メンタルクリニックと聞くと、入りづらい、何をしているかわからないなどのイメージを持つひとが多いです。
はじめて通う人も、どのクリニックが自分に合っているかわからないので、内装のイメージは来院時の大きな決め手になり得ます。
メンタルクリニックは、長期間通うことになりやすい診療科です。
通いやすいと患者さんに思ってもらえる内装をにするために、取り入れたいポイントを紹介します。
気になる工事費についても触れているので、内装工事のイメージがつけやすくなります。
Contents
メンタルクリニックの内装工事でできる4つの工夫
メンタルクリニックの内装工事でできる工夫は、以下の4点です。
- あたたかな雰囲気
- ゆとりのある間取り
- エスケープ扉
- 防音の徹底
いずれも患者さんを落ち着いた状態で診察するための工夫です。
過度な緊張により、患者さんが錯乱状態にならないように、病院らしさをなくすことが重要。
それぞれ詳しく説明します。
あたたかな雰囲気を作る
あたたかな雰囲気を作ることで、病院らしさを排除することが大切です。
メンタルクリニックに来る患者さんは、心になんらかのつまづきを感じています。
仕事や、人間関係などで平常とのバランスを保つのが難しい状態です。
そのため、病院らしい無機質な内装では、怖さや緊張が多く感じられてしまう可能性があります。
パニックのような発作が起きる可能性も秘めているので、これらのリスクを低くする対処が必要です。
あたたかな雰囲気をつくるというのは、具体的に、木や植物のぬくもりを借りるということ。
院内を木目調の内装でそろえ、観葉植物を置いてやすらぎを与えられる空間をつくるという工夫です。
植物は、視覚的にその場を和やかにしてくれます。
緑は、気分を和らげて落ち着かせる効果を持つ色です。
これらを取り入れることで、突発的な発作を起こさず、落ち着いて過ごせる空間を作ります。
広くゆとりのある間取り
広くゆとりのある間取りを設計しましょう。
メンタルクリニックに来る患者さんは、他者とのつながりに警戒している場合があります。
多くの人に座ってもらうために、椅子の間隔を狭めたり、長椅子を多く配置するのはやめましょう。
椅子は1脚ずつ用意し、間隔はやや広めに取るのが良いです。
特に待合室は、患者さんが過ごす時間が長いことが予想されます。
長い待ち時間でも周りを気にせず過ごせるためには、独立した椅子が最適。
待合室も、間隔をあけて椅子を配置できる広さを確保することが大切です。
狭い部屋は、心の余裕も奪います。
窮屈に感じると、診察までの待ち時間が実際よりも長く感じられ、苛立ちや発作を起こす原因になりやすいです。
空間を広く使って、圧迫感をなくす間取りにしましょう。
とはいえ、すべての部屋を広く取る必要はありません。
待合室は広く取ることが重要ですが、診察室はそれほど広くなくて良いです。
診察室には、デスクと椅子があればカウンセリングは行なえます。
広すぎる診察室は、患者さんによっては落ち着かない空間となる場合があります。
メンタルクリニックの患者さんは、安定を続けることが何より大切です。
診察室の設計は、広すぎずシンプルな作りにしましょう。
エスケープ扉の設置
エスケープ扉をつけることで、スタッフの導線が確保できます。
エスケープ扉とは、出入り口とは別に用意された扉のことを言います。
スタッフだけが利用する扉として使われることが多く、裏側から別の部屋にアクセスできるのが特徴です。
扉がひとつのみの場合、スタッフと患者さんが顔を合わせることになり、スタッフの動きが患者さんにまるわかりです。
処置の準備は患者さんに知ってもらう必要はありません。
物品の位置などはスタッフだけが知っていれば良いことです。
処置や手続きなど、裏からまわって準備に取り掛かれるようにエスケープ扉の設置をおすすめします。
防音を徹底する
防音を徹底することもメンタルクリニックで重要なポイントです。
メンタルクリニックは、院内が静かなので、話した言葉が部屋全体もしくは部屋の外に聞こえる可能性があります。
特に診察室で話されている内容はとても個人的な内容です。
他者に聞かれることでプライバシーを侵害していると感じる人もいます。
また、他の患者さんの声が聞こえてくることで、自分の話した内容も外に聞こえているのではないかと心配を煽ることにもつながります。
不安を感じさせることは、クリニックの信頼度に影響します。
患者さんにとっても、病状に悪影響を及ぼす可能性があるので、防音は必ず行っておきましょう。
メンタルクリニック特有の特徴
メンタルクリニックは、他の診療科に比べて異なる特徴を持っている診療科です。
長期間治療に通う患者さんが多く、待合室では静かに診察を待っていることほとんど。
診察によるカウンセリングがメインなので、医療器具が少ないのも特徴のひとつです。
長期間通う患者さんが多い
メンタルクリニックは、長期間通う患者さんが多いです。
病状を快方に向かわせるには、長期間の薬の服用と繰り返しのカウンセリングが欠かせません。
心の変化は波を打つように変化します。
良いときもあれば、悪い方向に進んでしまうときもある。
波を静めて、自分の力で立ち直るには時間がかかります。
