合同会社とは、出資した社員全員が有限責任を負い、その社員自身が会社の経営も行う会社形態です。
2006年施行の会社法で新しく設けられ、設立費用の安さと運営の自由度から選ばれています。
株式会社と比べて設立コストは約6万円から抑えられ、役員の任期もありません。
一方で、株式による資金調達ができないなど、事業の将来像によっては向かない場面もあります。
📋 この記事で分かること
- 合同会社の定義と、社員・業務執行社員・代表社員という3つの立場の関係
- 株式会社との違いを費用・意思決定・機関設計の3軸で比較した結果
- 合名会社・合資会社を含む「持分会社」の中で合同会社が占める位置づけ
- アマゾンジャパンやDMMなど、有名企業が合同会社を選んでいる実例と理由
- 設立費用の内訳と、設立完了までの6ステップ
- 合同会社が向いているケースと、株式会社を選んだほうがよいケースの見分け方
目次
合同会社とは|出資者が全員有限責任で経営も行う会社形態
合同会社は、会社法が定める4種類の会社のうちの1つであり、「持分会社」に分類される会社です。
株式会社との最大の違いは、出資と経営が分離していない点にあります。
お金を出した人がそのまま経営者になる、というシンプルな構造だと考えると分かりやすいでしょう。
合同会社の3つの特徴
合同会社を理解するうえで押さえておきたい特徴は、次の3つに整理できます。
- 出資者全員が有限責任:会社が負債を抱えても、出資した額を超えて個人財産で返済する義務を負いません
- 出資者が経営者を兼ねる:株主総会や取締役会のような機関を置く必要がなく、出資者自身が意思決定を行います
- 定款で自由に設計できる:利益の配分や議決権の割合を、出資比率と切り離して定款で決められます
この3つが組み合わさることで、少人数で機動的に動く会社をつくりやすくなっています。
株式会社のように「株主の意向を確認してから動く」という手順が要らないためです。
社員・業務執行社員・代表社員の関係

合同会社では、出資者のことを「社員」と呼びます。
日常語の従業員とは意味がまったく異なるため、最初に整理しておきましょう。
- 社員:合同会社に出資した人。個人でも法人でもなれます
- 業務執行社員:社員のうち、実際に会社の業務を執行する人。定款で定めなければ社員全員が業務執行社員になります
- 代表社員:業務執行社員のうち、会社を代表する人。株式会社の代表取締役に近い立場です
社員が1人だけの合同会社も設立できます。
その場合、その1人が社員であり業務執行社員であり代表社員でもある、という形になります。
なお、持分会社の社員には会社法上の任期がありません。
この点は後述する株式会社の取締役との大きな違いです。
【参考】合同会社の業務執行社員とは?役割は?決め方や注意点などを解説!
合同会社の「社員」は従業員のことではありません。出資した人を指す会社法上の用語です。求人票や契約書で混同しやすいため、社内外への説明では「出資者としての社員」と補足しておくと誤解を防げます。
合同会社の設立件数の推移|10年で約1.9倍に増えている
合同会社は、新しく会社をつくる人の間で選ばれる機会が年々増えています。
法務省の登記統計によると、2025年に設立された合同会社は45,161社でした。
10年前の2016年は23,787社だったので、この10年で約1.9倍に増えた計算です。
一方、株式会社の設立件数は同じ期間に年8万5,000〜10万1,000社ほどで推移しており、大きな増減はありません。
その結果、株式会社と合同会社の設立件数の合計に占める合同会社の割合は、2016年の20.8%から2025年には31.1%まで上がりました。
新しく設立される株式会社・合同会社のうち、およそ3社に1社が合同会社という状況です。

| 年 | 株式会社の設立件数 | 合同会社の設立件数 | 合同会社の割合 |
|---|---|---|---|
| 2016年 | 90,405 | 23,787 | 20.8% |
| 2017年 | 91,379 | 27,270 | 23.0% |
| 2018年 | 86,993 | 29,076 | 25.1% |
| 2019年 | 87,871 | 30,566 | 25.8% |
| 2020年 | 85,688 | 33,236 | 27.9% |
