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不動産業で法人成りする必要はある?リスクは?必要な手続きや節税のポイントなどを解説!

不動産業で法人成りする必要はある?リスクは?必要な手続きや節税のポイントなどを解説!

不動産業をしていて節税を考えている方は法人成りに興味を持つのではないでしょうか。

しかし、法人成りにはリスクもあり不安になる人は多いでしょう。

そこで、不動産業で法人成りをするのに必要な手続きからリスク、節税のためのポイントまで解説します。

不動産業で法人成りするケースは多い

不動産投資を目的として不動産業を行っている人は多いです。

この場合、節税をすればより多くの利益を得ることができます。

節税にもさまざまな方法があり、その中でも法人成りで税金を節約しようとする人は多いです。

税理士に相談をしたら法人成りを勧められたというケースもよくあります。

不動産投資で法人成りをするのは珍しいことではないです。

不動産業で法人成りをする理由

なぜ不動産業で法人成りをするのか理由を紹介しましょう。

節税できるから

節税のために法人成りするケースは多いです。

個人事業主として不動産業をやるよりも法人の方が節税しやすくなります。

また、法人の方が最高税率は低く、役員報酬として給与を得れば給与所得控除の適用も可能です。

法人成りすればさまざまな方法で節税できます。

経費にできる範囲が広がる

法人の方が経費にできる範囲が広がるため法人成りするケースがあります。

たとえば、家族を役員にして役員報酬を支払うことが可能です。

退職金を積み立てることもできます。

これらは経費として計上できるため節税効果が大きいです。

損失を最大で10年まで繰り越せるから

法人になると損失を最大で10年まで繰り越せる点がメリットです。

不動産業をしていて損失が生じるケースは少なくありません。

法人化していると大きな損失が生じたとしても、翌年以降の税金を大幅に抑えることができます。

法人成りして最初の2期は消費税が課税されないから

法人成りすると最初の2期は消費税の免除を受けられるのがメリットです。

個人事業主で消費税の課税事業者の要件を満たしたとしても、法人成りすればリセットされます。

個人事業主と法人は別人格として扱われるからです。

個人事業主として不動産業の売上が上がってきたところで法人成りをすれば、消費税が課税されるタイミングを遅らせることができます。

相続対策できるから

不動産業の相続対策をするために法人成りするケースがあります。

法人成りすると不動産を法人名義で所有することが可能です。

たとえば、法人の代表が亡くなった場合に家族が会社の株式を相続すると、自動的に会社が所有する不動産を家族に移せます。

この場合は相続を経ることなく家族に不動産を渡すことができ相続税は発生しません。

また、法人の借り入れを増やして負債が増えた状態で相続させるという選択肢もあります。

この場合は、資産と負債が相殺するため、不動産を所有する法人の株式を無税で贈与させることが可能です。

不動産業で法人成りするリスク

不動産業で法人成りする場合のリスクについて解説します。

法人成りの手間と費用がかかる

法人成りするためには定款の作成や認証、資本金の払込み、登記申請といった手続きが必要です。

会社設立後も社会保険の手続きや法人口座の開設などするべきことはたくさんあります。

法人成りするための書類の準備などに手間がかかるのはデメリットです。

準備に忙しくて本業に影響する恐れもあります。

また、会社設立のためには費用がかかります。

株式会社は約25万円、合同会社は約11万円の法定費用が発生するのです。

費用の負担がかかる点も法人成りのリスクといえます。

会社を維持するための費用がかかる

会社設立をした後は、会社を維持していくために費用がかかります。

法人の場合は会計処理など手続きが複雑になるため専門家に依頼するケースが増えて報酬を支払う必要があります。

また、社会保険への加入義務があるため、社会保険料の負担が増える点もリスクです。

赤字の場合でも法人住民税の均等割を支払う必要があります。

株式会社の場合は役員に任期があるため注意しましょう。

役員変更の登記手続きの費用がかかります。

