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会社設立と個人事業主を選ぶ際のポイントとは?法人化するタイミングは?

「起業を考えているのだけど、会社として設立すべきか、個人事業主からスタートすべきか悩んでいる」という方は多くいらっしゃいます。

会社設立と個人事業主は、どちらにも強みと弱みがあるため、一概にどちらが良いのかは言えません。

今回は、どういう状況で会社設立を考えるべきなのか3つのポイントをご紹介します。

会社設立と個人事業主それぞれのメリット・デメリットも併せてご説明しますので参考にしてください。

会社設立と個人事業主を選ぶ際のポイント

起業したいと考えた時に、会社を設立したほうが良いのか、それとも個人事業主で起業したほうが良いのかを悩まれる方は非常に多いです。

ここでは、どちらにしたら良いのか検討ポイントについてご紹介します。

下記で述べるポイントを基準に、会社設立か個人事業主かを判断してください。

事業拡大を目指すのかどうか

起業したいと考えている事業内容を、今後事業拡大していく予定なのかを考えましょう。

多くの場合は事業拡大を望みますが、事業が大きくなるにつれてリスクも伴います。

例えば、人員を多く採用してしまったばかりに、その報酬に費用が圧迫されてしまい、倒産する例はよくある話です。

早期的な事業拡大が見込める場合は会社設立が良い

初めは個人事業主として起業しても、その後すぐに事業拡大していく予定なのであれば、初めから会社を設立した方が無駄な出費を抑えることができます。

どのように事業展開していくのかをあらかじめ決めておくと、会社設立した方が良いのか、個人事業主として起業した方が良いのかが見えてくるでしょう。

個人事業主ではできない事業内容の場合

日本には、会社を設立しなければできない事業内容が存在します。

個人事業主では許認可してもらえない事業

  • 介護保険法で定められた事業…訪問介護、通所介護、福祉用具貸与など
  • 障害者総合支援法で定められた事業…居宅介護、共同生活介護、生活介護など

上記2つの事業は、個人事業主では認めてもらえません。

初めから会社設立を目指して行動しておく必要があります。

起業したいと考えた時に、「まずは個人事業主から初めて、会社が大きくなってきたら正式に会社設立すればいい」という考えで行動する方も多いですが、個人事業主では認めてもらえない事業があることを留意しておきましょう。

資金がなく出資してもらいたい場合

起業するための資金を、自分自身で準備できる方は個人事業主として初めても良いでしょう。

反対に、「資金がないから誰かに出資してもらいたい」という方は会社設立がおすすめです。

資金調達する際に、真っ先に頭に浮かぶのは「銀行」から融資してもらうことでしょう。

しかし銀行は、融資したお金を回収できなくなる可能性のある人には融資してくれません。

これは個人事業主として小さく事業を立ち上げるのと、会社設立をして大きく事業を始めるのを比較すると会社設立の方が体制も整っていてより長く経営していける可能性が高いためです。

このため、会社設立の方が融資に通りやすくなります。

さらに、会社設立の形態もさまざまですが、資金調達に一番有利な形態は「株式会社」です。

もしも、事業拡大を考えているのなら株式会社を立ち上げると資金調達にもあまり悩まずに済むでしょう。

人員がどのくらい必要なのか

事業を展開するために、必要な人員がどのくらいになるのかを考えましょう。

事業内容によっては、多くの人材が必要な場合や、専門的な知識のある人材が必要なことがあります。

人材を集める必要がある場合は、会社を設立した方が採用活動を行いやすいでしょう。

個人事業主よりも、会社を設立した方が世間の信用を集めやすいため、求職者も集まりやすくなります。

ポイント

・早期的な事業拡大が見込める場合は、会社を設立した方が良い。
個人事業主では認めてもらえない事業内容がある。
・人員がどのくらい必要なのか、あらかじめ考えることが大切である。

