今回はオフィスの引っ越しをする際の敷金の相場についてご紹介していきます。
オフィスのみならず、引っ越しを行う際には基本的に敷金や礼金がかかってきます。
敷金の費用は引っ越しを行う際の引っ越し先の家賃によって変動します。
つまりオフィスを引っ越す際の敷金の相場は、引っ越し先の地域や物件のグレードにもよって変わってくるのです。
今回は、そんなオフィスを引っ越す際の物件の種類や敷金の相場、オフィスの引っ越しで費用を落とす方法について詳しくご紹介してきます。
Contents
オフィスの入居に伴う初期費用の種類
オフィスを移転する際には、引っ越しにかかる費用とは別で初期費用が必要です。
また、その初期費用の種類は様々あり、移転先の物件や地域によってもその金額も変わってくるのです。
そのため、まずは移転を行う際にかかる初期費用の種類について簡単にご紹介してきます。
敷金
敷金はオフィスを移転する際にビルのオーナーに支払う費用のことであり、オフィスを退去する際には基本的には返金されることがほとんどなので、意味合いとしては担保として”一時的に預ける”ものとなります。
しかし、敷金が返金されないケースもあります。
それはオフィスの壁や天井・床などの内装を破損したまま退去するような状況です。
このような場合は入居時に支払った敷金の中から修繕費として当てられるのです。
そのため、初めに支払った敷金の金額よりもオフィスの修繕費用の方が高い場合には、敷金が返金されるどころか追加で費用を支払わなければいけないこともあるのです。
また、オフィスの家賃滞納時や、いきなりオフィスの家賃を払えずに退去してしまう時の費用として使われることもあります。
礼金
オフィスの移転時には設定されていないことも多いですが、礼金は基本的にビルのオーナーへの謝礼金のようなものです。
礼金は敷金と同様、入居時に支払うものですが、オフィスを退去する際に戻ってくることはありません。
また、費用の相場としては、オフィスの家賃の1か月もしくは2か月分と言われているため、実際の費用はオフィスの家賃によって上下してきます。
保証金
保証金とは、主に関西の方で主流にされており、オフィスの賃貸契約の際に使われることがあります。
敷金と同じでオフィスを入居する際に支払う費用です。
オフィスを移転する際の物件の種類
オフィスを移転する際には「居抜き物件」と「スケルトン物件」の大きく2つに分けられます。
この2つの物件ではそれぞれ特徴が異なり、どちらの物件にオフィスを移転させるかによって移転にかかる費用が異なるのです。
居抜き物件
居抜き物件とは、以前にテナント入居していたオフィスや店舗が使っていた内装がそのまま残っている物件のことです。
一から水道や電気などの電気設備の工事をすることが不要となるため、初期の費用が抑えやすいのです。
しかし、前の事業主の内装と自身のオフィスの内装のイメージにズレがある場合には、内装を崩すための改装工事が必要となるため、余計に費用がかかってしまいます。
スケルトン物件
スケルトン物件は居抜き物件とは真逆で、前のオフィスや店舗の内装設備が真っ新で何もない状態の物件のことです。
一からの工事が必要となるため、比較的移転した際の初期費用が高くなってしまいがちです。
また、スケルトン物件の場合、オフィスを退去する際にはスケルトンの状態で返却しなければいけないので、原状復帰工事が必要です。
オフィス入居時の敷金の相場
住居の敷金の相場は、家賃の1か月または2か月といわれていますが、オフィスの移転の際の相場は少し異なっており、6ヵ月から12か月分が相場といわれています。
家賃の金額にも応じて上下するので、オフィスの家賃が高ければ高いほど敷金の費用が高くなってしまいます。
オフィスの家賃の6か月分から12か月分となるとかなりの金額になるので、消費税の負担を気にする人もいるかもしれませんが、消費税は課税されません。
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オフィスを退去する時に敷金の返却金で注意するとは
敷金はまず全額返ってこない
オフィスを入居させる際に支払う敷金ですが、先ほども記述したように実は敷金は全額が返ってくるわけではないのです。
一般的な住宅の引っ越しの場合であれば、退去時の状況によってはほとんどの敷金が返ってくることがありますが、オフィスの移転の際には「原状回復工事費用」と「償却費」という2つの要素によって敷金がまるごと返ってくることはありません。
