個人事業主と法人の経営を掛け持ちできたらいいなと、考えている人も多いでしょう。
ただ個人事業主と法人を掛け持ちできるのか、不慣れな場合は分かりにくいものです。
そこで個人事業主と法人の掛け持ちについて、分かりやすくご紹介していきます。
目次
個人事業主と法人は掛け持ちはできる
個人事業主と法人の掛け持ちは、別事業であればできます。
複数の事業を展開している人は、掛け持ちを検討してみてください。
ただし、個人事業主と法人が同じ事業であればできません。
これは、同じ事業では税金を低く抑えられるので、租税回避を指摘される可能性があるためです。
また、租税回避とは、経済的合理性が説明できない取引で租税を低くすることです。
租税回避は違法行為ではないものの、悪質なケースであれば税務署から許可されないこともあるでしょう。
税務署からの指摘は、なるべく避けたい所です。
また掛け持ちを検討する場合は、明確に異なる事業を選ぶ必要があります。
例えば、
- 〇 個人事業主でアパレル、法人でエンジニア‥掛け持ちできる
- ✖ 個人事業主も法人もエンジニア‥掛け持ちできない
といった分かりやすい事業選択がおすすめです。
個人事業主と法人の掛け持ちを考えている方は別の事業をスタートさせて、ある程度軌道に乗ってから行うといいでしょう。
租税回避と指摘されないように、事業内容はよく考えてください。
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▶関連記事 マイクロ法人の税金・社会保険料シミュレーション
個人事業主と法人は掛け持ちするメリット
個人事業主と法人を掛け持ちすると、大きなメリットがあります。
そこで、ここでは個人事業主と法人を掛け持ちするメリットを紹介します。
節税効果が高まる
個人事業主と法人は掛け持ちすると、片方ずつよりも節税効果が期待できます。
節税効果を期待して掛け持ちする方も多く、メリットも感じやすいものです。
主な節税効果には、以下のものがあります。
- ◆個人事業主として青色申告控除が受けられる
- ◆法人の場合役員報酬について給与所得控除が受けられる
- ◆売り上げを分散すると課税事業者の回避できる
- ◆経費の幅が広がる
税金の負担が少なくなれば、事業拡大の資金にすることもできます。
そのため、節税したい人は、個人事業主と法人の掛け持ちを検討するといいでしょう。
法人として信用性を使うことができる
法人化すれば、社会的な信用ができます。
法人の信用を上手く利用すれば、個人事業主の事業にも有利です。
考えられるメリットは、以下のものがあります。
- ◆資金調達しやすくなる
- ◆良い人材が集まりやすくなる
- ◆仕事の幅が広がる
個人事業主の時よりも人脈が増え、仕事の開拓もしやすくなるかもしれません。
個人事業主の身軽さと法人の信用を上手く利用すれば、大きな利益につなげられます。
なかには、法人としか取引しないという企業もあるので、肩書を上手く活用してください。
銀行とのやり取りもスムーズにいきやすく、大きなプロジェクトを始動したい時にも有利です。
社会保険料を低くできる
個人事業主と法人は、加入する社会保険が異なります。
一般的に社会保険は、
- ◆個人事業主‥国民年金と国民健康保険
- ◆法人‥厚生年金と協会けんぽ(健康保険)
に加入します。
法人を立ち上げれば法人から受け取る報酬のみが、社会保険料の対象です。
仮に個人事業主と法人の所得が同じであれば、社会保険料は半分で済みます。
また扶養家族がいる場合は、
- ◆国民健康保険…妻子の分も納めないといけない
- ◆健康保険…扶養なので別途で妻子の分を納める必要はない
といったメリットもあります。
扶養家族が多い個人事業主にとっては、法人の掛け持ちにした方が社会保険料の大幅な節約になるかもしれません。
社会保険料を低くしたいなら、個人事業主と法人の掛け持ちを有効な手段とかんがえるといいでしょう。
▶マイクロ法人の税金・社会保険料シミュレーションでどれくらい節税できるかわかります。
個人事業主向けの補助金と法人向けの補助金どちらも受給できる
個人事業主向けと法人向けのどちらも補助金が受給できることは、大きなメリットです。
補助金は法人向けと個人向けがあって、条件があえば受給できる仕組みが取られています。
個人事業主では申し込めない補助金であっても、法人であればできるものも少なくありません。
そのため、補助金の条件をよく確認して、積極的に活用してください。
個人事業主と法人は掛け持ちするデメリット
掛け持ちにはメリットがある反面、デメリットもあります。
個人事業主と法人の掛け持ちをする前に、デメリットの知識も参考にしてみてください。
税金の支払いが2つで必要
個人事業主と法人で掛け持ちした場合、それぞれの事業で税金を支払わないといけません。
税金の支払いの手間が掛かって、負担に感じてしまいます。
支払う税金は、以下のように分けることができます。
- ◆個人事業主‥所得税、住民税、個人事業税