個人事業主として起業するメリット・デメリット

メリット

手続きが簡単

個人事業主の最大のメリットは手続きが簡単なことです。

会社設立時には、さまざまな書類を決められた場所に提出しなければなりません。

しかし、個人事業主の場合は、開業届さえ提出すれば起業したことになります。

このように、書類の手続きが単純で、簡単に起業できてしまうのが個人事業主です。

資本金なしで始められる

先にもご説明した通り、個人事業主とは開業届さえ届け出れば「個人事業主」として名乗ることができます。

個人事業主として起業した後は、各自費用はかかってきますが、個人事業主として起業するだけでは「資本金(元入金)」は不要です。

会社設立時であれば、資本金を準備しなくてはなりません。

以前は、株式会社は1,000万円、有限会社なら300万円が必要でしたが、平成18年から施行された「会社法」より、株式会社でも資本金1円から設立できるようになったのです。

しかし、そもそも個人事業主には資本金という概念がないため、資本金なしでも起業できるということになります。

会社のルールなど特になく基本的に自由

個人事業主には、基本的に会社によく見られるルールなどはありません。

従業員として働く人数が10人以下の場合には就業規則も作らなくて良いのです。

また、個人事業主は事業で売り上げた売上金は、そのまま家庭の収入として使用できます。

会社を設立したら、会社の財産と個人の資産は区別しなければならないためお金を自由に使えないことと比較すると、収入に関しても自由度が高いと言えます。

デメリット

確定申告を自分で行う必要がある

毎年2〜3月によく聞かれるようになるのが、確定申告です。

1年間の所得税が確定したら、今まで支払ってきた所得税に過不足がないか確かめる必要があり、足りない場合には支払い、払いすぎていた場合には返還されます。

この確定申告を、個人事業主は自分で行わなければなりません。

会社を設立すれば、従業員を雇い経理を任せることで、直接自分で確定申告をせずに済みます。

また、年末調整を会社で行えば確定申告は不要となります。

信用が薄い

資金調達の部分でもご説明しましたが、個人事業主は社会からの信用が薄く、クレジットカードやローンの審査に通らないこともあるでしょう。

どれだけ実績を積んでいても、個人というだけで取引してもらえない企業もあります。

失敗した時のリスクが大きい

個人事業主は「無限責任」とされているため、事業が失敗して生じた債務等を全額弁償しなければなりません。

一方、会社を設立し法人として事業を起こし失敗したとしても、法人は「有限責任」とされているため経営者本人には返済義務は生じないのです。

個人事業主は、資本金の準備も必要ないため、
簡単に起業することが可能ですが、この分リスクも大きいと言えるでしょう。

ポイント

・個人事業主は手続きが簡単で、資本金なしで事業をスタートできる。
・法人ではないため、ルールなどに縛られず、自由に業務を行うことができる。
・個人事業主は確定申告を行う必要があるだけでなく、資金調達の際でも信用が薄く、失敗した際のリスクは大きい

