資産管理会社とは、個人の資産を効率的に管理し、節税や相続対策を行うために設立される法人のことです。特に、不動産や株式などの資産を多く持つ個人にとっては、資産管理会社の設立が非常に有効な手段となります。
しかし、設立には手続きやコストが伴い、また一部のリスクも存在します。本記事では、資産管理会社を設立する際のメリットや具体的な手順、そして注意すべきポイントについて解説します。
資産管理会社設立のメリット
1. 節税効果
資産管理会社を設立する最大のメリットの一つが、節税効果です。個人で資産を保有していると、所得税や相続税、贈与税などの高い税率が適用される場合があります。特に、高額所得者にとっては累進課税制度によって、収入が増えるほど税負担が重くなるのが特徴です。資産管理会社を設立することで、法人税率が適用され、これにより税負担を大幅に軽減することができます。
例えば、個人が不動産から得た収益に対して課される所得税率が最大で55%であるのに対し、法人税率はおおよそ20%から30%程度です。この差が大きく、法人化による節税効果が顕著に表れます。
2. 相続対策
資産管理会社を設立しておくことで、相続時の税負担を軽減することが可能です。個人が資産を相続する場合、高額な相続税が課されることが多いですが、資産管理会社を通じて資産を管理することで、株式の形で資産を相続させることができ、結果として相続税を抑えることができます。
また、相続トラブルを避けるためにも、資産管理会社の設立が有効です。特に、不動産などの分割が難しい資産を保有している場合、資産管理会社を設立して株式として相続することで、相続人間での公平な分配が可能になります。
3. 資産の分散管理
資産管理会社を利用することで、個人の資産を分散して管理することができます。これにより、個人として大きなリスクを負うことなく、複数の資産を効率的に運用することが可能になります。また、家族や親族を役員にして、報酬を分配することで、所得の分散が可能となり、これも節税効果を高める手段の一つとなります。
4. 法人としての信用力
資産管理会社を設立することで、法人としての信用力が得られます。これにより、金融機関からの融資を受けやすくなり、事業拡大や新たな投資を行う際の資金調達がスムーズに進む可能性が高まります。法人名義での契約や取引も容易になるため、資産の管理や運用がさらに効率化されます。
資産管理会社設立のデメリットとリスク
1. 設立および維持費用
資産管理会社を設立する際には、登記費用や登録免許税、司法書士や行政書士への報酬など、一定の費用がかかります。一般的に、株式会社の設立には約25万円、合同会社でも約10万円のコストが発生します。また、設立後も法人税や住民税、社会保険料の支払いが毎年発生するため、経営コストが個人事業よりも高くなる傾向があります。
2. 経理や法務の事務負担
法人を運営するには、個人事業主と比較して煩雑な経理や法務の処理が求められます。特に、定期的な決算や税務申告が必要となり、専門的な知識が求められるため、税理士や会計士のサポートが不可欠です。これに伴い、事務負担が増加し、場合によっては外部の専門家に依頼する費用も発生します。
3. 社会保険や税務の取り扱い
法人としての経営を行う場合、社会保険の加入が義務付けられます。これにより、個人事業主としての国民健康保険や国民年金よりも高額な保険料を支払う必要が出てきます。また、法人化することで、税務署からの監視が強化される可能性もあり、適切な会計処理を怠るとペナルティが課されるリスクもあります。
資産管理会社設立の手順
1. 会社形態の選定
まず、資産管理会社の形態を決定します。一般的には株式会社か合同会社のいずれかを選択しますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。株式会社は社会的信用が高く、対外的な取引に有利ですが、設立費用が高くなります。一方、合同会社は設立費用が低く、運営の自由度が高い反面、社会的信用は株式会社に劣るとされています。
2. 定款の作成
定款には、資産管理会社の目的や事業内容、役員構成などを記載します。定款は公証役場で認証を受ける必要があり、これにより会社設立の法的基盤が整います。定款に記載する事業内容は、将来的な事業展開を見据えて広範囲に設定しておくと良いでしょう。
3. 法人登記
定款の認証後、法務局で法人登記を行います。この手続きにより、正式に法人としての地位が認められ、以後、法人名義での活動が可能となります。登記には、登記申請書、定款、役員の就任承諾書、資本金の払込証明書などが必要です。
4. 税務署への届出
法人設立後には、税務署に法人設立届出書を提出し、法人としての税務手続きを開始します。また、必要に応じて、年金事務所やハローワークへの届出も行います。これにより、法人としての社会保険加入や税務処理が整います。
資産管理会社を設立するべき人
一定の売上がある個人事業主やフリーランス
個人事業主やフリーランスで、年間の利益が800万円を超える場合、法人化することで節税効果が期待できます。個人所得税は累進課税で高所得者ほど税率が高くなる一方、法人税はフラットな税率が適用されるため、一定の所得以上で法人化するメリットがあります。
副業で一定の収入を得ているサラリーマン
サラリーマンでありながら副業で一定の収入を得ている場合、資産管理会社を設立して法人化することで、税制面でのメリットを享受できる可能性があります。副業の規模が大きくなるにつれて、法人化による節税効果が増すため、設立を検討すべきです。
不動産投資をしている人
不動産取引を行っている場合、個人での取引よりも法人を通じて取引する方が税制上のメリットがあります。特に、不動産を5年以内に売却する場合、個人の短期譲渡所得税率よりも法人の税率の方が低いため、資産管理会社を設立することで、節税や取引の自由度が向上します。
多額の資産を相続する可能性がある資産家
相続時の税金が多額に上る場合、資産管理会社を設立することで、役員報酬として資産を少しずつ移転することが可能です。これにより、高額な相続税を避けつつ、資産を次世代に引き継ぐことができます。
オーナー社長
自社株の相続対策を考えているオーナー社長にとって、資産管理会社は有効な手段です。自社株を資産管理会社に移転し、その株式を相続する形にすることで、経営リスクを軽減しつつ、相続をスムーズに進めることが可能です。
まとめ
資産管理会社とは、個人の持っている現金や預金、不動産などの資産を管理する目的で設立されるプライベートカンパニーです。
資産管理会社に個人の資産を移すことで、生前贈与や相続にかかる税金をおさえられる、相続トラブルを回避してスムーズな相続につながるなどのメリットがあります。
設立代行会社を利用すれば、資産管理会社設立後の制上での注意などもサポートを受けられます。
スムーズな相続や生前贈与、節税のためにも、設立代行会社を利用しての資産管理会社設立を検討してみましょう。
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