会社を設立したい、と考えたときに気になるのが税金のこと。
いろんな種類があったり、難しい用語が多かったりして、わかりにくいですよね。
今回は、会社設立の際に一体どんな税金を払う必要があるのか、いくら払う必要があるのかについて詳しくご紹介していきます!
目次
会社を設立してから払う法人税とは
会社設立の際に知っておくべき税金として、「法人税」があります。
法人税について基本的な知識を持っておくことで、適切な方法で法人税を納めることができます。
ここでは、そんな法人税について詳しく解説します。
法人税の種類
法律的に、ひとつの人格と同様の権利や義務を求め 求められるのが「法人」です。
しかし、個人に対して課せられる「所得税」とは根本的な違いがあります。
法人税は次の3つに分類されます。
各事業年度の所得に対する法人税
一般的な法人税として認識されているのが「各事業年度の所得に対する法人税」です。
決算の時期に税金を申告する必要があり、期間内の所得額に対して納める金額を算出します。
各連結事業年度に対する法人税
ひとつの会社が親会社となって、いくつかの子会社と連携している法人のことを「連結事業」と言います。
連携したすべての会社をひとつのグループとして、その全体の所得に対して課税されるのが「各連結事業年度に対する法人税」です。
これはグループ企業全体で税金を申請する「連結納税」と呼ばれる仕組みです。
こちらの税金を払う場合は、前記の「各事業年度の所得に対する法人税」を計算する必要がなくなります。
退職年金等積立金に対する法人税
「退職年金等積立金に対する法人税」は、退職年金に関する業務を行う、信託会社や保険会社のような法人に対して課税される税金です。
法人が従業員の退職年金として払い込んだ掛金は、信託会社や保険会社では、払込をした年度に計上されます。
しかし、実際に課税されるのは従業員が退職し年金を受け取った時になり、時差が生じます。
こういった法人税を「特別法人税」と呼びます。
法人の種類と法人税の関係
法人税はすべての事業に対して該当するわけではなく、あくまでも事業で利益を得ている法人を対象としています。
普通法人・協同組合などに大別され、普通法人は株式会社や有限会社、日本銀行などが含まれます。
協同組合は労働者協同組合や農業協同組合が含まれ、課税率が軽減される点が特徴となっています。
それに対して、公益法人や公共法人といった組織の多くは非課税対象となっています。
社会法人や地方公共団体などに加えて、実行委員会や同窓会といった人格のない社団も含まれます。
法人税の計算方法
法人税として納める税金は、所得に応じて産出する必要があります。
所得というのは純粋な収益ではなく、収益(売り上げ)から事業のために費やした必要経費や損金を除いた数字を指します。
法人税を求めるには、「法人税額=課税所得×法人税率−控除額」という計算式で求めることができます。
法人税率というのは国税庁によって定められおり、法人の種類や資本金によって異なります。
計算には、法人の実質的な所得税負担率を指す「実効税率」が使われます。
例として、普通法人で資本金1億円以下の法人は、年800万円以下の所得に対しては15%の法人税が課せられ、800万円を超えると23.20%の法人税が課せられます。
法人税の節税方法
法人税の課税方式は所得税と異なりますが、所得が一定の金額を超えると税率が上がるため、節税のコツをおさえておくと便利です。
ここでは、覚えておくべきポイントを3つご紹介します。
損金を増やす
法人の課税所得は収益から損金などを引いた額で算出されるため、損金を増やすことで所得を減らすことになり、課税される額を減らすことができます。
損金を増やすにはいくつか方法があります。
・赤字を繰り越す
法人税法では、赤字の事業年度と黒字の年度の所得を相殺して計算されることが認められているため、赤字を繰り越すことで課税される所得を減らすことが可能になります。ただし、青色申告の承認を受けている必要があり、赤字を繰り越しできる期間には限りがあるので注意しましょう。
・社員旅行の費用を損金として処理
慰安を目的とした社員旅行などにかかる費用は、損金として処理することができます。税務調査のために、実施した日付やメンバーを記録しておくことを忘れないようにしておきましょう。
