会社設立代行0円って大丈夫なの?会社設立にかかる費用は?
目次
会社設立代行0円って大丈夫?
起業のハードルが低くなった今、会社を設立したいと考える方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そういった人に向けて、会社設立代行のサービスが存在するのをご存知ですか。
ネットで会社設立代行と検索すると、多くのサイトがヒットします。
また、その多くのサイトが無料を掲げています。
しかし、会社設立という一見複雑に聞こえる手続きを0円で代行してくれるとなると、少し怪しく感じてしまうのも無理はありません。
無料での会社設立代行サービスを信用してもいいのでしょうか。
今回は、無料の会社設立代行サービスについて解説していきます。
会社設立代0円が成り立つ仕組み
無料での会社設立代行を謳ってはいますが、業者が利益の見込みなしに無料サービスを行うことはありません。
では、0円での会社設立代行はどういう仕組みで成り立っているのでしょうか。
ほとんどの場合、会社設立代行サービスには、その業者・事務所との税務顧問契約が条件となります。
業者は会社設立自体は無料で代行してくれますが、以後税務顧問契約料を受け取り続けることになるため、長い目で見ると業者が得をすることになります。
税務顧問契約を結んでしまうと、一度無料での代行をお願いした、お金や事業運営といった複雑な相談をしたといった心理的な理由で、契約を解除しづらくなります。
現実的に考えても、新しい税理士とまた手続きや事業内容や予算など共有をし直さなければならないという手間がかかってしまうため、顧問契約の解除をためらってしまう方が多いです。
結果として、業者・事務所に利益が出るのです。
これが会社設立代行代0円が成り立つ仕組みです。
顧問契約は本当に必要なのか?
会社設立代行費用0円のサービスは、以後の有料の税務顧問契約を前提としている場合が多いことがわかりました。
設立以降のことまで総合して考えれば、多くの業者や事務所の会社設立代行は実質無料というわけではないということです。
しかし、ほとんどの場合会社設立代行の際に結ばなければならない顧問契約とは、本当に必要なものなのでしょうか?
税務顧問の仕事とは?
無料での会社設立代行サービスを利用する上で多くの場合税務顧問契約が条件となりますが、その必要性について考える前に、税理顧問の仕事内容について解説します。
そもそも税務顧問とはどのような仕事をするのでしょうか?
税務顧問の仕事は、大きく分けて
- ・条件となる税金関連の業務
- ・条件となる決算申告関連の業務
- ・記帳代行や給与計算などのその他の業務
の3つです。
会社の規模が大きくなればなるほど、これらの業務も多くなります。
税務顧問は必要なのか?
税務顧問の主な仕事である税金関連の業務・決算申告関連の業務・記帳代行や給与計算などのその他の業務は、事業の規模が大きくなるほど複雑になるということが分かりました。
しかし、会社を設立してから数年は、小規模で事業を行う会社も多いでしょう。
一般的に、起業してから1年ほどは、あまり税務顧問の仕事はないといわれています。
設立してすぐの会社は規模が大きくなく、上記の業務の量が自分でこなせる範囲内だからです。
確実な帳簿付け、レシートや領収書の管理といった注意点を守っていれば、自分で対応ができる手続きです。
また、上記の3つの業務は、決算の3ヶ月から半年前に準備ができていれば良いものです。
毎月契約料を払って税務顧問に委託する必要はありません。
初年度の決算は税理士にお願いする必要がありますが、それ以外の業務が税理士に依頼するほど多量・複雑でなければ、必ずしも顧問契約を結ぶ必要はないと言えるでしょう。
会社設立代行0円会社は信頼できるのか?
無料での会社設立代行の仕組みや税務顧問について見てきましたが、やはり最も気になるのは、会社設立代行0円を謳っている会社を信用してもいいのかどうかでしょう。
詐欺まがいのサービスに引っかかってしまわないよう、慎重にならなければいけません。
結論から言うと、無料という謳い文句は、注目を集めるためのキャッチコピーに過ぎません。
上記のように、設立代行自体は0円でも、長い目で見ると設立以後多くのお金を払わなければならず、結局は損をしてしまうというケースも少なくありません。
サービス内容をよく確認したり、実際に話を聞いてみたりと吟味した上で、代行を依頼する業者を決める必要があります。
無料だからと飛びつくよりも、代金を払って代行をお願いする方が結果的に見て安上がりになる場合も少なくありません。
税理顧問はどうやって決めるのがいい?
