「会社設立に興味があるけど、具体的に何をするのか、また、会社設立がどれほど大変なことなのか、がわからない…」という方のために、会社設立までの流れを紹介します。
会社設立は、簡単なことではありません。
会社を設立する際の手間を含めて、会社の設立を検討する際の参考にしてください。
会社設立の基礎知識
会社設立についての具体的な流れを説明する前に、身につけておくべき基礎知識を解説します。
会社の設立には、お金も時間もかかります。
会社設立メリット
会社設立のメリットは、信頼度が高まり人材確保がしやすくなったり、決算月を自社で決めることができたりすることなどたくさんあります。
今回は、メリットの中でも大きな「税金面」と「信頼度」について解説します。
税金面
起業するメリット で、とりわけ大きいものが税金面です。
個人事業主に課されるのは、所得税ですが、会社に課されるのは、法人税です。
法人税は、累進課税制度のある所得税と違い、一定のため、利益が大きい場合は、個人事業主に比べ、多くの利益を享受することができます。
また、法人にすることで、個人の所有物ではなくなるため、相続税がかかりません。
相続税は、財産があればあるほど税率が高くなります。
信頼度
会社を起業することで、個人事業主より信頼度が上がります。
なぜなら、会社の義務である登記をすることで、公的に資本金や資金力などが保証されるからです。
新規事業の立ち上げをする際などに、信頼度は大きく関わります。
銀行の融資を受ける際にも、登記により会社の経営状況をすぐに把握でき、第三者保証人などが要らないため、個人事業主に比べ、資金の調達がしやすくなります。
会社設立のデメリット
会社設立には、メリットもありますが、デメリットもあります。
費用や手続きに分け、それぞれのデメリットを解説していきます。
デメリット
自営業のように今日から仕事を始めますと言って、会社をすぐに稼働できるわけではありません。
会社組織にするためには、法務局で会社設立の登記を行わなければなりません。
費用面
会社設立にあたり、株式会社で登録するにしても、合同会社で設立をするにしても、相応の費用がかかります。
まず、最初に必要なのは、約款に関しての費用です。
株式会社を作る場合には、作成した定款を公証人役場で認証する事が必要になります。
この金額が、紙ベースで認証手続きを行いますと、収入印紙代4万円+5万円+約款の謄本代が手数料としてかかりますので、最低でも9万円+αはかかります。
少し高いなと思われる場合、電子認証という方法もあります。
この認証方法でしたら、4万円の収入印紙が不要となり、5万円+謄本代の手数料で済むため、紙ベースでの認証に比べると節約できます。
合同会社の場合ですと、公証人役場での認証が不要なため、紙ベースで約款を作成する場合は印紙代4万円が必要となりますが、電子認証の場合は不要となります。
次に必要な費用は、法務局での設立登記の申請にかかる費用です。
この費用は正式には、登録免許税といい、株式会社の設立には最低15万円、合同会社の設立には最低6万円の印紙が必要となります。
この計算方法は、
株式会社の場合、資本金×7/1000 ※15万円に満たない場合は一律15万円の印紙代
合同会社の場合、資本金×7/1000 ※6万円に満たない場合は一律6万円印紙代となります。
そして、登録とは直接関係のない費用ですが、法務局に会社を登録する際に会社の実印も登録します。
そのため、会社設立までには自身の会社用の印鑑も用意するようにしましょう。
そして資本金も忘れてはいけません。
かつての法律が改正され、現在では、最低資本金額が撤廃されていますので、理論上では1円からでも設立はできますが、幾分かはご用意されることをお勧めします。
手続き
手続き上のデメリットは、法務局への登録手続きをする手間がある事です。
手続き前には、自社の約款をしっかりと定めなければなりません。
適当に作成すれば良いわけでは無いので、時間等を取られ、デメリットと感じられるかもしれません。
申請前には本社をどこにするか決めておかなければなりません。
自宅にするのならば問題ありませんが、賃貸等で登録ができない場合、事務所をレンタルする手続きが必要になってきます。
また、会社印の作成の発注など、手続きが多く、これらの事もデメリットと感じられるのでは無いでしょうか。
会社の種類
会社を設立する際、まず株式会社を考える方が多いでしょう。