| 2021年 | 95,222 | 37,072 | 28.0% |
| 2022年 | 92,371 | 37,127 | 28.7% |
| 2023年 | 100,669 | 40,751 | 28.8% |
| 2024年 | 98,671 | 41,774 | 29.7% |
| 2025年 | 100,165 | 45,161 | 31.1% |
同じ持分会社でも、2025年に設立された合名会社は16社、合資会社は15社にとどまります。
(出典:法務省「登記統計」表番号25-00-20「種類別 合同会社の登記の件数」/同 表番号25-00-16「種類別 株式会社の登記の件数」/同 表番号25-00-18「種類別 合名会社の登記の件数」/同 表番号25-00-19「種類別 合資会社の登記の件数」。いずれも2026年5月29日公表、2026年9月30日取得。件数は各表の「設立」(本店)の値で、合併・組織変更などによる設立は含まない。割合は株式会社と合同会社の設立件数の合計を分母として当サイトで算出)
合同会社と株式会社の違いを一覧で比較
合同会社と株式会社は、どちらも出資者が有限責任である点は共通しています。
異なるのは、設立にかかる費用、意思決定の仕組み、そして置かなければならない機関の3点です。
まずは全体像を表で確認しましょう。
| 比較項目 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|
| 出資者の呼び方 | 社員 | 株主 |
| 出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 |
| 経営を行う人 | 社員(業務執行社員) | 取締役 |
| 設立時の登録免許税 | 資本金の額×0.7%(最低6万円) | 資本金の額×0.7%(最低15万円) |
| 定款の公証人認証 | 不要 | 必要 |
| 役員の任期 | なし | 取締役は原則2年(非公開会社は最長10年) |
| 決算公告 | 不要 | 必要 |
| 利益の配分 | 定款で自由に決められる | 原則として持株数に応じる |
| 株式による資金調達 | できない | できる |
| 上場 | できない | できる |
設立費用と維持コストの違い
設立時にかかる法定費用は、合同会社のほうが大幅に安く済みます。
差が生まれる理由は2つあり、登録免許税の下限額と、定款認証の要否です。
登録免許税は、どちらも資本金の額に0.7%を掛けて計算します。
ただし下限額が異なり、株式会社は15万円、合同会社は6万円です。
資本金100万円で設立した場合、計算上は7,000円ですが、実際にはそれぞれ下限額が適用されます。
さらに株式会社では、公証人による定款認証が必要です。
認証手数料は資本金の額に応じて3万円・4万円・5万円のいずれかとなります。
2024年12月1日以降は、この手数料が1万5,000円に軽減される特例も設けられました。
発起人が全員自然人かつ3人以下であるなど、3つの要件をすべて満たす場合が対象です。
合同会社にはこの手続き自体がありません。
(出典:日本公証人連合会「定款認証手数料の改定」)
【参考】合同会社の資本金はいくらにするべき?目安や注意点などを解説!
登録免許税が下限の6万円で収まるのは資本金が約857万円までです。それを超えると資本金の額×0.7%で計算するため、資本金を決める段階で登記費用も一緒に試算しておくと安心です。
意思決定と利益配分の違い
株式会社では、重要な決定に株主総会の決議が要ります。
議決権も利益の配分も、原則として持株数に比例する仕組みです。
合同会社では、社員の同意で意思決定を行います。
しかも議決権や利益配分の割合を、出資比率に縛られず定款で自由に設定できる点が特徴です。
たとえば出資額は少ないものの技術やノウハウを提供する社員に、多めの利益配分を割り当てることもできます。
ただし配分ルールが曖昧だと後々の対立の火種になりかねません。
設立時に定款へ明確に書き込んでおくと安心です。
機関設計と任期の違い
株式会社は、株主総会と取締役を必ず置かなければなりません。
取締役の任期は原則2年で、非公開会社であれば定款で最長10年まで伸ばせます(会社法332条)。
