会社設立のときに法務局へ提出する書類は多々あります。
しかし、普段の生活の中で法務局と接することは多くないので、どんなことをする場所か知らない人も多いでしょう。
そこで今回は、法務局について解説します。
特に、この記事では会社設立に関する部分を詳しく見てみましょう。
目次
法務局とは?
法務局は、登記や戸籍に関する事務などを行っている法務省の地方支分部局の1つです。
全国を8ブロックの地域に分けて、この下に都道府県の地方法務局があります。
地方法務局は全国に約500か所ほどあり、窓口時間は、平日午前8時30分から午後5時15分までで土日祝日は休みです。
窓口が開いてないと手続きを進められないため、営業時間と休日は覚えておきましょう。
法務局の役割
法務局の役割は以下のものになります。
- 不動産登記
- 成年後見登記
- 商業・法人登記
- 供託
- 国籍事務
- 人権擁護事務
特に商業・法人登記は、一般的に会社設立の登記と呼ばれており、この手続きがなければ会社設立をできないため、これから会社設立を検討する人は必ずお世話になる役所です。
そのため、これから会社設立をする人は法務局ですべきことをしっかり認識しておきましょう。
会社設立の際に法務局でできること
法務局で会社設立時にできることは以下の3つです。
- 会社の登記
- 会社印の登録
- 会社設立に関する相談
会社設立時は必ず法務局とやり取りが発生するため、どんなことをするか覚えておきましょう。
会社の登記
会社登記とは、商号や本社所在地、代表者の氏名、事業目的といった会社情報における重要事項を法務局に登録し一般に開示することです。
会社登記があれば、新しい取引先候補が問題ないかを事前に調べてから取引できるなど、会社としても信用してもらえる可能性が高いでしょう。
会社登記は株式会社だけではなく、合同会社、合名会社などの持分会社すべてに会社登記が必要です。
会社印の登録
会社設立登記を行う際、会社の印鑑を法務局に届け出る必要があります。
このときに届けた印鑑を代表印と呼び、会社の実印となります。
実印を登録しておけば必要なときに会社の印鑑証明書を取ることが可能です。
会社設立に関する相談
登記申請書の内容や申請の手続き方法などについて法務局で相談できます。
登記申請前に似ている社名がないか、事業目的の記載内容などを法務局に事前相談し、確認しておくといいでしょう。
なぜなら登記申請時に訂正指示をされると、場合によっては認証を受けた定款作り直しや、公証人手数料も無駄になってしまうかもしれないからです。
なお、相談時に作成した登記申請書で問題ないかの適否判断はできません。
これは、申請書の適否は、あくまでも登記所の登記官が法律に基づき行うため、相談時に判断を仰いでも答えられないからです。
会社設立の際に法務局に提出する書類
会社設立時に法務局へ提出する書類は以下になります。
- 登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 定款
- 発起人の決定書
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 設立時取締役の印鑑証明書
- 資本金の払込みがあったことを証する書面
- 印鑑届出書
- 登記すべき事項を記載した書面または電磁的記録媒体
記入漏れがあると登記申請も止まってしまうので、全ての書類を慎重に作成してください。
また事例として法務省が公開している申請書類の雛型もあるので、参考にするといいでしょう。
登記申請書
登記申請書は、会社設立の旨を法務局に申請する書類です。
記載項目は、主に以下の内容となります。
- 会社名(商号)
- 本店所在地
- 公告をする方法
- 目的
- 発行可能株式総数
- 発行済株式の総数並びに種類及び数
- 資本金の額
- 株式の譲渡制限に関する規定
- 役員に関する事項
- 添付書類の一覧
- 登録免許税
申請書のフォーマットについては法務局の「商業・法人登記の申請書様式」を参照ください。
登録免許税納付用台紙
登録免許税分の収入印紙を貼り付けた用紙のことです。
登録免許税は資本金の額を元に計算され、株式会社と合同会社で変わります。
◆株式会社:資本金の額 × 0.7%または150,000円のどちらか高い方
◆合同会社:資本金の額 × 0.7%または60,000円のどちらか高い方
収入印紙は郵便局または法務局にて登録免税分を購入し、A4サイズの用紙に貼り付けます。
なお、とくに決まったフォーマットはないため、A4用紙を代用しても問題ありません。
定款
定款は企業の根本原則を記載したもので、必ず記載しなければならない事項は、以下の通りです。
◆ 目的
◆ 商号(会社の名称)
◆ 本店の所在地
◆ 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
◆ 発起人の氏名又は名称(法人の場合)と住所
◆ 発行可能株式総数
株式会社の場合は定款作成後、法務局で認証を受けます。
従来は紙による作成が一般的でしたが、最近は電子データの取り扱いもできるため、CD-Rによる提出も可能です。
発起人の決定書
発起人の決定書は必ずしも必要なものではありません。
番地まで含めた詳細な本店所在地を定款に記載しておけば、新たに提出しなくても問題ないです。
発起人の決定書は、発起人全員で本店所在地を決定したことを示すもののため、定款に書くものと同じです。
そのため、定款に記載しておけば新たな書類作成の手間も省けます。
設立時取締役の就任承諾書
設立時取締役の就任承諾書も必須書類ではないです。
定款に設立時の取締役選任と選定の記載を設けており、発起人自らが取締役である場合、就任承諾書の作成は必要ありません。
しかし、発起人以外の取締役が複数名いる場合は人数分の作成が必要です。
設立時代表取締役の就任承諾書
設立時代表取締役の就任承諾書も取締役の場合と同様です。
定款に記載を設けて、発起人自らが取締役ならば新たに作成する必要はありません。