しかし、実は会社には種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
最近では、特に株式会社と合同会社を設立する場合が多くなってきています。
以下で、株式会社と合同会社を説明します。
株式会社
信頼度が高く、出資者責任が有限のため、債務返済を必要とする事態になった際のリスク軽減が望める企業形態 です。
最大のメリットは、一般から「株」で融資を受けられることです。
また、現在は、資本金1円から設立が可能となりましたが、設立にかかる費用は、他の企業形態と比べると最大で、会社の財務状況を定期的に開示する義務があります。
合同会社
合同会社は、会社の設立にかかる費用が約6万円と、株式会社に比べはるかに低コストです。
また、財政状況の開示義務もなく、内部自治を自由にできるため、出資者と経営者が同一です。
しかし、自由度が高い分、しっかりとした定款の取り決めをすることが重要です。
また、信頼度が株式会社に比べ低いというデメリットがあります。
会社設立の費用
株式会社設立にかかる費用
株式会社の設立には、役所に支払う法定費用が、約25万円かかります。
しかし 、実際には必要経費もあるため、もう少し費用がかかります。
資本金は1円からでも会社を設立できますが、100万円〜1,000万円が目安です。
また、設立時に資本金を1,000万円以上にすると、消費税の面で不利になる可能性があります。
合同会社設立にかかる費用
合同会社の設立には、法定費用が10万円かかりますが、資本金の0.7%の金額(登録免許税)が6万円を超える場合、10万円以上になることがあります。
また、法定費用とは別に、必要経費がかかります。
会社設立の流れやかかる期間
以下で、会社設立時の大まかな流れを説明します。
順番を間違うと、提出に必要な書類の不備でタイムロスする場合があるため、注意が必要です 。
1.会社設立前の準備と決めること
商号を定める
商号を決める際は、同業他社と同じ名前をつけるとトラブルが起こる可能性があるため、避けるのが無難です。
また、法人の実印(代表印)が必要です。
規格通り(変形しない材質で、10mmの正方形以上30mmの正方形以下の大きさ)になるように注意しましょう。
事業目的を決める
会社を設立するにあたり、この会社では、どのような事業を行うのかを目的として設定します。
適法性・営利性・明確性の3つのポイントをはっきりとし、どんな人にもわかりやすく事業目的を設定しましょう。
事業目的は、定款へ必ず記載する必要がある項目です。
発起人を決める
発起人は、わかりやすく言いますと株主のことです。
会社設立の役割を担うことになりますので、どのようにするのかを早めに決めておきましょう。
自分一人だけで設立する場合は、特に難しい問題はないですが、複数の人が発起人になる場合は、約款の作成や、出資割合など色々と決めることがありますので、複数人で発起人を行う場合は、早い段階からしっかりと決めておきましょう。
印鑑作成
・代表者印
・銀行印
・社印
・ゴム印
特に社印は登録の際にも必要となりますので、銀行印・ゴム印と共に早い目に印鑑を作成しておきましょう。
代表者印に関して、個人で既に実印を持たれている場合でも、この機会に代表社員を作成した方が良いでしょう。
印鑑説明書
法務局に会社設立の登録に行く場合、個人の印鑑証明も必要となりますので、忘れずに早めに手続きを行いましょう。
資本金を決める
1円からでも資本金は問題ありませんが、ここは現実的な資本金の金額を決めましょう。
払い込みの段取り等もありますので、後々、慌てないように段取りをしておきましょう。
機関設計
これは、取締役や取締役会、監査をどのようにするのか、などの組織の設計図のことです。
最初は、非大企業で非公開会社からのスタートだと思いますので、株主総会と取締役、また内部監査と外部監査をどのようにするのか等の機関設計を用意しておきましょう
設立費用
登録に必要な実費の費用、設立の手続き等を士業に任せるのであれば、その費用等も事前に用意しておきましょう。
本店所在地を決める
本店所在地は、現在の居住住所でも構いませんが、賃貸の場合は注意が必要です。
事業使用ができない場合もありますし、居住用と事業用では家賃の消費税の扱いが異なりますので、賃貸で自宅住所を使用する予定ならば、事前に大家さん等に確認しておきましょう。
2.定款・定礎の作成と認証
会社設立には定款(定礎)の作成が必須です。
定款とは?
