個人事業主の代表的な節税方法は、小規模企業共済や青色申告特別控除の活用など10種類あります。
個人事業主として事業を展開している方の中には、節税に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
節税をすることで、事業に使えるお金を増やすことができます 。
そこで知っておきたいのが、個人事業主でも可能な節税方法です。
今回は、個人事業主ができる節税する方法の最新情報を紹介していきます。
個人事業主が節税する方法
個人事業主であっても、 節税する方法はたくさんあります。
それらを上手に実行していくことで、節税することが可能です。
節税することで事業に使えるお金を増やすことができ、事業に打ち込むことができます。
それでは早速、個人事業主が節税する方法を紹介していきます。
ぜひ参考にして、節税対策を行いましょう。
①小規模企業共済に加入する
個人事業主の節税方法で代表的なのが、小規模企業共済に加入するという方法です。
この小規模企業共済とは、簡単に言えば「退職金制度」の1つです。
加入して掛金を支払うことにより、仕事を退職した時に積み立てていたお金を受け取ることができます。
小規模企業共済に加入することで節税効果がある理由は、掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になるからです(事業の必要経費ではなく、確定申告書の所得控除の欄に記載します)。
毎月の掛金は、1,000円~7万円の範囲内で、500円単位で自由に設定することができます。
(出典:中小企業庁「小規模企業共済制度について」)
掛金は変更もできるため、業績予想に合わせて調整して節税しましょう。
②青色申告の承認を受ける
個人事業主の代表的な節税方法としては、青色申告も挙げられます。
個人事業主は、確定申告で収入・支出を申告します。
この申告方法には白色申告と青色申告があり、青色申告を選択することで節税することができるのです。
青色申告にすることで節税できる理由は、最大65万円の特別控除を受けることができるからです。
ただし65万円の控除を受けるには、複式簿記での記帳などの基本要件に加えて、仕訳帳・総勘定元帳を電子データで保存するか、確定申告書を期限までにe-Taxで送信することが必要です。
これらの要件を満たさない場合は55万円、複式簿記の要件を満たさない場合は10万円の控除にとどまります。
さらに、青色申告なら赤字繰越が最長で3年間可能となっています。
そのため、赤字経営なら青色申告をすることにより、次の期の節税をすることができるのです。
③事業に関わるものを必要経費にする
個人事業主の効果的な節税方法としては、しっかりと必要経費を計上することです。
所得税や住民税の税額は所得の額で決まります。
そのため、必要経費を計上して所得額を減らすことで、節税効果があるのです。
しかし、個人事業主の方の中には、事業に関係するのに必要経費として計上していないケースがあります。
必要経費として計上していない方は、「経費として計上して大丈夫なのか?」と悩んでいることが多いです。
そこで覚えておいてほしいのが、必要経費の考え方についてです。
必要経費は、「収入を得るために必要なお金」と覚えておきましょう。
そのため、仕入れや人件費はもちろん、仕事で使う文房具代や交通費なども必要経費として計上することができます。
事業に関わるものは、しっかりと必要経費として計上しましょう。
④短期前払費用の特例を活用する
短期前払費用の特例を活用することで、節税効果を得ることができます。
前払費用は翌期の経費なので、原則当期の必要経費として計上できません。
しかし、下記の条件を満たすことで短期前払費用の特例を活用することができ、当期の必要経費として計上することができます。
- 当期中に支払いが済んでおり、支払った日から1年以内にサービスを受ける
- 継続的にサービスを受ける
- 今期だけでなく、今後も継続して前払いする
- 収益と対応するものではない
- 支払額が大きくなく、重要性の低いもの
よく利用されるのが、インターネットのレンタルサーバー料金や保険料の年払いなどが挙げられます。
当期の経費計上を大きくすることで、節税効果を得ることができるのです。
⑤少額減価償却資産の特例を活用する
少額減価償却資産の特例を活用することで、必要経費の金額を高くして節税をすることができます。
本来、10万円以上する消耗品は、減価償却費として毎年少しずつ償却していきます。
そのため、当期で経費として一括処理ができません。
しかし、一定額未満であれば、少額減価償却資産の特例を活用し、一括で償却することができるのです。
対象となる取得価額は、令和8年度税制改正により40万円未満に拡大されました(改正前は30万円未満)。
ただし、少額減価償却資産の特例を活用できるのは、青色申告である必要があります。
このことからも、個人事業主は青色申告にすることがおすすめです。
また、合計限度額は300万円のままで、適用期限は令和11年3月31日までとなっています。
(出典:中小企業庁「少額減価償却資産の特例」)
⑥ハイクラスのビジネスカードを所持する
個人事業主の面白い節税方法としては、ハイクラスのビジネスカードを所持することです。
ビジネスカードは、事業用途で使用するクレジットカードを指しています。
ビジネスカードの年会費は、必要経費として計上することが可能です。
ハイクラスのビジネスカードの年会費が必要経費になる理由は、事業用途で使用するクレジットカードの維持費だからです。
ハイクラスのビジネスカードを持つことで、「国内外の空港ラウンジを無料で利用できる」「コンシェルジュサービス」「プレゼント」などの特典があります。
ただし、これは所得を減らす「必要経費」の計上であり、税額を直接減らす節税策ではありません。
空港ラウンジの利用やコンシェルジュサービスなど、プライベートでも役立つ特典を受けられる点は、ビジネスカードを選ぶ際のメリットのひとつといえます。
