX投資を会社でやったほうがいい理由
はじめに、FX投資を会社で行う主なメリットを紹介します。
会社を設立するのは手間がかかりますが、その手間をかける価値があるメリットも多いのです。
税金はそこまで変わらない
FXで所得を得た出た場合所得分に分離課税が課せられます。
額は以下の通りです。
l 個人の場合:分離課税15.315%・住民税5% (合計20%)
l 法人の場合:400万円以下・21.42% 800万円以下・23.20% 800万円以上・36.05%
一見すると法人の方が税金は高いように見えます。
しかし、所得が800万円までならば違いは1~3%程度です。
また、税金が課せられるのは利益ではなく所得です。
FX投資は、個人でも法人でも「必要である」と判断されたものは経費として計上できます。
個人の場合は通信費や電気代、FX投資に必要な資料代ぐらいですが、法人の場合はそれらに加えて、法人としての活動に必要な費用は経費として計上が可能です。
ですから、個人より経費の範囲が広く、控除額も大きくなります。
そのため、数%程度ならば相殺してしまえるでしょう。
高いレバレッジをかけられる
個人でFXを行う場合、1口座にかけられるレバレッジは高くても25倍です。
利益がほぼ確定している取引の場合、もっとレバレッジできたらと考える人も多いことでしょう。
一方法人口座の場合は50~70倍、FX会社のよっては100倍のレバレッジが可能です。
これを利用すれば、手元に資金が少なくても大きな利益を上げられるでしょう。
ただし、レバレッジはハイリスクでもあります。
高レバレッジは市場をよく見てつかいましょう。
その一方で、安定した利益を得られている場合は、より純利益を増やすチャンスがあります。
損益通算ができる
FX投資を法人で行うと、損益通算ができます。
損益通算とは、複数の商売またがった損得を計上できることです。
投資を行っている方は、リスク分散のために投資場所を複数に分けていることは珍しくありません。
FXと株式投資、FXと投資信託といったケ-スも多いことでしょう。
個人の場合、損益を通算することはできません。
たとえば、FXで300万円の所得を出し、株式投資で200万円の損失を出しても、FXは300万円分の税金がかかります。
株式投資の損失は考慮されません。
しかし、法人の場合は300万円の所得から損失分の200万を引くことが可能であり、税金は100万円分にのみ課せられます。
これが、損益通算です。
つまり、複数の投資をしている場合、法人化したほうが節税しやすいのです。
特に、FX投資は波ができやすい投資方法なので、利益が出ているときと損が出るときの差が激しいこともあります。
損を大きく出したとき、損益通算ができれば、トータルで見たら損をしているのに、確定利益が出ているので税金を払わねばならない、ということはなくなるのです。
経費算入余地が広い
前述したように法人の方が経費の範囲が広がります。
個人の場合はFX投資に必要な分しか経費と認められません。
たとえば、個人が利用する自動車などは控除の対象外です。
しかし、法人化した場合、「社用車」を購入すれば経費になります。
これは、会社の維持のために自動車が必要と判断されるためです。
会社の規模は問われません。
たとえば、社長1人だけの会社でも、法人名義で車を購入すれば、社用車となって経費として計上が可能です。
また、法人化すると家族を「役員」として雇用することができます。
役員に給与を払うという名目でお金の流れを作っておけば、これもまた経費計上が可能です。
FXで利益が出ても、経費が多ければ所得は少なくなります。
所得が少なくなれば、税金も安くなるので節税になることでしょう。
る程度安定して利益が出ている状態ならば、法人化した方が税金が安くでき、メリットが大きいです。
繰越欠損の繰り越し期間が長い
繰越欠損とは、収益から損失を引いた額がマイナスになった時、その損失を翌年まで繰り越すことができる仕組みです。
青色申告を行っていれば個人でも可能ですが、その年数は3年までです。
たとえば、初年度に500万円の損失を出し、翌年度に50万の利益を出した場合、繰越欠損をすれば、500万―50万で450万の損失なので、税金は課せられません。
しかし、個人の場合は3年が繰越の限度なので、3年間トータルで500万円を超える所得を得ない限り、残りの金額をマイナスとして計上できなくなります。
一方、法人化すると繰越欠損ができる年数が9年に延びます。
FX投資をしていると、「利益は出ているが、含み損も多い」というケースも珍しくありません。
9年間繰越損失ができれば、純粋な利益を上げるまで税金が減額、もしくは0になるので節税になります。
計上方法が異なる
法人と個人では有価証券を保有している場合の計上方法が異なります。
