Contents
居抜き物件とは?
飲食店などを開業する場合に重要になるのが物件選びです。
開業する土地や物件が1階なのか、2階以上なのか。
大通り沿いで目立たせたいのか、細い路地に面した隠れ家的な店にしたいのかなど、コンセプトに合った物件を探すことが必要になります。
ほかにも物件選びの前に検討しておきたいのが「居抜き」にするのか「スケルトン」にするのかという点です。
居抜きとは以前の店で使われていた設備や内装が残されたままで借りる物件のことを指します。
一方スケルトンとは床材や壁紙などの内装や、設備などを一切取り除いた物件のことを指し、居抜きとは全く異なる物件です。
居抜き物件のメリット
物件にはスケルトンと居抜きの2種類があることを前述しましたが、居抜きを選ぶとどのような良さがあるのでしょうか。
ここでは、居抜き物件のメリットを解説します。
工事費用などのコストがおさえられる
居抜き物件の一番のメリットと言えるのが、スケルトンと比べて内装工事や設備にかかる費用を抑えることができる点です。
スケルトンは設備や内装が何もないいわば箱の状態なので、自分で一から内装デザインを考え、必要な設備などを整えていく必要があります。
内装を自分の考えているプラン通りに進めたい人にはスケルトンが良いでしょう。
しかし費用をなるべく抑えて開業したいという人には一般的に施行範囲が少なくて済む居抜きの方が効果的です。
開店までが早い
居抜きは状態にもよりますが、良い状態の物件に巡り合えれば必要な場所のみの工事で済むため、費用のほか開店までの時間を抑えることが可能です。
すべて一から用意するスケルトンは、内装工事が大掛かりになるため、広さや工事内容によっては数カ月かかることも。
工事が終わったら厨房内やフロアの設備を整えたりと滞りなく進行しても時間はある程度かかりますが、家具なども引き継いで利用する場合は、別で発注する必要もなくなります。
なるべく早く開業したいと考えている人は、状態の良い居抜き物件から探すのが良いでしょう。
居抜き物件のデメリット
居抜き物件にはたくさんのメリットがありますが、デメリットもいくつかあります。
後悔しないためにもメリットだけでなくデメリットも確認しておきましょう。
理想の店にするのが難しい
居抜きは前の店で使われた内装や設備がそのままの状態で残っているため、選び方によっては理想とする内装とはかけ離れてしまうことも考えられます。
前の店とこれから開業する店の業態が異なるとスタッフが効率的に動ける動線も変わるため、内装をそのまま使うことばかり考えると開業してから不便に感じることも。
開業する店のコンセプトと照らし合わせてなるべく近い物件を選ぶのが、内装工事をおさえる居抜き選びのコツです。
全店舗のイメージをひきずる
内装だけでなく、外装や看板などにも工夫が必要です。
外装を前の店のまま、看板も同じようなデザインを取り入れると、たとえ前の店と違う業態だとしても前の店の常連は「前の店がリニューアルしたのか」「前の店のチェーン店か」と勘違いする可能性もあります。
また、前の店に悪いイメージを持つ人がいたら、その店のイメージを引きずって入りにくいと感じてしまうこともあるでしょう。
すべてを前の店のまま取り入れるのではなく、利用できる部分をうまく活用するバランスも大切です。
改装費用が高くなる場合も
居抜きは改装費用がスケルトンよりも抑えられると前述しましたが、それは内装や外装、設備などを利用できる状態の良い物件であることが前提です。
内装にシミや汚れがあり、設備も破損していて使えないという場合にはスケルトン同様に内装工事が必要になります。
そのほかに撤去費用も別途かかるため、物件によってはスケルトン以上の費用がかかることも。
「使いたい設備が整っているからここがいい」など居抜き物件だから内装や設備が利用できると安易に考えずに、しっかりと状態を確認してから決める必要があります。
<あわせて読みたい>
内装工事にかかる費用
飲食店などを開業する際は、内装や外装に費用がかかります。
改装費用には開業資金の50%を占めると言われるほどなのでどの位かかるのか気になるところです。
ただ、スケルトンと居抜き、どちらを選ぶかによっては費用も大きく変わるため、ここでは、スケルトン・居抜きでかかる一般的な改装工事費用を紹介します。
居抜き物件にかかる費用
居抜き物件でかかる改装工事費用は坪単価15〜30万円が目安です。
これには厨房設備の入れ替えなどは含まれません。