税理顧問は、起業してからすぐは必ずしも依頼する必要はないことが分かりました。
しかし、次の年度からは、事業も少しずつ拡大され、管理が手に負えなくなってくるという場合もあるでしょう。
税理顧問をお願いしようと思った場合、どういった基準で決めるのがいいのでしょうか。
会社設立から半年〜9ヶ月後に税理顧問契約を結ぶ
おすすめなのが、会社を設立してから半年〜9ヶ月経った頃に税理顧問契約を結ぶ方法です。
前述の通り、税金関連の業務・決算申告関連の業務・記帳代行や給与計算などのその他の業務は、毎月行う必要があるものでなく、決算の3ヶ月〜半年前に終わっていればいいものです。
起業してすぐに税理顧問契約を結ぶのではなく、少し経ってから結び、まとめて数ヶ月分の業務を依頼することで、契約料を浮かせることができます。
税務顧問契約を結ばなくても依頼できる業者や事務所も多くありますので、会社設立時に焦って税理顧問を決める必要はありません。
実際に会って話してみて決める
無料の会社設立代行サービスを利用した場合、ほとんどの顧問税理士の選択肢がその業者や会社の税理士に絞られてしまいます。
お金に関わる大切な決断の選択肢を狭めてしまうのはおすすめしません。
自分で実際に事務所を問わず複数の税理士に会ってみて、価格やサービスを比較することが大切です。
何より、この人なら信頼できる、会社について相談したいと思える税理士に決めましょう。
0円での会社設立に関してよくある質問
ここまで、無料での会社設立代行について解説してきました。
しかし、自分で会社設立するにしろ、会社代行をお願いするにしろ、会社を設立するということについてわからない点がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
0円での会社設立についてよくある質問について解説していきます。
資本金は0円でも設立できるのか?
1つ目のよくある質問が、資本金がなくても会社を設立できるのかということです。
自分で会社を始めたいけれど、すぐには十分な資本金を準備できないという方が少なくありません。
結論から言えば、資本金が0円でも会社を設立することが可能です。
もともとは、株式会社には1,000万円、有限会社では300万円の資本金が必要でしたが、平成18年に施行された会社法でこの最低資本金制度が廃止されました。
よって、理論的には資本金0円での会社設立が可能です。
しかし、資本金0円とは、出資がいらないというわけではありません。
計算の結果として理論上0円になる場合がある、というだけですので注意が必要です。
そもそも資本金とは、企業主(株主)の出資金から設立費用を引いたものです。
設立費用には、定款印紙および認証手数料、登録免許税といったものがあり、約24万円ほどです。
この設立費用が出資額よりも多ければ、資本金は0円もしくは0円未満となります。
資本金と出資金は違いますので気をつけましょう。
資本金は0円になる場合がありますが、出資金は設立費用を賄えるだけの金額を出す必要があります。
また、資本金なしで事業を始めるのはおすすめできません。
元手なしのビジネスになるため不安定であり、顧客からの信用問題にも関わるためです。
後から資本金を増資することも可能ですが、変更登記費用という費用が別途でかかってしまい、損になってしまいます。
将来的な利益を考えると、充分な資本金を用意するべきでしょう。
資本金は、会社を設立してから3ヶ月間は利益ゼロでも経営を続けられる額を目安にします。
中小企業の資本金の目安は300万円となっていますので、参考にするといいでしょう。
現物出資とは?