個人の場合は、「確定利益」に対して税金が課せられ、法人の場合は「評価損益」で計上するのです。
FX投資を行っている方は、複数の銘柄を売買している方が多いことでしょう。
そのため、確定利益はあるが含み損も持っているという状態が珍しくありません。
個人の場合、含み損がいくらあろうとも、確定利益があればそこに税金がかけられます。
そのため、含み損がある銘柄を売り払い、トータルの利益をマイナスにして税金を下げるか、銘柄が上がることを期待して、含み損のある銘柄を保持しながら確定利益分の税金を払うのか、決めなければなりません。
これに頭を悩ます方も多いはずです。
一方、法人の場合は「評価損益」という方法で計上するので、含み損も「損失」に含めることができます。
つまり、含み損が多ければ確定利益が出ていても、税金が少なくなるか0円になるのです。
デイトレード中心ならば、含み損はそれほど気にならないかもしれません。
しかし、FX投資と長期の株式投資を併用している場合などは、「評価損益」が可能な法人の方が節税になるでしょう。
ただし、この方法だと含み益を出しているときは税金が高くなります。
それでも、選択方法が豊富ならば、個人のように「損切りとしてお金を失うか」「銘柄が上がることにかけて税金を払うか」の2択で悩まずに済むでしょう。
長期投資とデイトレードを組み合わせて投資している場合ほど、メリットは大きくなります。
設立及び運営経費が少なくて済む
会社を設立するというと、何やら大事のように思えます。
オフィスを借り、社員を揃えなければならないというイメージを持っている方も多いことでしょう。
しかし、会社のスタイルに決まりはありません。
FXや株式などの投資を中心に行っていくならば、自宅をオフィスにすれば十分です。
また、社員も必要ありません。
必要な機器も揃っているはずですから、資本金も少なくて済みます。
必要なのは、会社を設立する登録免許税と司法書士などに支払う登録代行の費用、そして、税理士に毎月支払う報酬くらいです。
会社設立時に10~15万、毎月の必要経費に2~3万円程度が相場となります。
これらを加えても、法人化した際に節約できる税金の額が個人で支払う税金の額よりずっと大きいという場合は、法人化するメリットは大きいでしょう。
特に、投資は最初の頃は損が多くても慣れてくれば大きな利益を上げやすいものです。
特に、FXは、時流によって大きな利益を得る可能性が高い投資です。
大きな利益を得れば、それだけ税金も高くなります。
なお、利益が出てから慌てて法人化しても、利益分は「個人」として計上しなければなりません。
ですから、利益が出る予感がしたら、その時点で法人化しておくのがおすすめです。
FX投資を長年続けてきて1年のトータル利益が多くなり、税金の支払いが負担になってきたら法人化を考えましょう。
所得は同じでも、節税ができれば、支払う税金の額が少なくなります。
FX投資を法人化するデメリット
しかし、FX投資を法人化するとデメリットもあります。
法人化を考えるならば、メリットだけでなくデメリットも把握しておくことが大切です。
ここでは、FX投資を法人化するデメリットを解説しましょう。
会社の設立費、維持費がかかる
前項でも少し説明しましたが、会社を設立する際には費用がかかります。
会社の形式には合同会社と株式会社がありますが、合同会社を設立する場合は60,600円、株式会社を設立する場合は、202,000円が設立時に必要です。
FX投資を法人化する場合は、無理に株式会社にする必要はありません。
合同会社で大丈夫です。
しかし、無料で会社を設立することはできません。
また、会社を設立したら維持費もかかります。
一番大きいのが法人3税と言われる法人税・法人住民税・法人事業税の支払いです。
法人税は、利益や損失で0円になるものもありますが、損益にかかわらずかかる税金もあります。
これが年間最低で7万円前後かかります。
このほか、家族を役員にしている場合は、社会保険料も払わなければなりません。
さらに、決算書作成及び確定申告など、税に関する書類作成は税理士に依頼する必要があり、それに対する報酬も必要です。
法人の場合、決算書を作成し、確定申告を行うに法人税の詳しい知識が不可欠になります。
個人でもできますが、ほとんどの場合は税理士に依頼することになるでしょう。
法人の資金を自由に使うことができない
FX投資を法人化した場合、「法人の資金」として法人口座に入金した資金は個人が自由に使うことはできません。
法人の口座に入金したお金はその瞬間に「法人のもの」です。
ですから、FX投資で大きな利益が出たとしても、個人で取り引きしてきたときのようにそのお金をすぐに使うのは難しくなります。
「従業員は誰もいないから、いいや」といいかげんな管理をしていると、税務署から指摘を受けることもあるので気をつけましょう。