年単位で治療をする人もいるので、通院を継続してもらえる環境の整備は必須です。
心地よい、怖さや不安を感じさせない院内にするための内装は、メンタルクリニックの内装でもっとも重要視して良いでしょう。
クリニックに来たとき、患者さんがまた通えると思える場所にすることが大切です。
院内が静か
メンタルクリニックに通う患者さんは、静かな環境を好む人が多いです。
とはいえ、静寂では周りのちょっとした音が気になってしまうので、神経質になることもあります。
院内では、静寂にならないよう、優しめのクラシックやオルゴールなどでBGMが弱くかかっています。
心を落ち着かせ、パソコンのキーボード音やほかの患者さんが動く音が刺激にならないように工夫しているのです。
総合病院では、患者の数や他科と隣接した外来フロアであるため、音まで気を配った病院が少ないです。
しかし、細かなところが敏感になっているのもメンタルクリニックに通う患者さんの特性。
院内を静かにすることで、患者さんの気持ちを落ち着かせ、治療に専念できる環境を整えています。
BGMを流すための音響やスピーカーを設置するなどの工夫をしておくと良いです。
医療器具が少ない
他科にくらべて、医療器具が少ないことも特徴のひとつです。
メンタルクリニックでは、カウンセリングが診療のメインなので、医療行為が少ない傾向にあります。
採血も件数が少なく、レントゲンや点滴をする必要もありません。
これにより、処置室も広くベッドも複数台用意しなくても良いです。
内科や整形外科に比べて、設備の準備が少なく、物品の変動が少ないのも特徴と言えるでしょう。
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メンタルクリニックの内装工事にかかる費用
メンタルクリニックの内装工事の相場
メンタルクリニックに限らず、クリニックの内装工事を行う場合、費用の相場は坪単価約40万円です。
特殊な検査室を必要としないので、内科や歯科などよりは費用を抑えられるかもしれません。
それでも1000万円ほどはかかると見積もっておくのが良いでしょう。
防音対策や、壁・床のデザインにはこだわりが必要です。
吸音カーペットや壁を厚くするなど、材質を通常よりも機能性に長けている材質に変更して対応できます。
多少は工事費用が高くなっても、患者さんが通いやすいと感じてもらえる内装にするには妥協はできません。
坪単価40万円が相場であるクリニックの内装工事費用。
決して安くはないですが、メンタルクリニックには欠かせないこだわりと配慮があります。
融資や蓄えを十分に準備した上で取り掛かりましょう。
費用がかさみやすい内装
メンタルクリニックの内装において、もっとも費用がかさみやすいのは内装工事費です。
デスクや椅子などの備品にも費用はかかりますが、内装が与える患者さんへの影響が大きいのがメンタルクリニックの特徴。
こだわりを強くもって計画を建てる分、かかる費用も高いです。
費用を抑えたい場合でも、内装を削ることはしないほうがよいでしょう。
費用を抑える案として、居抜き物件や相見積もりを使って費用全体を抑えるという手段があります。
居抜き物件を使用するときは、コンセプトや理想の雰囲気と違いがないかを確かめましょう。
違和感を感じた場合は、内装工事に組み込んで仕上げたほうが良いです。
費用を抑えるならば内装工事リース
メンタルクリニックの内装工事費を抑えるために、もうひとつ方法があります。
内装工事リースで初期費用なく内装工事費を支払うという方法です。
内装工事と設備費は、契約して工事や搬入をする前に一括で支払います。
高額なので、クレジットカードを使って支払うわけにも行かず、初期費用の大半を支払いに回すのが現状です。
内装工事リースであれば、支払い方法は分割で、月々少額ずつ支払えばいいのが特徴。
初期費用だけでは支払いが厳しいケースでも、毎月少額の支払いならば可能です。
使用する設備は最初から自分たちの所有物なので、リースを支払い終えたあともこれまで通り使えます。
審査は最短で2営業日。
内装工事の見積もりをもらってから支払いまでに期日が短くても対応可能です。
対応できる範囲が広いので、まずは問い合わせてみてはいかがでしょうか。
まとめ
メンタルクリニックの内装に取り入れたい4つの工夫をお伝えしました。
1.あたたかな雰囲気
2.広くゆとりのある間取り
3.エスケープ扉の設置
4.防音の徹底
これらは患者さんがクリニックで過ごしやすくするための工夫です。
スタッフの導線も考えられた工夫なので、双方にとってメリットがあります。
メンタルクリニックの特徴として、長期間通院する患者さんが多く、院内は静かです。
他科と比べて医療器具が少ないことも特徴のひとつ。
そのため、内装工事費が初期費用のなかでもっとも高額になりやすい費用です。
患者さんにとって安心して通ってもらえるために、内装デザインは重要であり、妥協できません。
少しでも費用を抑える方法を探しているのならば、内装工事リースで内装工事費用を支払うのがいかがでしょうか。
毎月少額ずつの支払いで、初期費用を手元に残したまま内装工事が進められます。
金銭的負担が減るのでおすすめです。