⑦生命保険・介護医療保険・個人年金に加入する
個人事業主の節税方法には、「生命保険」「介護医療保険」「個人年金」の加入が有効です。
いずれも、生命保険料控除があり、年間各4万円控除されます。
そのため、合計最大12万円の控除となるのです。
生命保険料控除を利用し、上手に節税してみてください。
⑧経営セーフティ共済に加入する
個人事業主は、経営セーフティ共済に加入することで節税をすることができます。
経営セーフティ共済は、中小企業基盤整備機構が実施している保険制度です。
この保険は、連鎖倒産を防ぐことを目的にしています。
そのため、加入しておくことで、取引先などが倒産しても、積み立てた掛金総額の10倍(最高8,000万円)の範囲内で、無担保・無保証人の貸付けを受けることができるのです。
経営セーフティ共済への加入が節税になる理由は、掛金は必要経費として計上することができるからです。
掛金月額は、5,000円~20万円まで自由に選択でき、途中で変更することもできます。
積み立てられる掛金の上限は800万円です。
ただし、令和6年10月1日以後に共済契約を解除して再加入した場合は、解除の日から2年を経過するまでの間に支払う掛金を必要経費に算入できないという改正が行われており、解約・再加入を検討する際は注意が必要です。
そのため、業績予想に合わせて掛金を変更し、上手に節税をしましょう。
⑨iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する
個人型確定拠出年金であるiDeCoに加入することで、節税効果を得ることができます。
iDeCoは私的年金であり、年金を自分で積み立てる制度のことです。
iDeCoの掛金は、すべて所得控除の対象となります。
個人事業主(国民年金第1号被保険者)の場合、現行の拠出限度額は月額6.8万円(年額81.6万円)で、国民年金基金の掛金や付加保険料と合算した上限です。
なお、拠出限度額を月額7.5万円へ引き上げる制度改正が予定されています。
そのため、節税効果を得ることができるのです。
また、iDeCoは預金や投資信託などで運用されます。
そして、運用によって利益が出ても、その利益には税金がかかりません。
そのため、お得に利用できる制度であり、節税方法として有効なのです。
⑩ふるさと納税を活用
ふるさと納税を活用することで、節税効果を得ることができます。
個人事業主であっても、ふるさと納税は利用可能です。
ふるさと納税で支払ったお金は、寄付金控除として所得控除の対象となります。
そして、寄付をすることで返礼品を受けとることができるのです。
様々な返礼品があるため、お得に欲しいモノを入手することができます。
なお、令和7年(2025年)10月1日からは、ふるさと納税のポータルサイトが寄附者にポイントなどの経済的利益を付与して寄附を募集することが禁止されています。
返礼品の内容や地方団体の使い道で選ぶことが基本になります。
節税方法を選ぶ際の注意点
制度の要件・限度額は改正されることがある
ここまで紹介した10種類の節税方法は、いずれも掛金の上限額や適用要件が法改正によって変わることがあります。
少額減価償却資産の特例やiDeCoの拠出限度額、経営セーフティ共済の税制上の扱いは近年改正が続いており、実際に手続きを行う前に、国税庁や中小機構など制度を所管する機関の最新情報を確認することが安心です。
「必要経費」と「所得控除」の違いを整理する
小規模企業共済やiDeCoの掛金は、事業の必要経費ではなく、所得金額から差し引かれる「所得控除」の対象です。
一方、短期前払費用や少額減価償却資産、ビジネスカードの年会費などは、事業のために支出した「必要経費」として計上します。
どちらも所得を減らす効果はありますが、仕組みが異なるため、確定申告書に記載する際は区別しておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
小規模企業共済の掛金はいくらからいくらまで設定できますか?
月額1,000円から7万円までの範囲内で、500円単位で自由に設定できます。掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります(必要経費ではなく所得控除である点に注意が必要です)。
青色申告特別控除の65万円を受けるにはどのような要件がありますか?
複式簿記での記帳や貸借対照表・損益計算書の添付など55万円控除の要件に加えて、仕訳帳・総勘定元帳を電子データで保存するか、確定申告書を期限までにe-Taxで送信することが必要です。これらの要件を満たさない場合は55万円、複式簿記の要件を満たさない場合は10万円の控除になります。
少額減価償却資産の特例の対象となる取得価額はいくらまでですか?
令和8年度税制改正により、対象となる取得価額は40万円未満に拡大されました(改正前は30万円未満)。年間の合計限度額は300万円のままで、適用期限は令和11年3月31日まで延長されています。
経営セーフティ共済を解約して再加入した場合、掛金はすぐに必要経費にできますか?
できません。令和6年10月1日以後に共済契約を解除して再加入した場合、解除の日から2年を経過するまでの間に支払う掛金は、必要経費または損金の額に算入できないという改正が行われています。
iDeCoの掛金は個人事業主の場合いくらまで拠出できますか?
国民年金第1号被保険者(自営業者)の場合、現行の拠出限度額は月額6.8万円(年額81.6万円)で、国民年金基金の掛金や付加保険料と合算した上限です。拠出限度額を月額7.5万円へ引き上げる制度改正が予定されています。
ふるさと納税を利用する際に2025年10月以降で変わった点はありますか?
令和7年(2025年)10月1日から、ふるさと納税のポータルサイトが寄附者にポイントなどの経済的利益を付与して募集することが禁止されました。寄附先を選ぶ際はポイント目当てでの比較ができなくなった点に注意が必要です。