法人から個人へ利益の還元を行いたい場合は、給与・配当・賞与などの手続きをふむ必要があります。
法人の解体作業が発生する
FX投資で利益を上げることができず、会社を維持することができなくなった場合は解体作業が必要です。
「解体費用がかかるから」と放っておくことはできません。
利益がなく活動していない会社でも税金や社会保険料がかかってきます。
法人を解体するには、決算をして必要な税金を支払い、税務署に届け出たうえで法人登記の抹消や法人口座の解約が必要です。
自分でもできますが、税理士や行政書士に有料で代行してもらうことも可能です。
つまり、解体するのも費用がかかりますから、儲からなかったからといってすぐに辞めることはできません。
FX投資を長時間行える覚悟を持ちましょう。
含み益にも税金がかかる
含み益とは、含み損の逆で買った時よりも値が上がっている銘柄に発生するものです。
たとえば、100円で買った銘柄が現在300円まで上がった場合、200円の含み益が発生したことになります。
この含み益は銘柄を売却しない限り利益にはなりません。
法人化したら、この含み益にも税金がかかります。
ですから、決算時に含み益があり、それに基づいて計上した税金を払った直後、銘柄が下落したら損をしたことになります。
含み益が出てもすぐに売却しない方も多いですが、法人の場合は含み益がたくさん出るほど税金が高くなり、売却しないと税金が払えない、というケースも出てくるでしょう。
そこを計算して売買を行う必要も出てきます。
税務調整が入る可能性がある
個人に比べると、法人は税務調査が入る可能性が高まります。
やましいことがなければ税務調査など怖くありませんが、帳簿の不備などがあるとそこをつっこまれることもあります。
また、確定申告の関連書類をすべて取っておかないと面倒なことになるでしょう。
顧問税理士がいれば対応してくれますが、別途料金がかかります。
また、帳簿の付け方があやふやだったり申告に不審な点があったりすれば、監査が厳しくなり面倒です。
FX投資を法人化するためのステップ
では、FX投資を主な業務とした法人を設立するには、どのような手順を踏んでいけばいいのでしょうか?
この項では、会社設立の手順を簡単に説明していきます。
法人化の形式を決める
法人化には、いくつかの形式があります。
最も知名度があるのは株式会社ですが、このほかに合同会社・合資会社・合名会社があります。
FXを法人化する際、選択肢は株式会社か合同会社です。
合資会社、合名会社は設立に条件があり、1人では設立できません。
合同会社と株式会社を比べた場合、合同会社の方が設立は簡単で費用も安いというメリットがあります。
一方、株式会社はほかの会社と取引をする際に信用度が強く、事業を展開しやすいのがメリットです。
また、FX会社に法人として取引をする際、株式会社の方が短時間で審査がすみます。
しかし、合同会社では一切取引に応じてくれないということはありません。
その当たりをよく考えて、合同会社と株式会社、どちらを設立するか決めましょう。
なお、合同会社は後から株式化することができます。
商号を決める
商号とは、会社の名前のことです。
カタカナ・ひらがな・アルファベット・数字・各種記号が使えます。
合同会社、株式会社は必ず商号の中に入れなければなりません。
ただし、××株式会社合同会社のように、会社の形式がわからなくなるような名前はつけられないので注意しましょう。
また、商号は会社の顔であり、あらゆるところで使われます。
ふざけた名前にしたり知名度の高い会社名とよく似たものをつけたりすると、余計なトラブルの原因になることもあります。
よく考えてつけましょう。
営業拠点を決める
営業拠点とは会社の住所のことです。
FX投資を主軸としている場合、どのようなところでも開業は可能です。
自宅でもいいですし、貸事務所をレンタルしてもいいでしょう。
ただし、営業拠点には税務署をはじめとする自治体から、納税通知書など重要書類が届きます。
ですから、コワーキングスペースなど郵便物が届かない場所を営業拠点にはできません。
また、賃貸物件の中には、事務所として使用を禁じられているところがあります。
社長1人だけで業務内容は個人でやっているときと変わらなくても、法人化したら契約違反になることもあるので、気をつけましょう。
出資者と出資額を決める
出資者とは、会社を設立する際に出資金を出してくれる人、出資額の合計が会社の資本金です。
会社の資本金は多いほど信用が高まりますが、FX投資を主軸とする場合は事業の拡大をすることは当分ないので、それほど気にすることはありません。
また、資本金の額以上のFX取引も可能です。
出資者が自分だけ、出資額も財産の一部という場合は何の問題もありません。
ただし、複数の出資者がいて株式会社の場合は、出資者に自社株を発行することになります。