・在庫を整理する
商品の在庫を整理した場合、その分を損金として計上することができます。廃棄の際には、廃棄証明書などをとっておくことで税務署に証明することができます。
益金を減らす
益金と損金の差を小さくするためには、益金を減らすのも方法のひとつです。
損金に影響しやすい「売上」を減らすのではなく、計上時期をずらすことで益金を減額できることがあります。
売上の計上基準に、「検収基準」を反映すれば、納品したものが検収された時に売上として計上できます。
計上を先延ばしにすることになるので、益金減額につながるでしょう。
特別控除を使う
特別控除を使うことで、課税対象となる金額ではなく、課される税金そのものを減らすことができます。
主に地方拠点強化税制での雇用促進税制・中小企業投資促進税制の2種類があります。
・雇用促進税制
雇用促進税制としては、「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」があります。
特定業務施設というのは本社機能を持つ施設のことで、その雇用人数を増やすことで受けることができる控除です。
地域創生の一環で、認定されると増加させた雇用者ひとりにつき最大90万円の税額控除を受けることができます。
・中小企業投資促進税制
設備投資にかかった費用を特別償却として計上したり、一定の税額控除を受けたりすることができる制度が中小企業投資促進税制です。資本金が基準以下の中小企業や従業員1,000人以下の個人事業主が対象となっています。
法人税以外でかかる税金
会社を設立するには、法人税意外にも様々な税金を納める必要があります。
これらの税金はどのような法人にも共通して重要な税金ですので、きちんと把握しておきましょう。
法人住民税
法人住民税は、法人税と同様に、事業年度ごとの利益に対して課税される税金です。
住民法人税は、会社を設立する際に登録した事業所がある地方自治体に対して納める必要があり、「均等税」と「法人割」の2つがあります。
法人であっても自治体の公的なサービスを受けることができるという点で、地方自治体から課されています。
「均等税」は法人税額の大きさに関係なく各法人に均等に割り当てられる税金で、利益が0や赤字の場合であっても支払う必要があるというのがポイントです。
しかし、企業の規模によって住民法人税の均等割には傾斜がつけられているため、資本金額や従業員数などによって課される額も変わってきます。
例えば、資本金が1000万以下で従業員数が50人以下の場合は道府県民税は2万円で市町村民税は5万円です。
それに対して資本金が50億円より多く、従業員が50人を超えている場合は、道府県民税は80万円、市町村民税は300万円となります。
「法人割」は「法人割=法人税×都道府県民税率/市区町村税率」の計算式によって割り出されます。
市区町村税率と都道府県民税率は法人の資本金と法人税の額によって異なるため、計算するときは各自治体のHPを確認してみてください。
法人事業税
法人事業税は法人住民税と同様に、会社を設立する際に登録した事業所がある地方自治体に対して納める必要がある税金です。
法人は道路や港湾などの公共施設や公共サービスを利用するため、その提供や意地にかかる費用を負担しなければなりません。
法人事業税は資本金が1億円以下か1億円越かによって計算方法が変わってきます。
資本金が1億円以下の場合、「法人事業税=所得金×法人事業税率」という計算式でもとめます。
法人事業税率は、所得400万円までは課税所得5%、所得が400万より多く800万円以下の場合は課税所得7.3%、所得が800万円を超えた場合は課税所得9.6%となります。
資本金が1億円超の場合、所得金額に加えて、資本金の額や支払った給与額などを基準にした税額の計算を行う「外形標準課税」が適用されます。
これは、「所得割」「付加価値割」「資本割」の3つに分けて法人事業税を計算する方法です。
都道府県が法人の利益にかかわらず、事業の規模に対して課税するためにこのような方法をとっているのです。
この法人事業税は、これまで紹介した法人税、法人住民税とは異なり翌年度で損金として計上することができ、翌年度の利益を減らすことが可能です。