定款とは、会社の基本的な規則を定めたものです。
定款に記載される具体的な例としては、会社の名前(名前)や事業内容、本社の所在地、株式や機関設計の内容、社員の名前、機関設計に関する内容等が挙げられます。
定款を作成する際の記載事項には「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の3種類に分かれています。
それぞれの項目を紹介していきます。
絶対的記載事項
会社設立の定款には、絶対にこのような書式で作成しなければいけないというような厳密な書式があるわけではないので、自社の特性を出してある程度は自由に作成する事ができます。
ただし、定款を作成する際に必ず記載しなければならない事項があります。
これらが記載漏れをしてしまいますと、定款としては無効になってしまいます。
書式は自由ですが、定款に記す内容には注意が必要です。
株式会社の定款には、以下の5種類の絶対的記載事項が必要です。
● 事業目的
● 商号
● 本店所在地
● 資本金額
● 発起人の氏名又は名称及び住所
では、内容について解説します。
「事業目的」
「事業の目的」とは、会社を設立するにあたり、具体的にどのような事業を行うのかを記載します。
事業目的を設定する理由としては、事業内容を知ってもらい、「取引の安定性」を確保するためです。
「商号」
これは、いわゆる会社の名前です。
何の事業を行う会社かをわかりやすく称号にしたり、自分の思いを会社名にしたりするのは良いことですが、商号に使用できる文字や、他社と間違えられないように類似する称号は使えないなど、一定のルールがあります。
商号を決定する際には、事前にリサーチを行い、商号に問題がないかを確認しておきましょう。
本店所在地
こちらは、会社を登記する住所をどこにするのか、という事です。
特に決まりはないので、自分の住所を所在地にされる場合も多いのですが、商用利用が賃貸契約で禁止されている場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
自宅で仕事をすることを前提に、自宅の住所をオープンにしたくない場合などは、「バーチャルオフィス」などを利用するのも良いかもしれません。
ただし、注意点もあるので、バーチャルオフィス利用前にはリサーチを行うようにしましょう。
資本金額
資本金額(出資財産額)は、会社法人を設立する上で、誰がいくら出資したかなど、資金の総額を記載します。
1円からでも会社は設立できますが、事前に、利益が出るまでにはどのくらい経費がかかるのか、取引先に与える企業イメージはどうなのか、などのさまざまな観点や、出資者の状況から資本金額を考えましょう。
もし、創業融資などを検討されるのであれば、融資審査でも資本金額が影響するので、併せてその分も考慮する必要があるでしょう。
発起人の氏名又は名称及び住所
ここには、今回会社を設立する上で関わる発起人全員の氏名と住所を記載しなければなりません。
発起人は1人以上となっていますので、設立準備等を全部自分で行う場合、ご本人のみを記しておけば良いです。
合同会社は上の記載事項の1~3項目に加えて、以下の3種類の項目が必要です。
● 社員の氏名又は名称及び住所
● 社員が有限責任社員であることを示す記載
● 社員の出資の目的と出資の価額又は評価の標準
社員の氏名又は名称及び住所
合同会社の場合の社員とは、出資者のことを指し、株式会社の場合の株主にあたります。
合同会社の場合、「社員=出資者=経営者」という構図になりますので、会社経営は「社員」が担うことになります。
その中でも、株式会社で言う、いわゆる「社長」「役員」に当たる「代表社員」や「業務執行社員」がいます。
このように、「代表権」や「業務執行権」をもつ役職に着く場合に、登記が必要になります。
社員が有限責任社員であることを示す記載
合同会社の社員(出資者)は「有限責任社員」になります。
そのため、定款にはその旨、有限責任であることを記載しておく必要があります。
社員の出資の目的と出資の価額又は評価の標準
全員の出資が現金だけならばわかりやすいですが、パソコンや車などを現物出資するという場合もあります。
この場合、誰が、どれだけの価値を出資したかをしっかりと記している必要がありますので、この項目が必要となってきます。