このとき、自分の所有している株式が50%未満だとほかの出資者が協力した場合は代表取締役を解任できる権限をもつので、気をつけましょう。
このほか、会社の資本金が1千万円を越えると、初年度から消費税が課せられます。
資本金が多すぎても税の優遇を受けられません。
注意してください。
役員を決める
役員は、出資者が勤めるのが一般的です。
しかし、株式会社の場合は出資したが役員にはならないことも、出資者ではないが役員になることもできます。
合同会社の場合は、出資者が役員を務めます。
合同会社の場合は出資者を社員と呼びますが、これは従業員ではありません。
役員の意味です。
代表者を決める
代表者とは、社長のことです。
自分1人で会社を起こす場合は自分が役員兼社長です。
役員が複数いる場合は、その中から選びます。
役員以外の人を代表者にすることはできません。
呼び名は、株式会社の場合は「代表取締役」、合同会社の場合は「代表社員」となります。
決算期を決める
決算期とは会社の税金の額を決める時期のことです。
個人の場合は1月~12月までの売り上げを2月15日~3月15日までの確定申告で報告し、所得税や住民税などの税金を決めます。
会社の場合はどの時期を決算期と定めてもかまいません。
ただし、決算期を定めると、その2か月後が税金の申告期限と納付期限になります。
つまり、お金が必要になってきますから、キャッシュが用意できる時期に定めることが大切です。
また、会社の決算処理は税理士に依頼することが一般的ですので、決算時期を決める際は顧問税理士に相談しましょう。
税理士も複数の会社から依頼を受けているので、税理士が1人しかいない事務所だと、決算期が複数重なる時期は対応が大変です。
顧問税理士から「この時期に決算をしてくれると助かります」と提案を受けるかもしれません。
FXで法人化する際の注意点
ここでは、FX投資を法人化する際に気をつけるべき点を解説します。
どのような注意点があるのでしょうか?
審査次第で口座を開けない場合もある
次の項で詳しく解説しますが、法人口座を開設する際はFX会社からの審査があります。
審査に落ちると口座を開くことは出来ません。
近年、犯罪に使われることへの防止から、審査はずいぶんと厳しくなりました。
特に、FX投資を主な業務とする会社は脱税事件も多くあったことから、審査はより厳しめです。
口座が開けないリスクもあることを承知しておきましょう。
口座が開けないとFX取引ができません。
もし、個人で使っているFX会社で法人口座を開きたい場合、担当者に相談してみてもいいでしょう。
法人化した場合に口座を開く注意点なども教えてもらえます。
副業禁止の場合はできない
現在は副業を解禁する会社も増えていますが、教職をはじめとする公務員は副業が禁止されています。
また、会社によっては副業の範囲が限られていることもあり、会社を設立して代表者になるのは禁止ということもあるでしょう。
そのような場合は、会社を辞めない限りFX投資を法人化することはできません。
なお、公務員は公務員試験を受けていなくても、国立病院など公の施設に勤めていると公務員扱いになることもあります。
会社を設立する前に、社則をよく確認しましょう。
法人化してしまってから、「会社が副業禁止だった」ということで、会社が運営できなくなると大変です。
また、会社から社則を破ったことを理由に解雇される可能性もあります。
法人の資本金
現在は、資本金1円からでも会社を起こすことができます。
しかし、資本金は会社の体力です。
資本金が0に近ければ信用がありません。
また、資本金にしてしまったお金は個人が勝手に使うことができないので、注意が必要です。
「いざとなったら、FX投資に回していたお金を資本金にしよう」とすると、自由に動かせなくなるので税理士などとよく相談して決めてください。
また、資本金は出所がはっきりしているお金でなくてはなりません。
「土地や車などを処分してお金を作った」という場合は、売買証明書などが必要です。
「タンス貯金を使った、親からもらった」という場合は資本金と認められないこともあるので、注意してください。
他の業務にも使える会社名にする
会社名を「××FX」「××FX投資」などとすると、業務が限られてしまいます。
商号変更は可能ですが手間と費用がかかります。
FX投資だけでなくほかの投資や業務もしていくことを考えて、会社名を作りましょう。
また、会社名は会社の顔です。
「取引はどこともしないので安心」とばかりに、ふざけた名前にすると後悔します。
このほか、社印にも会社名が入りますので、ハンコにしやすい名前にすると社印が作りやすいでしょう。
口座開設の審査基準
ここでは、口座開設の審査基準に関して解説します。
審査基準はどの程度なのでしょうか?
