会社を設立する際には、誰が、どこで、どのように事業を営むかについてあらかじめ決定し、必要な書類を揃えたうえで、法務局に会社の設立を申請する必要があります。
この一連の手続きを「法人登記」といい、法人、つまり会社を経営するとき、誰しもが通過しなくてはならない関門です。
法人登記の流れ
法人登記においては、商号、本店所在地、事業目的、社員(出資者)、代表社員、出資金などを所定の様式に記載し、所定の窓口に提出しなくてはなりません。
「株式会社」と「合同会社」の二種類の法人における、法人登記の際に必要な書類について説明していきます。
法人登記に際し必要な書類は、株式会社と合同会社で異なる
会社を設立するときに必要な手続きは、登記する法人が「株式会社」か「合同会社」かで異なります。
株式会社とは、代表取締役をおき、株式の発行を行う会社で、多数の法人がこの形態を採用しています。
合同会社は、代表社員を置き、株式を発行しない会社で、2006年にスタートした比較的新しい形態の法人です。
代表的な合同会社としては、アップル、アマゾンなどの企業があげられます。
それぞれの法人登記に際しての手続き上の大きな違いは、準備すべき書類の様式に加えて、登記手続きにかかる諸費用の額と、公証役場で定款の認証を受けるかどうかの3点。
株式会社の場合、定款の認証に際して、公証役場に対し5万円の手数料を納める必要があるほか、登記申請時には法務局にて15万円の登録免許税を納付する必要があります。
合同会社の登記申請をする際には、公証役場での定款の認証が不要であるため、手続きに必要な手数料は[資本金×0.7%]または6万円のいずれか高いほうの金額を納付する登録免許税のみとなります。
例えば資本金が100万円の場合、その0.7%は7,000円となりますが、6万円の方が高額なため、この場合の登録免許税は6万円になります。
株式会社と合同会社、どちらを選ぶべき?
株式による資金調達を行いたい、上場を視野に入れた起業であるといった場合には、株式会社での登記が必須です。
一方、株式による資金調達が必須ではない場合、例えば個人事業主からの法人成りや、大規模な設備投資が不要といった場合においては、初期費用が抑えられる合同会社が選択されることがあります。
なお、いずれの法人格においても、税制面での条件の違いはありません。
合同会社設立の場合の必要書類
株式会社を法人登記する際、必要な書類は以下の通りです。
これらを揃えたら、全てクリップなどでひとまとめにし、ホチキス留めの場合は、全ての見開きページのつなぎ目に会社の実印で割印を、製本テープの場合は、さらにテープと紙の境目に割印しておきます。
必要な書類が欠けていると、申請をスムーズに進めることができないため、法務局に向かう前にしっかりと書類に不備やモレがないかを確認しておきましょう。
登記書類
会社設立登記申請書
法人登記にかかる必要事項を記載した書類です。
申請書には、法人の名称、本店所在地、資本金および登記書類の一覧などの情報が含まれています。
登録免許税納付用台紙
法人の登記申請にかかる手数料分の収入印紙を貼り付ける台紙です。
合同会社の場合は、[資本金×0.7%]または6万円のいずれか高いほうの金額が手数料となります。
登記用紙と同一の用紙
商号・資本金、事業目的、役員などについて記載した書類です。
OCR用紙にて作成するか、テキストデータにて作成し、CD-R形式で提出する方法があります。
定款
会社の事業目的や本店などを記載した書類です。
法務局への提出用と、自社にて保管する用の計2部必要です。
代表社員の印鑑証明書
代表社員の印鑑証明書を添付します。
代表社員就任承諾書
代表社員の就任承諾書ですが、定款に代表社員の氏名が記載されている場合、添付は必須ではありません。
印鑑届書
「印鑑(改印)届出書」の様式にて、会社員の登録を行います。
払込証明書
定款に記載した資本金の額を証明するための書面です。
