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勤務医はms法人の設立で節税が可能?節税以外の利点についても解説

勤務医は、他の職業と比べて非常に年収が高い職業です。

日本の税率制度は所得に対して、累進課税になっているため、勤務医は働いて年収を上げれば上げるほど、税金を多く支払わなければならないことになります。

そこでおすすめなのが、ms法人、すなわちプライベートカンパニーの設立です。

今回は、ms法人の設立について、概要から具体的な設立方法まで解説します。

ms法人とは

ms法人とは、メディカル・サービス法人の頭文字をとったものであり、医療系のサービスを事業として営むことを目的に設立された法人のことです。

このメディカル・サービス法人は、株式会社や合同会社といった会社形態とは全く別の概念です。

あくまでもこれは「医療系のサービスを営んでいる」ということを示しているだけに過ぎず、法律上「メディカル・サービス法人」という区分があるわけではありません

つまり、基本的には他の会社と特に変わりはない、ということです。

メディカル・サービス法人を設立することで「個人の所得」を「法人の利益」にすることができ、税金の節約に繋がります。

ポイント

・ms法人とは、「メディカル・サービス法人」の略称である。
・ms法人は、法律上の区分ではなく、法律上は普通の会社と変わらない。
・ms法人を設立することで、節税につなげることができる。

ms法人と医療法人の違い

ms法人と混同しやすい概念として、医療法人があります。

「メディカル・サービス」は直訳すると医療に関するサービス・事業になるため、医療法人と同じ概念だと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、実際のところms法人と医療法人は全くの別物です。

以下で、この違いについて解説します。

ms法人

前述で述べた通り、ms法人は法的な概念ではなく、あくまでも「メディカルサービスを提供する会社」というだけに過ぎません。

会社形態も株式会社、合同会社などから自由に選ぶことが可能です。

設立に関しても特別な手続きは必要なく、通常の会社と同じフローで設立することが可能です。

また、ms法人は通常の会社と同様であることから、設立目的は「営利を得ること」です。

利益を追求し、これを株主に還元したり、内部留保することができます。

医療法人

一方で医療法人とは、「医療行為をすること」だけを目的に、医療法に基づいて作られる法人です。

医療法は、医療法人が医療行為以外で営利を得ることを禁止しているため、医療行為以外の事業を行うことができません

このため、勤務医が独立して医療法人を作る、という場合には問題ないですが、副収入の収益を医療法人に回す、ということは不可能です。

ポイント

・ms法人と医療法人は、混同しやすいが実際は大きく異なる。
・ms法人は、通常の会社と同様に営利を追求することができる。
・医療法人では、医療行為以外で利益を得ることはできない。

勤務医はms法人の設立によって節税が可能?

勤務医が副業をする場合、ms法人を設立することによって、節税することが可能です。

以下にこの詳細を紹介します。

経費の計上することができる

一般的に、「個人事業主」の状態よりも、「法人」の状態の方が計上できる経費の項目が多いです。

このため、税金の対象になる「課税所得」が安くなり、結果として手元に残る金額が多くなる場合もあります。

ただし、経費がそこまで多くない事業である場合には、法人設立費用により、結果的に法人になった方が損をするケースもあるので注意が必要です。

「どういう項目を経費にすることができるのか、今の状況で法人を設立したらどれくらいの節税になるのか、が自分ではよくわからないという場合には、税務の専門家に相談してみるのがおすすめです。

所得税を節税することができる

個人事業主の場合、勤務医が副業をすることで得られる収益は全て「個人の所得」になります。

一方で法人を設立した場合、実態は一人だけで行っている個人事業であったとしても、それは「法人の収益」になります。

個人の所得から法人の収益に名目を変えるメリットとしては、所得税を節約できることです。

現在の日本の税法では、個人の所得には「累進課税」が適用されます。

つまり、年収が上がれば上がるほど、適用される税率も上がるということです。

一方で、法人税は一定のラインを超えると税率が大きく変化することはありません。

つまり、個人の所得ではなく法人の収益に名目を変えるだけで、所得税よりも税率が低い法人税を払うようにできるということです。

ただし、もちろん所得税率よりも法人税率の方が高い状態で法人を設立したとしても、より税金が多くなるだけなので、注意が必要です。

細かい税率や、「法人を設立するべきか」といったことは税理士に相談する必要がありますが、一般的に収入が700万円〜800万円を超えるようであれば、法人を設立した方が節税に繋がるとされています。

相続税を節税することができる

相続税の考え方も、基本的には所得税と同じです。

「個人の財産」よりも「法人の財産」にかかる相続税の方が税率が安い傾向にあるため、不動産や有価証券など、持っている財産を法人名義にしておくことで、節税することが可能です。

詳しくは、税金に詳しい税務・財務の専門家に相談してみるのが良いでしょう。

ポイント

・個人よりも法人の方が経費計上できる項目が多く、課税対象所得を減らすことができる。
・年収700万円〜800万円以上の場合には、個人よりも法人の方が税率が安い
・相続税も、個人より法人の方が税率が安い傾向にある。

勤務医がms法人設立をする節税以外の利点とは

節税以外にも、勤務医がms法人設立をするメリットがあります。

事業の幅を広げることができる

ms法人を設立して法人として事業を行うことにより、様々な事業が行いやすくなります。

このように、事業の幅を広げ、経営者としての経験を積むことができることも、ms法人設立の一つのメリットと言えるでしょう。

資金調達をスムーズに行うことができる

仮に事業を大きくしたいと考えている場合、自己資金だけでは十分な初期投資ができずに困ってしまうかもしれません。

このような場合は、金融機関などから融資を受けて事業を大きくする必要があります。

しかし、個人事業主のままだと、なかなか融資の審査に通ることが難しいです。

一方で、法人であれば金額にもよりますが比較的スムーズに融資を受けることができ、事業拡大に繋げやすいというメリットがあります。

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資金の管理がしやすくなる

ms法人で行っている事業、すなわちms法人の収益・利益と、本業の給料を分けて管理できることもms法人設立のメリットの一つです。

ポイント

・資金調達がしやすくなり、事業の幅を広げやすい。
本業とその他の収入の管理がしやすい。

まとめ

勤務医が副業などを行う場合、ms法人を設立して事業を行うという選択肢があります。

ms法人を設立して事業を行うことで経費計上の項目が増えたり、所得税率を引き下げたりすることができるようになり、節税することができます。

また、融資を受けられる可能性も高くなり、事業拡大に繋げやすいのも特徴です。

このため、一定の利益が見込める事業であれば、ms法人を設立した方が良いと言えるでしょう。

一方で、節税できる見込みがあるとわかっていても、「会社ってどうやって設立すればいいの?」「どれくらい節税できるの?」という疑問が解消できず、一歩を踏み出せない方もいるかもしれません。

このような時は、経営サポートプラスアルファにご相談ください。

経営サポートプラスアルファは、経営・税務・財務のプロフェッショナル集団です。

会社設立の代行を行うことができるだけでなく、節税対策や融資を受けやすくするためのサポートまで、行います。

ぜひ一度、お問い合わせください。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。