FX業者の口座開設は難しい
法人名義でFX業者に口座開設を申し込むと、個人よりずっと厳しい審査があります。
法人口座を開設すると、個人よりずっと高いレバレッジをかけることができる分、FX会社もリスクを抱えるためです。
そのため、個人で利用していたFX会社に法人として申し込んだが審査の結果落とされてしまったということもあります。
ですから、1つのFX会社にこだわらず、いくつかのFX会社に口座開設を申し込んでみましょう。
法人の方が口座開設をしやすい会社もあります。
また、近年は法人口座を犯罪に利用されないために、法人口座を開設するときに、代表者だけでなく役員全員の個人情報を求めるところもあります。
FX業者の法人口座の開設が断られる理由
複数のFX業者に法人口座の開設が断られた場合、以下のような理由が考えられます。
登記上の住所で本当に事業をおこなっていない
登記上の住所で事業を行っていない場合、ダミー会社ではないかと疑われて口座開設ができないこともあります。
たとえば、賃貸している物件が事務所として使用できないので、友人や親戚の家を登記簿上の事務所にしたという場合は事業を行っていないとして、却下されることがあるでしょう。
また、副業としてFX投資を法人化した場合、個人口座の勤務先と法人口座の勤務先が違うことを理由に解説を断られることもあります。
会社が副業を禁止していない場合は、法人化したら個人口座の勤め先も法人にしておきましょう。
そうすれば、実際に勤務を行っていると認めてもらえます。
事業目的が曖昧または不適切
会社を設立する際、「定款」を作成します。
この定款には必ず事業目的を記さなければなりません。
この事業目的がFX投資を法人で行うには不適当、もしくは曖昧と判断された場合、口座開設を断られることがあります。
事業目的に記載ルールはありませんが、第三者に信用を審査されることを意識して記載することが大切です。
例文を参考にしてもいいですし、自分ではうまく作れないという場合は、司法書士や行政書士などに作成を代行してもらいましょう。
資本金が少なすぎる
現在は、資本金が1円でも会社を設立することができます。
FX投資を目的とした法人の場合、事業を拡大することが少ないので、少額の資本金でも特に問題にはなりにくいです。
しかし、あまり少ないと高額なレバレッジを申し込まれたときのリスクが高くなります。
そのため、ある程度の資金を資本金として準備しておくことが大切です。
法人口座の審査に通過するためのポイント
法人口座の審査にスムーズに審査するためには、以下のポイントに注意しましょう。
ぜひ、参考にしてください。
十分な資本金が確保されている
資本金は企業の体力です。
体力があることにこしたことはありません。
50倍~70倍のレバレッジを受けたい場合は、資本金もそれなりの額を用意しておきましょう。
目安が分からない場合は、すでに起業している法人の資本金を調べてみるのもおすすめです。
また、税理士に相談してみてもいいでしょう。
投資歴が長い
FXは投資の中でもハイリスクです。
特にレバレッジを利用する場合一瞬で自己資金の何倍もの負債を背負う恐れもあります。
ですから、FXの投資歴が浅いと十分な資本金を持っていても、法人口座が開設できないこともあるでしょう。
FXの投資歴は短いけれど法人化したい場合は、投資歴が長い方を役員や代表取締役に据えるなどの対処方法が必要です。
法人口座を開設するときのポイント
では、法人口座をスムーズに開設したい場合は、どのような点に注意したらいいでしょうか?ここでは、そのポイントを解説します。
口座開設にこだわり過ぎて、せっかく口座開設できたのに使い勝手が悪いということにならないようにすることが大切です。
メガバンクにこだわらない
メガバンクは知名度があり、口座開設の希望者もたくさんいます。
また、口座数が多いので必然的にリスクを抱える可能性も高くなるでしょう。
ですから、メガバンクほど審査は厳しい傾向にあります。
個人ではスムーズに開設できたが、法人では落とされたというケースも珍しくありません。
そこで、おすすめなのが中小のバンクです。
中小のバンクは顧客集めに力を入れているところも多く、審査が甘い傾向があります。
ただし、中小のバンクはサービスがメガバンクに比べて及ばないところもあります。
