会社を設立するためには法人登記をしなければいけません。
法人登記は準備するべきことがたくさんあり、注意点も多いです。
そこで、法人登記のポイントについてまとめました。
これから会社の設立を考えている方は参考にしてください。
法人登記とは
法人登記とは何なのか、基本的な点について解説します。
登記とは財産上の権利や義務を公に示すために登記簿に記載すること
財産上の権利や義務などを公に示すために登記簿に記載することを登記といいます。
登記は法務局に書類を提出して審査に通れば認められるシステムです。
登記された事項は誰でも確認できます。
取引をする際には登記情報を確認することで安全性を確認できるのです。
法人登記は会社法により定められた事項を商業登記簿に記載すること
会社の情報を登記することを法人登記といいます。
法人登記の際に登録する情報は会社法により定められています。
法人登記をすると、申請した情報が商業登記簿に記載される仕組みです。
銀行から融資を得る際には登記簿謄本を提出します。
ビジネスで取引先を信用できるかチェックするために商業登記簿を調査するケースは多いです。
法人登記をせずに会社の事業を進めると罰則がある
法人登記をせずに会社を名乗って事業を進めるのは違法行為です。
法人登記をしなければ法的には会社は存在しないと扱われます。
会社でないものが会社を名乗ることは法律で禁止されており、会社法第978条により100万円以下の過料に処されます。
会社の情報に何らかの変更があった際にも登記をする
法人登記をした後も会社の情報について何らかの変更があれば登記をしなければいけません。
法人設立後に登記をするケースは主に下記の通りです。
・商号の変更
・事業目的の変更
・役員の変更
・本店や支店の移転・廃止
・資本金の増資
法人登記をしたときに登録した事項の変更があれば基本的に登記変更の手続きが必要であると考えましょう。
また、登記事項の変更の際には登録免許税が発生します。
法人登記の流れ
法人登記をするための流れを紹介します。
会社の基本事項を決める
法人登記をする際には会社の基本事項を決めることから始めましょう。
下記のような事項について決める必要があります。
・商号
・事業目的
・本店所在地
・機関設計
・事業年度
・株式譲渡制限
これらは定款に記載する事項であり、会社の事業にも大きく影響する重要な内容を含んでいます。
そのため、発起人同士でよく話し合いをしてそれぞれの事項について詳細を決めていきましょう。
定款を作成・認証をする
定款を作成する際には会社の基本事項などを記載します。
また、会社のルールについて特に記載しておきたいことがあれば、きちんと定款に含めておきましょう。
法人登記後に定款の内容を変更するのは面倒だからです。
株式会社を設立する場合は定款の認証という手続きが発生します。
公証役場で定款をチェックしてもらうのです。その際には認証手数料を支払わなければいけません。
出資金を払い込む
発起人達がお金を出し合って出資金の払込みを行います。
これが会社の資本金となるのです。
ただし、法人登記前には法人口座が存在しないため、発起人の代表の個人口座に入金しておきます。
入金した証明書を作成して提出することで資本金の金額の証明とするのです。
必要書類を準備して登記申請を行う
定款の作成や資本金の払込み、登録免許税の納付などを行い、登記申請書と添付書類を作成しましょう。
これらを本店所在地を管轄する法務局に提出すれば登記申請が完了します。
ただし、申請してから登記が完了するまで約2週間ほど時間がかかります。
書類に不備があれば修正しなければいけません。
法人登記の完了後に必要な手続きもある
法人登記を完了した後は法人設立の届出を税務署などに行い、社会保険や労働保険の手続きをして、さらに法人口座の開設もしなければいけません。
許認可が必要な事業を行う場合は、法人登記完了後に速やかに許認可の手続きを進めましょう。
法人登記を終了しても必要な手続きはたくさんあるのです。
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法人登記のために必要な書類
法人登記をするために必要な書類を解説します。
登記申請書
法務局に登記申請書を提出する必要があります。
法務省のサイトには登記申請書の記載例やテンプレートがあるため参考にしましょう。
登記申請書はきちんと様式を守って作成する必要があります。
定款
法人登記をするためには定款を作成しなければいけません。
定款には下記の通り3つの記載事項があります。
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事項
- 任意的記載事項
絶対的記載事項とは必ず定款に記載しなければいけない事項のことです。
商号や事業目的、本店所在地などがあります。
相対的記載事項は定款に定めておかないと法的効力が生じない事項のことです。
株式の譲渡制限や現物出資に関する事項、役員の任期の伸長などがあります。
任意的記載事項は定款に記載しなくても効力に影響はせず、便宜上定款に定めておく事項のことです。
たとえば、事業年度や株主総会の招集時期などがあります。
登録免許税納付用台紙
法人登記の際には登録免許税を納付する必要があります。
そして、きちんと納付したことを証明するために登録免許税納付用台紙の提出が必要です。
登録免許税が3万円以下の場合は収入印紙で納付を行い、3万円以上であれば現金で納付します。
収入印紙で納付する場合は、登録免許税納付用台紙に収入印紙を貼り付けましょう。
現金で納付する場合は、領収証書を台紙に貼り付けます。
発起人決定書
添付書類として発起人決定書を用意しなければいけません。
