整形外科を開業するとき、内装にはこだわりをもってデザインを決めましょう。
病院は少なからず不安を抱えた患者さんがやってくる場所です。
殺風景では、病院という場所を意識するあまり緊張をする患者さんもいます。
整形外科は、外からみてケガや病気をしているとわかることが多い診療科です。
体に不自由さを抱えている患者さんに配慮をした内装にすることも必要。
そこで、内装を決めるにあたってどのポイントを抑えておくべきなのか、お伝えします。
Contents
整形外科の内装で押さえておきたいポイント
整形外科の内装で押さえておきたいポイントは、
- バリアフリー
- 広い部屋
- 圧迫感を感じさせない
- 柔らかい雰囲気
の4点です。
どのような患者さんが多いのか、どのような疾患や治療をするのか、などを把握することが大切。
これらを知ることで、なぜ必要なのかが納得できます。
バリアフリーに配慮
整形外科では、バリアフリーに配慮をすることが欠かせません。
整形外科に来る患者さんは、足や腰、膝など体のどこかに症状を抱えています。
杖や松葉杖、車椅子で来院する患者さんも少なくありません。
そのため、段差や壁をなくし、どのような状態でも歩きやすいフロアを作ることが必要です。
診察室と廊下の段差をなくす | つまずき防止でアクシデントを減らす |
リハビリ室の仕切りをカーテンにする | 壁にぶつかるリスクを減らす |
スロープを配置する | 車椅子や杖を使う人が登りやすくする |
病院全体に手すりをつける | 転倒防止のため |
エレベーターを設置する | 足の不自由な人でもフロアを行き来できる |
これらのような工夫ができます。
整形外科において、患者さんがスムーズに移動できる環境を整えることは、バリアフリーに配慮していることともいえます。
整形外科の内装を考えるときは、このようなバリアフリーを取り入れましょう。
ひとつの部屋を広めに設計
部屋を広めに設計することも重要です。
整形外科の患者さんは、20代の若者から60代・70代の高齢者まで幅広く来院します。
高齢者であればシルバーカー、若者は松葉杖を使っていることが多く、いずれもまっすぐ歩くことが難しいです。
すれ違うときも、街中で私たちがすれ違うようにはいきません。
シルバーカーや車椅子は、横幅があるので、狭い通路ではぶつかってしまいます。
歩行時に体重や重心をかけて歩いている高齢者が多いので、転倒事故につながる可能性が高いです。
壁や仕切りがいびつな形をしていても、避けきれずにぶつかり、転倒してしまうこともあります。
そのため、部屋は広く設計すること、廊下や通路となる場所は幅を通常よりも広く持たせておくことが重要です。
シルバーカーや車椅子でもゆとりをもってすれ違えるように、広めの設計をしましょう。
広く部屋を設計することで、スタッフが部屋を見通しやすくなるというメリットもあります。
安全面でメリットが多いので、ぜひ導入したいポイントです。
圧迫感を感じさせない
圧迫感を感じさせないことも大切なポイントのひとつです。
病院における圧迫感は、治療や診療に対する恐怖につながります。
患者さんのことを考えると、治療に通ってもらい完治や快方へ向かってもらうことがベストです。
通院を考えると、長期間通うことに前向きになれないと考えるケースがあります。
再診に行こうと思えなくなれば、症状や病状の改善が見込めません。
患者さんを第一に考える内装では、通いやすく、圧迫感のない病院づくりが大切です。
治療や診療に対する恐怖を与えないようにするためにも、圧迫感を感じさせない内装にしましょう。
柔らかい雰囲気を感じさせること
院内を柔らかい雰囲気にすることも押さえておきたいポイントです。
院内が白くきれいになっていると、清潔感を感じますよね。
しかし、きれいすぎるとどこか殺風景で病院に来たことを思い知らされる印象を得ます。
待ち時間に緊張や怖さを感じてしまうかもしれません。
整形外科は通院治療がメインとなる疾患が多いです。
通院のたびに緊張していては、気が持ちません。
それよりも、柔らかな雰囲気で迎えてくれて、治療もリラックスして行える環境のほうが、通いたいと思いませんか?