口座を開設できたけれど、サービスが悪く使い物にならないということにならないように、下調べはしっかりとしましょう。
また、あまり会社所在地より遠い場所にあるバンクに登録してしまうと、手続きが大変になることがあります。
いざとなったらスムーズに足を運べる場所に口座を開設しましょう。
リアルタイムの入金に対応しているか
FXの市場は24時間動き続けています。
場が動くのはイギリスとニューヨークの市場が重なって動く23時過ぎです。
ですから、15時までしか入金不可、それ以降は明日という会社では。
スムーズな取引は難しいでしょう。
FX口座を開設する場合、そのバンクがリアルタイムの入金に対応しているかを確認してください。
リアルタイムで入金ができないと、デイトレードにかなりの制限がかかります。
長期的な投資なら問題ないですが、FX投資を主体とした場合は、チャンスをふいにしてしまうかもしれません。
メガバンクの場合はリアルタイム入金が当たり前ですが、中小の場合は対応していないところもあります。
よく確認して口座開設を申し込みましょう。
いったん開設した法人口座は閉鎖するのも手間がかかるので、事前の下調べが寄り大切になります。
法人化するときの口座開設の手続き
では、FX投資の会社を法人化してから口座開設する場合、どのような手続きが必要なのでしょうか?この項では、手続きの流れを簡単に解説しましょう。
口座開設はインターネットでも可能
法人口座の開設はインターネットでも申し込みできます。
ただし、以下の書類が必要です。
- 法人の確認書類
- 法人番号確認書類
- 法人代表者様の本人確認書類
- 取引担当者様の本人確認書類
これは、「ひまわり証券」の事例ですが、ほかの証券会社でも求められる書類はおおよそ同じです。
書類に不備があると手続きがやり直しになるので、証券会社の説明をよく聞いて書類を用意しましょう。
分からない場合は納得するまで尋ねても大丈夫です。
これらの書類の中には、揃えるのに時間がかかるものもあるので、時間に余裕を持って手続きをしましょう。
また、個人で口座を開いていた会社に法人として改めて会社を開きたい場合も、これらの書類は必要です。
実質的支配者の確認
法人における実質的支配者とは、株式会社ならば議決権の総数の4分の1を超える議決権を有している者です。
合同会社ならば、法人を代表する権限を有している者全てが該当します。
この確認も行われるので、役員および会社員が複数いる場合は、本人確認ができるように用意しておきましょう。
一人の場合は簡単ですが複数だと確認に時間がかかることもあります。
申し込み後は書類の提出が必要
口座開設の申し込み自体は、個人の口座と変わりありません。
必要事項に記入して送信しましょう。
その後、以下の書類を提出してください。
- 法人番号指定通知書
- 国税庁法人番号公表サイトの貴社法人番号検索結果のハードコピー
(どちらか1通)
これは、法人番号の確認のために必要です。
このほか、法人格の確認として、「登記簿謄本」が必要になります。
そして、代表者の本人確認書類も必要なので、運転免許証などを用意しておきましょう。
運転免許証がない場合は、パスポートなども利用できます。
銀行によって本人確認書類と認められる物が変わるので、よく確認してから送りましょう。
なお、書類は写真に撮ってメールで添付する方法、FAXや郵送で送る方法があります。
証券会社によっては郵送のみのところもあるので、よく確認しましょう。
また、インターネット経由で申し込む場合、書類の写し方にも指定があります。
指定に沿ってないと受け付けてもらえないので注意してください。
拡張子も確認しましょう。
審査
書類の不備がなかったら審査に移ります。
審査は1~2週間かかるので、時間に余裕を持って申し込むことが大切です。
書類に不備があれば再提出となり、審査期間が伸びることもあります。
また、書類に不備がなくても審査に落ちる場合があることを承知しておきましょう。
審査が通れば口座開設となります。
審査に通ったら規約を確認する
審査に通ったら、法人口座利用の規約を確認しましょう。
規約に違反した場合、口座の取引が停止されることもあります。
個人とは規約が異なることも多いので、同じ証券会社に法人口座を開いたら必ず確認しましょう。
規約違反をして「知らなかった」ではすまされません。
信用にも傷がつきます。
FX投資を法人化するなら税理士は必要?
