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【税理士が解説】一般社団法人の設立にかかる費用とは?

一般社団法人は、営利を目的とせずに設立される法人形態で、多くの団体が法人化の一環として選択しています。設立の手続きや費用は比較的簡単で、初めて法人化を考える方にも適しています。

本記事では、一般社団法人を設立する際の具体的な費用やそのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

一般社団法人の設立にかかる費用

一般社団法人の設立に必要な費用は、主に以下の項目に分かれます:

登録免許税:6万円の固定費用で、法務局にて支払います。これは必須の費用であり、安くすることはできません。
定款作成費用:数千円から数万円が必要で、印鑑作成や印鑑証明書取得、定款の謄本費用などが含まれます。定款作成に必要な費用は、工夫次第で調整可能です。
定款認証費用:公証役場での認証にかかる費用で、通常5万円程度です。これも法定費用であり、安くすることはできません。

合計すると、一般社団法人の設立には約13万円が必要となります。これらの費用は、すべて法定で決められており、大幅な削減は難しいです。

一般社団法人とは?

一般社団法人とは、営利を目的にしない法人のことです。

平成20年12月1日より施行された一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基づき、設立できます。

設立に当たっては以下のような条件を満たすことが必要です。

社員になる人が2名以上必要である
定款を作り、公証人の認証を受ける
理事の選任や設立手続きの調査を行う
決められた期限内に事務所の所在地を管轄する法務局か地方法務局に申請を行う

引用元:法務省

一般社団法人は業界や業種の制限がなく、幅広く利用されている形態です。

一般社団法人は、共益のイメージを持った団体になります。

そのため、非営利団体を設立する場合、候補に入れるといいでしょう。

一般社団法人を設立するメリットとは?

一般社団法人を選択する法人は、株式会社、合同会社の次に設立される数が多く、年間約6,000もの一般社団法人が誕生しています。

それだけ一般社団法人にするメリットを感じている方が多いといえるでしょう。

そこで、ここでは一般社団法人を設立するメリットを紹介します。

設立のハードルが低い

一般社団法人の設立は、登記申請すれば誰でも行えます。

一般社団法人であれば、以下の手続きが不要です。

  • 都道府県の許可
  • 資本金の払込手続き
  • 事業計画書や活動予算書の作成

また、法定費用以外には費用も掛からないので、資金費用が全くなくても設立できます。

そのほかにも、社員が2人以上いれば設立できるので、少人数で法人を立ち上げたい時にも利用されることが多いです。

他の法人格よりも手続きが簡単なので、初めての法人設立でも手間がかかりにくいことが大きなメリットでしょう。

非課税になる項目がある

一般社団法人は、法人税法上の収益事業が課税対象です。

そして、それ以外の公益目的事業は、非課税になります。

法人税法上の収益事業とは、以下のようなものが当てはまります。

  • 物品販売業
  • 不動産販売業
  • 金銭貸付業

そのため、公益性の高い事業を行っているなら、税金がお得になる可能性が高いです。

税率面から一般社団法人になるメリットを感じられるでしょう。

補助金などを受け取れる可能性がある

一般社団法人は、受け取れる補助金が複数あります。

具体的には、以下のものがあります。

  • 日本財団の助成事業
  • 競輪やオートレースの補助事業
  • 各都道府県の補助金

受け取れる可能性のある補助金は、公募要領をチェックして積極的に利用してみてください。

権利義務の主体となれる

一般社団法人になれば、権利義務の主体になることが可能です。

権利義務の主体は具体的に、以下のようなものがあります。

  • 団体の銀行預金口座が作れる
  • 団体で不動産が持てる
  • 団体として事務所が借りられる

もし法人化しないのであれば、団体ではなく代表の個人名義で行わないといけません。

代表が元気であれば問題ないのですが、代表が亡くなるようなことがあれば不都合が生じやすいです。

例えば、書類の名義変更だけでも事務的に大きな負担になります。

その点、法人格であれば、代表が亡くなって交代しても名義変更の手間はかかりません。

長く団体として活動したいなら、一般社団法人を設立しておいた方が便利です。

頻繁に代表が変わる可能性がある団体にとっては、権利義務の主体になることのメリットを感じやすいでしょう。

団体として成長していきたいなら、一般社団法人になるメリットがあります。

任意団体よりも社会的信用力がある

一般社団法人は、任意団体よりも社会的信用力があります。

一般社団法人は登記簿謄本で事業内容が確認出来るので、団体として信用される可能性が高いです。

社会的信用力があれば、寄付や基金が集めやすかったり、事務所が借りやすい、事業がスムーズに行えるなどのメリットがあります。

任意団体として活動の限界を感じているなら、一般社団法人化してみることもおすすめです。

また、社会的信用力があれば、今までできなかったことにチャレンジできるようになります。

一般社団法人の設立は自分でもできる?

一般社団法人の設立は、株式会社の設立に比べると簡単です。

一般社団法人は専門家ではなくても、誰でも自分で設立できます。資本金の振り込みも不要なので、一般社団法人の設立の要件を満たし、書類に不備がなければ受理されやすいです。

不安を感じる方は公証役場や法務局で相談に乗ってもらえるので、問い合わせてみてください。もちろん自分で設立が不安という方は、専門家に依頼することもできます。

専門家に依頼すれば費用はかかりますが、書類作成や訂正の手間が省けます。自分の都合のいい方で一般社団法人を設立してみてください。

一般社団法人とNPO法人の違いとは?

一般社団法人と似た法人に、NPO法人があります。NPO法人法人も一般社団法人と同じ非営利団体ですが、大きな違いがあります。

具体的な違いをまとめてみました。

一般社団法人NPO法人
設立に必要な人数2人以上10人以上
必要な役員の数理事1名でも可能理事3名以上監事1名以上
設立に必要な資金約11万円0円
活動内容の制限なし特定非営利活動だけ
所轄庁への報告義務なしあり
情報公開義務なしあり
設立までの期間3週間前後5ヶ月程度

NPO法人の方は設立に資金が掛からないものの、活動内容に制限があります。さらに報告義務や情報公開義務など、一般社団法人にはない手間もあります。

ただNPO法人の方が補助金や支援プログラムが多く、業務内容によっては一般社団法人よりも活動しやすいかもしれません。自分達の活動内容によって、一般社団法人とNPO法人のどちらにするか選んでください。

まとめ

一般社団法人の設立に必要な費用は、約13万円です。

設立に必要な費用の多くは法律で決められていて、大幅に安くすることはできません。

一般社団法人はメリットも多く、設立しやすい法人です。

NPO法人と混同されやすいですが、比較すると大きな違いがあります。

メリットとデメリットの両方を知って、一般社団法人の設立を検討してみてください。

経営サポートプラスアルファでは、個人でも法人でも独立を少しでも考えている人のご相談に乗らさせていただいております。

相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。