毎年決算公告をする義務があり、そのための手続きにも費用がかかるため気をつけてください。

税務調査を受ける可能性が高くなる

個人事業主より法人の方が税務調査を受ける可能性が高いです。

毎年、個人事業主の1%、法人の3%が税務調査を受けています。

そのため、法人の方が税務調査に入られやすいです。

会計処理が複雑になる

法人は会計処理が複雑になる点がデメリットです。

自分で対応する場合は手間がかかり、間違える可能性も高くなります。

専門家に相談する場合は正しい会計処理ができるのですが、報酬を支払わなければいけません。

個人から法人へ不動産を移すための手続きが必要になる

個人事業主として不動産業をしていたならば、法人に不動産を移すための手続きが発生します。

贈与や売却、現物出資といった方法があり、どの手続きも専門的な知識が必要で手間がかかるため注意しましょう。

個人で借りたローンを法人名義にできないケースがある

個人事業主としてお金を借りて不動産を購入したケースがあります。

この場合、個人事業主として利用したローンは、法人に簡単に移すことはできません。

個人事業主と法人は別人格として扱われるからです。

そのため、法人へローンを移す場合には審査を受けなければいけません。

債権者が認めてくれないケースもあり、その場合は法人成りする場合に個人事業主としてローンを完済する必要があります。

個人から法人へ不動産を移す方法

個人事業主から法人へ不動産を移すための方法を紹介します。

贈与

会社設立をした後で個人事業主から法人へ不動産を譲渡するという方法があります。

この場合は、譲渡されたことで法人側に受贈益が生じるため利益が発生して課税されるため注意しましょう。

また、個人事業主側も時価で譲渡があったとみなされて譲渡所得が発生します。

売却

個人事業主から新設会社へ資産を売却するという方法があります。

この場合、不動産の売却価格は時価とするのが原則です。

ただし、時価がわからないものは簿価で評価しても問題ないとされています。

簿価とは取得価額から減価償却を控除した金額です。

資産の売却では、売却によって得た金額から簿価を差し引いたものが損益となります。

簿価で売却する場合は損益が発生しないため、個人にも法人にも税金は発生しません。

現物出資

会社設立の際には通常は金銭を資本金として出資するのが一般的です。

ただし、現物出資といって不動産や自動車、有価証券などを出資することもできます。

税法上では、現物出資は出資した側が資産を時価で売却したと扱います。

時価より低い金額で出資をしても、時価で売却したと扱われるため、個人に譲渡益が生じて課税されます。

したがって、現物出資を選んだとしても、金銭を用意する必要がなくなるわけではなく、納税のための資金を用意しなければいけません。

また、現物出資をする場合は調査に対応する必要があります。

不動産の譲渡や売却といった方法と比較すると手間がかかるため、現物出資はあまり現実的な選択肢ではありません。

不動産業で法人成りするのに必要な手続き

不動産業で法人成りする際に発生する手続きを紹介します。

会社設立登記

法人成りするためには会社設立登記をする必要があります。

会社設立登記のために必要な書類は下記の通りです。

設立登記申請書
定款
登録免許税納付用台紙
発起人決定書
出資金の払込証明書
印鑑届出書
代表取締役等の就任承諾書
取締役の印鑑証明書

ただし、法人形態や機関設計などにより必要な書類が変わることもあります。

事前にしっかりと調べた上で必要書類を用意しましょう。

税務署に法人設立届出書と青色申告承認申請書を提出する

会社の登記申請を終えた後は税務署に法人設立届出書を提出します。

また、青色申告をするための青色申告承認申請書も忘れずに提出しましょう。

また、従業員を雇う場合は、「給与支払事務所等の開設届出書」も税務署に提出してください。

社会保険の手続きをする

法人は社会保険の加入義務があるため、会社設立後に社会保険の手続きをします。

健康保険や厚生年金の届出を年金事務所で行いましょう。

また、従業員を雇う場合は労働保険や雇用保険の届出も必要です。

不動産の名義変更の手続きをする

法人成りで個人から法人へ不動産を移す際には不動産の名義変更が必要です。

名義変更は法務局に申請をして審査を受ける必要があります。

書類に不備があれば再提出を求められるため注意しましょう。