ここまで記事をお読みいただければ、法人化すると会計や決済のときに税理士の力が必要であることがおわかりいただけたと思います。
では、法人化するときも税理士の力が必要なのでしょうか? ここでは、FX投資を法人化する際、税理士に依頼できることなどを開設します。
税理士に依頼するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
税理士を雇用しない場合のタスク量
会社を設立すると、決済時期に以下のような書類の提出が必要です。
- 決算報告書:内訳は貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表など
- 勘定科目内訳書
- 法人事業概況書
- 法人税確定申告書
- 法人住民税(地方税)確定申告書
個人で決算をする場合は「確定申告書」を提出すればよかっただけなので、ずいぶんと多く感じられることでしょう。
また、これらの書類は1年間の売り上げや損失を元に作成します。
つまり、帳簿が正確であることが前提です。
帳簿を正確に付けるには簿記の知識が必須になります。
税理士を雇用しない場合、FX投資の傍ら日々会計処理をしなければなりません。
やることが増えて本業がおろそかになることもあります。
今は、さまざまな会計ソフトがあり、「自分でできる」と使い方をレクチャーしているサイトも豊富です。
しかし、会計ソフトを扱うにも簿記の知識がいります。
さらに、税務に関する法律は短期間で変わりやすいので、フリーソフトなどはアップデートが遅く、せっかく作った書類が使えないということもあるでしょう。
また、決算報告書は税務署に提出するときだけでなく、融資を受ける際にも必要です。
自分で作ったものより税理士が作成した書類の方が信用度はあがります。
審査が通りやすくなるといったメリットもあるので、税理士を雇用している法人は多いのです。
税理士を雇用するメリット
では、税理士を雇用するメリットには仕事の手間を減らす以外にどのようなものがあるでしょうか?ここに、その一例を紹介します。
記帳業務をしなくて済む
記帳業務は正確な申告のために必須ですが、なかなか面倒な作業です。
また、取引や営業などではないので、いくら頑張っても会社の利益には繋がりません。
税理士を雇用せずに済むならばその費用を節約できますが、記帳業務の時間をFX取引にあてれば、もっと利益を上げられる可能性もあります。
また、簿記に詳しい人材を雇用するより、税理士に顧問を利用したほうが費用はかかりません。
節税のノウハウを知れる
税の仕組みを知っていれば、節税の方法もわかってきます。
インターネットを検索すれば、すぐに法人の節税方法がヒットしますが、法人の種類によって適した節税方法が異なるので、そのまま真似すればよいとは限りません。
税理士を雇用すれば、会社の規模や売り上げ、業務内容を基に最適な節税方法を教えてくれます。
税理士は税のプロフェッショナルですから、法律を最大限利用した節税方法を教えてくれるので、頼もしいです。
また個人で調べた節税方法を行った結果、税務署から調査が入り追徴課税を受ける、といった失敗もありません。
税務調査にうまく対応できる
前述したように、法人になると税務署が税務調査に入る可能性が高くなります。
税務調査というと有無を言わせず税務署の職員が踏み込んでくるイメージがありますが、そのような強制調査が入るのは、よほど悪質な脱税が行われた疑いがあるときだけです。
一般的な税務調査は、事前に「何月何日に調査に行きます」と事前通知があり、1~3日かけて税務署職員が帳簿などを閲覧し、疑問があれば質問をします。
何か不備が見つかってもいきなり罰則が科せられるということもなく、やましいところがなければすぐに終わるものです。
しかし、いきなり調査に入ると通達がくれば、びっくりして不安になることも多いでしょう。
税理士を雇用していれば、税務調査の際に同席してもらうことができます。
税理士にとって、税務調査は慣れたものですので、うまく対応してくれるでしょう。
また、帳簿も税理士に作製してもらっていれば、やりとりはすべて税務署職員と税理士の間ですみます。
FXに強い税理士とは?
