✔︎日本政策金融公庫の自己資金はどのくらい必要なの?
✔︎ そもそも、なんで自己資金が設定されているの?
✔︎具体的にはどのような資金が自己資金として認められるの?
✔︎正直なところ、自己資金関係で注意すべきことはある?
✔︎融資の審査に通過したいけど、自己資金以外で意識したほうが良いことはあるの?
など疑問を抱えていませんか。
日本政策金融公庫の融資を受ける際には、自己資金の用件が設定されている場合があります。
自己資金を準備するのは言ってしまえば、大変なことです。
全く理由もわからずに自己資金を準備するのは非常に億劫なことだと思います。
そこで、本記事では以下のような内容をお届けします。
・日本政策金融公庫の融資を受けるのに必要な自己資金額
・自己資金額が設定されている理由
・どのようなお金が自己資金として認められるか
・自己資金関連で注意すべきこと
・その他融資審査を通過するために必要なこと
本記事を最後まで読めば、日本政策金融公庫の融資を受ける際に自己資金を必要とする理由や、自己資金として認められる金額について理解することができるでしょう。
また、融資の審査に通過するために重要なことも理解することができるはずです。
「融資を受けるのに自己資金が必要なんだ」とモヤモヤしている方は、本記事を読み終わる頃には、悩みがすっきりと解消されます。
日本政策金融公庫の融資を受けようと考えている方はぜひ、最後までご覧ください。
Contents
日本政策金融公庫の自己資金はいくら必要?
結論を先にお伝えしておくと、日本政策金融公庫の融資を受ける場合には、希望融資額の3〜4割程度は準備しておくことをおすすめします。
日本政策金融公庫の自己資金額として定められているのは、希望融資額の10分の1程度となっています。
しかし、その金額で全額融資を受けられるかと言うと、非常に厳しい話。
10分の1程度では希望融資額が減額されてしまう可能性が高いです。
自己資金額は多いに越したことがありませんので、できる限り準備額を多めに設定しておきましょう。
1,000万円の融資を受けるのであれば、300〜400万円ほど準備できれば、満額借りられる可能性が高いです。
なぜ、自己資金の要件が設定されているのか
自己資金が設定されている理由は大きく3つあります。
・金銭感覚が麻痺していないかを判断するため
・自己資金からの返済が期待できるため
・事業計画の正当性を判断するため
詳しく見ていきましょう。
金銭感覚が麻痺していないかを判断するため
1つ目にあげられるのは、融資を返済できる事業者かどうかを判断するためです。
自己資金を準備できる事業者であれば、金銭感覚が正しい事業者だと判断できますよね。
もし仮に融資担当者が、金銭感覚の麻痺している事業者に融資を与えてしまった場合には、正しい用途で使われない可能性が高いです。
そのため、自己資金がない事業者に対しては、融資を与えません。
自己資金からの返済が期待できるため
2つ目は、仮に事業が順調に進まなかったとしても、自己資金から返済してくれる可能性があるからです。
日本公庫の担当者が第一に考えていることは「融資を与えたところで返済されるか」と言うことです。
自己資金が充実していれば、仮に事業の成長率が低かったとしても、自己資金から賄ってくれる可能性が高いため、安心して融資を与えられると言うことになります。
事業計画の正当性を判断するため
3つ目に挙げられるのは、事業計画の正当性を判断するためです。
自己資金を準備している事業者であれば、事業に熱心だと言うことが判断できます。
事業を始める前からコツコツと準備をしている熱心な事業者だと考えることができるからです。
もし、以下2人の事業者がいたら、どちらの事業者の方がやる気を感じられるでしょうか。
1.全く自己資金を貯めていない。
2.事業前から自己資金を貯金していて、融資を受けなくてもある程度は創業可能。
非常に極端な例ではありますが、完全に後者のほうが評価は高いですよね。
前者の場合には、全く準備ができない、計画性のない事業者だと判断されても仕方ありません。
最悪の場合には、思いつきで事業を始めようとしているのではないかと判断されてしまいます。
できることであれば、後者を目指したいものですね。
また、通帳に自己資金をためる場合には、毎月少しずつ貯金していたほうが評価は高くなるでしょう。
自己資金として認められるもの
「日本政策金融公庫の融資を受けるためには融資希望額3分の1程度の自己資金が必要だ。」と言うことが理解できて、自己資金を準備しようと考えられた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、自己資金として認められる資金と、認められない資金があることは理解しておかなければなりません。
