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独立時に顧客引き抜きは可能?トラブルは?注意しておきたい点を解説!

独立時に顧客引き抜きは可能?トラブルは?注意しておきたい点を解説!

独立をする際には事業の目処をつけるために顧客引き抜きを検討する人がいるかもしれません。

しかし、顧客引き抜きがトラブルの原因になるのではないかと不安になる人もいるでしょう。

そこで、独立の際に顧客引き抜きをしても良いのか、注意しておくべき点はないのか解説します。

独立時に顧客引き抜きをするとは?

独立をする際に顧客引き抜きをするとはどういうことなのか解説します。

退職時に顧客を引き抜きするケースがある

退職して独立するとなるとすぐに顧客を獲得する必要があります。

そうしないと売上が発生せず、いきなり赤字経営になるからです。

そこで、退職時に元の職場の顧客を引き抜くケースがあります。

そうすれば独立後にすぐ顧客を得ることができるからです。

退職後に元顧客へ営業をするケースがある

独立のために退職してから元顧客に対して営業をかけるケースがあります。

以前勤めていた会社の取引先に連絡をして、自社の商品やサービスをアピールするのです。

以前の顧客であれば付き合いがあり、信頼されているため、スムーズに取引が成立することを期待します。

独立時に従業員を引き抜きするケースもある

独立の際には事業によっては従業員が必要なケースがあります。

そこで、退職する前に職場の同僚や後輩などに独立について話をして引き抜きをするのです。

一緒に働いてきた相手であれば、実績やスキルをよく把握しており、人間性も理解しているため、安心して雇うことができます。

独立時の顧客引き抜きに違法性はあるのか?

独立をする際に顧客引き抜きをすることに違法性があるのかどうか解説します。

在職中に顧客引き抜きをするのは違法性がある

もし在職中から顧客引き抜きをする場合は違法性があると考えられます。

在職中は自社の利益を最優先に考える必要があり、自社の顧客を奪うような行為は従業員としての義務に違反していると考えられるからです。

そのため、会社にバレると損害賠償請求を受けるケースがあり、最悪の場合は懲戒処分に課せられるケースもあるでしょう。

取締役の忠実義務違反に該当する可能性

会社の取締役をしている場合は忠実義務を負っています。

会社のために忠実に職務を遂行する義務があるため、在職中の顧客引き抜きは義務違反に該当する可能性があるのです。

もし忠実義務に違反すれば損害賠償責任を負うことになります。

雇用契約における誠実義務違反に該当する可能性

会社に従業員として雇われている場合、誠実義務を守る必要があります。

使用者の利益を侵害しないように配慮することが義務づけられているのです。

在職中に顧客を引き抜く行為は、使用者の利益を損害するとみなされるため、誠実義務違反に該当する可能性が高いでしょう。

所属会社の就業規則で懲戒が規定されているケースもある

所属会社があらかじめ顧客引き抜きに備えて就業規則に懲戒規定を定めているケースがあります。

規則で具体的に懲戒処分などの罰則が規定されている場合は、就業したときに規則に同意したとみなされます。

この場合は、顧客引き抜きにより懲戒処分を受ける可能性が出てくるのです。

退職後の引き抜き行為の違法性はケースバイケース

退職後の引き抜きについては違法性があるかどうか判断は曖昧な部分が多いです。

在職中とは異なり就業規則に縛られることはありません。

取締役や従業員としての義務を守る必要もなくなります。

そのため、退職後に引き抜きを行ったとしても違法性はないと判断される場合もあるのです。

独立後の顧客引き抜きに違法性はあるのか?