任期が切れるたびに重任登記が必要になり、そのつど登録免許税と手間が発生する点は見落とされがちです。
合同会社には、そもそも任期という概念がありません。
役員変更の登記も、社員の交代がない限り不要です。
維持コストの差は、この点でも積み上がっていきます。
合名会社・合資会社との違い|持分会社の中での位置づけ
合同会社は、合名会社・合資会社と並ぶ「持分会社」の一種です。
3つの違いは、社員が負う責任の範囲だけだと言っても差し支えありません。
ここを理解すると、合同会社がなぜ選ばれるのかが見えてきます。
3つの持分会社の責任範囲の比較
| 会社の種類 | 社員の構成 | 責任の範囲 | 設立時の登録免許税 |
|---|---|---|---|
| 合同会社 | 有限責任社員のみ | 出資額の範囲まで | 資本金の額×0.7%(最低6万円) |
| 合資会社 | 無限責任社員+有限責任社員 | 無限責任社員は全額 | 1件につき6万円 |
| 合名会社 | 無限責任社員のみ | 全額 | 1件につき6万円 |
無限責任社員は、会社の財産で債務を完済できない場合に、連帯して弁済する責任を負います(会社法580条1項)。
強制執行が効果を上げなかった場合も同じ扱いです。
会社の借金が個人の財産にまで及ぶということです。
合同会社が持分会社の主流になった理由
合名会社と合資会社は、会社法以前から存在する古い形態です。
運営の自由度は合同会社と同じように高いものの、無限責任というリスクが避けられません。
一方の合同会社は、持分会社の自由さを保ちながら、責任を出資額の範囲に限定しました。
この組み合わせが受け入れられ、新しく設立される持分会社のほとんどが合同会社になっています。
リスクを抑えつつ小回りの利く経営をしたい、という需要に合致したといえるでしょう。
【参考】合同会社は有限責任?無限責任?合同会社設立で負う責任について解説!
合同会社を選んでいる有名企業
「合同会社は信用力が低い」と語られることがあります。
ところが実際には、誰もが知る大企業が合同会社を選んでいるのです。
ここでは公的資料で商号を確認できる企業を紹介します。
日本法人が合同会社の代表例
| 企業名(商号) | 事業内容 | 確認できる公的資料 |
|---|---|---|
| アマゾンジャパン合同会社 | Amazon.co.jpの運営 | 経済産業省「特定デジタルプラットフォーム提供者」の指定 |
| eBay Japan合同会社 | Qoo10の運営 | 経済産業省「特定デジタルプラットフォーム提供者」の指定 |
| 合同会社DMM.com | DMMサービス事業の統括 | 同社公式サイトの会社概要 |
同じ指定を受けている事業者のうち、楽天グループとLINEヤフーは株式会社です。
つまり同じ規模・同じ業界の中でも、会社形態の選択は分かれています。
合同会社という形態そのものが事業の大きさを制限するわけではない、という事実がここから読み取れるでしょう。
なお合同会社DMM.comは、公式の会社概要で資本金1億1円、従業員2,730名と公表しています。
(出典:経済産業省「デジタルプラットフォームを運営する事業者の方」/合同会社DMM.com「会社概要」)
大企業があえて合同会社を選ぶ理由
規模の大きな企業、とりわけ外資系の日本法人が合同会社を選ぶ背景には、いくつかの合理性があります。
- 株主総会や決算公告が不要:親会社が100%出資している場合、株主総会を開く実益が乏しく、事務負担だけが残ります
- 意思決定が速い:定款の設計次第で、機動的に業務を執行できます
- 一般消費者向けの取引が中心:BtoCでは取引先による与信審査の場面が少なく、会社形態が営業上の障害になりにくいといえます
裏を返せば、企業間取引が中心で与信審査を受ける機会が多い事業では、判断が変わってくるでしょう。
この点は次のデメリットの章で扱います。

合同会社のメリット
合同会社の利点は、コストの安さ・手続きの軽さ・設計の自由さという3方向にわたります。
いずれも「小さく始めて素早く動く」ことを後押しする性質のものです。
設立・維持コストが安い
設立時の法定費用は、株式会社より約14万円ほど低く抑えられます。
登録免許税の下限が6万円であることと、定款認証が不要であることの合計です。
維持面でも差が出ます。