また、都道府県に納める法人事業税に加えて、特別法人事業税として国税も課されます。
これは、法人事業税に一定の税率を乗じて算出されます。
固定資産税
固定資産税は会社設立時の固定資産として登録した土地、建物、その他資産に課税される税金です。
固定資産とは「事業の継続に使われる財産」のことを指し、毎年1月1日時点で固定資産の所有者に税金が課せられます。
土地や家屋といったものに加えて、償却資産も課税の対象となります。
償却資産とは減価償却額や減価償却費が損金や必要な経費として扱われるもので、プリンターやパソコン、看板、航空機などが含まれます。
自動車は自動車税が課税されるので、償却資産の対象にはなりません。
固定資産税は固定資産評価額(標準課税額)に標準税率をかけて算出されます。
固定資産評価額は原則として3年に1度見直しが行われ、そのとき時価が高ければ、固定資産税は高くなります。
反対に、見直し時期に時価が低ければ、固定資産税は安くなることを把握しておきましょう。
標準税率は基本的に1.4%とされていて多くの自治体がそれに準じています。
消費税
消費税は、商品やサービスの消費によって課税される税金です。
普段から私たちが買い物をした時に支払う消費税と同様、法人も消費した商品などに対して税金を支払います。
しかし、法人の場合は自社が提供した商品やサービスに対する消費税を消費者から得ているため、支払う消費税は「預かった消費税−自社が支払った消費税」という計算式で算出することができます。
消費税率は令和1年10月に改正された通り、消費税8%と地方消費税2%の合計10%です。
消費税が課税されないものとしては、「非課税取引」と呼ばれ、不動産による土地の譲渡や株の売買などがそれにあたります。
また消費税は、基準期間をもとに納税義務が免除されるかどうかが判定されます。
法人については判定する事業年度の全然事業年度が基準期間となり、その期間の課税売上高が1000万円に満たない場合は、納税義務が免除されます。
また、新規に設立した法人は、このような基準期間が存在しないため、原則として免除されます。
会社を設立した場合の税務申告の流れ
会社を設立した際に必要な税務申告の流れは次のようになります。
決算手続き
決算ではいくつか確認するべき項目があります。
数多くあるため、計画的に決算を進める必要があります。
資産・負債の実査
- 現金実査、銀行口座等の残高確認
- 売掛金、買掛金の残高確認
- 借入金の残高確認、貸付金の確認
- 受取手形の実査、支払手形の確認
- 固定資産の実査
- 在庫の棚卸
決算仕訳の入力・確認
- 固定資産の減価償却
- 上原価の確定
- 為替換算項目の処理
- 経過勘定の確認
- 倒れ懸念債権の確認、貸倒引当金の計算
税金の計算
- 消費税の計算
- 法人税の計算
以上の確認が終わったら決算書を作成します。
決算書には決算日における財政状態を表示する貸借対照表や、会計期間における経営成績を表示する損益計算書などの計算書類と、それに係る附属明細書などがあります。
また、事業の内容、株式の状況、従業員の状況など、事業全般に係る報告を記述した事業報告書とそれに係る明細書も必要となります。
税務申告手続き
税務申告の手続きには先ほど紹介した、法人に支払う義務がある税金に対して申告書を作成する必要があります。
それぞれの税金に対して必要な申告書類がいくつかあるため、しっかり確認した上で申告書の作成を進める必要があります。
納付の方法
それぞれの税金は納付の期限が決まっています。
法人税、消費税は期末日より2ヶ月以内に納付する必要があり、法人事業税と法人住民税は各都道府県によって期日が定められています(東京都の場合、期末日より2ヶ月以内)。
また申告は、法人税と消費税は会社近くの税務署に、法人事業税と法人住民税は税務事務所に行います。
会社を設立してからの消費税の免除期間
会社の設立の際に課せられる税金についてご紹介しましたが、消費税のそのうちの一つです。
国税庁によると、消費税とは「特定の物品やサービスに課税する個別消費税とは異なり、消費に広く公平に負担を求める間接税」とされています。
これは、物やサービスの消費に対して税を負担することを指します。