ここでは、自己資金として認められる資金についてご紹介します。
結論をお伝えすると、「通帳で預金を確認できる出所が明確な資金」と言うことができます。
ここでは、自己資金として認められる資金についてご紹介しますので、ご自身の自己資金額がどのくらいあるかを計算しながらご覧ください。主に8つあります。
・自分の通帳預金
・配偶者の通帳預金
・退職金
・株式、投資信託、有価証券
・贈与されたお金
・すでに事業のために使用した経費
・資産売却時のお金
・保険の解約返済金
以下で詳しく見ていきます。
自分の通帳預金
基本的には自分の通帳に入っている金額が自己資金として認められます。
実際の審査では自己資金がどのように貯められてきたのかが判断されますので、お金の流れにも意識して貯金していることが望ましいです。
例えば、一括で300万円貯金した人と月30万円を10ヶ月にわたって貯金している人を比較した場合には圧倒的に後者のほうが審査に有利に働きます。
理由は、コツコツ貯めていて、計画力のある事業者だと判断されるからです。
一括で貯金された金額は誰かから借りてきたのではないかと判断されることもあるので、注意が必要です。
現実的にコツコツと貯蓄しているのは、立派な自己資金として認められます。
配偶者の通帳預金
結婚されている場合には、配偶者の通帳に入っている資金も自己資金として認められます。
審査の際には配偶者の通帳も必要となりますので、事前に通帳を借りることを伝えておいて、審査で提出できるようにしましょう。
退職金
退職時にもらえる退職金も立派な自己資金として認められます。
しかし、前述したように「出所不明の資金」は自己資金として認められないので、出所を明らかにしておく必要があるでしょう。
具体的には、退職金をもらった年度の源泉徴収票を添付し、一緒に提示することで、出所を明らかにすることができます。
退職金は額が大きくなりやすいので、源泉徴収票と一緒に準備して、自己資金として扱えるようにしましょう。
株式、投資信託、有価証券
株式、投資信託、有価証券などについても自己資金として認められます。
しかし、自分が所有していることを示なければ、自己資金としては扱うことができません。
具体的には、各種証券会社が発行している書類や、ホームページでご自身が保有していることを示せるようにしておきましょう。
贈与されたお金
友人や親族から贈与されたお金は自己資金として認められます。
ただし「贈与されている」ことが明確にわからない場合には自己資金として認められません。
場合によっては「貸与したお金」として判断され、不利に働いてしまうこともあります。
後述しますが「見せ金」は禁物なのです。
自己資金として扱うには、お金の流れをしっかりと提示することが必要になります。
具体的には、贈与を受けた人の通帳を提出することや、契約書を発行してもらうなどして、「贈与されたお金」として扱うことが大切です。
そこまで徹底すれば自己資金として認めてもらうことは可能です。
ただし、「贈与されたお金」だけを自己資金として準備すると、審査に通らないケースも多くあります。
自己資金として自分の通帳預金を準備した状態で、贈与金は補助程度にしておきましょう。
ちなみに、1年間で110万円以上お金を受けとった場合には「贈与税」が発生しますので、併せて注意しましょう。
すでに事業のために使用した経費
事業に使うお金として、すでに使用した経費分に関しては自己資金として認められます。
たとえば、設備投資などは支払った証明として、領収書を準備しておくことで、自己資金として扱うことができます。
しかし、交際費や広告費、交通費などは自己資金として認められない可能性が高いので、注意しましょう。
また、融資面談の前に使用した設備投資分は自己資金として扱われますが、面談後に思いつきで購入したものに関しては自己資金として認められません。
きちんと創業計画書や事業計画書に書かれたものしか認められません。
資産売却時のお金
車、金融資産、物件などを売却した際に発生したお金は自己資金として扱われます。
しかし、こちらも売却して得たお金だと判断できる書類を準備できなければ、自己資金として認められません。
売却時の契約書や領収書などは取っておきましょう。
また、資産売却時に得た資金が多く存在することは、事業者としての評価も高くなります。
なぜなら、コツコツと資産形成を行ってきた事業者だと判断されるからです。
保険の解約返済金
積立型の保険や学資保険などに加入していて、解約する場合に発生するお金がある場合には自己資金として認められます。
日本公庫の自己資金で注意したほうがいいこと
日本政策金融公庫の自己資金を準備する際には注意したほうが良いことが2つあります。
・法人の資本金が自己資金として認められないことがある
