貿易会社の起業方法は?求められるスキルや流れを解説

貿易に関連するビジネスは、海外と日本をつなぐ架け橋として大きなチャンスがあります。

輸出入を通じて新しい市場を開拓できる可能性があるためです。

一方で、手続きや資金管理など注意すべき点も多く、慎重な準備が求められるビジネスでもあります。

今回は、貿易ビジネスを拡大し、貿易会社を起業したい人に向けて、設立に必要な基本知識から手続き、メリット・デメリット、押さえておくべきポイントまで徹底解説します。

貿易会社とは

貿易会社とは、外国との間で商品や原材料を「輸出」「輸入」する事業者の総称です。

国際取引に伴う通関手続、為替管理、インボイス作成など専門性が求められる業種です。

貿易会社の概要

貿易会社は、国内外の企業間で物品を取引する際の流通を担う事業者です。

商社と類似しますが、メーカー兼商社のケースや仲介型のケースなど形態は複数あります

事業運営には、税関への輸出入申告、インコタームズの理解、関税評価、輸出管理規制の遵守など高度な専門知識が必要です。

外貨建取引が中心となるため、為替リスク管理国際会計基準に基づく理解なども求められます。

貿易会社の種類

貿易会社は大きく「輸出会社」と「輸入会社」に分けられます。

輸出は国内製品を海外へ販売する業務、輸入は海外製品を国内へ持ち込む業務です。

輸出会社

輸出会社は、日本国内で仕入れた商品を海外の取引先へ販売する企業形態です。

インボイス(商業送り状)、パッキングリスト、原産地証明書などの書類作成が主要業務となります。

また、輸出通関では「輸出許可通知書」の取得が必須で、特定の製品は安全保障貿易管理(外為法)による規制対象です。

輸入会社

輸入会社は、海外で製造された商品を仕入れ、日本国内で販売する企業です。

輸入手続には、関税・消費税の納税、食品や化粧品などの場合の「検疫・薬機法の手続き」、輸入申告などが必要とされます。

輸入価格は「関税評価額(CIF価格など)」を基準として算定されるため、適切に原価計算しなければなりません。

貿易会社の起業で求められる4つのスキル

貿易会社を起業するには、専門的な知識と十分な準備が求められます。

特に資金、語学力、許認可、マーケティングの4点は成功の重要な要素です。

資金調達

貿易会社は海外仕入や輸送費、関税・消費税など初期費用が大きく、一定の運転資金が必要です。

輸入の場合は「関税・内国消費税の立替負担」が生じやすく、キャッシュフロー管理が特に求められます

日本政策金融公庫の創業融資や、信用保証協会の保証付き融資を活用することで資金繰りを安定させられるでしょう。

外貨建取引が多いため、銀行の「外為取引サービス」を利用し、為替リスクに備えることもおすすめです。

英語力・語学力

貿易会社は、契約書、インボイス、価格交渉などすべて英語で進めるケースが一般的です。

そのため、輸出入条件を示す「インコタームズ」を正しく理解し、相手国とのトラブルを防ぐ語学力が求められます。

また、クレーム対応や納期調整では迅速なコミュニケーションが重要です。

関係者と直接やり取りできるだけの語学力は、起業してからの信頼性に直結します。

最近は多言語のAI翻訳ツールもありますが、最終判断を誤らないためには基礎的な英語力です。

各種許認可

貿易会社の起業には、税関への「輸出入者コード」の取得が基本です。

加えて、取り扱う商品によっては、食品衛生法、薬機法、電気用品安全法、電波法などの許認可も取得します。

さらに、特定のハイテク製品は外為法による「安全保障貿易管理」の対象です。

この場合は、経済産業省への届出が必要な場合もあります。

許認可の有無は輸出入の可否や通関遅延に直結するため、事前に専門家へ確認しましょう。

マーケティング

貿易では市場調査が売上に直結します。

たとえば、需要の少ない商品を輸出入しても利益を確保できないことは、想像に難くないでしょう。

海外の消費トレンド、競合価格、物流コストを考慮し、利益が確保できる商品選定が重要です。

また、EPA・FTAの関税メリットを活かした価格設定など、他社との差別化も大きなポイントといえます。

貿易会社を起業する流れ

貿易会社の起業は、事業計画から法人化、取引先開拓、輸出入開始まで段階的に進めます。

事業計画の立案

貿易会社の事業計画では、取り扱う商品、ターゲット市場、想定売上、物流ルートを明確化します。

また、インコタームズを踏まえた取引条件の設定や、関税率・物流コストの試算が欠かせません。

輸出入に必要な許認可の確認、安全保障貿易管理に該当するリスクの洗い出しも重要です。

金融機関からの融資を希望する場合は、具体的な資金繰り表や外貨建取引の管理方針を盛り込むようにしましょう。

資金の準備

事業計画に沿って必要な資金を準備します。

手元資金だけで不足する場合は、金融機関からの融資も視野に入れましょう。

貿易会社の起業では、商品の仕入れ、輸送費、保険料、関税、各種税金など多くの支出が発生します。

また、事業が軌道に乗るまで時間がかかる場合もあるため、十分な運転資金の確保が必須です。

さらに、国内ビジネスにはあまりな 為替変動リスクがあり、キャッシュフローに悪影響を与えかねません。

国内事業以上に資金計画が重要といえるのです。

法人登記

基本的な準備が整ったら、法人登記を進めましょう。

貿易事業は個人事業主でも営むことも可能です。

とはいえ、信用力の観点からは法人化を強くおすすめします。

法人登記では、商号・事業目的・資本金などを定め、法務局で手続きしなければなりません。

専門的な知識が必要となる場面も多いため、税理士や行政書士のサポートを受けると安心です。

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1970.01.01
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輸出入パートナーの選定