実質的な消費税の負担者は最終消費者であり、その納付者は事業者となる制度です。
そのため、法人も消費税を支払う義務がありますが、一定の条件下においては納税義務が免除されることがあります。
会社設立をして消費税が免除できるケース
法人を設立してから2年間は消費税の納付が免除になります。
先ほども述べたように、消費税は、基準期間をもとに納税義務が免除されるかどうかが判定されます。
新規に設立した法人は、このような基準期間が存在しないため、原則として2年間は免除されるのです。
また、基準期間の課税売上高(消費税が付随する売上)が1000万円以下である事業者も課税の対象にはなりません。
税の性格から課税対象としてなじまないものや、社会政策的な配慮にもとづくものも課税対象にはならず、「非課税取引」と呼ばれるものになります。
税の性格から課税対象としてなじまないもの
- 土地の譲渡および貸付(例:不動産売買における土地の譲渡)
- 有価証券等および支払手段に類するものの譲渡(例:株の売買、仮想通貨の譲渡)
- 利子を対価とする貸付金等(例:貸付金の利子)
- 郵便切手等の譲渡(例:切手、印紙の譲渡)
- 国等が法令に基づく手数料等に係る役務の提供(例:登記手数料)
社会政策的な配慮にもとづくもの
- 公的な医療保障制度に係る療養等またはこれらに類する資産の譲渡等(例:健康保険法による医療)
- 介護保険法の規定に基づく居宅等介護サービス等(例:介護保険法による居宅サービス)
- 医師、助産師等による助産に係る資産の譲渡等(例:助産に関するサービス)
墓地、埋葬等に関する法律に規定する埋葬料等を対価とする役務の提供(例:火葬) - 身体障がい者の使用に提供するための特殊な機能等を有する物品の譲渡等(例:車いすの譲渡)
- 住宅の貸付(例:居住用住宅の1カ月以上の貸付)
会社を設立しても消費税が免除にならないパターン
一定の条件によっては消費税が免除にならない場合もあります。
会社を設立する際には、自社は消費税が免除されるかどうか確認しておきましょう。
新規法人の資本金が1,000万円以上の場合
新しく設立された法人は基準期間がないため原則として消費税は免除されますが、事業年度開始の日における資本金が1,000万円以上の場合には、納税義務が課されます。
消費税が免除されるのは小規模事業者のみであるため、資本金の額が1000万以上だとそれに該当しないのです。
特定期間の課税売上高および給与等が1000万以上の場合
特定期間の課税売上高および給与等(給与・賞与など給与所得となる支払い)が1,000万円超なら小規模事業者に該当せず、基準期間の存在しない法人でも2期目は課税事業者になります。
つまり、特定期間の課税売上高または給与等のいずれかが1,000万円以下であれば消費税は免除されます。
特定期間とは原則、前年度の開始日から6ヵ月間までの期間のことを指します。
たとえば、2期目が4月1日~3月31日の場合、特定期間は設立日から6ヵ月間の期間になります。
大会社のグループ会社が出資した法人の場合
特定新規設立法人となった場合も消費税の納税義務は免除されません。
特定資金設立法人とは、次の要件を満たすものを指します。
一つ目は新設開始日において特定要件に該当するということです。
特定要件とは、新規設立法人の発行済株式の総数における50%超が、他の者より直接または間接に保有される場合などをいいます。
二つ目は特定要件の判定の基礎となった他の者等と特殊な関係にある法人のうち、いずれかの新規設立法人の新設開始日が属する事業年度の基準期間に相当する期間における課税売上高として、一定の金額が5億円を超えることです。
大会社のグループ企業が出資した法人の場合、特定新規設立法人として設立年度から課税事業者になります。
ただ、設立法人の株式の50%超を保有しているかどうかのルールが複雑なため、税理士さんに相談するなどして確かめておく必要があります。
消費税を免税する際の注意点
消費税はどのように会社を設立したか、いつ設立したかによっても納税義務が生じるかどうかが変わってきます。
これから法人を設立するという方は、消費税が節税できるかどうか慎重に検討する必要があります。
会社設立は節税になる?
