不動産投資において、ある程度の規模や収益が見込まれる場合、法人化を検討することが一般的です。法人化することで、税制上のメリットや相続対策、資産の分散管理が容易になりますが、一方でコストや手続きの複雑さも伴います。本記事では、不動産投資を法人化する際のメリットやデメリット、具体的な手続きについて詳しく解説します。
不動産投資の法人化のメリット
1. 節税効果
法人化することで、所得税の累進課税から法人税のフラットな税率に移行するため、所得が多いほど節税効果が大きくなります。また、役員報酬や経費として認められる項目が増え、さらに節税の幅が広がります。例えば、役員報酬を家族に分配することで、家族全体の所得税負担を軽減することが可能です。
2. 相続対策
不動産を個人名義で保有していると、相続時に大きな相続税が発生しますが、法人化することで、株式を相続させる形にでき、相続税を抑えることができます。さらに、株式の分割や役員報酬の調整を通じて、柔軟な相続対策が可能となります。
3. 資産と負債の分離
法人化することで、個人の資産と法人の資産を明確に分けることができます。これにより、個人の資産が不動産投資によるリスクに晒されることを防ぎ、資産管理が容易になります。また、法人として融資を受けることで、個人の信用に依存せずに事業を拡大することができます。
4. 融資を受けやすくなる
法人としての信用力が高まるため、金融機関からの融資が受けやすくなります。特に大規模な不動産投資を行う場合、法人としての融資枠を活用することで、事業拡大のスピードを加速させることができます。
不動産投資の法人化のデメリット
1. 設立および維持費用の増加
法人を設立する際には、定款の作成や登録免許税などの初期費用が発生します。また、設立後も法人住民税や会計処理のための費用が継続的にかかります。特に、赤字であっても毎年法人住民税(通常7万円程度)が課されるため、事業の収益性をしっかりと見極める必要があります。
2. 決算および税務申告の複雑化
法人化すると、決算や税務申告が必要となり、個人事業主に比べて会計処理が複雑化します。これに伴い、税理士や会計士のサポートが必要となり、その費用も運営コストとして考慮する必要があります。また、法人としての決算処理が遅れると、ペナルティが課されるリスクもあります。
3. 資産管理の煩雑さ
個人名義と法人名義で不動産を管理する場合、資産管理が煩雑になる可能性があります。特に、法人と個人間での取引や資産の移動において、税務上の問題が発生しないように注意が必要です。また、法人設立時に既存の不動産を法人に移転する場合、登記費用や譲渡所得税が発生することがあります。
法人化を検討する際のポイント
1. 収益規模の見極め
不動産投資の収益が一定規模に達した場合、法人化による節税効果が顕著に表れることがあります。特に、年間所得が高額になる場合、個人事業主としての税負担が大きくなるため、法人化による法人税の適用が有利となります。
2. 将来的な事業拡大
不動産投資を拡大していく計画がある場合、早い段階での法人化が有効です。法人としての信用力を活かし、融資を受けやすくすることで、事業拡大の資金を確保しやすくなります。また、法人化することで、複数の物件を効率的に管理できるようになります。
3. 専門家のサポート
法人化は、税務や法務に関する複雑な手続きが伴うため、専門家のサポートを受けることが重要です。税理士や司法書士、不動産コンサルタントなどの専門家に相談しながら、最適な方法で法人化を進めることで、リスクを最小限に抑え、最大のメリットを享受することができます。
不動産投資で法人化するのに役立つ資格
不動産投資で法人化するのに役立つ資格には、以下の4つがあります。
- 宅地建物取引士
- ファイナンシャルプランナー
- 管理業務主任者
- 不動産鑑定士
宅地建物取引士
宅地建物取引士というのは、宅建と言われる資格で、主に不動産会社で賃貸物件や売買物件の仲介を行う際に必要な資格になります。
宅地建物取引士の資格を持っていることで、これらの業務に占有的につけるだけではなく、不動産投資であっても宅地建物取引士の資格が有効でしょう。
宅地建物取引では、賃貸物件や売買物件について学ぶだけではなく、契約についてメインで学ぶことになります。そのため、自分が不動産を購入する際に必要になる知識も得られるということです。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーとは、FPと言われる資格でお金関連の知識を身につけるのに非常に役立つ資格と言われます。
特に、不動産投資のように投資の場合はファイナンシャルプランナーの資格を持っていることで、効率的に投資ができるだけではなく、自分の人生設計も行うことが可能です。
例えば、不動産投資で法人化をする際に、いつまで不動産が投資で生計を立てられるのか不安な部分も多いでしょう。それ以外にも、不動産投資をする中でどのような物件に対して投資をすればいいのか、自己資金をどのくらいの割合で投資すればいいのかなど不明な部分も多いです。
管理業務主任者
管理業務主任者とは、マンションの管理をする際に必要な国家資格になります。
不動産投資の中でも、マンションを一棟を購入し、そこの管理を自分で行う場合は管理業務主任者の資格を持っていると、自分でもマンションの管理をすることができるので、経費を抑えることができるでしょう。
管理業務主任者は、マンションの管理における重要事項や管理業務の報告のために設置された資格です。管理業務主任者の資格は、年に1回の試験で合否が決まります。
合格率は50%前後です。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の価値を判断するための資格です。
不動産鑑定士の主な活躍場所は、住宅価格の判断や不動産を証券として販売したい場合の価値判断などになります。そのため、不動産鑑定士の仕事はどちらかというと、不動産そのものの価値を見極めるための専門家と言えるでしょう。
不動産鑑定士の資格は、不動産投資として法人化をするのであれば取得しておいた方がいい資格のひとつです。不動産鑑定士の資格を取得しておくことで、自分で不動産の価値を判断することができます。
特に、不動産鑑定士は不動産の価値判断の専門家としての役割が大きく、不動産鑑定士の資格を持って不動産の価値を見極めることができるようになると、自分が損をしないように物件を購入できるだけではなく、投資対象として収益性の高い物件を自分でも見極めることができます。
まとめ
不動産投資で法人化するかどうかは、税金やすでに所有している物件数などから決めるといいでしょう。
また、不動産投資で利益を出していても、法人化しない人がいるのも事実です。
経営サポートプラスアルファでは、個人でも法人でも独立を少しでも考えている人のご相談に乗らさせていただいております。
相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。