独立をしてから顧客引き抜きをすることに違法性があるのか説明しましょう。

憲法では独立後の営業の自由があると解釈されている

退職をした後については憲法によって営業の自由があると解釈されています。

そのため、退職をして独立した後で顧客引き抜きを行ったとしても、それは憲法で保障された自由を行使していると考えられるのです。

裁判でも独立後の顧客引き抜きが違法ではないと判断されたケースはあります。

自由競争の範囲を逸脱した場合に限って不法行為は成立する

憲法では原則として自由競争を認めています。

憲法上で問題があるのは自由競争の枠を超えたような場合に限るのです。

憲法で規定された範囲を超えた行為については違法性があると判断されます。

それでは具体的に憲法ではどの程度までが自由競争の範囲に含まれるかといえば、それはケースバイケースです。

最終的には裁判所が判断することであり、それぞれの細かな状況によって結果は大きく異なります。

独立後の顧客引き抜きで損害賠償が認められる事例は限られる

実際に独立をしてから顧客引き抜きをしたとしても、絶対に裁判で損害賠償が認められるわけではありません。

損害賠償は違法性があるとみなされる状況でしか発生しないからです。

そのため、独立後に顧客引き抜きをしたとしても、損害賠償が認められるような事例は限定されます。

独立後の顧客引き抜きでトラブルになりやすいケース

独立後に顧客引き抜きをしたとして実際にトラブルへ発展しやすいケースを紹介します。

退職後すぐに顧客を引き抜いた

退職をしてからすぐに顧客引き抜きをするのはトラブルの原因になりやすいです。

これは元の会社に損害を与える行為とみなされる場合があります。

退職してすぐだと元の会社にあなたの行為がすぐにバレてしまうでしょう。

独立したばかりで元の会社と裁判で争うような事態は避けた方が良いです。

以前の会社の経営に影響を与えるほど顧客を引き抜いた

たとえば、以前の会社の顧客を1人や1社だけ引き抜いたようなケースでは、元の会社に与える影響は限られています。

一方、元の会社の抱えている顧客の大部分を引き抜くようなケースは、元の会社へ大きな損害を与える行為です。

このような行為は悪質であるとみなされやすいため注意しましょう。

顧客情報を持ち出した

独立後に顧客を引き抜くために顧客情報を持ち出す行為は明らかに違法性があります。

営業秘密の漏洩行為とみなされるため、不正競争防止法に抵触するからです。

営業秘密の漏洩を受けた企業は、損害賠償や信用回復措置を求める権利が法的に認められています。

ただし、不正競争防止法に違反するのは、顧客情報が営業秘密に属する場合のみです。

営業秘密とは、秘密管理性と有用性、非公然性の3つの要件を満たす必要があります。

たとえば、顧客情報にアクセスできる従業員が限られている場合は秘密に管理されている情報であり、そのような情報を持ち出す行為は違法性が高いです。

顧客引き抜き時に元の会社への中傷や信用棄損行為を行った

顧客引き抜きをするために元の会社を批判したり、虚偽の情報を伝えたりするケースがあります。

元の会社への中傷や信用毀損行為は会社に対する顧客の信用を失わせる行為です。

このような行為は違法性があり、損害賠償が成立する可能性があります。

独立時の顧客引き抜きで大切なポイント

独立をする際にどうしても顧客引き抜きをしたい場合に重要なポイントを紹介します。

元の会社の秘密情報を持ち出してはいけない

原則として独立をする際に元の会社の秘密情報を持ち出してはいけません。

顧客情報が営業秘密に該当する場合は、秘密情報を持ち出したことで刑事罰まで科されるケースもあります。

不正競争防止法では、営業秘密の侵害をすると個人事業主で「10年以下の懲役又は2000万円以下の罰金」、法人の場合は「罰金5億円(海外使用等は10億円)以下」とかなり重い罪になるのです。

実際の裁判では、顧客情報が秘密情報であると認められなかったケースもあります。

たとえば、すべての従業員が顧客情報を容易に確認できて、情報の取り扱いについて特に規定が設けられていなかった場合です。

顧客情報にパスワードが設置されていて、退職時の誓約書で情報を漏洩しない点に同意しているような場合は、秘密情報に該当します。

退職後1~2年程度は元の会社の顧客引き抜きを避けた方が良い

退職してからどれくらいの期間を経てば元の会社の顧客引き抜きで問題に問われなくなるのか一概に基準を決めることは難しいです。

一般的には退職して1〜2年程度経てば、顧客を引き抜いたとしても罪に問われる可能性は低くなるでしょう。

ただし、業種によって判断の基準は変わるため気をつけてください。

たとえば、商品やサービスのライフサイクルが短い場合には、1年後に顧客引き抜きをしても問題ないと判断される可能性は高いです。

退職時の誓約書にサインすると同意したことになるため気をつけよう

退職する際には誓約書へのサインを求められるケースが多いです。

誓約書には退職後の行動を制限するような事項が記載されています。

たとえば、退職して2年間は顧客の引き抜きをしてはいけないと記されているケースです。

もしこのような誓約書にサインをした場合、誓約書の内容に全面的に同意したとみなされます。

法律では退職後の行動を制限するような誓約書は無効と判断される場合が多いです。

しかし、誓約書にサインをすると同意したことになるため、その点について元の会社と争うことになり、裁判にまで発展する可能性があります。

退職時の誓約書にサインをする義務はないため、不当な内容の誓約書にはサインをしない方が良いです。

ただし、入社時に秘密保持誓約書にサインをする場合もあります。

退職時とは異なり入社時に誓約書へのサインを断ることは難しいです。

独立する際には、入社時にサインをした誓約書の内容を確認しておきましょう。

元の会社の顧客の引き抜きをする前に専門家に相談しよう

独立時の顧客引き抜きは法的な線引きが微妙な問題です。

基準を明確にすることはできず、実際のところは裁判を受けないと違法性が認められるかどうかわからない場合もあります。

そのため、自分で勝手に判断するのではなく専門家に相談することをおすすめします。

独立して会社設立をする際に、顧客引き抜きを含めて法的にリスクのある行為について専門家にレクチャーしてもらいましょう。

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独立時の顧客引き抜きはトラブルに注意しよう

顧客の目処を立てるために元の会社から顧客引き抜きをするのはよく考えてから行いましょう。

さまざまなトラブルの原因になり、やり方を誤れば法的なリスクも生じます。

顧客引き抜きについては専門家に相談をして意見を聞いてから判断してください。

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