会社設立前の売上は法人計上できる?設立前の費用・経費・申告の扱いを解説

会社設立前に売上や費用が発生すると、法人の売上にできるのか、会社の経費として扱えるのかで迷いやすくなります。

設立前の売上は原則として個人に帰属し、費用は内容に応じて創立費や開業費として整理を検討すべきです。

本記事では、会社設立前の売上と費用の基本的な考え方、申告時の注意点、実務上の確認ポイントをわかりやすく解説します。

会社設立前の売上は法人計上できるのか

最初に「会社設立前の売上は法人に計上できるのか」という疑問にお答えします。

設立前の売上は原則として個人に帰属する

まず押さえておきたいこよは、会社は設立登記によって成立するという点です。

そのため、まだ法人が成立していない時点で発生した売上は、原則として個人に帰属すると考えましょう。

たとえば、個人名義で受注し、個人名義で請求書を発行し、個人口座で入金を受けている場合を考えます。

この場合、法人売上としてそのまま処理するのではなく、まず個人側の取引として整理するのです。

設立前に発生した売上は、契約日、納品日、役務提供日、請求日、入金日を時系列で整理してください。

どの時点で、誰が、どの名義で取引したのかを確認しながら考える必要があります。

設立前の売上や費用でも法人側での整理を検討する場面がある

設立前に生じたもののすべてが、直ちに個人の取引と断言できるわけではありません。

設立準備の過程で生じた取引については、法人側での整理を検討する場面があります。

ただ、どの場合でも法人へ引き継げるわけではなく、契約主体や取引実態に応じた判断が必要です。

実際には、設立のための支出なのか、個人の事業活動なのか、あるいは法人設立後に引き継ぐことを前提とした準備だったのかを見ながら整理していく必要があります。

個人事業を引き継いで法人成りする場合

個人事業から法人へ移行する、いわゆる法人成りでは、さらに慎重な整理が求められます。

法人成りでは、個人事業としての取引と、法人設立後の取引が同じ年の中に混在しやすくなるためです。

このとき、個人と法人は別人格である以上、売上も費用も同じように扱うことはできません。

たとえば、個人事業主として受けた仕事の報酬が、たまたま法人設立後に入金されたとしても、それだけで法人売上になるとは限りません。

契約主体が個人であり、役務提供も個人であれば、個人側の売上として考えることが自然です。

反対に、法人設立後に法人名義で締結した契約に基づく取引であれば、法人売上として整理しやすくなります。

会社設立前の費用はどこまで法人で計上を検討できるのか

続いて、会社設立前の費用をどこまで計上できるかについて検討します。

創立費と開業費に分ける

設立前後の費用を整理するときは、まず創立費と開業費に分けて考えましょう。

創立費は、会社そのものを設立するために通常必要となる費用です。

一方、開業費は、事業を開始するための準備に要した費用のうち、開業前に支出したものを指します。

この違いを押さえておくと、「会社を作るための支出なのか」「事業を始めるための支出なのか」を見分けやすくなるのです。

創立費にできる主な支出

会社設立そのもののために必要となった支出です。

設立登記の際にかかる登録免許税

登録免許税は、資本金に基づいて算出されます。

資本金が2,140万円未満であれば15万円、これ以上であれば、資本金額の0.7%となっています。

納付方法は、収入印紙と現金で納付する方法の2種類ありますが、法務局によって納付方法が異なる場合もあるため、事前に必ず確認しましょう。

定款の作成費用

定款とは、会社のルールを定めたものであり、会社を設立する上で必要な書類です。

自分で作成した場合、公証人への手数料だけで済む場合もあり、正しく調べてミスなく作成することで、費用を抑えることも可能でしょう。

ただ、専門家に頼むことで、手間を省くことができ、間違いのない定款を作成することが可能であるため、専門家に頼むことも有効です。

この場合、司法書士か行政書士に依頼することになります。

発起人の報酬

発起人とは、会社を創立することを考えた人のことで、会社法上では「会社設立にあたって出資し、定款に記名・押印した人物」となっています。

この発起人には、負担に対する報酬を支払うことができ、これを創立費に計上することで節税効果を得ることができます。

総会の費用

会社創立時に発起人と株式取引人の合意をまとめるために創立総会を開催しますが、この費用も創立費として計上することができます。

開業費にできる主な支出

事業を開始するために必要となった準備支出です。

名刺や印鑑の作成費用

会社設立時に新しく名刺や印鑑を作成した場合、この費用も開業費として計上することができます。

この場合、印刷代だけでなく、デザイン代なども含まれます。

広告やパンフレット等の作成費用

創立後かつ営業前の期間に限られますが、パンフレットなどの広告の費用は開業前にかかる特別な支出として認められるため、開業費として計上することが可能です。

ただし、営業開始後であれば、広告宣伝費として勘定項目に入れる必要があります。

市場調査にかかった費用

開業時に行った市場調査にかかる費用も開業費として計上することが可能です。

調査費には、事前調査にかかる様々な費用を計上することができます。

商品の販売や消費状況などの調査を業者に頼んだ場合の調査費、市場調査のために購入した書籍や業界紙なども調査費として計上することができます。

開業に関連するセミナーの受講料

開業すると決めてから、セミナー等に通い、開業に関する情報を得る方も多いのではないでしょうか。

このような際のセミナー代も、開業費として計上することが可能であるため、開業前に研修やセミナーなどに積極的に通うことで、今後の経営に役立つ情報も得ることができ、一石二鳥でしょう。