会社設立するメリット・デメリット

会社を設立した方が何かと有利に立てると考えている方も少なくありませんが、会社設立にもメリット、デメリットがあります。

メリット

信用を得やすい

個人事業主とは反対に、会社を設立すると社会的信用が得やすくなります。

これは、会社を設立する際に、商号・住所・目的代表者・資本金・役員等が登記されるためです。

相手を信用するときには、どこの誰という情報がある方が、信用が高くなるのと同じと考えて良いでしょう。

また、信用が得やすいおかげで資金調達もしやすくなります。

銀行からの融資やローンなどの審査も通りやすく、資金調達に悩まされることは少ないでしょう。

税金面で得する場合が多い

会社は、利益が増えても原則「一定税率」ですが、個人事業主の場合、所得が増えると税率も上がる「累進税率」です。

また、経費として扱える幅が会社の方が広いため、多くの費用を経費として処理できます。

良い人材が集まりやすい

また、人材募集をかけた際に企業の方が良い人材が集まる確率が高くなります。

個人事業主で人材募集をかけても、社会的信用も薄いためなかなか人が集まりません。

安定的な職を求めている現代の人々は、個人事業主のもとで働くより会社で働くことを選ぶ方が圧倒的に多いでしょう。

デメリット

初期コストがかかる

会社設立のデメリットとして一番に思い浮かぶのが、最初にコストがかかることでしょう。

個人事業主が起業する場合には、費用は必要なく開業届を提出するのみでした。

しかし、会社を起業する際には、初期費用だけでも数十万円が必要になります。

また、会社がたとえ赤字であっても、毎年一定額の法人住民税を収めなければならないのです。

このため、会社維持にもランニングコストがかかります。

社会保険料の負担が大きい

会社を設立した場合、社長1人でも社会保険に加入しなければなりません。

従業員を雇っている場合には、従業員の社会保険料を会社と従業員で半分ずつ負担します。

そのため、従業員が増えるほど、社会保険料の負担が重くのしかかります。

売上を自由に使えない

個人事業主は、売上金を自分のお金として自由に使用できますが、会社では社長が自由に使ってしまうわけにはいきません。

先にもご説明しましたが、会社には「会社の財産」と「個人の資産」をしっかり分ける必要があります。

ポイント

・法人の方が社会的信用を得やすく、取引などもスムーズに行うことができる。
・会社を設立すると、一定税率が適用されるため、節税に繋がる可能性がある。
・初期費用や社会保険料の負担が必要になり、売上は会社の資金として扱う必要がある。

会社設立をする場合は2種類

会社設立をする場合は、株式会社か合同会社にするのが良いでしょう。

この2つの会社形態は、それぞれどのような特徴を持つのでしょうか。

事業内容や目的に合わせて、どちらの会社形態を選ぶが決定しましょう。

株式会社

株式会社は、出資者と経営者が別人である会社のタイプです。

合同会社と比較すると、一般的な会社形態であるため、社会的信用を得やすくなります。

一方で、登録免許税や定款に関する費用が必要になるため、資金を集める必要があるのです。

大きな事業を立ち上げる場合、社会的信用を得られる株式会社を選ぶ企業が多い傾向にあります。

合同会社

合同会社は、出資者と経営者が同一の場合の会社形態です。

設立費用が抑えられ、手続きも株式会社と比較すると簡易的であるため、スピーディーな事業展開が可能になります。

現在は、GoogleやAppleなども合同会社の形態をとっているいため、世間的に受け入れられつつありますが、社会的信用は株式会社と比較すると低いと言えるでしょう。

ポイント

株式会社と合同会社の違いを理解した上で、会社形態を選ぶことが大切である。
・株式会社は社会的信用が得られやすく、取引などもスムーズに行うことができる。
・合同会社は初期費用を抑えられるだけでなく、手続きが比較的簡単である。

法人化へのタイミングは?

個人事業主から法人化するおすすめのタイミングは「年間の所得が目安として500万円を超えるようになってから」です。

なぜなら、500万円を目安に法人の税率が引き下がるからです。

また、個人事業主として立ち上げた事業を今後拡大させていくことを考え始めているのなら、早めに法人化に踏み切っても良いでしょう。

会社が大きくなればなるほど、資金調達や税金面で法人の方が有利に立てます。

自分の会社を大きくしていくには不安があるかもしれませんが、早めに先を読む行動を心がけましょう。

ポイント

・年間の所得が目安として500万円を超えたら、法人化すると良い。
500万円が法人の税率が引き下がる目安である。

自分にとってどちらが良いのか考えてから行動

今回は、起業するなら会社設立と個人事業主のどちらが良いかについて、メリット
・デメリットをご説明してきました。

会社設立時のポイントは以下の通りです。

  • 事業拡大を目指すならば「会社設立」が良い
  • 個人事業主ではできない事業内容がある
  • 初期費用として自分で資金を準備できるなら「個人事業主」、出資してもらいたいなら「会社設立」がおすすめ

それぞれのメリット・デメリットをよく理解し、自分の始めやすい起業をスタートさせましょう。

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記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。