相対的記載事項
・株式の譲渡制限に関する規定
・株主総会などの招集通知を出す期間の短縮に関する規定
・役員の任期の伸長についての規定
・株券発行の定め
・取締役会の設置に関する規定
・現物出資
・財産引渡
任意的記載
・事業年度
・取締役などの役員の数
・株主総会の議長
・定期株主総会の招集時期
・株券の不発行に関する定め
定款が完成したら、定款認証を、公証役場で受ける必要があります。
電子定款の作り方
電子定款の作成も、基本的には紙での定款作成と内容は変わりません。
ただ、その作成内容を紙で残すか、電子的に残すかの違いですので、どちらで作成するにせよ、内容は、しっかりと確認してから作成しましょう。
正直、電子定款を作る手間や認証の手続きは かなりややこしいです。
Wordなどの文章作成のソフトで定款を作成した後、pdfファイルへと変換します。
この場合、電子署名が挿入を行わなくてはなりませんので、無料のpdf変換ソフトではいけません。
売り切りのソフト、もしくは、サブスクリプション等でpdf変換ソフトを用意するようにしましょう。
作成したpdfの定款に電子署名を行った後、オンライン上で法務局に認証してもらい、その後、公証役場で電子定款を受け取るという流れです。
現在、自身の電子証明はマイナンバーカードに入っているので、所持していないのであれば、この機会に発行しておくのも良いでしょう。
※今後、使う場面が増える可能性もあります。
情報が読み取れるカードリーダーも必要になってきます。
注意するようにしましょう。
定款認証の流れ
・1.定款を作成
・2.公証役場で事前チェック
・3.事前チェックが実印を押し定款を完成
・4.公証役場に連絡し予約
・5.公証役場で認証
・6.定款の受取り
3.資本金の払い込み
資本金は「振込」をしなければなりません。
会社設立のために準備した個人の口座宛に、自分名義で振り込みます。
振り込み完了後、通帳の表紙と1ページ目、振り込みをしたページのコピーを取り、振り込み証明書を作成します。
払込みの方法
資本金の払い込みは、基本的に振り込みにするようにしましょう。
定款認証も終わり、会社を登記する前には、資本金の払込を行わなければなりません。
資本金の払込みに必要なアクションは5つあります。
1・払込み先の銀行口座を用意します
この口座は、まだ会社がない状態なので、発起人の個人口座となります。
資本金を拠出する発起人が複数人いる場合は代表者の銀行口座を用意しましょう。
この場合、できるだけ通帳の発行される銀行を利用しましょう。
2・口座に振り込む
資本金を振り込むのが自分1人の場合は、資本金は振込みを使用せずに口座へ預け入れる入金でも問題ありませんが、出資者が複数人いる場合は、用意した資本金を振込先の口座へと振り込むようにとお願いしましょう。
振込先が自分自身の口座であったとしても、複数人いる場合は、預入ではなく振り込みをしましょう。
発起人各自が、資本金の払い込み完了を証明するためには、氏名が記載されなければ分からなくなるからです。
3・振り込まれた口座の通帳をコピーする
コピーする場所は、“表紙” “表紙裏” “振り込み内容が記載されているページ”の3箇所です。
これは、この銀行口座に資本金の金額が確かに振り込まれていることを証明するために必要です。
4・払込証明書を作成する
払込証明書を作成するには、次の7つの項目を記している必要があります。
① 払込があった金額の総額
② 払込があった株数
③ 1株の払込金額
④ 日付
⑤ 本店所在地
⑥ 会社名(商号)
⑦ 代表取締役氏名
払込があった金額の総額と、払込があった株数は、先に決定しておいた定款に記載した通りの金額と株数を証明書に記しましょう。
1株の払込金額は、金額の総額を払込があった株数で割って出てくる金額を記しましょう。
払い込み証明書に記載されるこの場合の日付とは、振り込みのあった最も遅い日付以降の日付を記しましょう。
本店所在地と会社名(商号)は、定款に記したものを記載します。
それらをまとめた証明書には、会社代表印を2カ所捺印が必要となります。
まず、証明書の左上の部分に1ヶ所と、⑦の代表取締役の氏名が書かれている右側にもう1ヶ所です。
左上の捺印場所は、綴じた時に隠れないようにしましょう。
