【2025年】個人事業主の事業税とは?計算方法や課税の対象、控除について解説

個人事業主の事業税とは?計算方法や課税の対象、対策について解説します!

個人事業主に課される税金の1つである事業税についてご存知でしょうか。

すべての事業者に課税されるわけではないため、知らない人も多いでしょう。

今回は、個人事業主にも関係が深い、事業税の詳細を解説します。

個人事業主の事業税とは

事業税とは何なのか説明します。

行政サービスの経費の一部を負担する地方税金

個人事業主は仕事をする上で日常的に道路や橋など多くの公共物を利用しています。

そこで、公共物・サービスなどの経費を負担させることを名目としたものが事業税です。

各地方自治体が事業者に課すため、納付先は地方自治体です。

なお、所得が290万円以下の場合は課税されないため、すべての個人事業主が負担するわけではありません。

3つの区分に分けられた全部で70の業種に課税される

事業税は70の業種が対象であり、法定業種でなければ発生しない税金です。

3つの区分があり、第一区分が37業種、第二区分が3業種、第三区分が30業種です。

区分ごとに税率が異なっていて、第一区分は5%、第二区分は4%、第三区分は5%であり、第3区分の一部の業種のみ3%です。

各区分には下記のような業種があります。

区分法定業種税率

第一区分

物品販売業、保険業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、電気供給業、土石採取業、電気通信事業、運送業、運送取扱業、船舶定係場業、倉庫業、駐車場業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業、飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、両替業、公衆浴場業(むし風呂等)、演劇興行業、遊技場業、遊覧所業、商品取引業、不動産売買業、広告業、興信所業、案内業、冠婚葬祭業 5%
第二区分 畜産業、水産業、薪炭製造業 4%
第三区分 医業、歯科医業、薬剤師業、獣医業、弁護士業、司法書士業、行政書士業、公証人業、弁理士業、税理士業、公認会計士業、計理士業、社会保険労務士業、コンサルタント業、設計監督者業、不動産鑑定業、デザイン業、諸芸師匠業、理容業、美容業、クリーニング業、公衆浴場業(銭湯)、歯科衛生士業、歯科技工士業、測量士業、土地家屋調査士業、海事代理士業、印刷製版業 5%
第三区分 あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復・その他の医業に類する事業、装蹄師業3%