事業が軌道に乗り始め、個人事業主から法人化して事業を拡大しようと考えている人もいるのではないでしょうか。
事業のイメージ刷新や融資対策として法人化することを考えることがありますが、気になるのは税金のことです。
もし今個人事業主の場合、そもそも会社設立をして法人化することは節税になるのでしょうか。
ここでは個人事業と法人の違いについて解説します。
所得税と法人税の違い
個人事業主と会社の社長では、課される税金が違ってきます。
個人事業主の場合、売上高から必要経費を差し引いたものである利益がそのまま自分の所得となり、これを「事業所得」といいます。
これに対してかかるのが「所得税」という税金です。
一方で会社を作ると会社の利益に対して「法人税」がかかります。
しかし、社長個人が法人から得た役員報酬については給与所得として所得税が課税されます。
例えば、売上が1000万円、そのうち経費が300万円の個人事業主の場合、700万円の利益に対して所得税が課税されます。
一方、法人化して社長1人だけの会社だとすると、社長の役員報酬が400万円の場合、法人としては、売上から経費300万円と社長の役員報酬400万円を引いた300万円に対して法人税が課税されます。
400万円の報酬については、社長個人に対して所得税が課税されます。
所得税は、所得が小さい人ほど安くなるため、個人事業主として得た700万円の所得より、社長として得た400万円の所得にのみ課せられた税金の方が安くなるのです。
結果としてトータルで負担する税金を小さくすることができるのです。
会社の経費にできるもの
また、法人では経費として扱えるものも異なります。
法人の方が個人事業主よりも経費っとして扱えるものが多く、節税につながります。
借上社宅
経費になるものの1つとしては借上社宅があります。
借上社宅とは賃貸住宅を会社名義で借り、それを社宅として役員や従業員に貸与するという制度です。
個人事業主の場合、自宅を事務所としている場合は事業に使われる部分のみが経費となり、住居として使っている部分は経費にはなりません。
一方で法人の場合であれば、賃借契約を法人で行い、役員の借り上げ社宅として取り扱うことによって、住居であったとしても、その家賃のおおむね50%を経費とすることができるようになります。
生命保険料
個人事業主の場合、所得税の計算において、「生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」を合計しても年間で最高12万円までしか生命保険料の控除を受けることができません。
一方で契約者と受取人の両方を会社にして生命保険に加入すれば、社長に対する生命保険であったとしても保険料の全額を会社の経費として処理することができます。
種類によっては全額を経費として扱うこともできます。
法人化したときのデメリット
これまで法人化することで節税になることを紹介しましたが、法人化することには少なからずデメリットもあります。
一つ目に売上が赤字であっても税金がかかってしまうという点です。
個人事業主であれば、事業が赤字だった場合、住民税、消費税、個人事といった本来支払うべき税金が免除され、住民税の均等割のみが課されます。
しかし会社であった場合、たとえ赤字であったとしても法人住民税の均等割を支払う必要があります。
法人住民税の均等割は23区の場合で最低7万円と、住民税の均等割に比べて高額であるため、事業が赤字だった際は大きな負担となります。
デメリットの二つ目は社会保険の加入が義務付けられているという点です。
社会保険には、労災保険、雇用保険、厚生年金保険、健康保険、介護保険があり、労災保険と雇用保険をまとめて「労働保険」、健康保険と厚生年金保険、介護保険をまとめて「狭義の社会保険」と言います。
個人事業主の場合、従業員が4人以下であれば労働保険のみ加入が必要で、それ以外は任意となっています。
しかし法人化すると、たとえ社長1人だけの会社であっても、全ての社会保険に加入しなければならず、各保険料について、会社が一部または全部負担しなければなりません。
従業員が複数名いる場合はこれらの保険料が大きな負担となる可能性があります。
法人税を払わなかった場合どうなるの
税務署は納税に対して非常に厳格であり、法人税をもし払わなかったり、期限を過ぎてしまったりしていた場合、ペナルティが課されてしまいます。
適切に確定申告を行えるように、ここでは法人税の確定申告の期限や期限を過ぎてしまった場合の対処法について解説します。
法人の確定申告の期限
法人が申告・納税すべき税金は先ほど紹介した法人税、法人住民税、法人事業税、消費税の4つです。
法人税は事業年度終了の日の翌日から2カ月以内、法人住民税と法人事業税は課税事業年度終了の日の翌日から2カ月内、消費税は課税期間の末日の翌日から2カ月以内が申告の期限となっています。
