会社設立時の資本金の見せ金とは、どのようなものなのか解説していきます。
見せ金のリスクについて、説明するとともに見せ金がばれてしまう理由を解説していきます。
資本金の資金調達をする際に、見せ金だと判断されないためにはどうすれば良いかも説明していきます。
資本金の見せ金について知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
会社設立時の資本金の見せ金とは?
見せ金とは、会社設立時に資本金があるかのように見せる行為のことです。見せ金はある個人から資本金となる資金を借り、そして会社設立後にすぐ同額を返済するというものです。
見せ金をするのは、会社設立の資本金があまりに少ない場合や、融資を受けるためにする場合があります。
しかし、見せ金は、債権者や関係者を欺く違法行為であり、決してやってはいけないことです。
見せ金は、公正証書原本不実記載等罪に
見せ金は、本来無い資本金を偽装しているもので、そのまま会社設立した場合は、公正証書原本不実記載等罪という罪に問われる可能性があります。
また、会社法第52条の2においても、出資に関して仮装した場合には、発起人に払い込みを仮装した全額を支払う義務があるとされています。
(出資の履行を仮装した場合の責任等)
第52条の2 発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。
一 第34条第1項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払
二 第34条第1項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)
2 前項各号に掲げる場合には、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。
ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
3 発起人が第1項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
4 発起人は、第1項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払若しくは給付又は第2項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した設立時発行株式について、設立時株主(第65条第1項に規定する設立時株主をいう。次項において同じ。)及び株主の権利を行使することができない。
5 前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。
ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
つまり見せ金として発覚した場合には、全額その分を払う必要があるということです。
見せ金は、違法行為なので決してしないようにしましょう。
会社設立後、融資のときに資本金の見せ金がばれてしまう理由
資本金があたかもあるかのように偽装する見せ金は、取引先との相手であればばれる事はありませんが、融資審査の時には必ずばれてしまいます。
会社設立後、融資審査の時に資本金の見せ金がばれてしまう理由は、以下の通りです。
- 不自然な口座の履歴
- 個人による巨額の振り込み
会社設立後、融資審査の時に資本金の見せ金がばれてしまう理由を、それぞれ説明していきます。
不自然な口座の履歴
会社設立時に見せ金として作った資金はいずれ借りた元に返さなければいけません。
大きな金額がある個人から入ってきて、そしてまた出ていくという不自然な口座のやり取りが行われます。
そのような不自然な口座の履歴は、金融機関の融資担当者が見ればすぐに見せ金とわかってしまうのです。
個人による巨額の振り込み
個人名義による資金の振り込みがあると見せ金として疑われる可能性があります。
個人名義の巨額の振り込みがあった場合には、その個人との関係性を聞かれることになります。
親からの活動支援のお金であるなどの証明ができれば問題ありませんが、そうでない場合に注意が必要です。
例えばタンス預金などのお金を振り込んでしまった場合には、証明できるものがないために見せ金と疑われてしまう可能性があります。
資本金の見せ金のリスク
見せ金は違法行為なので決して行ってはいけませんが、資本金を多く見せたい時や、融資を受けたい場合などに見せ金の利用を考えてしまう場合があるかもしれません。
しかし見せ金には、以下のようなリスクがあります。
- 罪に問われる
- 融資が受けられなくなる
- 見せ金が課税対象になる
見せ金のリスクについて、それぞれ説明していきます。
罪に問われる
見せ金は、会社法においては罰則されることはありませんが、違法行為であり、公正証書原本不実記載等罪に問われる場合があります。
その場合、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
さらに、見せ金をしていたという事実が広まれば、社会的信用も失われることになります。
融資が受けられなくなる
見せ金のリスクとして融資が受けられなくなるということがあります。
金融機関において融資の審査を受ける際には、自己資金の確認のために、通帳を見られます。
その際に金融機関の担当者が見れば、不審なお金の出入りがすぐに見つかり、見せ金とばれてしまいます。
資本金を偽装している会社は、融資を受けられないのです。
見せ金が課税対象になる
見せ金は、提供元に返す必要があるため、通常、役員貸付金として処理されます。
これは、会社から役員に資金を戻し、役員が提供元にお金を返すという流れです。
この状態は、会社が役員にお金を貸しているということになります。
そして、役員から会社にお金は戻されないため、見せ金の額がそのまま所得税として課税されるのです。
経費で見せ金を消そうという行為は、脱税行為
経費で見せ金を消そうという行為は、脱税行為なので決してしないようにしましょう。
役員貸付金として処理しないように、領収書やレシートを集め経費として計上しようとする人がいます。
しかし見せ金を経費とするのは、脱税行為になってしまいます。
見せ金と判断されないために
見せ金でなかったとしても一時的な入金などの場合には、見せ金として疑われてしまう可能性があります。
また巨額の入金に対しても、合理的な理由が分からないと、見せ金として疑われてしまいます。
見せ金と判断されないことは、以下のようなことがあります。
- 宝くじや親からの支援の場合は、資料を作成
- 株や不動産の売却による資金調達
見せ金と判断されないことについて、それぞれ説明していきます。
宝くじや親からの支援の場合は、資料を作成
宝くじや親からの支援の場合は、資料を作成しておく必要があります。
金融機関の人にまとまったお金の入金の理由を宝くじや親と言ってもなかなか信じてもらえません。
そこで入金の証拠を書類として残すことで、信用してもらえるのです。
親からの支援金の場合には、親にサインをしてもらい書類を作れます。
株や不動産の売却による資金調達
資本金を準備する際に、株や不動産の売却による資金調達は全く問題がありません。
金融機関の担当者から入金理由を聞かれた時に、株や不動産の売却の証拠となる書類を提出できるからです。
株や不動産、債券などの売却という真っ当な資金調達の方法を使って、資本金の準備をするのは、問題がないのです。
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資本金の資金調達にお困りの場合は、専門家にご相談を
資本金を多く見せたいときに見せ金を検討する方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、見せ金は、本来無い資本金を偽装しているもので、そのまま会社設立した場合は、公正証書原本不実記載等罪という罪に問われる可能性があります。
見せ金は、以下の理由でばれてしまいます。
- 不自然な口座の履歴
- 個人による巨額の振り込み
資本金が集まらない場合は、資金調達のプロに相談してみてはいかがでしょうか。
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