独立して新たなビジネスを始める際、特に会社の同僚や部下を連れて独立することを検討する人も少なくありません。この方法は、即戦力のあるチームを構築しやすい反面、法的なリスクや倫理的な問題が発生する可能性があります。
本記事では、社員を連れて独立する際のリスクや、トラブルを避けるための注意点について詳しく解説します。
社員を連れて独立するメリットとその影響
1. 即戦力となるチームの構築
社員を連れて独立する最大のメリットは、即戦力のあるチームを迅速に構築できる点です。独立直後から業務をスムーズに進めることができ、既にお互いのスキルや仕事の進め方を理解しているため、信頼関係が構築されています。これにより、新たなビジネスを早期に軌道に乗せることが可能になります。
2. 顧客との継続的な関係
既存の社員を連れて独立する場合、その社員が元の会社で築いた顧客との関係を継続できる可能性があります。顧客が担当者に信頼を寄せている場合、その担当者が新たな会社に移った際にも取引を続ける可能性が高くなります。これにより、新規顧客の獲得にかかる時間と労力を節約できます。
社員を連れて独立する際のリスク
1. 法的リスク
社員を連れて独立する場合、元の会社からの訴訟リスクが存在します。特に、在職中に社員を誘い出したり、元の会社の顧客情報を利用したりする行為は、競業避止義務や秘密保持契約に違反する可能性があります。また、元の会社が顧客引き抜きに対して訴訟を起こすケースも考えられます。
競業避止義務違反: 多くの会社では、従業員に対して退職後一定期間、競業他社に就業したり、自ら競業を行ったりすることを禁じる競業避止義務を課しています。これに違反すると、元の会社から損害賠償を請求されるリスクがあります。
秘密保持契約違反: 在職中に知り得た顧客情報や営業ノウハウなどを新しい会社で利用することは、秘密保持契約に違反する可能性があり、法的リスクが高まります。
2. 信頼関係の喪失
社員を連れて独立することは、元の会社との関係が悪化する原因となります。元の会社から信頼を失うだけでなく、業界内での評判にも影響を与える可能性があります。また、連れて行った社員が新しい環境に適応できなかった場合、元の会社に戻りたいと考えることもあり、その際のトラブルに発展するリスクもあります。
3. 社員との信頼関係の管理
社員を連れて独立する場合、新たな環境での信頼関係の管理が重要です。特に、経営者としての立場が変わるため、以前と同じように接することが難しくなる場合があります。また、経営者としての役割と友人としての関係をどのようにバランスさせるかが課題となります。
社員を連れて独立する際の注意点
1. 事前に法的なアドバイスを受ける
社員を連れて独立を検討している場合、まずは法的なアドバイスを受けることが重要です。弁護士や労務士などの専門家に相談し、競業避止義務や秘密保持契約に違反しないか、元の会社とのトラブルを避けるための対策を講じることが必要です。
2. 適切なタイミングを見極める
独立のタイミングも重要です。元の会社での業務が完了し、競業避止義務が解除される時期を見計らって独立することで、トラブルを最小限に抑えることができます。また、退職後すぐに元の会社の顧客や社員を引き抜くと、悪質な行為と見なされやすいため、一定の期間を置くことが望ましいです。
3. 社員とのコミュニケーション
社員を連れて独立する際には、彼らの意志を尊重し、無理な引き抜きをしないことが大切です。また、独立後のビジョンや方針を明確に伝え、新しい環境での役割や期待される成果についても事前にしっかりとコミュニケーションを取ることが必要です。
独立時の社員引き抜きには注意しよう
社員の引き抜きは、状況によって違法性が認められる場合があります。特に、競業避止義務、秘密保持契約、不正競争防止法の違反が生じる可能性があるため、引き抜きを検討する際には、事前に法的リスクを十分に理解し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談することが重要です。
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