貿易会社は、サプライヤーやバイヤーをはじめ、フォワーダー(国際物流事業者)や通関業者など、多くのパートナーと連携しながら事業を進めます。

そのため、信頼できる企業パートナーを慎重に選定することが重要 です。

特に起業初期は、社内だけで対応できる業務は限られ、多くの作業を外部へ委託しなければなりません。

取引の安全性やスピードはパートナー選びに大きく依存するため、時間をかけて選定することが重要です。。

事業開始

パートナーの選定まで完了すれば、ついに事業を開始できます。

最初は軌道に乗らず負担が大きいかもしれませんが、少しずつ歩みだしていきましょう。

貿易会社を起業する3つのメリット

貿易会社を起業することで、個人事業にはない多くのメリットを得られるのです。

ここでは、特に「法人化」によって得られる代表的なメリットを紹介します。

計上できる経費が増える

個人ではなく法人化することで、幅広い支出を経費として計上できるようになります。

例えば、海外出張費、通関手続き費用、翻訳費など、事業関連費用をより計上しやすくなる点が特徴です。

個人事業主でも経費計上は可能ですが、法人のほうが認められる範囲が広くなる傾向があります。

また、為替差損、貿易保険の保険料なども経費算入が可能で、実質的な税負担を抑えやすいのです。

適切な経費計上により、キャッシュフローの改善や節税効果も見込めるでしょう。

補助金・助成金が使いやすくなる

一般的に、個人事業主よりも法人のほうが補助金・助成金を利用しやすくなっています。

これは、個人では申請できない補助金や助成金が多いことが理由です。

法人化することで申請できる制度の幅が広がり、事業成長に役立つ資金を確保できる可能性が高まります。

特に起業直後の貿易会社にとって、補助金・助成金は大きなサポートとなるでしょう。

社会的な信用力が高まる

法人化することで、社会的な信用力が大きく向上します。

貿易事業は海外企業や物流業者など、多くの法人と取引を行うため、会社としての信用力が重要です。

特に外為銀行では、法人名義の口座開設が必要になることが多くなってきます。

こういった、審査の際にも法人であることがプラスに働きやすいのです。

また、社会的信用力が高まることで、より良い条件で仕入れや販売ができるようになります。

結果として、信用力が事業拡大にもつながるという流れです。

貿易会社の起業を成功させるポイント

最後に、貿易会社の起業を成功させるための重要ポイントを押さえておきましょう。

貿易ビジネスは資金・物流・法規制など、多角的な観点からの理解が欠かせません。

事業計画を綿密に考える

貿易事業では、事業計画を綿密に立てることが極めて重要です。

商品の需要、仕入れ価格、輸送費、関税率などを正確に把握しなければなりません。

これらに誤りがあると、貿易会社を起業しても失敗につながる可能性があります。

また、一部の品目では許認可が必要となる場合があり、為替リスクを考慮した資金計画も必須です。

具体的で精度の高い事業計画を立てることが、貿易会社を成功させる第一歩です。

仕入れや販売のルートをよく検討する

貿易会社の起業では、サプライヤーやバイヤーの選定が非常に重要です。

どのルートを使うかによって、利益率や事業の安定性が大きく変わります。

仕入れ先については、品質基準・納期・支払い条件などを明確化しておくことが欠かせません。

海外企業との取引では、契約書においてリスク分担を明確にしておく必要があります。

販売先についても同様に、価格設定やコスト構造などを十分把握しておきましょう。

信頼できるパートナーの確保が、貿易会社の長期的な成長に直結します。

輸出入コードを取得する

税関に対して 輸出入者コード(関税申告番号) を取得しておくことをおすすめします。

コードがなくても貿易会社を設立すること自体は可能です。

とはいえ、円滑にビジネスを展開するためには実質的に必須といえます。

この番号を取得すると、輸出申告や輸入申告がスムーズに進み、国際取引における信用力も高まるからです。

比較的簡単に取得できるため、早めに申請しておくことがポイントです。

リアルタイム口座を開設する

関税、消費税、とん税等などを素早く納付できるリアルタイム口座を開設しておきましょう。

対応している金融機関に限りがありますが、業務の効率を大きく高められます。

リスクマネジメントに力を入れる

為替変動、物流遅延、国際情勢の変化など、貿易会社は外部要因のリスクを受けやすいビジネスです。

そのため、たとえば以下のようなリスクマネジメントに取り組みましょう。

  • 為替予約で為替リスクを抑える
  • 貿易保険で代金未回収に備える
  • 複数の物流ルートを確保する

特に新興国との取引では、商習慣の違いや品質問題によるトラブルが起こりがちです。

そのため、契約条件を細かく設定しておくことが望ましいでしょう。

リスクマネジメントを徹底することで、長期的な事業継続と収益の安定化を実現できます。

まとめ

貿易会社を起業するためには、多くの専門知識が必要です。

基本的な会社設立の知識のみならず、外貨に関するものなど関連する知見も得なければなりません。

もちろん、会社運営に関する知識も必要です。

このようにやるべきことが多いと、貿易会社の起業を不安に思う人もいるでしょう。

その場合は、ぜひとも経営サポートプラスアルファへご相談ください。

会社設立や運営のプロが、貿易会社の起業を全面的にサポートします。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。