株式会社を設立したいけれど、1人でも設立できるのか気になっている方もいるでしょう。
1人で個人事業主として事業を展開していた場合、会社設立時に複数人が必要だとすると、スムーズに会社を設立できません。
ここでは、株式会社の設立人数は何人必要なのか、1人からでも設立できるのか詳しく解説していきます。
株式会社の設立に必要な人数
何人から可能?
株式会社の設立に必要な人数は、特にルールが設けられていないため、1人から設立できます。
正しくは、複数人の取締役を必要とする取締役会の設置が不要のため、1人でも設立できるということです。
以前は、「最低3人の取締役による取締役会の設置」と「監査役1人」が必要であったため、1人では株式会社を設立できませんでした。
しかし、それでは、信頼できる取締役と監査役を選出するのに時間がかかり、ビジネスチャンスを逃してしまう場合もあるでしょう。
1人で株式会社を設立できることで、ビジネスチャンスを逃さずに済むようになりました。
設立人数が1人の株式会社のメリット
設立人数が1人の株式会社とは、すなわち取締役会が設置されておらず、従業員がいないということです。
これには、どのようなメリットがあるのか詳しくみていきましょう。
固定費を抑えられる
従業員がいる場合、毎月の給与の支払いが必要なため、固定費が増えます。
正社員で雇用した場合、固定費を削減したいからといって、不当に解雇することはできません。
そのため、株式会社を設立して間もない頃は、むやみに従業員を雇わない方がいいのです。
固定費を抑えられることで、事業拡大に多くの経費を使えるようになり、さらなる収益増加に繋がります。
採用にコストをかけずに済む
従業員を雇う場合、求人サイトや転職サイトで募集をかけるケースが多いでしょう。
求人の掲載には、数十万円以上もの費用がかかるため、採用に失敗したときに会社への影響が大きいのです。
最近では、新卒人材の3年以内の離職が33%超えと言われているように、組織に人材が定着しない世の中になってきたと言えます。
このため、人材の採用には、非常に大きなリスクが伴います。
一人で会社設立をすると、採用にコストをかけずに済むため、余分な費用を落とすことなく、しっかり基盤を固められるようになります。
採用にコストをかけてもいい段階まで1人で会社を切り盛りすることで、リスクを抑えられるのです。
役員報酬の負担がない
取締役会を設置するにあたり、取締役を3人選出した場合、それぞれに役員報酬を支給しなければなりません。
役員報酬は、従業員への給与よりも高いことが一般的のため、毎月の負担が大きく増えるのです。
また、取締役は戦力としてではなく、重要事項を決定づける人物として配置する場合も多く、直接的な利益につながらないケースもみられます。
そのため、役員報酬は据え置きにしたい場合もあるでしょう。
しかし、役員報酬が低いと、モチベーションの低下につながり、会社全体の士気に関わります。
それならば、最初から取締役を選出せず、1人で株式会社を設立した方がいいのではないかという話となるのです。
そもそも、従業員の人数と会社の利益は比例ではない
株式会社の設立人数が多いからといって、必ずしも収益が高くなるわけではありません。
1人が100万円の利益を挙げても、他の従業員が10万円ずつしか利益を挙げられなければ、人数によっては赤字になるでしょう。
株式会社の設立人数が1人であれば、自分だけで十分な収益を挙げさえすれば、問題ありません。
また、固定費を抑えられるため、たとえ10万円しか利益がなくても、場合によっては黒字となるのです。
このように、従業員に会社の存亡が左右されないことがメリットです。
・毎月の従業員の給与が不要なため、固定費を抑えられる!
・人を雇わないため、採用にコストをかけずに済む。
・従業員の成績や人数が会社の売上に比例するわけではない。
設立人数1人の株式会社のデメリット
設立人数が1人の株式会社には、次のようなデメリットがあります。
社会的信用が低くなりやすい
1人しか働き手がいない株式会社の社会的信用は低いと言えるでしょう。
例えば、重要な案件を任せられる下請け会社を探しており、従業員100人の会社と従業員1人の会社を比べた場合、前者の方が選ばれやすいと言えます。
実際に、どちらの方が良い成果物を納品できるかは別として、やはり設立人数が1人だと信頼性が低くみられやすいのです。
収益に限界を感じやすい
設立人数1人だと、収益を挙げるのに限界があります。
1人で月100万円の利益を得ていても、それを一気に200万円や300万円に増やすことは難しいでしょう。
設立人数が3人であれば、それぞれが月100万円ずつ利益を挙げることで、月300万円の収益となります。
このため、1人での会社設立は、リソースに限界を感じやすいと覚えておいてください。
しかし、これまで個人事業主として1人で事業を展開していた人がいたとしましょう。
同程度の収益を得ている人と一緒に会社を設立すれば、法人化による信頼性の向上という武器によって、これまでの2倍、3倍もの収益を得られるようになる可能性があります。
必ずしも1人の法人化というかたちにこだわわず、最も儲かる方法を考えることをおすすめします。
相談相手がいない
1人で株式会社を設立した場合、最初は会社を存続させるのが精いっぱいになる可能性があります。
事業が行き詰った際には、新たなアイデアをもとに事業を拡大したり、方向転換したりすることが大切です。
しかし、なかなか1人で画期的なアイデアやビジネスモデルは思い浮かばないでしょう。
このような場合、会社の事情に詳しく、発起人との相性がいい取締役がいれば、助け合ったり相談し合ったりして、より良い状態を作ることができます。
1人で会社を設立すると、相談相手がおらず、プレッシャーを感じやすくなります。
・一人しかいないことが外部に漏れている際に、社会的信用が低くなりやすい。
・収益に限界を感じやすい。
・アイデアや計画の相談相手がいないため、それがプレッシャーになってしまう可能性もある。
設立人数1人の株式会社の注意点
設立人数1人の株式会社を設立する際には、次のようなことに注意しましょう。
自分の給料を慎重に決める
自分の給料は、役員報酬として自由に設定できます。
一度、役員報酬を決めてから自由に高くしたり低くしたりできますが、適度な額に留めることが大切です。
役員報酬を高くしすぎると、個人にかかる所得税が高くなります。
また、役員報酬を低くしすぎると、法人税が高くなるのです。
会社の利益とのバランスを見つつ、利益が多少変動しても支障をきたさない程度の役員報酬に設定しましょう。
福利厚生費が認められにくい
福利厚生費は、従業員のために利用したサービスや購入した商品、飲食などが認められます。
従業員がいない設立人数1人の株式会社だと、福利厚生費として認められにくい可能性があるのです。
ただ、取引先との付き合いや出張などに関しては、交際費や会議費で計上できます。
税務調査時に指摘を受けないように、適切な勘定項目を選びましょう。
条件を満たす場合は社会保険に加入する
設立人数が1人でも、法人である以上は社会保険への加入が必要です。
ただし、役員報酬が0円であったり、社会保険料の天引き額よりも低かったりする場合は、社会保険には加入できません。
この場合は、国民年金保険や前職の健康保険の任意継続、国民年金などの制度を利用します。
社会保険に加入する条件を満たしているのに加入しない場合は罰則を受けるため注意しましょう。
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