しかし、取締役会を設けていない場合は作成してください。
設立時取締役の印鑑証明書
設立時取締役の印鑑証明書も必ずしも必要な書類ではありません。
必要なケースは、取締役会を置かない会社です。
この場合は、取締役全員分の印鑑証明書を準備しなければなりません。
取締役会を置いているならば、設立時代表取締役の印鑑証明書だけで問題ないです。
資本金の払込みがあったことを証する書面
定款に記載されている資本の払込みが確実に発起人からあったことを証明する書類で、必ず準備しなければなりません。
払込みを証明するために、銀行口座の以下内容が必要です。
- 通帳の表紙
- 表紙の裏
- 払込み金額が記載されているページ
上記のコピーが必要となります。
印鑑届出書
会社実印となる印鑑届出書も必要書類です。
法務省のホームページにある記載事例をぜひ参考にしてください。
登記すべき事項を記載した書面または電磁的記録媒体
必要書類は紙で作成することも可能ですが、PCの方が楽なので電子データで準備するといいでしょう。
そのため、作成したデータをPDF化してCD-Rなどに保存したものを提出しなければなりません。
なお、登記申請書を電子データで作成する場合の注意点は、法務省ホームページの「商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について」を参考にしてください。
会社設立の際に法務局に相談する時の注意点
会社設立の際に法務局へ相談するときの注意点は、以下の3つになります。
- 聞きたい事項を事前に明確にしてから行く
- 書類の作成をしてもらうことはできない
- 無料なので混雑することがある
法務局は何でもやってくれるわけではないので、相談時の注意点を守ってから行くようにしてください。
聞きたい事項を事前に明確にしてから行く
質問事項を明確にしていないと、せっかく法務局の担当者が時間を取ってくれていても無駄になってしまいます。
法務局職員も暇ではないので、質問事項が明確でないのに相談があるといっても迷惑なだけです。
聞きたい内容を明確にしてから法務局職員と面会しましょう。
書類の作成をしてもらうことはできない
相談できるといっても、登記申請書などの書類作成をしてくれるわけではありません。
あくまでも書類作成は自分で行わなくてはならず、法務局職員には書類の書き方や内容についての質問しかできません。
また、作成した申請書で問題ないかの判断もできないので注意しましょう。
無料なので混雑することがある
無料相談なので自分と同じように聞きたいことがある人が殺到している可能性もあります。
いつでも空いているわけではないので、相談に行くときは余裕を持っていきましょう。
会社設立の際に法務局以外で相談できる場所
会社設立の際に法務局以外で相談できる場所は以下になります。
- 会社設立コンサルタント
- 公証役場
- 商工会議所
それぞれ詳しく見てみましょう。
会社設立コンサルタント
会社設立を専門に行っているコンサルタントならば代行手続きまで可能で、安心して任せられるでしょう。
費用は掛かりますが、会社設立コンサルタントは専門家なので、スムーズに会社設立を進められるでしょう。
弊社、経営サポートプラスアルファなら法人の設立を最初から最後までサポートすることができます。
また、法定費用のみで追加の手数料は頂かないので安心してご相談ください。
公証役場
公証役場でも会社設立の相談が可能で、特に定款作成時に頼るといいでしょう。
事業目的や製本方法、文面チェックなど定款作成中に事前相談して、いざ認証となったときに問題が起きないようにしてください。
場所は、本店所在地のある都道府県ならばどの公証役場でも構いません。
商工会議所
商工会議所では会社設立セミナーなども行っていることもあるため、利用してみるといいでしょう。
費用は掛からないため、誰でも利用可能です。
商工会議所では起業支援だけでなく、経営支援も行っているため、事業発足後のことも相談できます。
これは、他の相談所とは違う商工会議所のメリットといえるでしょう。
会社設立後に法務局で行うこと
会社設立後に法務局で行うことは、以下の2点です。
- 登記事項証明書の取得
- 印鑑証明書の交付
内容を見てみましょう。
登記事項証明書の取得
登記事項証明書の取得は、法務局で行うことが必要です。
しかし、登記事項証明書の取得は、法務局に行かなくてもオンラインでもできます。
窓口に行くよりも手軽で手間も省けるのでおすすめです。
印鑑証明書の交付
印鑑証明書の交付も、法務局で行うことが必要です。
また、印鑑証明書の交付は、法務局窓口だけでなく郵送やオンラインでも手続きができます。
銀行の口座開設時に必要なので、早めに準備するといいでしょう。
会社設立における法務局でのやりとりはオンラインでも可能?
1人の会社であれば法務局とのやり取りをすべてオンラインで行い、会社設立まで実現可能です。
ただし、準備から手続き完了まで遵守すべき内容が決まっているため、法務省ホームページにある「一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです」のページを確認するといいでしょう。
会社設立の際に法務局は指定されている?
会社設立時の法務局は、本店所在地のある区市町村を管轄している法務局に指定されています。
管轄を調べるには法務省ホームページにある「管轄のご案内」を参照するといいでしょう。
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まとめ
会社設立時には法務局へ書類提出などを行うため、切っても切り離せない役所となります。
提出書類も多いため、なるべく専門家にアドバイスをもらった方が安心でしょう。
経営サポートプラスアルファでは、個人でも法人でも独立を少しでも考えている人のご相談に乗らさせていただいております。
相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。