また、金銭だけでなく、お金以外のものでの出資も出資額としてカウントすることができます。
これを現物出資といいます。
なんでも現物出資できるわけではなく、貸借対照表で資産として計上が可能なものに限られます。
具体的に言えば、自動車、パソコン、債権、有価証券などです。
注意点として、現物出資をする際には、定款に現物出資の内容を記載すること、必要書類の作成をすることといった手続きが生じてきますので、費用と手間が追加でかかってしまうことが考えられます。
現物出資が500万円を超えると調査が必要になる、現物出資は時価で換算されるため、ものによっては評価が0を下回るケースがあるなど、いくつかの注意点もあります。
融資が0円でも設立できるのか?
2つ目のよくある質問は、融資がなくても会社を設立することができるのか、ということです。
融資(創業融資)とは、自分での会社設立資金の調達が難しい場合に、他者から資金を借りることです。
家族や親戚から借りる場合や、金融機関から借りる場合、自治体の制度を使用する場合などがあります。
創業融資は、起業を行う上で必須ではありません。
あくまで、自分だけでは会社設立の資金を集めることができない場合に借りるお金です。
自己資金が充分にあれば、融資を受ける必要はありません。
では、資金が足りず、創業融資を受けたいという人は、どのような点について注意すればいいのでしょうか。
家族や親戚にお金を借りるのではなく、創業融資を申し込む場合には、たくさんの準備が必要となります。
創業融資は基本的に日本政策金融公庫、制度融資の2種類ですが、どちらも書類や面談が必須で、申し込みをすればすぐにお金を貸してくれるわけではありません。
また、ちゃんと手続きを踏んでも、確実に審査に通るかはわかりません。
すでに別の事業を行なっている人ならば実績がありますので審査も通りやすくなりますが、初めて会社を設立するという人は審査も厳しくなってしまいます。
また、審査に通るのは全体の3割程度だと言われています。
審査を通るためには、丁寧な創業計画書、面談の対策が必要になります。
ここで注意しておきたいのが、日本政策金融公庫でも、制度融資でも、審査は一発勝負であるという点です。
創業面接書を適当に書いてしまったり、融資についてよく調べないまま面接に臨んでしまったりするようなことは絶対に避けましょう。
審査に落ちてしまうと、再度審査を申し込むのに半年〜1年間期間をあける必要があります。
ビジネスの予定も大幅に狂ってしまいますので、充分に準備をして審査に臨むようにしましょう。
わからないことがあれば、専門家に相談するのをおすすめします。
最近流行っている0円起業は可能なのか?
3つ目のよくある質問は、0円で起業することはできるのかということです。
前述のように、理論上資本金0円での会社設立が可能な場合はあります。
しかし、出資金0円で起業することはできるのでしょうか。
結論から言うと、0円起業とはただの謳い文句である場合がほとんどです。
実際に起業するとなると、経費がかかりにくいだけで、0円にはなりません。
では、0円で稼ぐとなるとどうすれば良いのでしょうか。
フリーランスになる
会社や事務所に所属せず、自分だけの力で稼ぐことをフリーランスと言います。
最近では、単発でも案件を受注できますので、自分にあった仕事を選ぶことができます。
ネットさえ繋がれば、生活スタイルに合わせていつでもどこでも稼ぐことができます。
とはいえ、フリーランスは稼げる額が自分の能力で決まってしまいます。
安定した仕事とは言えませんので、リスクも大きいです。
クリエイターになる
近年では、SNSや動画サイトの発達によって、自宅にいながら多くのお金を稼ぐクリエイターが増えてきました。
お金をかけず、自由な発想でたくさんの読者を抱えるブログや、登録者数を増やしている動画投稿者は多くいます。
しかし、クリエイターは誰でも簡単になれるというメリットがある一方で、競争率が高いという欠点もあります。
自分の技量に左右される仕事ですので、不安定です。
アフィリエイトを行う
アフィリエイトとは、近年注目を浴びている稼ぎ方です。
成果報酬型の広告のことを言い、自身のサイトやブログに特定の商品の広告を掲載することで報酬を得ます。
広告のクリック数で報酬が変わりますので、稼げる人と稼げない人のさが多く出るのが特徴です。
低コストでの起業には合同会社がおすすめ!