5・通帳のコピーと払込証明書を一緒に綴じる
最後のアクションは、通帳コピーと払込証明書を1つにして綴じて下さい。
順番は次の通りで、払込証明書が一番上にくるようにしましょう。
次に、通帳コピー(表紙)・通帳コピー(表紙裏)・通帳コピー(振り込み内容が記載されているページ)となるようにしましょう。
そしてホチキスなどで綴じます。
できましたら、各ページの境目に代表者印で割印を押します。
これで、払い込みで行うべきことは完了です。
4.登記書類の作成
登記申請へ向け、登記書類を作成します。
登記とは
一般的に登記と言えば、不動産登記を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、
登記を大きく分けると、先程申しました不動産登記と、もう一つが会社を登記する商業登記です。
登記とは、重要事項を公的に明らかにしておくと言った意味合いがあり、
不動産登記では、不動産の所有者などの権利関係を誰に対しても明らかにするためにする事です。
そして、商業登記とは、企業の事業目的や所在地、それに代表者の所在など、その会社の重要事項を明らかにするためにする事です。
それらの内容を、法務局(登記所とも言われています)に備えられている「登記簿」記載することを登記と言います。
株式会社などを起業した場合、法務局に登記することは、商業登記法により決められている法的な義務手続きです。
では、なぜ株式会社などを起業した場合、登記しなければならないのでしょうか。
登記の目的は、商取引が安全で円滑に進める事が出来る様、情報公開を目的としています。
例えば、
その企業の重要事項が情報公開されているので、
企業と新たに取引を始め用とした時は、登記簿から相手企業の資本金の額や取締役の氏名・住所などの情報を得ることができます。
その内容を鑑み、取引すべきかどうかの判断をする材料になり、何も知らないで取引を行い、不測の損害を受けないように気をつける事ができます。
そのため、相手企業や自社の商取引の為にも登記が必要です。
必要書類
株式会社の登記申請に必要な書類は、こちらです。
・設立登記申請書
・登録免許税貼付台紙
・定款
・印鑑証明書
・発起人の決定書
・就任承諾書
・代表取締役選定書
・会社設立時役員の就任承諾書
・本人確認証明書
・振り込み証明書
5.会社の登記申請
登記申請は、資本金の振込後2週間以内に、設立する会社の本店所在地を管轄する法務局で行います。
登記申請方法
こちらでは、実際に会社を登記する申請方法について具体的に解説します。
必要書類を法務局の窓口での直接登記申請する方法
この登記申請のメリットは、窓口で申請依頼を行う際、申請書類の内容を先方に確認してもらえる事です。
確認をしてもらうことで、万が一不備があった場合すぐに対応できます。
登記書類一式を、法務局へ郵送による登記申請
この郵送による申請のメリットは、近くに管轄の法務局がない地域でも、無理せずに登記申請ができる事です。
郵送方法に関して、特に指定はありません。
普通郵便でも構わないのですが、確実に届いた事が分かる簡易書留や特定記録などを利用し郵送しましょう。
ここで一つ申請に関して注意していただきたいのは、法務局の窓口には管轄地域がある事です。
申請する会社の本店所在地を置こうとしている地域を管轄する法務局に申請を行かなければなりません。
例えば、東京で起業し本社を東京にするのでしたら、東京の法務局窓口で申請すれば良いのですが、東京で起業して仕事を行うが、本店は実家がある北海道にしようとした場合、北海道を管轄とする法務局へと申請に行かなければなりません。
管轄する法務局が異なる場合は、申請を受理していただけませんので、この点は注意が必要です。
窓口での申請も、郵送による申請も、必要書類を提出し、申請内容に問題がなければ、申請受付後、約7〜10日で登記が完了します。
なお、会社の設立日は、いつになるのか?と言う疑問があると思いますが、窓口で直接申請・郵送申請のどちらの場合でも、会社の設立日は書類が法務局に届いた日と決まっています。
直接申請を行った場合は、法務局の窓口で申請書類を受け取ってもらった日、郵送による登記申請の場合、書類が法務局に到達した日となります。
郵送で申請をされる場合、会社設立日の希望日がございましたら、配達日指定の郵送を利用するのが良いでしょう。