ポイント

・会社設立までにかかった費用を創立費といい、設立から営業を開始する前までにかかった費用を開業費という。
・創立費は、設立登記の際にかかる登録免許税や定款の作成費用、発起人の報酬などがある。
・開業費の中には、名刺や印鑑の作成代、会社案内やパンフレットなどの作成代などがある。

会社設立前の売上や費用を処理するときの判断ポイント

会社設立前の売上や費用の処理に悩んだ際は、以下のポイントで判断してください。

売上が発生した日と契約した日を確認する

最初に確認すべきは、契約日、納品日、役務提供日、請求日、入金日です。

入金が法人設立後でも、その契約や業務提供の実態が個人なら、個人の売上としての整理が基本とえいます。

逆に、法人設立後に法人名義で契約し、法人として提供したサービスなら、法人売上として整理しましょう。

そのため、売上の帰属は入金日だけでは決まるものではりません。

誰が契約主体だったのか、どの名義で請求したのか、いつ業務を遂行したかを確認する必要があります。

請求書や領収書の名義を確認する

設立前後の処理では、名義の確認がとても重要です。

たとえば、請求書が個人名義なのか法人名義なのか、領収書の宛名が誰になっているかです。

もちろん、名義だけで結論が決まるわけではありません。

とはい、個人名義で契約し、個人名義で請求しているなら、個人での計上が自然でしょう。

どの場合でも、支出内容や立替の経緯がわかる資料を残しておくことが大切です。

個人口座で受け取った売上は注意

設立前は法人口座がまだ開設されていないことが多くあります。

結果、やむを得ず個人口座で入出金を管理するケースも考えられるのです。

ただ、個人口座で受け取った入金をそのままにしておくと、個人分と法人分の区別が曖昧になってしまいます。

また、設立後に法人口座ができたからといって、設立前の入金を何も考えずに移し替えるのは避けたほうがよいでしょう。

創立費と開業費は繰延資産として計上する

創立費や開業費を合わせると、まとまった金額になることが予想されるでしょう。

この額を開業初年度に経費として計上してした場合、これを超える額の売り上げを出さないと赤字になってしまいます。

経営が軌道に乗ってない状況で、創立費や開業費を超える額の売り上げを出すことは難しい場合も多いです。

とはいえ、赤字になってしまうと融資などの場面で不利になってしまうことがあります。

このため、これらの費用は繰延資産として計上し、数年にわたって償却すると良いでしょう。

繰延資産とは、減価償却と似た考え方で、一年以上の費用対価がある支出のことを指します。

創立費と開業費を繰延資産として計上することで、赤字の時は償却せず、黒字の時に償却するというように処理することが可能になるため、会社の経営状況に応じて柔軟に対応することができるのです。

ポイント

・創立費と開業費を経費として計上してしまうと、赤字になる恐れもある。
・創立費と開業費は繰延資産として計上することが可能。
・繰延資産として計上すれば、会社の経営状況に応じて柔軟に償却できる。

会社設立前の売上でやっておきたい対応

これから会社設立する場合、以下の対応を心がけてください。

領収書や請求書は設立前から必ず保管する

設立前の売上や費用を整理するうえで、最も重要なのが証憑の保管です。

領収書、請求書、契約書、見積書、通帳明細、メールのやり取りなど、取引の流れがわかるものは早い段階から残しておきましょう。

設立前の取引は後から振り返ることが多いため、記録が残っているかどうかで整理のしやすさが大きく変わります。

売上と費用を個人資金と混ぜないように管理する

設立準備中は、個人資金で事業準備の支出を立て替えることが珍しくありません。

しかし、生活費と事業準備費を同じ感覚で管理してしまうと、後から何が会社関係の支出だったのか分からなくなります。

個人口座を使う場合でも、設立準備に関する入出金は別途一覧化しておくと安心です。

法人口座開設前の入出金ルールを決めておく

法人口座は、設立後すぐに使えるとは限りません。

そのため、設立前後の一時的な資金管理をどうするかを先に決めておくと、後の混乱を避けやすくなります。

たとえば、設立前の入金は個人で管理し、設立後の新規案件から法人口座へ切り替えるなどです。

設立前に個人口座で入金を受ける予定がある場合は、あらかじめ整理しておくと後の手間を抑えやすくなります。

設立前後で契約書や名義変更の漏れを防ぐ

売上や費用の帰属で揉めやすいのは、契約主体や名義が曖昧なケースです。

個人で契約したまま法人で請求していたり、法人設立後も個人名義のまま取引を続けていたりすると、整合性が取りにくくなります。

設立のタイミングに合わせて、契約書の名義、請求書の発行名義、振込先、領収書の宛名などを順番に見直しておくことが大切です。

よくある質問

計画的に行うか?

60ヵ月で均等按分して費用にしていくので(これを償却と呼んでいきます)、営業開始後の5年間は創立費・開業費を負担するといった考えができます。

年度の利益計画に基づき費用化するか?

早期に費用化することももちろん可能です。

どの年度に費用負担させるか?各自決めてください。

会社毎に取扱いは様々です。

どちらの方法を選んでいただいても結構です。

まとめ

会社設立をする上で、創立費と開業費の知識や経費にするタイミングを知っておくことも大切です。

また、会社設立の代行をしてもらうにしても、経費について相談するにしても、高額な費用を支出することは極力避けた方が良いでしょう。

経営サポートプラスアルファでは、無料で相談をすることが可能であり、会社設立の代行費用も0円で済みます。

また、会社設立だけでなく、会社設立後の費用も安く抑えることが可能です。

経営サポートプラスアルファでは、経費に関してのアドバイスも行うこともできるため、会社設立の際の経費についてのご相談も容易にできるでしょう。

24時間いつでもお問い合わせ可能なので、まずは、お気軽にお問い合わせください。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。