0円で稼ぐ方法には、自由だというメリットがある一方で、会社に所属しないため不安定だというデメリットがあることがわかりました。
社会的に見ても、会社に所属している方が信用が得られやすく、仕事をもらいやすいのは明らかでしょう。
しかし、株式会社を設立するには、約24万円という高額な設立費用が必要となります。
では、低コストで会社を設立するにはどうしたらいいのでしょうか。
低コストで起業するには、合同会社を設立するのがおすすめです。
合同会社は、設立や運営のコストを抑えることができるため、株式会社よりも設立のハードルが低いです。
株式会社と合同会社の違いとは?
低コストで起業するには合同会社がおすすめだということがわかりましたが、株式会社と合同会社の違いとはなんなのでしょうか。
両者の違いについて解説します。
株式会社の特徴
株式会社の1番の特徴は、株を使って資金調達をすることです。
会社のオーナーの権利を売却し、そのお金で会社を運営して得た利益を株主に配当として還元します。
つまり、会社に出資している人と会社を運営している人が違うのです。
多くの人からの融資があるため信用されやすく、大企業の多くが株式会社の形態をとっています。
また、決算公告や役員の任期といった義務もあります。
合同会社の特徴
合同会社には、株がありません。
株式会社とは違い、必ず経営者イコール出資者となります。
株式会社では、所有している株と配当が比例しますが、合同会社には株がないため、出資してくれた人への配当を自由に決めることができます。
出資額が少なくても、会社の運営に貢献してくれた人には多くの配当を渡すことができます。
また、株式会社では義務である決算公告や役員の任期が、合同会社では必要ありません。
運営がシンプルである分、小規模での会社運営に向いています。
しかし、誰もが知るような大企業が合同会社の形態をとっていることも少なくありません。
自分のプランに合わせた携帯選びが何よりも重要です。
その他の会社形態
ここでは株式会社、合同会社という2種類の会社の形態を紹介しましたが、会社の形態はこの限りではありません。
合資会社
合資会社とは、会社の債務に対して無制限の責任を負う無限責任社員と、出資額までという制限付きで責任を負う有限責任社員で構成される会社のことです。
原則として有限社員は役員になることができず、無制限の責任を負うリスクを負った社員のみが経営に関わることができます。
合同会社と同様に、決算公告の義務はなく、定款も株式会社よりも自由に設定することができます。
合名会社
合名会社とは、合資会社とは違い、無限責任社員のみで構成されている会社のことです。
社員全員が無制限に責任を負うことになるため、自己破産に追い込まれてしまう可能性があります。
合同会社と合資会社・合名会社との違い
合同会社は上記の2つと似た性質を持っていますが、合同会社には有限責任社員で構成されているという特徴があります。
万が一合同会社が倒産したとき、もしくは負債が発生したときに、出資額以上の負債を追う必要はないということです。
株式会社、合同会社を選ぶ基準は?
株式会社と合同会社の違いを見てきま下が、こうした両者の違いはビジネスにどのような影響を与えるのでしょう?会社設立の際に、どちらの形態を選べばいいのかについて解説します。
自分のやりたいビジネスに合わせて形態を選びましょう。
株式会社が向いている人
将来的にビジネスを大きくしていきたいと考える人が選ぶべき会社形態は、株式会社です。
合同会社は、社員の出資で成り立ちますので、資金調達に限界があります。
しかし、株式会社は投資家に株式を買ってもらうことで資金調達ができますので、より広くから資金を集めることができます。
また、合同会社と違い、株式会社は上場することができます。
自分の思い描くビジネスの規模によって、会社の形態を選びましょう。
また、より確実に、安定して会社を経営したいという人も、株式会社を選ぶのをおすすめします。
株式会社は、合同会社に比べて社会的信用が違います。
融資を受ける際、株式会社の方が通りやすいとされています。
合同会社が向いている人
合同会社は、小規模でビジネスを行う人に向いています。
家族経営など、将来的にビジネスの幅を広げたり、上場する予定がなければ、運営がシンプルでコストも抑えることができる合同会社がいいでしょう。
他の企業との取引でなく、飲食店・美容室といった一般消費者をターゲットにした会社なら、合同会社でも問題ありません。
また、株式会社よりも規定が少ないため、より自由な経営をすることができます。
結局株式会社と合同会社どちらがいいのか?