- ◆法人‥法人税、法人住民税、法人事業税
さらに個人事業主と法人とも、消費税を納付しないといけないケースも想定されます。
支払いの手間が負担になって、本業に支障が出るかもしれません。
税金に関して税理士に依頼する方法もありますが、費用が掛かります。
節約のために個人事業主と法人を掛け持ちしたのに、税理士費用が負担になっては本末転倒です。
ただ税金の支払いが正しく行われないと、税務署から指摘を受ける可能性もあります。
税金が正しく納付できるように、十分に注意して対応する必要があるでしょう。
事務処理が面倒になりがち
個人事業主と法人の掛け持ちをすれば、両方の事務処理が必要です。
1人で事務処理をしている場合は、面倒に感じることもあります。
両方の経理が必要になるうえ、法人は個人事業主よりも事務処理が複雑です。
また法人を設立する際も、複雑な事務処理が必要です。
自力で行う場合、法人に関する知識や書類作りの労力が求められます。
個人事業主と法人の掛け持ちを1人で行う予定の方は、デメリットの方が大きく感じられるかもしれません。
事務処理が苦手という方は、専門家にお願いする、専門の事務員を雇うなど対策を考えるといいでしょう。
社会保険への加入が必須になる
法人を設立すると、社会保険への加入が必須です。
従業員が1人以上いる法人事業所であれば、加入する義務があります。
社会保険に加入することはメリットでもある反面、会社経営に大きな影響を与えます。
例えば法人化して従業員を雇うことになれば、会社は従業員の健康保険料を半分支払わないといけません。
事業が軌道に乗っていない場合、社会保険料が大きな負担になる可能性もあります。
そのため、従業員を雇う際は、慎重に考えてください。
一方、1人で仕事をしている個人事業主であれば、雇用保険や労災保険の加入は不要です。
社会保険への加入が自分にとってデメリットになるなら、個人事業主のままの方がいいかもしれません。
会社設立の費用に加え、社会保険の負担を考えたうえで、個人事業主と法人の掛け持ちを考えるといいでしょう。
個人事業主と法人の掛け持ちで税負担が小さくなる理由
個人事業主と法人の両方で節税対策ができるので、税負担が小さくなります。
個人事業主には、以下のような節税方法があります。
- ◆青色申告特別控除
- ◆小規模企業共済
- ◆idecoへの加入
しかし、個人事業主から法人化してしまうと、個人事業主時代の節税対策は利用できません。
そのため、今まで節税対策に力を注いでいた個人事業主には、大きなデメリットでしょう。
一方で、個人事業主と法人の掛け持ちをすれば、個人事業主の節税対策を引き続き活用できます。
加えて法人では、以下のような節税方法があります。
- ◆固定資産の修繕費が経費にできる
- ◆リース契約は税額控除の対象となる
- ◆役員退職金を支給する
個人事業主と法人の節税対策を最大限活用すれば、税金の額を大きく減らせます。
税負担に悩んでいる場合は、個人事業主と法人の節税対策を上手く活用することがおすすめです。
資金が手元に残るので、安定した経営ができるでしょう。
マイクロ法人とは?
マイクロ法人とは、一人会社のことです。
マイクロ法人には、以下のような特徴があります。
- ◆設立者が社長
- ◆従業員は雇わない
- ◆費用や設備は最小限
といった特徴が挙げられます。
マイクロ法人になる例も増えつつあって、フリーランスの個人事業主や副業をしているサラリーマンが制度を上手く活用しています。
また、マイクロ法人を設立すれば節税対策になるうえ、社長の肩書が手に入って名刺にも記載できます。
仕事はもちろん、プライベートでも、名刺を活用できる機会が増えるでしょう。
マイクロ法人は今までのフリーランスと同じような働き方ができるので、今の働き方を大切にしたいと考えている個人事業主にもおすすめです。
ただしマイクロ法人にもデメリットがあるので、注意が必要です。
特に設立費用が高いので、ハードルが高く感じるかもしれません。
おおよその設立費用は、以下のようになります。
- ◆株式会社…242,000円
- ◆合同会社…100,000円
株式会社の方が、合同会社よりも費用が掛かります。
費用を抑えたい場合は、合同会社を選ぶこともおすすめです。
ただ、自分で判断できないという人も多いでしょう。
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まとめ
個人事業主と法人の掛け持ちはできますが、別の事業にしないといけないという条件があります。
掛け持ちしたい場合は、明らかに異なる事業を用意してください。
また掛け持ちにはメリットとデメリットの両方があるので、慎重に検討することがおすすめです。
一人会社であるマクロ法人も注目が集まっているので、この機会に個人事業主と法人を掛け持ちするか考えてみてください。
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