株式会社は取締役の任期が満了するたびに重任登記を行い、そのつど登録免許税を納めなければなりません。
合同会社には任期がないため、この費用が発生しないのです。
決算公告が不要で手続きが簡単
株式会社は、定時株主総会の終結後に貸借対照表を公告する義務を負います。
官報に掲載する場合は毎年数万円の掲載料がかかり、電子公告を選ぶ場合も準備が要ります。
合同会社にはこの義務がありません。
株主総会そのものも不要です。
会社の意思決定は社員の同意で進められるため、招集通知や議事録作成といった事務が大幅に減ります。
(出典:法務省「電子公告制度について」)
出資比率に縛られず利益配分を決められる
株式会社では、配当は原則として持株数に比例します。
合同会社では、この原則から離れて定款で自由に配分ルールを設計できます。
たとえば資金を出す社員と、技術やネットワークを持ち込む社員が組む場合を考えてみましょう。
出資額だけで利益を割ると、実態と合わない配分になりがちです。
合同会社ならば貢献の中身に応じた配分を定款に書き込めます。
共同創業の形をとる事業には、この柔軟さが効いてきます。
合同会社のデメリット
一方で、合同会社には構造上どうしても避けられない弱点があるのも事実です。
事業の性質や成長の方向性によっては、これらが決定的な制約になることも考えられます。
社会的な認知度・信用力が株式会社に劣る
日本で設立される会社の多くは株式会社であり、取引先の担当者が合同会社を見慣れていない場面はまだあります。
企業間取引で新規口座を開設する際、会社形態を理由に慎重な審査を受けるケースもあるようです。
採用面にも影響が及ぶかもしれません。
求職者が会社形態から企業規模を推測する場合、応募をためらう材料になりかねません。
BtoBが中心の事業や、新卒採用を計画している場合は、この点を踏まえて判断すると安心です。
上場・株式による資金調達ができない
合同会社は株式を発行できないため、増資は社員からの出資に限られます。
ベンチャーキャピタルからの調達や、株式公開による大型調達という選択肢が最初から使えません。
金融機関からの融資や補助金・助成金は、合同会社でも問題なく利用できます。
ただし将来的に外部から株式で資金を集める構想があるならば、話は変わってきます。
最初から株式会社を選ぶか、後述する組織変更を視野に入れておくと安心です。
社員間の対立が経営に直結する
合同会社では、定款に別段の定めがなければ、業務の決定は社員の過半数、定款変更などは社員全員の同意が必要です。
社員の1人が反対するだけで、重要な意思決定が止まることもあり得ます。
さらに、社員が持分を譲渡するには原則として他の社員全員の承諾が要ります。
関係が悪化した社員を簡単には外せない、という構造上のリスクがあるわけです。
複数人で設立するならば、意思決定の方法や持分の扱いを定款で具体的に定めておくことをおすすめします。
複数人で合同会社を設立するときは、業務執行社員を誰にするか、持分の譲渡をどう扱うか、退社時の払い戻しをどう計算するかの3点を定款に書いておくことをおすすめします。
「合同会社はやめとけ」「怪しい」と言われる理由と実際のところ
インターネット上でよく目にするのが、「合同会社はやめとけ」「合同会社は怪しい」といった声です。
こうした評判の背景は、おおむね次の3つに整理できます。
- 知名度の差:合同会社は2006年施行の会社法で生まれた比較的新しい形態で、株式会社ほど見慣れた存在ではない
- 肩書きの違い:代表者は「代表取締役」ではなく「代表社員」と名乗るため、初対面の相手に会社の規模や実態が伝わりにくい
- 社員権をめぐる出資勧誘トラブル:合同会社などの「社員権」を高利回りとうたって売り込む勧誘が問題になり、金融庁が注意を呼びかけている
ただし3つ目は、会社形態そのものの欠陥ではなく、一部の事業者による勧誘手口の問題です。
金融庁は、業務執行社員以外の者が業として社員権の取得勧誘を行う場合、金融商品取引業の登録が必要になると明示しています。
(出典:金融庁「合同会社等の社員権の取得勧誘にご注意ください!」)
自分で合同会社を設立して事業を営むことと、他人から合同会社への出資を勧められることは、まったく別の話と考えてよいでしょう。
では、信用面の不利は実際にどの程度問題になるのでしょうか。