株式会社と合同会社、それぞれの形態に向いたビジネスを紹介してきましたが、やはり決め手に欠ける、というからもいらっしゃるでしょう。
おすすめは、合同会社です。
あとで合同会社から株式会社に変更することもできますので、まず合同会社を設立し、経営が軌道に乗ったら株式会社に変更するという形をとる人が多いようです。
どちらにせよ、設立時にかかるコストで形態を決めるのではなく、必ず自分の会社の目的を踏まえた上で決断する必要があります。
会社設立にかかる費用
それでは、具体的に会社設立にかかる費用を見ていきましょう。
株式会社と合同会社では、必要な金額が変わってきますので注意が必要です。
株式会社の場合の費用
まず、株式会社の設立費用について解説します。
結論から言うと、株式会社を設立するのに必要な費用は最低242,000円となります。
内訳は、
- ・定款認証手数料 5万円
- ・定款謄本手数料 2,000円
- ・設立登録免許税もしくは資本金の0.7% 15万円
となっています。
ここで注意しなければならない点は、15万円の設立登録免許税です。
資本金の0.7%が15万円を上回れば、そちらの金額を払う必要があります。
具体的に言えば、資本金が約2,140万円の場合です。
また、設立費用以外にも、様々な経費が必要です。
実印代、登記簿謄本の発行費など、必要なものを含めると、用意しなければならない金額は最終的に25万円前後です。
専門家に相談する場合はさらに費用がかかり、約30万円ほどになりますが、会社設立をスムーズに行うためには、必要な費用と言えるでしょう。
株式会社設立費用まとめ
- ・定款認証手数料 5万円
- ・定款謄本手数料 2,000円
- ・設立登録免許税もしくは資本金の0.7% 15万円〜
- ・実印代、登記簿謄本の発行費など必要経費 約1万円
- ・専門家への相談 約5万円
計30万円 (資本金により、上限なし)
合同会社の場合の費用
では、合同会社を設立する場合の費用はいくらになるのでしょう。
合同会社の設立費用は、株式会社よりも大幅に安く、最低10万円です。
定款の認証が必要ないためと、登録免許税が株式会社よりも安いためです。
内訳は
- ・定款認証手数料 4万円
- ・設立登録免許税もしくは資本金の0.7% 6万円〜
です。
株式会社と同じく、設立登録免許税は資本金の金額によって変わります。
合同会社だと、資本金額が約857万円になると設立登録免許税6万円を超えます。
また、株式会社と同じように必要経費や専門家への相談代を含むと、16万円ほどになるでしょう。
合同会社設立費用まとめ
- ・定款認証手数料 4万円
- ・設立登録免許税もしくは資本金の0.7% 6万円〜
- ・実印代、登記簿謄本の発行費など必要経費 約1万円
- ・専門家への相談 約5万円
計16万円 (資本金により、上限なし)
自分でやると安くなる場合もあるが、リスクがある?
会社を設立するには、株式会社で30万円前後、合同会社で16万円前後の費用が必要であることがわかりました。
しかし、いくら最低資本金制度が撤廃されたとはいえ、やはりかなり多くの金額が必要です。
少しでも費用を浮かせる方法はあるのでしょうか。
自分で電子定款を作成すると0円?