書面のほか、資本金を振り込んだ通帳の表紙、中表紙、入出金の履歴が印刷されているページのコピーも併せて用意します。
代表社員、本店所在地及び資本金決定書
定款にて必要事項を記載済みの場合、決定書の添付は必須ではありません。
書類以外に必要となるもの
収入印紙
収入印紙はあらかじめ郵便局やコンビニなどで購入することも可能ですが、高額の収入印紙は在庫がない場合があるので、法務局にて購入するといいでしょう。
クレジットカードは使えないので注意してください。
会社印、発起人の実印
登記にあわせて、会社印の登録をします。
印鑑登録には代表取締役の実印も必要になるため、忘れずに持参しましょう。
株式会社設立の場合の必要書類
株式会社を法人登記する際、必要な書類は以下の通りです。
合同会社の項目にて説明したのと同様に、これらを揃えたら、全てクリップなどでひとまとめにし、ホチキス留めの場合は、全ての見開きページのつなぎ目に会社の実印で割印を、製本テープの場合は、さらにテープと紙の境目に割印しておきます。
登記書類
登記申請書
法人登記にかかる必要事項を記載した書類です。
申請書には、法人の名称、本店所在地、資本金および登記書類の一覧などの情報が含まれています。
登録免許税納付用台紙
法人の登記申請にかかる手数料分の収入印紙を貼り付ける台紙です。
株式会社の場合は15万円の高額な収入印紙が必要になるため、郵便局やコンビニなどで事前に購入するより、申請の当日に法務局にて購入する方が楽です。
就任承諾書
代表取締役への就任を承諾することを記載した書類です。
代表取締役の氏名を記載し、実印を押印します。
発起人決議書
法人の名称や事業目的など、発起人が決定した基本事項を記載した書類です。
印鑑証明書
代表取締役の印鑑証明書を添付します。
払込を証する書面
定款に記載した資本金の額を証明するための書面です。
書面のほか、資本金を振り込んだ通帳の表紙、中表紙、入出金の履歴が印刷されているページのコピーも併せて用意します。
OCR用紙
「登記すべき事項」を別途記載した用紙です。
書類以外に必要となるもの
収入印紙
株式会社の登記申請にかかる費用は、目安として15万円です。
収入印紙はあらかじめ郵便局やコンビニなどで購入することも可能ですが、高額の収入印紙は在庫がない場合があるので、法務局にて購入するといいでしょう。
クレジットカードは使えないので注意してください。
会社印、発起人の実印
登記にあわせて、会社印の登録をします。
印鑑登録には代表取締役の実印も必要になるため、忘れずに持参しましょう。
必要書類を揃えた後の申請手続き
上記の必要書類一式が揃ったら、法務局にて登記の申請を行います。
法務局における登記手続き自体は、株式会社、合同会社の別による違いはなく、必要な書類を法務局の窓口に提出し、書類が受理されたら登記手続きは完了です。
税金や社会保険の手続き
登記手続き完了後、年金、保険、税金に関する手続きを、各地方自治体および関係する官庁などにて行います。
特に、従業員を雇用する場合には、経営者以外の生活にも大きく影響する事務手続きとなるため、抜けや漏れに注意が必要です。
手続きに際しては、「法人設立届出書」及び「登記事項証明書」「定款の写し」などに加えて、各種様式への記載が必要になります。
登記事項証明書は、登記手続きの完了後に法務局にて発行できるようになるため、あらかじめ必要部数を確認しておくと便利です。
初めての法人登記、一人で悩まずにご相談を
揃えるべき書類、事業内容の書き方、必要な許認可や資本金の準備など、法人登記の前にはやるべき作業がたくさんあります。
通常の業務を抱えながらの片手間では、思うように登記の準備が進まないことも。
経営サポートプラスアルファでは、スムーズな事業開始のため、専門のスタッフによるお手伝いしています。起業を考えたとき、お困りごとにぶつかってしまったときなど、まずはお気軽にまでご相談ください。