※直接窓口で申請した場合、郵送で申請した場合両方とも、書類に不備があった場合は、連絡があります。
その場合は、指摘された箇所を訂正・修正して、期限内に再提出を行いましょう。
※会社登記が完了しても、法務局から報告や連絡はございませんので、注意が必要です。
オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」を利用する
この申請のメリットは、家や事務所からでも申請が可能と言う事です。
この法務局が用意しているオンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」は、専用ソフトをダウンロードし、オンライン上でさまざまなやりとりが完結するため、とても便利です。
但し、このオンライン申請で注意していただきたい事は、オンライン登記申請時、登記を行う申請人の電子署名が必要となる事です。
そのため、利用をお考えでしたら、事前に電子証明書も取得しておきましょう。
(※定款を電子定款で作成していた場合は、電子証明書は必要ありません)。
そして、オンライン登記申請のもう一つのメリットは、申請書類に不備があったとしても、専用ソフト上で訂正・修正を行うことができる事です。
原則として、登記申請は、代表取締役が行うようにします。
開業の届出
無事登記が完了しただけでは、完了ではありません。
会社の設立後には大切な届出が必要です。
大きく4箇所への届出が必要となります。
税務署
まず、税務署に税金関係の届出が必要です。
必須の届出は、「法人設立届出書」です。
こちらは、個人事業主で言う開業届けの様な書類です。
この書類には、次に挙げます添付書類が必要です。
定款のコピー・登記事項証明書・設立時貸借対照表・株主名簿です。
申請時には、一緒に段取りをしておきましょう。
そのほかにも、税法上のお得な制度を利用する場合には、各種届出が必要になりますので、必要に応じて届けましょう。
特に、税金の申告関係の場合、青色申告書は必要です。
各申請には期限がございますので注意が必要です。
都道県税事務所及び市区町村
そして、地方税に関しても届出をする必要があります。
こちらの届出先は、税務署ではなく、都道県税事務所及び市区町村です。
こちらにも法人設立届出を各場所に提出する必要があります。
※地域によっては書式が異なる場合がありますので、各納税地の役所で確認しましょう。
また、どちらにも届出時には、定款のコピーと登記事項証明書の添付が必要となりますので、税務署へ提出する書類を作成時に一緒に用意しましょう。
労働基準監督署及びハローワーク
会社設立時に自身以外に従業員を雇う場合、労働保険への加入手続きが必要となります。
労災保険に関しては労働基準監督署へ、雇用保険に関してはハローワークに従業員が入社した日の翌日から、10日以内に各届出及び手続きを忘れずに行うようにしましょう。
年金事務所
健康保険・厚生年金保険の適用を受けるためにも、年金事務所で社会保険加入の手続きをしましょう。
社会保険加入の手続きには、
○健康保険・厚生年金保険新規適用届:
※登記事項証明書や賃貸借契約書のコピー(事業所が存在を証明する為)を添付します。
○健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届:
○健康保険被扶養者(異動)届:
※地域によっては添付書類が求められることがあります。
事前に、年金事務所に確認しておいてください。
起業は個人事業主にこそおすすめ!
個人事業主が起業し、法人化するメリットは、主に4つあります。
節税対策になること、有限責任にできること、信頼度が上がること、社会保険へ加入できることです。
一方、デメリットは、赤字でも税金の支払いがあること、社会保険への加入が必須であること、会計や事務手続きが増えること、交際費が全額損金に算入できないことです。
法人化により、費用や業務が複雑化しますが、約500万円の事業利益がある場合は、起業して法人化すると、節税の恩恵を受けることができます。
また、節税ができるだけでなく、信頼度も高くなるため、これからの事業拡大を見込むことができるでしょう。
会社設立自分でやるべき?会社設立代行業者に依頼すべき?