会社設立費用のうち4〜5万円は定款にかかる費用です。
定款とは、会社運営の上での規則を定めたものです。
会社名、事業内容、本店所在地をはじめとした会社に関する様々事項を記します。
また、会社設立の際に作成した定款を原始定款と言います。
実は、この定款をPDFで作成することで、定款代を削減することができます。
会社設立には多くの費用がかかりますので、電子定款を利用して少しでも費用を浮かせたいと考える方も多くいらっしゃるでしょう。
電子定款を作成する方法について解説します。
まず、電子定款を作成する際に必要なものは、電子証明書のついたマイナンバーカード、電子署名の機能のあるソフト(Adobe Acrobatなど)、ICカードリーダライタ、電子署名プラグインソフトです。
ソフトなどを購入するときに多少の費用がかかってしまいますが、ソフトは今後も使えるため、紙での定款作成に数万円を使うよりも将来的に見るとお得です。
では、実際に電子定款の作成方法を見ていきましょう。
1.定款を作成する
まず、会社の規則を作成します。
目的・商号・本店の所在地・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額・発起人の氏名または名称及び住所の5つは絶対的記載事項と言い、必ず記載しなければいけないものです。
他に、定款に記載することで初めて効力を持つ相対的記載事項、必ずしも記載する必要のない任意的記載事項があります。
相対的記載事項には役員の任期の伸長について、株式の譲渡制限に関する規定について、財産引渡についてなどがあります。
事業年度・役員の数・株主総会の議長といった任意的記載事項は、記載の必要はありませんが、定款で定めておくことで明確になりますので、記載しておくことをおすすめします。
会社法の定める基準を満たしていない定款は無効になってしまいますので、事前に公証役場に確認をお願いするといいでしょう。
データを送れば、内容をチェックしてもらうことができます。
2.定款をPDF化する
公証役場に内容をチェックしてもらい、定款の内容に問題がないことが確認できれば、PDF変換ソフトを使い、定款をPDF化します。
3.電子証明書を読み込む
PDFの定款に電子署名をつけるため、電子証明書を用意する必要があります。
ICカードリーダライタで電子証明書を読み込みます。
4.電子署名をつける
電子定款のPDFに、署名プラグインソフトを使用し、電子署名をつけます。
5.電子定款を申請する
ネット上で定款の認証を申し込むことができる「登記・供託オンライン申請システム」を使用し、電子定款を送信します。
合同会社の場合は、これで完了です。
6.公証役場で認証手続きをする
株式会社の場合のみ、もう1ステップ必要です。
オンラインで電子定款を提出した後、公証役場で手続きを行う必要があります。
公証役場での手続きの際には、
- ・定款のプリントアウト
- ・USBメモリ
- ・発起人の印鑑証明書
- ・電子署名をした発起人以外の委任状
- ・認証手数料
- ・身分証明書、印鑑
が必要です。
また、予約が必須になるため、忘れずに予約してから行きましょう。
自分で会社設立をする場合のリスク
会社設立代行サービスに頼らず、自分で会社を設立する場合、設立費用を削減できるのがメリットですが、同時にいくつかのリスクを負う必要があります。
自分で会社設立を行う場合のリスクについて解説します。
助成金などの申請漏れ
1つ目のリスクは、知識や調査不足で、会社を設立する際に受けることができる助成金を申請し忘れることです。
本来受け取ることができたはずの助成金を、申告漏れでもらえないというのはとてももったいないことです。
登記内容にミスがあり修正に費用がかかる
こちらも、知識がないために犯してしまうミスです。
提出した内容に不備やミスがあった場合、修正に費用がかかる場合があります。
余計な手間と費用がかかってしまい、ビジネスの予定も狂ってしまうため、できることなら避けたいリスクです。
ペナルティを受ける
最も避けたいのが、ペナルティを受けてしまうことです。
定款に記載した事業目的に違反する行為を行ったとき、民法によってその行為は無効となり、その行為で得た利益を返還しなければなりません。
民法ですので刑罰を受けることはありませんが、会社の信用に大きく関わることになります。
将来的にどのような事業を展開していくのかをはっきり決めておく必要があります。
会社設立代行の相談をするべきか?