・見せ金は禁物
日本政策金融公庫においては、自己資金を偽る行為は固く禁じられています。
このような行為を行った場合には、信用を失ってしまうこともありますので、注意が必要です。
1度融資を受けられなくなるだけではなく、2回目に融資を受けようとした際にブラックリストに入ってしまい、融資が受けられない可能性もあります。
一つずつ詳しく解説します。
法人の資本金が自己資金として認められないことも
法人の場合には、登記簿謄本に資本金を記載することになります。
そこに記載されている資金が全て自己資金として認められると考える方もいらっしゃいますが、厳密にはそうではありません。
もちろん怪しいことをしていなければ、その認識は正しいのですが、例えば、友人から借りたお金も含めて資本金とした場合には、友人に返済して自己資金が少なくなっていることもあります。
このようなケースを日本政策金融公庫は把握しているので、代表者の通帳を必ず確認されます。
登記上資本があるのに、通帳に同じ金額が入っていない場合には見せ金として判断され、自己資金として認められなくなってしまいます。
場合によっては信用を失うことにもなりますので、資本金が自己資金にならないことは把握しておきましょう。
見せ金は禁物
出所が証明できないお金や、友人・知人から借りたお金は見せ金として判断されることもありますので、注意しましょう。
前述していますが、見せ金は信用を失う行為です。
見せ金だと疑われる行為をしても、良いことは一切ありませんので、着実に貯めたお金だけを自己資金として扱うようにしましょう。
その他、融資審査に通過するための要素
融資審査に通過するための要素は自己資金だけではありません。
自己資金を保持していることは大前提として、以下の3つも意識しておかなければなりません。
・各種融資を受けるための要件
・審査書類
・面談
以下で詳しくご紹介します。
各種融資を受けるための要件
日本政策金融公庫では、融資を受けるための要件が設定されています。
そもそも、各種融資に設定されている要件を満たさなければ、融資を受けることはできませんので、確認しておくことが必須だと言えるでしょう。
例えば、新創業融資制度では、自己資金の要件以外に、以下の要件も定められています。
1.対象者の要件
新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方
参考:日本政策金融公庫 新創業融資制度の概要
まずは、自己資金の要件と併せて、この要件も満たしているか確認しておくことが大切です。
審査書類
要件を満たした事業者は、書類審査を行われることになります。
書類審査では主に以下の書類が必要になるでしょう。
・借入申込書
・企業概要書
・創業計画書
主にこの3つの書類は必須で、このほかにも必要になる書類があります。
詳しくは以下のような書類が必要になりますので、確認しておきましょう。
・代表者の運転免許書のコピー
・代表者個人の通帳コピー
・法人名義の通帳コピー
・賃貸借契約書のコピー
・代表者の登記簿謄本のコピー
・事務所の賃貸契約書のコピー
・事務所の登記簿謄本のコピー
・不動産の登記簿謄本
・法人の履歴事項全部証明書
・創業動機書
・取扱商品・サービスの資料
・取引を証明する資料
・借入状況を証明する資料
・資金繰り表
・返済予定表
書類審査では、上記の書類をまとめて、総合的に判断されることになりますので、記入が必要な書類に関しては、専門家に依頼することが得策だと言えるでしょう。
面談
書類審査と同時に、日本政策金融公庫では、面談も実施されます。
面談時間の相場は40分から1時間30分程度。
この時間の中で、面談では、書類との相違がないかと言うことや、事業に対する熱量があるかと言うことを判断されます。
面談で見られていることは、事業者としての資格があるかどうか、社会人として問題がないかを判断されます。
焦らずに丁寧な対応を心がければ、審査に落ちることはありませんので、安心して準備しましょう。
また、面談を自分一人で準備することは非常に難しいので、専門家や、友人などと面談の練習をすることをおすすめします。
融資を有利にするなら、税理士に相談
自己資金の要件を満たしたからと言って、融資の審査に通るわけではありません。
もちろん、自己資金を準備することは融資の審査を有利にすることにつながります。
しかし、自己資金額を十分に準備したとしても、審査に落ちてしまうことはあるのです。
なぜなら、融資は総合評価だからです。
逆に言えば、自己資金が十分でない場合でも、他の書類審査や面談などでカバーすれば、融資を受けられるケースがあると言えるでしょう。
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