前述のとおり、新しく設立される株式会社・合同会社のうち約3社に1社は、すでに合同会社を選んでいます。
アマゾンジャパン合同会社のように、大規模な事業を合同会社で運営している例も珍しくありません。
会社形態が影響しやすいのは、主に次のような場面です。
- 大手企業との新規取引で、会社形態も含めて審査される場合
- 新卒採用など、会社の知名度が応募数を左右しやすい採用活動
- 将来の株式上場や、ベンチャーキャピタルからの出資を予定している場合
反対に、一般消費者向けのネット販売や店舗ビジネスのように、顧客が会社形態をほとんど意識しない事業では、不利を感じる場面は多くないはずです。
個人事業からの法人成りや1人で運営する小さな会社も、合同会社を選んで困るケースは限られるでしょう。
取引先の反応が気になる場合でも、後から株式会社へ組織変更する道が残されています。
合同会社の設立費用と手続きの流れ
ここからは実務の話に移りましょう。
合同会社の設立は、法定費用だけを見れば10万円前後で完了します。
手続きも、株式会社より工程が2つ少ないぶん短く済みます。
設立費用の内訳
| 費目 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|
| 定款の収入印紙 | 4万円(電子定款なら0円) | 4万円(電子定款なら0円) |
| 定款の認証手数料 | 不要 | 1万5,000円〜5万円 |
| 登録免許税 | 資本金の額×0.7%(最低6万円) | 資本金の額×0.7%(最低15万円) |
| 法定費用の合計(電子定款・最低額の場合) | 6万円 | 16万5,000円〜20万円 |
定款の印紙税4万円は、設立時に作成される定款の原本に課される税金です。
電子定款で作成すれば課税文書に当たらないため、この4万円はかかりません。
電子定款には専用のソフトや電子証明書が必要になるため、自分で用意するか専門家に依頼するかを比べて決めるとよいでしょう。
このほか、印鑑の作成費用や登記事項証明書の取得費用が実費として数千円から数万円かかります。
(出典:国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(第5号文書から第20号文書まで)」)
設立手続きの6ステップ
- 基本事項を決める:商号・本店所在地・事業目的・資本金の額・社員の構成・事業年度を決定します
- 法人の印鑑を作成する:代表社員の印鑑(会社実印)を用意します
- 定款を作成する:絶対的記載事項を漏れなく記載します。認証は不要なので、作成したらそのまま次へ進めます
- 出資金を払い込む:代表社員個人の口座に、社員それぞれが出資金を振り込みます
- 登記申請を行う:本店所在地を管轄する法務局へ、設立登記申請書と添付書面を提出します。この申請日が会社の設立日になります
- 設立後の届出を提出する:税務署・都道府県税事務所・市区町村・年金事務所へ、それぞれ必要な届出を行います
登記申請から完了までは、おおむね1週間から10日程度が目安です。
事業目的に許認可が必要な業種を含む場合は、登記完了後に別途の申請が必要になります。
【参考】【完全マニュアル】合同会社を設立する手順や費用、準備する必要書類を徹底解説
合同会社が向いている人・向いていない人
ここまでの内容を、判断に使える形にまとめます。
会社形態の選択に絶対の正解はなく、事業の中身と将来像で答えが変わります。
合同会社を選んだほうがよいケース
- 1人または少人数で事業を始める:機関設計が不要で、意思決定も速く進みます
- 一般消費者向けの事業が中心:飲食・小売・美容・オンラインサービスなど、会社形態が営業に影響しにくい分野です
- 設立コストを抑えたい:法定費用の差は約10万円以上になります
- 不動産賃貸や資産管理が目的:外部からの資金調達を想定しないため、株式会社である必要性が薄いといえます
株式会社を選んだほうがよいケース
- 企業間取引が売上の中心:与信審査や取引先の社内規程で、会社形態が判断材料になる場面があります
- 外部からの出資を受ける計画がある:株式による調達や将来の上場を考えるならば、最初から株式会社が適しています
- 新卒採用や大規模な人材採用を行う:認知度の差が応募数に影響することがあります