自分で事業を始め、会社組織にしたい場合、法務局での登記の手続きを自分でする方が良いのか、代行業者にお願いする方が良いのか、悩むでしょう。
ここでは、代行会社に依頼する場合のメリットとデメリットを解説します。
会社設立を代行業者に依頼するメリット
代行業者に依頼するメリットは色々とございますが、ここでは代表的な4点に関して解説します。
時間の節約になる
そもそも、思慮を作成したのち、公証役場へ出向いたり、その後法務局へ提出したりと結構手間がかかります。
そもそも、何度も経験することでは無いでしょうし、どのように作成したら良いのか、知識を身につけてから始めなければなりません。
この手間がかかる時間、手続き等は依頼し、自分の仕事をして売り上げや利益を追求する方が良いでしょう。
正確性や専門性が高い
定款一つ作るにしても、この方法、作成の仕方は正しいのかどうなのか、すぐに判断はできないでしょう。
もし、間違っていた場合、また訂正して作り直さなければなりません。
このような事で悩むのならば、最初から専門の人に任せた方が良いでしょう。
許認可・届出がスムーズ
専門で仕事として行っている大工業車ですので、許認可の取る方法や提出の仕方など、熟知しています。
プロフェッショナルにお任せした方が確実でスムーズです。
継続的な業務が出来る
会社の設立だけでなく、今後、法務局などで新たに提出書類や登録などが必要になった場合、継続的に相談ができます。
会社設立を代行業者に依頼するデメリット
メリットもあると、デメリットもあります。
ここでは、気になるデメリットを3点解説します。
依頼会社の変更は簡単ではない
一旦代行業車へ依頼をしますと、やっぱり他の業者にお願いしたいと思ったとしても、簡単にはいきません。
キャンセルをして、もう一度依頼となると、時間も金額も2回分必要となります。
費用と成果が見合わない場合もある
基本的に、どこも大体同じくらいの内容で、同じくらいの金額での内容になると思うのですが、万が一、代行業者が、全く知識も経験もなかった場合、思っていた結果にならなくなる可能性もあり得ます。
その場合、時間もお金も、もったいないです。
そのため、代行業者の依頼前には、しっかりとリサーチを行いましょう。
スキルの内省化が出来ない
会社設立の手続きや登記申請など、一連の内容は、会社の経験値となるとは思いますが、代行業者に依頼をかけてしまいますと、このような登記申請などのスキルはつかないままです。
ただ、御社が、士業関係では無いのでしたら、こういった場面はあまり無いでしょうから、そこまでは気にならないデメリットかもしれません。
ただ、やはり定款作成は、今後の会社の未来の姿ですので、作成に参加されても良いでしょう。
まとめ
会社の設立は、目的がはっきりしており、利益を見込めるならば、メリットがたくさんあります。
しかし、節税目的だけで会社の設立をするのは、早計です。
事業形態や家族構成、役員報酬の額など、考慮すべき点はたくさんあります。
本当に、手間と時間をかけて会社の設立をした方が良いのかどうか、熟考しましょう。
会社の設立は、準備すべきものが多い上、守らなければならない規律も多くあります。
このため、慣れていない場合、個人で準備をするのは大変です。
会社設立の準備に時間を取られたくない方に、会社設立の代行をするサービスがあります。
弊社、経営サポートプラスアルファでは、設立手数料とコンサル料が無料で、24時間お問い合わせしていただくことが可能です。
その上、会社設立後も、提案型創業サポートを行います。
会社設立の代行サービスを利用する場合、代行サービスの者が、会社設立までの流れを熟知しているため、個人でするより早く正確に起業できます。
個人で会社設立の準備を行う際の、手間と時間と失敗のリスクを考え、会社設立の代行サービスの利用をご検討ください。