それでは、それぞれの要素についてご紹介していきます。
原状回復工事費用
敷金を返金する相場としては、基本的に敷金から原状回復工事にかかる費用を差し引いた金額が返却されます。
原状回復工事とは、一般的な賃貸住宅を退去する際の「クリーニング代」と同じような意味を持ち、オフィスを退去する前に元の状態まで回復させるために行う工事のことです。
オフィスの内装の状況にもよりますが、原状回復の工事にかかる費用の相場は1坪あたり約3万円から6万円が相場です。
また、オフィスの内装を良い状態に保っていたとしても、天井を抜いていたり手の込んだ内装にしてしまっている時には、工事の難易度が上がり相場よりも高くなってしまいがちなので注意が必要です。
償却費
償却費とは、敷金や保証金から無条件で差し引く費用のことです。
償却費のパターンとしては2つあります。
1つ目は礼金のように「入居者がビルのオーナーに向けて支払うだけ」のパターンであり、2つ目は「原状回復の工事費用に充てる」というパターンです。
償却費の相場としては、基本的に家賃の1か月から2か月分または、保証金の10%から20%といわれておりますが、償却費のパターンはビルのオーナーによって異なります。
敷金や保証金が無い代わりに償却費の制度を導入しているオーナーもいるので、退去時のトラブルに繋がらないためにも入居時に事前に確認しておく必要があるでしょう。
敷金が返ってくるタイミング
オフィスを退去する際のトラブルの1つとして、「オフィス入居時に支払った敷金の返却が遅い」というものがありますが、そもそも基本的に敷金の返却はオフィスを退去したらすぐに返却されるというわけではありません。
預けている敷金の返却時期の目安は、”賃貸契約終了後”の約3か月から6ヵ月後とされています。
また、よくある勘違いのポイントとしては、”退去時”ではなく、”賃貸契約終了時”という点です。
オフィスを退去する際には原状回復の工事が行われますが、実はその期間も契約期間中ということになるのです。
退去をしたらすぐに敷金が返ってくるのではなく、契約期間が終了して、原状回復の工事も無事に完了して、ちゃんと引き渡しができたタイミングだと覚えておきましょう。
次の賃貸の敷金には回すことができない
オフィスを移転する際には遅くても入居の1か月から2か月前には移転先のオフィスとの締結が必要となります。
また、オフィスを移転する際には次の移転先にも同じように敷金を支払わなければいけないため、再度オフィスの家賃の約6ヵ月から12か月分の敷金の費用を支払うために、かなりの初期費用が必要となります。
「今のオフィスから返却される敷金を次の移転先の敷金の費用に回そう」と考える方もいらっしゃるでしょうが、先ほども記述したように、今のオフィスの敷金が返却されるのは賃貸契約が終了してから約3か月後から6か月後となっており、すぐに敷金が返却されることはありません。
そのため、時期的に考えても今のオフィスの敷金を次の移転先の敷金に回すことはできず、一時的に今のオフィスと次の移転先のオフィスに二重で敷金を支払っていることになるのです。
この仕組みを把握していないで次のオフィスへの移転を進めてしまうと、手元の資金が足りずに移転先のオフィスとの契約ができなくなってしまうかもしれません。
<最後に>オフィス移転の敷金の相場だけを信じない方が良い
ここまででオフィスの移転をする際の初期費用の種類を初め、敷金の相場や注意点についてご紹介してきましたが、”移転の際の敷金は相場だけで判断しない方がいい”でしょう。
ご紹介した敷金の相場は、よくあるケースの一例ですが、あくまで実際の費用はそれぞれの物件やオフィスのビルのオーナーによって決められるものです。
敷金の費用に関しては相場はあれど、明確な決まりはないので、「オーナーが敷金は12か月分と言ってるから1年分でしょうがないか」と安易に決めてしまうのは非常にもったいないのです。
オーナー側からしても、入居してもらうことでメリットが出せるので入居してもらわなければ何の得にもなりません。
初めに敷金は12か月分と言われていても、交渉次第で10か月分で済ませられる可能性があります。
オフィスの移転だけではなく、一般的な賃貸物件の引っ越しでも同様です。
家賃1か月分を減らすことは大きな節約となるでしょう。
ダメ元でもオーナーに交渉をすることで敷金や原状回復の工事費用を減らすことができるかもしれませんので、一度は交渉を試みてください。