一定の所得を超えた人にのみ課税される

控除があるため、所得が一定額を超えなければ事業税は発生しません。

低所得の事業者に課税するのは公平性に欠けるため、一定の所得を超える事業者のみを対象としています。

個人事業主の事業税の計算方法

まずは基本知識として、事業税がどのように算出されるのか説明します。

基本計算式と控除

個人事業税は、事業所得から必要経費を差し引いた「課税所得」を基準に算出されます。

さらに、事業税独自の「事業主控除」が設けられており、年間290万円が一律で控除される仕組みです。

したがって、課税所得が290万円以下の場合には事業税は発生しません。

計算式は以下の通りです。

(事業所得 - 事業主控除290万円) × 税率(3〜5%)= 個人事業税額

ここでの「事業所得」とは、売上(収入)から必要経費を差し引いた金額を指します。

青色申告特別控除や基礎控除など、所得税における控除とは区別して考えなければなりません。

事業主控除が一律290万円のため売上が290万円以下ならば事業税は発生しない

事業税は290万円の事業主控除があるため、年間の売上が290万円以下であれば課税されません。

よく誤解されがちですが、事業主控除の290万円は「売上ベース」ではなく「事業所得ベース」で計算します。

たとえば売上が1,000万円あっても、経費が800万円かかっていれば事業所得は200万円となり、事業主控除の範囲内なので事業税は課税されません。

また、開業したばかりで営業期間が1年未満の場合は、月割りで控除額が按分されます。

たとえば、半年間の営業なら控除額は145万円という仕組みです。

この点を誤解すると不要な納税計画を立ててしまうため、注意しましょう。

個人事業税は事業所得の必要経費にできる

個人事業税は租税公課扱いとなり、全額を必要経費にできるため、忘れずに経費として計上しておきましょう。

所得を抑えて節税できます。他にも、事業所税や酒税、印紙税などは損金算入できる租税公課です。

個人事業主が事業税を課税されるケース

具体的にどういったケースで事業税を支払うことになるのか説明します。

ほとんどの業種が事業税の法定業種に含まれている

事業税の対象には多岐にわたる業種が含まれています。

したがって、基本的にはほぼすべての業種が対象といえるでしょう。

該当しないのは農業や林業、画家、音楽家などです。

ただし、非課税とされている業種でも課税対象になるケースはあるため注意しましょう。

最終判断は税務署が行います。

事業を廃止した場合は当該年の1日から事業廃止の日までの所得に基づいて課税される

年度の途中で事業を廃止したとしても事業税は課せられます。

当該年の1日から事業廃止した日までの所得から計算をして課税されるのです。

廃業した翌年の確定申告では事業税がかかることを忘れないようにしましょう。

法定業種に含まれなくても請負業とみなされれば課税される

事業税の法定業種の中にはライターやプログラマーなどは含まれていません

ただし法定業種には請負業が含まれる点に注意しましょう。

ライターやプログラマーなどの仕事が請負業とみなされるケースがあるのです。

また、画家も事業税の対象外の業種とされているのですが、画家の仕事の内容によってはデザイン業とみなされることもあります。

デザイン業の場合は事業税の対象となるのです。

プログラマーなどで事務所を構えている場合は、独立した事業とみなされ製造業と判断されるケースもあります。

最終的な判断は税務署により下され、開業届に記載されている業種とは無関係です。

事前にお住まいの税事務所で相談すると良いでしょう。

個人事業主が事業税を納付する方法

個人事業主が事業税を納付するまでの流れや方法を簡単にまとめます。

所得税の確定申告をしているならば事業税の申告は不要

個人事業税は、所得税の確定申告と連動して課税される仕組みです。

個人事業主が毎年2月16日から3月15日までに行う確定申告の内容を基に、都道府県税事務所が課税額を計算します。

したがって、個人事業主自身が事業税を別途申告する必要はありません。

ただ、申告内容に誤りがあれば課税額も変わるため、売上・経費・所得の計算は正確に行うことが重要です。

確定申告の際に「事業税に関する事項」について記入しておく

所得税の確定申告書を作成する際には「事業税に関する事項」を記入しましょう。

申告書第二表に「事業税に関する事項」の項目が用意されています。

そこの該当する部分に所得金額を記入すれば良いです。

ただし、この所得金額は青色申告特別控除前の金額にしてください。

事業税の納付方法

個人事業税は、確定申告が受理されてから送付される、納税通知書を用いて納付します。

基本的には8月と11月の年2回納付しますが、納税額が1万円以下の場合は8月のみ納付です。

現金納付

納付書を用いて、金融機関や都道府県税事務所、コンビニエンスストアで納税できます。

ただ、コンビニエンスストアは30万円以下の取り扱いに限られるため、高額な場合は金融機関がおすすめです。

電子納付

ペイジー(Pay-easy)に納付書の番号などを入力すると、インターネットバンキングや対応ATMから納付できます。

金融機関に出向く手間が減るため、環境が整っているならば活用しましょう。

口座振替

事前に手続きしておけば、指定した口座から自動的に振替してもらうことが可能です。

納付を忘れることがないため、忙しく失念する可能性があるならば設定しておきましょう。

クレジットカード

納付書の番号などを利用して、クレジットカードで納付することも可能です。

専用サイトへアクセスして手続きするため、クレジットカードとパソコン・スマートフォンがあれば納付できます。

ただ、クレジットカード納付は手数料が発生する場合があるため、その点は注意してください。

個人事業税の計算で受けられる控除

個人事業税では、適切に控除を活用することで、納税額を軽減できる可能性があります。

事業主控除

個人事業税には「事業主控除」という独自の控除制度があります。

年間290万円が一律に控除され、課税所得が290万円以下であれば事業税は発生しません。

たとえば、事業所得が400万円の場合は(400万円-290万円)=110万円が課税対象となり、その金額に税率をかけて税額を計算します。

また、開業初年度など営業期間が1年未満の場合は月割りで控除額が算定される点にも注意が必要です。

開業からの期間事業主控除額
1か月24万2,000円
2か月48万4,000円
3か月72万5,000円
4か月96万7,000円
5か月120万9,000円
6か月145万円
7か月169万2,000円
8か月193万4,000円
9か月217万5,000円
10か月241万7,000円
11か月265万9,000円
12か月290万円

繰越控除

赤字が発生した場合には、事業税の計算上「繰越控除」を適用できるケースがあります。

前年以前に事業所得が赤字となり、税務署に正しく申告している場合、その赤字額を翌年以降の所得と相殺して課税対象額を減らせるのです。

たとえば、前年に100万円の赤字があり、当年の事業所得が400万円だった場合、(400万円-100万円-290万円)=10万円が課税対象となります。

これにより、納税額を大幅に抑えられる場合があります。

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事業税で悩む個人事業主は専門家に相談しよう

事業税は多くの業種を対象とした税金のため、しっかりと準備しておきましょう。

他の税金とは異なる点が多いため、納付方法や減免制度など事業税に関する悩みや不安があるならば、専門家に相談しましょう。

税理士であれば、事業税について不安を解消してくれます。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。