発起人決定書には発起人の名前と会社の基本事項を記載します。
発起人が1人の場合は発起人決定書ですが、発起人が複数の場合は発起人会議事録を作成します。
発起人会議事録には発起人全員の名前と会社の基本事項を記載しましょう。
資本金の払込みを証明する書面
法人登記の際には資本金を払込みしたことを証明する書面を添付する必要があります。
発起人代表の個人口座に振込をして、通帳の明細ページをコピーするのが一般的です。
明細のコピーを台紙に貼り付けて提出しましょう。
就任承諾書
会社の役員になることを承諾した証明として就任承諾書を作成して提出します。
代表取締役の就任承諾書と取締役の就任承諾書の2種類があります。
ただし、発起人がそのまま取締役になるケースでは、取締役の就任承諾書は不要です。
役員の印鑑証明書
法人登記の際には役員の印鑑証明書が求められます。
市町村役場に登録済みの実印が必要であり、事前に登録しておかないと印鑑証明書を発行できません。
そのため、法人登記をする前に早めに実印登録を済ませましょう。
印鑑届出書
法人登記の際には会社の実印として代表者印を作成します。
法人登記の際に設立登記申請書と一緒に印鑑届出書を提出するのが一般的です。
登記完了後に印鑑カードを取得すると法人の印鑑証明書を発行できるようになります。
印鑑届出書には押印をして、それが法務局のシステムに登録される仕組みです。
あらかじめ会社の実印として登録する印鑑を作成しておきましょう。
法人登記の申請方法
法人登記の申請方法を紹介します。
法務局の窓口で直接申請する
法務局の窓口で書類を提出する方法があります。
書類を提出した日が会社設立日になるため、確実に狙った日を会社設立日にしたいならば直接申請すると良いでしょう。
また、法務局では法人登記に関するさまざまな悩み相談に対応しているため、不明な点は気軽に質問できます。
郵送申請
郵送で法務局に書類を提出する方法があります。
書留を活用すれば確実に希望した日に書類が届くようにできるでしょう。
近場に法務局がない場合や忙しい人におすすめの方法です。
オンライン申請
法人登記はオンライン申請にも対応しています。
登記・供託オンライン申請システムを利用すれば、登記申請から電子署名書の発行請求、印鑑の提出・廃止まで可能です。
注意点として、オンライン申請のシステムは月曜日から金曜日の8時30分から21時までしか利用できません。
申請用総合ソフトを活用して申請用の情報を作成します。
添付書類は署名付きPDFファイルやビットマップイメージファイル、XML電子公文書ファイルとして提出可能です。
法人登記にかかる費用
法人登記にかかる費用は株式会社と合同会社とでは異なっています。
それぞれの法人登記の法定費用をまとめると下記の通りです。
項目 | 株式会社の法定費用 | 合同会社の法定費用 |
---|---|---|
定款の収入印紙代 | 4万円 | 4万円 |
定款の認証手数料 | 3万円~5万円 | なし |
謄本手数料 | 約2,000円 | なし |
登録免許税 | 資本金の1000分の7と15万円のうち低い方 | 資本金の1000分の7と6万円のうち低い方 |
その他 | 約1万円 | 約1万円 |
合計 | 約25万円 | 約11万円 |
電子定款を作成する場合は定款の収入印紙代を節約できます。
また、上記の他に資本金や事業の準備のための費用などが発生します。
法人登記を自分で行うリスク
法人登記を自分で行う場合のリスクを紹介します。
法人登記を自分で行うと損をするケースがある
法人登記はやり方を調べれば自分で行うことができます。
しかし、自分で行うと詳しい知識がないため、節約する方法がわからずに損をするケースがあるのです。
たとえば、定款は電子定款で作成することで収入印紙代の4万円を節約できます。
会社設立時の資本金を高く設定しすぎると登録免許税や認証手数料が上がり損です。
資本金が1,000万円を超えると初年度から消費税の課税事業者になります。
会社設立の専門家に依頼すると節税のための方法を教えてくれるためメリットが大きいです。
法人登記の設立を丸投げして時間を節約することもできます。
専門家に依頼する際に報酬がかかるのですが、専門家を利用する価値は高いです。
法人登記を依頼できる専門家
法人登記を依頼できる専門家として下記のような士業があります。
- 行政書士
- 司法書士
- 税理士
- 弁護士
それぞれ引き受けられる領域は異なっています。
登記業務が可能なのは司法書士のみです。
行政書士は認可申請を得意としています。
税理士は税金の専門家、弁護士は法律の専門家としてアドバイス可能です。
ただし、実際には行政書士や税理士などの事務所は、他の士業と連携を取っています。
そのため、士業同士の連携が取れているならば、税理士事務所に登記業務から認可申請、節税まですべて対応してもらうことも可能です。
会社設立の専門家をお探しならば経営サポートプラスアルファにご相談ください。
税理士法人であり、節税対策から資金繰り、法人登記まで総合的にサポートできます。
まずは経営サポートプラスアルファまでお気軽にお問い合わせください。
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法人登記は専門家に任せよう
法人登記は多くの手続きを行う必要があり、専門的な知識が求められます。
どのような手続きが必要であり、何を準備するべきなのかきちんと理解しましょう。
また、自分で手続きをするのはリスクがあるため、専門家に丸投げすることをおすすめします。
法人登記の専門家をお探しならば経営サポートプラスアルファにお任せください。
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