申請してから2週間程度で登記手続きは完了します。

専門的な事柄が関係するため専門家に任せる人が多いです。

会社設立を専門家に依頼する場合は、ついでに不動産の名義変更の手続きも任せると良いでしょう。

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不動産業で法人成りする際の注意点

不動産業で法人成りを行う際の注意点を説明します。

所得が低いのに法人成りしてもあまりメリットはない

所得が低い場合は法人成りのメリットがあまりありません。

個人事業主で所得が低いと納税額はそれほど高くないからです。

個人事業主は所得の695万円以上で899万円までの場合は税率が23%、900万円を超えると税率が33%になります。

法人は所得が年800万円以下の部分については税率が15%か19%になり、800万円を超える部分は23.2%です。

所得が700万円や800万円程度まで上がってきたならば、法人成りすることで大きな節税効果を期待できます。

役員報酬は1年に1度しか決められない点に注意する

法人になると役員報酬という形で給与を得られます。

ただし、役員報酬は簡単に変えられるわけではなく、基本的には1年に1度しか決められません。

特別な事由がない限りは役員報酬が固定されるため慎重に決めましょう。

高額な役員報酬を設定して、年度の途中で事業売上が落ちると役員報酬の負担に苦しめられます。

長期保有した不動産の売却は法人の方が税率が高い

個人事業主は不動産の売却で譲渡所得が発生します。

譲渡所得の税率は不動産の所有期間により異なるのが特徴です。

個人事業主では不動産の所有期間が5年以下だと所得税率が30.63%、5年を超えると所得税率は15.315%です。

法人の場合は、不動産売却で得た所得は他の収益や経費と合算されます。

法人税の課税所得の税率は、資本金が1億円以下の法人の場合、年800万円までの所得は15%か19%、年800万円以上の所得は23.2%です。

したがって、5年以内の短期所有の不動産売却は法人の方が得であり、5年以上の長期保有の不動産売却は個人事業主の方が節税できます

会社員が法人成りする場合は副業規定に注意する

会社員として不動産投資の事業をしていて法人成りするケースがあります。

この場合は副業規定に注意しましょう。

法人成りして役員報酬をもらうと勤め先と自分で設立した会社の両方から給与を得ることになります。

この場合は、それぞれの会社の給与に応じて社会保険料が天引きされるのです。

そのため、保険料の支払額から法人化したことがバレる可能性があります

会社員が会社設立をするのは副業規定に抵触するケースがあるため注意しましょう。

法的に問題がなかったとしても、勤め先の会社と争うことになり裁判にまで発展するケースもあります。

法人成りする際にはあらかじめ勤め先に相談すると良いです。

専門家のアドバイスを受けて慎重に検討することが大切

不動産業で法人成りするのは必ずしも得な選択になるとは限りません。

リスクがあり、法人成りで損をすることもあります。

不動産を法人に移す方法や法人形態など決めなければいけないことが多く、自分で手続きを進めると判断を誤るリスクもあるのです。

そのため、法人成りする際には専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

専門家に相談をして、いろいろな意見や提案を聞いた上で法人成りを検討しましょう。

不動産業での法人成りを専門家に相談したいならば経営サポートプラスアルファにご相談ください。

会社設立の専門家としてアドバイスから提案まで対応できます。

まずは気軽に経営サポートプラスアルファまでお問い合わせください

不動産業の法人成りについて専門家に相談しよう

不動産業の法人成りによって節税効果を得られます。

損失を最大10年繰り越せる点や相続対策できる点もメリットです。

ただし、手続きに手間と費用がかかり、ランニングコストも発生するといったリスクがあります。

本当に法人成りが賢い選択なのか専門家に相談をしてよく考えてください。

不動産業の法人成りに興味のある方は経営サポートプラスアルファにご相談ください。

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