しかし、一口に税理士といってもさまざまな種類があり、得意分野も異なります。
顧問を依頼するならば、FXに強い税理士であることが重要です。
ここでは、FXに強い税理士の特徴について解説します。
顧問税理士を選ぶ際の参考にしてください。
FX関連の仕事をメインに受けている税理士
税理士にはそれぞれ得意分野があり、得意分野の仕事をメインに受ける方が多いものです。
たとえば、医療分野に強い税理士の場合は複数の医療法人の顧問を受けています。
FX投資は、業務としてかなり特殊です。
儲かるときもあれば一転して損をすることも多いでしょう。
利益と損失の乱高下が激しく、節税にコツがあります。
ですから、FX投資を主な業務としている法人の顧問税理士を務めている税理士を探しましょう。
今は、ホームページを開設している税理士事務所も多く、税理士の経歴や実績をすぐに確認することができます。
FX関連の仕事をしていることを売りにしている税理士もいるので、顧問を探す場合は、実績を重視しましょう。
なお、今は対応範囲が「全国」という税理士事務所も増えてきました。
お住まいの地域によっては、「会社へ来てもらえる範囲に事務所を構えている税理士の中に、FX取引きをする法人を扱った経験がある人がいない」と不安に思っている方もいるでしょう。
税理士によっては、初めての仕事でも持ち前の経験や努力で立派に役目を果たしてくれる方もいます。
しかし、会社を立ち上げて間もない時は、税理士が経験豊富な方が何かと頼りになるはずです。
今は、帳簿も電子化され、ネット環境が整っていれば税理士事務所と依頼者の会社が離れていても不自由はありません。
近くに良い税理士が見つからない場合は、全国対応の税理士を探してみましょう。
出張費を払えば事務所まで出向いてもらえるところもあります。
FXの税務調査に強い税理士
FX取引を主な業務にしている法人に税務調査が多い理由は、利益の増減が激しいからです。
一般的な企業は軌道に乗ってしまえば利益の増減の幅が少なくなりますが、FX投資はそんなことがありません。
世界中の景気に大きく左右され、日本の景気がよくても応酬や米国が不況ならば、価格が大きく変動することも珍しくないでしょう。
そのため、今年は大きな利益が出たが、去年は損失が多く大赤字だったということも珍しくありません。
税務調査が入りやすいのはそのためです。
前述したように、税務調査は税理士の同席が認められています。
FX投資を主な業務とする法人の顧問税理士を務めた実績が豊富ならば、税務調査も経験があるはずです。
税務調査をうまく切り抜けるには、FXの知識が不可欠ですので、実績が多い税理士を選びましょう。
年齢の若い税理士
FXは投資の中ではまだ新しいものです。
注目を集めたのは2000年代に入ってからなので、50代、60代の税理士の中には「名前しか知らない」という方も多いでしょう。
20代~40代の若い税理士の方がFXに関する知識は豊富な傾向にあります。
ただし、すべての若い税理士がFX取引に関する知識があるわけではありません。
前述したように、税理の種類は大変多く、税理士ごとに得意分野があります。
50代、60代の税理士でも勉強をしてFX取引を中心とする法人の顧問を務めている方もいます。
税理士を探す際は年齢でふるいにかけると探しやすくはありますが、「年齢が高めな弁護士しかいない」という場合は、実績を確認しましょう。
そうすれば、頼れる税理士が見つかります。
ホームページを開設していない税理士の情報を知りたい場合は、商工会議所などに問い合わせると教えてもらえることもあります。
なお、税理士紹介サイトなども増えてきましたが、サイトの評判をよく確認してから利用しましょう。
新しいビジネスなので、サイトによっては管理がいいかげんなところもあります。
口コミサイトなども参考にしましょう。
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