YouTubeで収益を上げているYouTuberが増加している中、税金の支払いについて不安を感じている方も少なくありません。YouTuberとして活動を始めたばかりの方や、収益が急増してきた方は、税務申告の手続きや、どのような税金がかかるのかを理解しておくことが重要です。
本記事では、YouTuberが知っておくべき税金の基本情報と、納税の手順について詳しく解説します。
※今回の記事は個人事業主として収益を得ているYouTuber向けの内容です。
YouTuberが収める税金は雑所得or事業所得
確定申告によって納税
1年間に発生した収益は税務署へ申告し、課税対象となる金額と納税額を確定します。
会社勤めの人は、会社で税金の計算や申告を都度行うため、特別な事情がない限り確定申告を行う必要はありませんが、YouTuberのような個人事業主やフリーランスの人は、自分で収益を申告して納税金額を確定します。
自ら申告する納税方法を「申告納税方式」と呼びます。
毎年2月16日から申告を受け付けますので、該当する場合、管轄の税務署へ申告しましょう。
申告方法は、税務署へ直接行く方法の他に、インターネットで申告する方法もあります。
雑所得や事業所得の税率
主な収入先があり、YouTuberを副業として収益を得た場合は雑所得、個人事業主、フリーランスとしてYou Tubeの収益が主たる収入の場合、事業所得に区分されます。
雑所得
雑所得は、主な給与所得と合算して税額計算が行われます。
所得税の速算表は以下の通りです。
課税対象の所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
課税対象となる所得は、「収入から基礎控除や給与控除、その他の控除を差し引いた金額」です。
雑所得から必要経費を引いた後の金額が課税対象となります。
所得税の計算式は以下の通りです。
「課税所得(総所得-控除・経費)×所得税率=所得税」
事業所得
YouTubeを主な収入源とし、継続的に活動を行っている場合は事業所得として申告します。事業所得は損益通算が可能であり、他の所得と相殺することができます。また、事業所得は青色申告の対象となり、特定の税制優遇を受けることができます。
確定申告が必要なケース
本業、副業に関わらず、You Tubeの収益が一定以上ある方は、確定申告が必要です。
以下、状況別にまとめました。
YouTuberを本業としてるフリーランスの方は例外なく確定申告が必要です。
副業YouTuberの方は、雑所得が20万円以上あると、確定申告が必要になります。
事務所や会社に所属するYouTuber
1.年間の給与が2,000万円以上
2.複数の事務所や会社から給与をもらっている
3.給与と退職金以外に20万円以上の収入がある
4.年末調整していない給与が20万円以上
5.年末調整できない医療費控除やふるさと納税の控除を使う
副業YouTuber
1.YouTuberの利益とその他の利益の合計が20万円以上
2.複数の会社から給料をもらっている
3.年末調整されていない給与が20万円以上
4.年末調整できない医療費控除やふるさと納税の控除を使う
税務申告を怠った場合
無申告加算税
税務申告を期限内に行わなかった場合、無申告加算税が課されます。これは、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分には20%の税率が追加されます。自主的に申告を行った場合は、税率が5%に軽減されることもあります。
重加算税
確定申告の義務を放棄してそのままにしていると、無申告加算税が課されますが、無申告の内容が悪質と判断されると、「重加算税」が課されます。
悪質と判断されるケースは、意図的な所得隠しの際に行われる帳簿の改ざんや二重帳簿などが挙げられます。
重加算税の税率は35%から40%となっており、最大で2倍に迫るほどの追加納税が課されます。
基本的に所得を少なく見せることはできませんので、正直に申告しましょう。
延滞税
確定申告後、納税期限内に納税しなかった場合には、延滞税が発生します。延滞税は、納税が遅れた日数に応じて課されるため、早めに納税を済ませることが重要です。
経費精算とは
経費とは、収益を獲得するためにかかった費用のことを指し、売上から経費を差し引いた金額が課税対象となります。
したがって、経費が多ければ多いほど納税金額が少なくなり、場合によっては意図的に赤字にして納税を回避することも可能です。
YouTuberの動画作成には、機材を始めとしてさまざまな費用がかかりますので、経費精算できる品目は多いといえます。
以下、経費について詳細を解説します。
経費にできるかどうかの基準
経費に計上できるか否かの判断基準は、かかった費用が動画制作に関係があるか?という点です。
言いようによっては、何でも経費にできそうな気もしますが、経費計上の可否について、最終的な判断は税務署で行います。
経費計上すると納税の負担は少なくなりますが、融資の申し込み時などで損益計算書を提出する場合、赤字が続いていたり、売上が少なくなっていると信用を得ることが難しくなりますので、バランスを考える必要があります。
青色申告を活用する
青色申告は節税対策として有効です。
YouTuberとして本格的に活動し、ある程度の収益が得られた場合、青色申告で申告したほうが得になります。
青色申告の特典は以下の通りです。
・最大65万円の基礎控除を受けられる
・最大3年間の損失繰越控除
・家族へ支払う報酬を経費にできる
・30万円に満たない固定資産を一括で経費にできる
国としては、青色申告で正しく税務申告してもらうと税収が増えるメリットがあるため、いくつかの特典をつけて青色申告を勧奨しています。
前述のとおり、経費を多く計上して売上を少なくしすぎると帳簿上の信用力が低下しますので、経費計上はバランス良く行いましょう。
経費として認められにくい品目
以下の品目は経費として認められない可能性が高いです。
・動画と関係のない交通費や飲食代
・動画と関係のない人との交際費
・主にプライベートで使用する用品代
・プライベートの旅行代(主な目的が動画撮影なら経費にできる)
・動画編集をカフェなどで行った際の食事代
・衣料品代、メイク用品代(通常の撮影の衣装は経費にならず、コスプレなど企画のための衣装は経費になる)
経費精算できる主な項目
・機材費
・小道具、大道具
・書籍、取材費
・場所代、家賃、光熱費
・打ち合わせの飲食代
・通信費
・広告費
・外注費
You Tubeの動画制作は、様々な費用がかかるため、経費計上がしやすい点が特徴です。
機材費、家賃、通信費は日常生活にかかる費用とリンクしますので、ある程度まとまった金額を経費として計上できるでしょう。
フリーランスYouTuberとして駆け出しの時は、うまく経費計上して納税の負担を調整する方法が有効です。
まとめ
YouTuberとしての収益が増えると、その分税務申告の重要性も増してきます。副業としてYouTubeを行っている場合でも、一定額以上の収益がある場合は確定申告が必要です。また、経費を適切に計上することで、納税額を減らすことが可能です。青色申告を活用することで、さらに多くの税制優遇を受けることができ、税務上のメリットを享受できます。
税務申告を怠ると、無申告加算税や重加算税、延滞税などが発生するリスクがあります。税務申告に不安がある場合や、税務処理を依頼したい場合は、専門家に相談することをお勧めします。経営サポートプラスアルファでは、YouTuberの税務申告に関するサポートを行っていますので、初めての確定申告や税務に関する疑問がある方は、ぜひ一度ご相談ください。