リスクがあるとはいえ、会社設立はあくまで自分で行うことができる範囲の手続きです。
以前別の会社を設立したことがある、専門的な知識を持っているなど、自分で不備なく会社設立ので続きを行うことができるという人は、専門家に依頼する必要はありません。
しかし、代行の相談をするべきか迷っている人もいらっしゃるでしょう。
会社設立代行の相談をするべき状況を解説します。
会社を設立すべきかアドバイスが欲しい場合
会社を設立して自分でビジネスを始めたいと思っていても、心配なのがランニングコストです。
運営費に加え、保険や税金など、会社を経営する上での支出はかなりの額になります。
経営がうまくいかず、会社設立をせずに個人事業のままでいればよかった、と後悔する人は少なくありません。
1度会社を設立してしまうと、停止させることはとても難しいです。
会社を設立して本当に利益が出るのかと心配しているなら、1度専門家にアドバイスをもらうことをおすすめします。
会社設立の時間がない場合
知識ゼロの状態から会社設立をするのはとても大変です。
基本的な知識を学んだり、必要な書類を揃えたり、実際に手続きを行ったりと、必要なステップはたくさんありますので、ゼロからの会社設立には早くても1週間程度の時間がかかります。
また、手続きに不備やミスがあれば、さらに時間がかかってしまいます。
会社設立の知識がない場合に加えて、すでに他のビジネスをしており、時間がない場合も、無理して自分で行うよりも専門家に任せた方が安心です。
会社設立の依頼先はどんなところがある?
会社設立は無料サービスに頼らずとも自分で行うことができる範囲の手続きですが、複雑で専門用語も多くあります。
費用を浮かせようとしてわからないなりに自分で行うよりも、専門家の力を借りた方が結果的に安く済むことが少なくありません。
では、会社設立はどのようなところに相談すればいいのでしょうか?
司法書士
司法書士は、登記申請まで代理して行うことができる唯一の専門家で、これは法律で決められています。
司法書士に頼めば、全てを代理で行ってくれますので、初心者でもすぐに会社を設立することができます。
しかし、その分払う報酬も高くなっており、10万円前後が相場です。
弁護士
弁護士に相談した場合、必要書類に加え、法務のサポートを受けることができます。
会社の今後の信用問題を考えると、法的リスクを確実に回避できるというのは大きな強みです。
司法書士と同様、報酬の相場は10万円前後です。
税理士
会社設立を依頼する上でおすすめなのが税理士です。
設立以降もサポートを行なっている事務所も多く、節税などより細かいアドバイスをしてくれますので安心して設立を依頼することができます。
会社設立代行の上で最も重要なのは経験です。
KSPには、経験を積んだ税理士が多していただけます。
オンラインにも対応しており、自宅にいながらの相談も可能です。
お客様の立場で考え、法人化のタイミングは今ではないと判断した場合、正直にお伝えし、今後の判断材料もお渡ししますので、安心してご相談いただけます。
まとめ
近年よく見かける「会社設立代行0円」のサービスですが、継続的な顧問税理士の契約を前提としたものがほとんどで、実際に0円で代行してもらえるかというとそういうわけではありません。
また、顧問税理士の契約は必ずしも結ばなければならないものではなく、会社の経営や収益がある程度予測できるようになってきた半年〜9ヶ月後に結ぶのが良いとされています。
また、会社設立代行サービスを利用する場合、会社の将来に関係する顧問税理士を選ぶ選択肢が狭まってしまいます。
顧問税理士は、様々な事務所からたくさんの税理士と会ってみて、自分が信頼できると思える人に頼むのが1番です。
このような点から、無料という点に飛びついてサービスを利用するのはあまりおすすめとは言えません。
代行を利用せず、自分で会社を設立するという選択肢もあります。
費用を抑えることができ、とても経済的な方法ですが、申請時にミスをしてしまう、最悪の場合はペナルティを受けてしまうというリスクがあります。
そこでおすすめするのが、専門家に相談することです。
無料代行サービスや自分での手続きに比べると費用はかかってしまいますが、ミスをすることがないという安心感、専門的な知識を借りることができるという利点、将来的な利益を考えると圧倒的に専門家に依頼する方が得と言えます。
依頼先には司法書士、弁護士、税理士などがありますが、様々な専門家と直接話してみて、この人に依頼したい、という人を見つけましょう。
一見難しそうに見える会社設立ですが、専門家と力を合わせれば乗り越えることができます。
将来の成功のために、ビジネスを起こしてみませんか。