バーチャルオフィスを活用した法人登記は、特に初期費用を抑えたい起業家にとって魅力的な選択肢です。しかし、その一方で、いくつかのデメリットやリスクも存在します。バーチャルオフィスでの法人登記が適している場合とそうでない場合を理解することは、ビジネスの成功にとって重要です。
本記事では、バーチャルオフィスを利用する際のデメリットや注意点について詳しく解説します。
バーチャルオフィスを利用するデメリット
1. 社会的信用の低下
バーチャルオフィスを利用することで、会社の住所が実体のない場所になるため、取引先や顧客からの信用を得にくくなる可能性があります。特に、実在するオフィスがないことが明らかになると、信頼性に疑問を持たれることがあり、これが取引の障害となる場合があります。また、金融機関によってはバーチャルオフィスの住所での法人口座開設を拒否することもあります。
2. 特定業種での制限
バーチャルオフィスを利用することで、特定の業種では必要な許認可が取得できない場合があります。例えば、職業紹介業や人材派遣業では、物理的なオフィススペースを要求されるため、バーチャルオフィスでは事業許可が下りない可能性があります。同様に、廃棄物処理業などの特定の業種でも、実体のある事務所が必要となるため、バーチャルオフィスでの運営が難しくなります。
3. 法的リスク
バーチャルオフィスを使用して法人登記を行う場合、特定商取引法や消費者保護法などの法律に違反するリスクが伴います。例えば、ネットショップを運営する場合、実体のない住所を使用することが違法となる可能性があります。これにより、消費者からの信頼を失うだけでなく、法的なトラブルに発展するリスクもあります。
4. 郵便物や電話対応のトラブル
バーチャルオフィスでは、郵便物の転送や電話対応などのサービスが提供されますが、これらのサービスが不十分な場合、重要な書類や連絡が遅れる可能性があります。また、電話対応が外部のオペレーターによって行われるため、顧客とのコミュニケーションがスムーズに進まないことがあります。これにより、ビジネスチャンスを逃すリスクも考えられます。
バーチャルオフィスを利用する際の注意点
1. 使用する業種の確認
バーチャルオフィスを利用する前に、業種ごとの規制や必要な許認可について確認することが重要です。特に、許可が必要な業種や、実体のある事務所が求められる業種では、バーチャルオフィスが適さない場合があります。事前に十分な調査を行い、適切な判断を下すことが求められます。
2. バーチャルオフィスの選定
バーチャルオフィスを選ぶ際には、提供されるサービスの内容を詳細に確認することが重要です。郵便物の転送方法や頻度、電話対応の質など、サービスのクオリティがビジネスに与える影響は大きいため、信頼できるバーチャルオフィスを選ぶことが成功の鍵となります。
3. コストとサービスのバランス
バーチャルオフィスは低コストで利用できる反面、サービス内容が不十分であればかえってビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。コストだけでなく、サービスの質や対応力を考慮し、バランスの取れたバーチャルオフィスを選ぶことが大切です。
バーチャルオフィスの利用が適しているケース
1. 起業初期のコスト削減
起業初期において、オフィスを構えるためのコストを抑えたい場合には、バーチャルオフィスが非常に有効です。実際のオフィススペースを借りる必要がなく、入居時の敷金や礼金、賃料を大幅に削減できます。また、都心一等地の住所を低コストで利用できるため、企業イメージを向上させることができます。
2. 自宅を公開したくない場合
自宅でビジネスを運営している場合、自宅住所を公開することでプライバシーのリスクが生じます。バーチャルオフィスを利用することで、自宅住所を公開せずにビジネスを運営でき、プライバシーを守ることができます。特に女性の起業家や、プライバシーを重視する方には最適な選択肢となります。
バーチャルオフィスとは
バーチャルオフィスとは、直訳すれば仮想オフィスです。
近年、テレビ電話による遠隔ミーティングの発達やクラウドソーシングによるクライアント獲得などができるようになり、そういった背景を受け、「会社や事務所の実態は不要だが、起業をしたい」という層が増えてきました。
そういった層が、法人登記をする際に、利用したいと考えているのが、「バーチャルオフィス」です。
バーチャルオフィスとは、さまざまな種類があります。
- 事務所の住所のみを借りられるもの
- 郵便受けを借りられるもの
- 電話番号やファクスを利用できるもの
- 会議室が利用できるもの
1点ずつ詳しく見ていきましょう。
事務所の住所のみを借りられるもの
一番シンプルなバーチャルオフィスが、事務所の住所の名義のみを借りられるものです。
ただ、住所の名義だけでは、取引先との打ち合わせや郵便物の受け取りが出来ないため、多くのバーチャルオフィスには下記のいずれかの機能がついています。
郵便受けを借りられるもの
ほとんどのバーチャルオフィスでは、事業活動の中で届いた郵便物を届けてくれる機能がついています。
ただ、その届け方は多様であり、バーチャルオフィスの住所まで取りに行くタイプ、転送してくれるタイプなどがあります。
電話番号やファクスを利用できるもの
郵便物同様、固定電話の存在も事業を運営する上では重要です。
こちらも多くのバーチャルオフィスが電話番号に関するサービスを提供しています。
携帯電話に転送してもらえるタイプや、オペレーターが電話内容を記録しチャットで教えてくれるタイプなど、様々な形態が存在しています。
会議室が利用できるもの
実態のオフィスを必要としない起業の場合でも、取引先などとの打ち合わせは必要になる場合がほとんどです。
しかし、オフィスがないとカフェなどのオープンスペースで打ち合わせをすることになり、機密を含む会話がしにくくなってしまいます。
このような課題を解決するため、先進的なバーチャルオフィスでは、会議室が利用できるものがあります。
こういった意味では、バーチャルオフィスとコワーキングスペースやレンタルオフィスとの境界がなくなっていると言えるでしょう。
法人登記でお困りごとがあったら
バーチャルオフィスには、安く都心一等地の住所を手に入れられるというメリットがあります。
しかし、業種によっては設立後に事業の登録申請が通らないため、メリットだけを見て気軽にバーチャルオフィスを設立しようとするのは危険です。
このように、会社設立をする際には、様々な要素のメリット・デメリットを比較検討して決める必要があります。
経営サポートプラスアルファでは、こうしたオフィス選びや資金調達の方法、会社設立の手続きなど、様々なご相談に乗らせて頂いております。
会社設立の代行も承っておりますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。