治療内容も、筋肉をほぐし可動域を広げる、関節を動かし痛みを軽減するなど、適度に力が抜けていたほうが効果が出ます。
病院でありながら、病院らしさのない雰囲気。
ぬくもりがあり、リラックスできる環境を作ることで、患者さんが治療に専念しやすくなります。
ライトブラウンや植物などを取り入れると、視覚的にもリラックス効果が期待できるのでおすすめです。
意外と見落としがちな内装
意外と見落としがちな内装を2点紹介します。
注文住宅でも共通しているのが、電源プラグと収納です。
ここにあれば便利なのに、もっと増やせばよかったと後悔することが多い内装でもあります。
診療を開始してから、不便にならないよう取り付けておきましょう。
電源プラグ・コンセントの位置
電源プラグやコンセントの位置を確認しておくことはマストです。
内装を確認するとき、部屋の間取りや広さ、ベッドの配置を確認します。
診察室や治療室のレイアウトも重要ですが、電源プラグの位置も確認が必要です。
特に整形外科は、器具を使った治療が多い診療科。
機械を設置する近くに電源プラグがなければ、機械を動かすことが難しくなります。
遠くに配線すると、患者さんやスタッフの転倒リスクが高まり危険です。
また、医療機器はひとつの器具に対して、独立した電源につないで使用することが望ましいとされています。
器具の配置ベッドの近くに電源が確保されているか、設計の段階から確認しましょう。
書類などの収納場所
カルテなどの収納場所が確保されているかも確認が必要です。
医療機関では、電子カルテが普及していますが、電子カルテとは別に、事務手続きに必要な書類を保管している場合があります。
国や自治体に申請が必要な書類は、必ずしも電子書類とは限りません。
今でも、電子カルテと併用で紙の書類を使用している医療機関もあります。
毎日たくさんの患者さんが来る医療機関では、書類の管理も大変です。
膨大な量を保管しなければいけないので、収納が広く使えるかは確認しましょう。
収納場所はあっても、手が届きにくい場所にあるケースも考えられます。
わかりやすく、手が届きやすい位置に設計されているかも確認すべきポイントのひとつ。
容量がたくさんあり、使いやすい場所に収納が設けられているかを確認しましょう。
実際に働くと不便さに気づくときもあります。
完成後のイメージを持ちながら、あると便利で使い勝手いいことを想像しながら準備を進めるのがおすすめです。
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内装工事にかかる費用
内装工事にかかる費用や相場をお伝えします。
内装工事は坪単価で費用が決まります。
高くなりがちな内装工事費。
医療機関では、機材も高額なのでさらに費用がふくれあがります。
費用を予算内で納められる工夫も紹介するので、参考にしてみてください。
内装工事費用の相場
内装工事の相場は、30~70万円です。
借りる物件がスケルトンかどうかによって工事の内容や坪単価が左右されます。
そのため、相場にも幅があります。
整形外科では広い場所を必要とするので、内装工事費用が高いです。
40坪を例に計算をしてみると、1200~2800万円という結果に。
さらに、レントゲンを導入するかでも単価が変わることがあります。
レントゲンを導入すると、X線を漏らさない部屋を作ることが必要です。
分厚い壁を四方に設置しなければいけないので、費用が増えます。
骨や筋などを診療するために、整形外科にレントゲンは必須の設備。
資金は多すぎるほど用意しておくのがいいかもしれません。
導入する器具や設備でさらに高くなる
レントゲンを始めとした器具や設備の導入で、内装工事費用はグッと高くなります。
主に整形外科に導入される器具の相場をまとめました。
レントゲン | 500~600万円(採用する形式によって値段が異なる) |
MRI | 8000万円~1億円 |
骨密度測定器 | 400万円程度 |
超音波診断装置 | 300万円程度 |
ウォーターベッド | 460~600万円(台数によって合計額は変動する) |
医療機器は精密機械なので、値段が高いです。
そのなかでも、MRIは特に高価な機械で桁も違います。
レントゲンだけでも簡易的な診断はできますが、ヘルニアなどの確定診断や
手術が必要になる状態かの判断には必要です。
整形外科の診療とリハビリをメインで行うクリニックか、入院・手術を行う有床施設なのかによって価格に大きな差が出ます。
リハビリで使用する代表的な機械であるウォーターベッドも、台数によって金額に幅が出ます。
小規模でリハビリをメインで行うクリニックとしても、3000万円ほどはかかると計算しておくのが妥当です。
内装工事リースで初期費用を安くする
整形外科の内装工事費や設備費は、とてつもない金額が動きます。
当然、集めた資金だけでは工面できないでしょう。
銀行の融資も上限額があるので、器具を揃えて診療体制を完璧に整えるためにはさらに資金が必要です。
もちろん、追加融資という選択肢もあります。
しかし、かかった金額を月々の費用として支払うという方法もあるのです。
それが内装工事リース。
内装工事リースには、内装工事費だけでなく設備費も含まれるので、金額の大きい医療機器もリースで支払えます。
内装工事費は一括で支払うことが一般的ですが、整形外科のような医療機関にかかる金額を一括で支払うのは難しいです。
月々少額ずつ支払う方法であれば、金銭的負荷を分散できます。
大きな金額が動く医療機関だからこそ、内装工事リースを検討してみませんか。
まとめ
整形外科の内装には、
・バリアフリー
・部屋を広くつくる
・圧迫感を感じさせない
・柔らかい雰囲気
これらのポイントが重要です。
車椅子でも通りやすい通路や、治療を安心して受けてもらえる内装にすることで、通いやすい整形外科にしましょう。
内装には見落としがちな場所もあります。
電源プラグやコンセントの位置、収納場所です。
設備を導入してからコンセントが足りないという事態が起きないように、入念に確認しましょう。
これらをすべてクリアした内装をつくりますが、工事費はとても高いです。
相場で坪単価30~70万円かかります。
導入する器具や設備によってさらに膨らむので、融資は多めに受けておくのがベストです。
支払い方法の案として、内装工事リースがあります。
かかった内装工事費用や導入する設備費を、毎月少額ずつ支払うという方法。
準備期間の金銭的負担が軽減できるので、ぜひ検討してみてください。