つまり、12月末決算の法人の場合、翌年2月末日が期限ということになります。
また、法人税と消費税は国税に当たり、法人の住所地の税務署が提出先です。
法人住民税と法人事業税は地方税に当たるので、法人の住所地の地方自治体(都税または県税事務所、市区町村の役所など)が提出先となります。
期限を過ぎた場合の対処法
期限内に申告をすますことが重要ですが、万が一過ぎてしまった場合は、期限後申告をすることも可能です。
しかし期限内申告が義務として課されている目、原則としてペナルティが課されることになってしまいます。
また申告をせずに「無申告」でいた場合は税務調査が入り、所得額や税額を税務署が推計・判断した上で決定の通知をし、法人に対して決定した納税額の納付を促してくることがあります。
ペナルティの種類と内容
確定申告を期限内に行わなかった場合、次のようなペナルティが課されることになります。
適用される条件は厳しく定められており、法人の納税に対する誠実な姿勢が重要となります。
延滞税
延滞税とは納付期限までに納付しなかった場合に払うことになるペナルティです。
延滞税は利息的な性質を持っていて、原則として本来納税すべき期限の翌日から納付する日までの日数に応じて計算されます。
これは期限後に確定申告をした場合や、無申告で税額決定を受けた場合だけでなく、期限内に確定申告をしたものの納税だけが期限後になってしまった場合にも納めることとなります。
延滞税の金額は、納税した日が期限の翌日から2ヶ月以内の場合は、「納付すべき税額×(年「7.3%」か「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合)×経過日数〕÷365日」の計算式で算出されます。
納税した日が納期限の翌日から2カ月を経過した日以後の場合は、先ほどの金額に加えて、「納付すべき税額×(年「14.6%」か「特例基準割合+7.6%」のいずれか低い割合)×納期限の翌日から2か月を経過する日の翌日から経過した日数〕÷365日」の計算式で算出されます。
無申告加算税
期限内に申告しなかった場合、無申告加算税が課されることになります。
これは本来納めるべき税金の金額によって、次のように区分されます。
納めるべき税金の内、50万円以下の部分は、「納めるべき税金×15%」、納めるべき税金の内、50万円を超える部分は、「納めるべき税金×20%」が支払うべき額となります。
ただしこれは税務署から指摘を受けてから申告した場合の額であり、その前であれば「納めるべき税金×5%」が無申告加算税となります。
また、「期限後申告を法定申告期限から1か月以内に申告していること」と「期限後申告で納付すべき税金を法定納期限までに納付しているか、過去5年間は期限内申告をしていること」の2つの要件を満たしていれば、無申告加算税は課されることはありません。
重加算税
重加算税は最も思いペナルティであり、申告内容についてごまかしや嘘、または隠蔽の意図があったが故に無申告、または期限後申告の提出があった場合に無申告加算税の対象となった税額に対して、40%の割合で課せられる税金です。
例えば売上を意図的に抜いていたり、経費の水増しや架空経費の計上などがあったとなると、重加算税が課されてしまいます。
この重加算税が課せられた場合、本来の納付金額の倍ちかく納めなければならなくなる可能性があります。
利子税
利子税は公認会計士や監査法人の監査を受けなければならない等の理由で申告期限を延長した場合の利息にあたる税金です。
支払うべき額は「納付金額×(7.3%と特例基準割合+1%のいずれか低い割合)」となります。
税金のことは税理士に相談すべき?
会社を設立する上で、税金のことを詳しく理解しておくことは非常に重要です。
しかし何かと複雑でわかりにくいこともある税金のこと。
税金のプロである税理士に相談することで、正しく税金を納めることができます。
税理士が行ってくれること
税理士は税金に関わる申告・申請などを本人の代理で行う「税務代理」、確定申告書や相続税申告書といった「税務書類の作成」、税務の相談を受ける「税務相談」といった業務を行ってくれます。
決算書や確定申告の書類作成
先ほど説明した通り、会社を設立した際には決算や確定申告などの税務処理を行う申告書類の作成は必須の業務になります。
自分自身で処理することも可能ですが、税理士に依頼することで早く、正確な書類を作成してもらうことができます。
税に関する法律は年々更新され、それら全てを経営者や会社が把握しておくことはとても大変です。
税理士に書類の作成を依頼することで、領収書の整理などにかかっていた時間を業務に当てることができます。
記帳代行
「記帳代行」は、領収書の計算などの帳簿作成というような経理業務を代行するサービスです。
記帳業務は青色・白色申告の関係なく提出が必須となっています。