- 許認可や入札で有利に働く可能性がある:業界の慣行によっては株式会社が前提とされる場合があります
迷う場合は、3年後にどの規模で誰と取引しているかを想像してみると判断しやすいでしょう。
判断がつかないときは、税理士や司法書士に事業計画を見せたうえで相談すると安心です。
合同会社から株式会社へ変更することもできる
会社形態の選択は、一度決めたら変えられないものではありません。
会社法には「組織変更」という手続きが用意されており、合同会社を株式会社に変えることができます。
まず合同会社で始めて、事業が育った段階で切り替えるという進め方も現実的です。
組織変更の流れと費用
組織変更では、組織変更計画を作成し、社員全員の同意を得たうえで、債権者保護手続きを行います。
官報での公告と、判明している債権者への個別催告が必要です。
この公告期間として1か月以上を確保しなければならないため、全体では2か月程度を見込んでおくとよいでしょう。
手続きの最後に、株式会社の設立登記と合同会社の解散登記を同時に申請します。
組織変更による株式会社の設立登記にかかる登録免許税は、資本金の額の1,000分の1.5で、3万円に満たない場合は3万円です。
組織変更では、公告期間だけで1か月以上かかります。決算期の区切りや許認可の更新時期と重ならないよう、スケジュールを逆算して着手すると安心です。
変更を検討するタイミング
組織変更を考える契機として多いのは、次のような場面になります。
外部からの出資を受ける話が具体化したときと、企業間取引の比率が高まってきたときの2つです。
本格的な人材採用を始めるタイミングも契機になります。
ただし組織変更には、上記の費用と2か月前後の時間、そして各種届出の変更作業が伴います。
目的が明確になってから動くほうが無駄がありません。
よくある質問(FAQ)
Q. 合同会社は1人でも設立できますか?
設立できます。
社員が1人の合同会社も認められており、その場合は本人が社員・業務執行社員・代表社員を兼ねる形になります。
手続きや費用は複数人で設立する場合と変わりません。
Q. 合同会社の代表者はどんな肩書きを名乗りますか?
登記上の名称は「代表社員」です。
名刺や対外的な場面で「代表取締役」を使うことはできません。
ただし「社長」「CEO」「代表」といった肩書きは会社法上の制限を受けないため使用できます。
Q. 合同会社と株式会社で、かかる税金は変わりますか?
変わりません。
どちらも法人として同じ税率で課税されます。
中小法人の場合、年800万円以下の所得は15%、800万円を超える部分は23.2%です。
会社形態による有利不利はないと考えて差し支えありません。
Q. 合同会社の設立費用は最低いくらですか?
法定費用だけであれば6万円です。
電子定款を使い、資本金の額が約857万円以下であれば登録免許税は下限の6万円となります。
これに印鑑作成費や登記事項証明書の取得費が実費として加わります。
Q. 合同会社でも社会保険には加入できますか?
加入します。
合同会社も法人であるため、社会保険の適用事業所となり、報酬を受け取る代表社員は原則として被保険者となる扱いです。
この扱いは株式会社と同じです。
Q. 資本金はいくらに設定すればよいですか?
会社法上は1円から設立できます。
ただし資本金の額は登記事項として公開され、取引先や金融機関が確認する情報でもあります。
当面の運転資金をまかなえる金額を目安にすると無理がありません。
なお資本金が1,000万円以上になると、設立初年度から消費税の課税事業者となる点にも注意が必要です。
まとめ:合同会社は「小さく速く始める」ための選択肢
合同会社とは、出資者全員が有限責任を負い、その出資者自身が経営を行う会社形態です。
設立費用は6万円から、役員の任期も決算公告もなく、利益配分は定款で自由に設計できます。
一方で株式による資金調達ができず、企業間取引では認知度の差が出る場面もあります。
事業の中身と3年後の姿を照らし合わせて選ぶことが大切です。
私たちは会社設立を専門とした税理士法人です。
オンラインの無料相談を行っています。
ご依頼いただかなかったとしても、無料相談を活用して損のない会社設立を行っていただきたいと考えております。
合同会社と株式会社のどちらが適しているか迷っている段階でのご相談も歓迎です。