例えば、10坪の場合は150〜300万円が一般的です。
改装工事の範囲によって費用は前後します。
また、居抜き物件の設備や内装、器具などは無償で使用できるとは限らず、多くの場合、造作譲渡料がかかります。
新品ですべてをそろえるよりは費用を抑えられますが、それでも100〜200万円かかることも。
居抜き物件の改装工事費用のほか、造作譲渡料がどのくらいかかるのか、事前に確認しておきましょう。
スケルトン物件にかかる費用
スケルトン物件では内装・外装・設備などの工事は一から必要になり、坪単価30〜50万円が目安と言われています。
10坪の飲食店の場合は300〜500万円かかるのが一般的です。
さらに冷蔵庫などの厨房機器や机や椅子なども自分で用意する必要があります。
居抜き物件同様に工事内容や広さによっても工事費用は前後しますが、一般的には居抜き物件よりも高額な費用がかかるでしょう。
居抜き物件の選び方
「居抜き物件に興味がある」「飲食店を開業するなら居抜きがいい」という人もいるでしょう。
改装費用が抑えられる、工事期間を早めて開業までの時間を短くできるなどのメリットがあるため、飲食店開業に居抜き物件を利用するのは魅力に感じられます。
ただ、どんな居抜きでも良いのかというとそうではありません。
あまり気にせずに選んでしまうとあとで後悔することも考えられるため、ここでは、居抜き物件の選び方を解説します。
業態に合っているか
内装・外装・設備まで一から手掛けるスケルトンと比べて居抜きは前の店の内装デザインや動線がそのまま残されています。
前の店がカウンターのラーメン屋さんで、新しく開業しようとしている店がカフェだと、カウンターを撤去するための費用がかかり、壁紙なども新しくしなければならないでしょう。
ラーメン屋さんに必要な厨房も必要ありません。
その場合、改装工事のほかに撤去費用がかかるため、結果的にはスケルトン以上の改装費用がかかってしまいます。
前の店の業態が同じものだからといって、何も改装せずに開業できるわけではありませんが、改装工事の範囲は少なく済み、使える設備も見つけやすいため、物件探しでは前の店が同じ業態の物から選ぶと効率的です。
イメージにあうか
開業する前にコンセプトを明確にしておくことは必要ですが、物件選びにも関わってきます。
コンセプトのなかでも以下のポイントを明確にしておきましょう。
・どこに出店するのか
・どの様な店を開業するのか
・ターゲットとする客層は
・何を提供するのか
店のコンセプトにあった居抜き物件の場合、大きく改装工事をせずにイメージに近い店作りができるため、改装工事費用を抑えることにもつながります。
漠然としたコンセプトではなく、はっきりと細かくポイントを抑えておくと、店をオープンするまでに迷いにくく、理想の店に近づけるため、まずはコンセプトをしっかりと設定しましょう。
必要な設備があるか
居抜きには前の店の設備や内装がそのまま使えるのが魅力です。
しかし、物件によっては「壁紙が理想の店には合っていない」「厨房が充実しているけど、料理は簡単なものしか提供しないから必要ない」など、新しい店に必要のない設備がある場合もあります。
不要なものは、処分するための撤去費用が別途必要になることも考えられます。
物件を決める前に、どのような設備が備えられているのかを確認しておきましょう。
劣化や破損
物件に備えられている設備に使えそうな物が合ったら別途購入する必要がなくなるため飛びつきたくなります。
しかし、設備の状態を確認することも忘れてはいけないポイントです。
状態がよくそのまま継続して使えるものなら問題ないでしょう。
一方で、破損や劣化がひどい物の場合、メンテナンスや使えなければ処分する必要があります。
メンテナンス費用や撤去費用は別に必要なので、物件を決める際には備えられている設備の状態もしっかりと確認しておくことが大切です。
<あわせて読みたい>
まとめ
店を開業する際に欠かせないのが物件探しです。
居抜き物件とスケルトン物件で必要な資金が変わるため、どちらを選ぶかは非常に重要なポイントになります。
費用を抑えて開業したいという人は居抜き物件がおすすめですが、どの物件でも適しているとは限りません。
ぜひ内装や設備が整ったイメージに合う物件を見つけて、夢の開業をかなえましょう。
居抜き物件でも内装工事を全くしないで開業はできません。
内装工事リースでは手元に資金がなくても内装工事が行えるため、資金調達で苦労している人はぜひご検討ください。