白色申告の個人事業主でも、「帳簿への記帳」と「記録の保存」をする必要があります。
この場合も税理士に依頼することで、作成した伝票や仕訳帳、現金出納帳などをもとに総勘定元帳を作成する、といったような会計業務の時間が取れない場合に、会計ソフトの入力などを代わりに行ってもらうことができます。
ただ、記帳代行はあくまで帳簿を作成する代行業務であり、仕訳をおこすための作業は会社自身が行う必要があります。
税務調査
税務監査とは簡単にいうと、会社の経理や帳簿をみて、税法にのっとって正しい会計処理ができているかを監督、指導することをいいます。
間違った経理業務を続けていたら、正しい結果は把握することができません。
対面ではなく、メールやクラウドソフトを利用してチェックしてもらうことも可能です。
また、経営者自身が会計ソフトで入力している場合でも、会計ソフトでは税務的な判断をすることができず、その入力があっているのか、税務署から否認されることはないのかまではわかりません。
また経理についても指導してもらうことで会計についての知識も身につき、より正しい経営判断をすることができます。
税理士にならって正しい経理・会計の知識を得ることで、キャッシュフロー計算書の分析・経営戦略・適切な節税対策の実施なども可能になり、健全な企業経営につなげることができます。
顧問税理士を頼むメリット
税理士にサポートを頼む場合には、事業や資産、相続に関する税務申告などをその都度お願いする場合と、顧問契約を結ぶ場合があります。
顧問税理士はこれまで述べたような業務を行ってくれるだけでなく、様々なメリットがあります。
正しく節税を行ってくれる
お金のプロである顧問税理士を雇うことで、正しく節税を行うことができます。
会社の経理を見直し、指導してもらえるため、節税のやりすぎで追徴課税を課せられる、といったミスを犯すこともありません。
税務に関する相談ができる
契約を結んだ顧問税理士であれば、気軽に税務に関する相談を行うことができます。
帳簿付けなどの煩雑な業務をしてもらえるだけでなく、そこから見えてくる経営の問題点なども指摘してもらうことができます。
顧問税理士がいればちょっとした疑問にもすぐに答えてもらうことができ、追加の支払いも必要ありません。
正確な書類作成を行ってくれる
先ほども述べたように、税理士は税に関するプロであるため、決算や確定申告などに必要な書類を正確に作成してくれます。
申告書に漏れやミスがあるとペナルティを課されてしまう場合があります。
そうならないためにも、正確な書類を作成してくれる税理士に依頼するのが良いでしょう。
他の士業とのネットワークができる
事業を行っている中で、さまざまな契約を結んだり、顧客や取引先とのトラブルや社内の労働問題などで、司法書士や弁護士、社会保険労務士などの手を借りるケースが増えてきます。
税理士はほかの士業の専門家とのネットワークを持っているため、顧問税理士に相談すれば必要に応じて適切な専門家を紹介してもらうことができます。
会社設立の際は経営サポートプラスアルファにご相談ください
これまで、会社設立の際に必要となる税金の基本的な知識についてご紹介してきました。
法人が納める必要のある税金は、法人税や法人住民税、法人事業税、固定資産税、消費税など、様々なものがあり、どれも重要です。
その中でも法人税は個人事業主と法人の、課せられる税金としての大きな違いの一つであるため、その概要を詳しく把握しておく必要があります。
税金は、何を支払うべきなのか、いつまでに支払うべきなのかをきちんと知っているかどうかで金額が変わってきます。
期限などをきちんと把握していなかったり、書類に漏れや虚偽の事項があったりすると追徴課税を課されてしまう可能性があります。
きちんと税金について把握していれば、適切な節税を行うこともできます。
こういった様々な税金に関する業務は、プロである税理士に依頼することをオススメします。
税理士に相談・依頼することで、煩雑な業務を代行してもらえるだけでなく、節税も効果的に行うことができます。
節税は会社にとって重要なことですが、誤った方法でしてしまうと脱税行為とみなされてしまう可能性もあります。
税理士の指導の元で、適切に節税を行うことで脱税行為を回避することができます。
また、税理士と顧問契約を結ぶことで税金に関わらず会社設立・経営に関する全てを相談できるようになります。
経営者が抱える税務についての悩みや業務について気軽に相談することができるだけでなく、俯瞰的な視点で経営状況を把握した上で、適切な税務アドバイスを受けることができます。
これから会社設立を考えている方も、すでに設立しているものの税務に関して不安がある方も、税理士に相談することを考えてみてはいかがでしょうか。
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