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フリーランス美容師の美容室開業資金~無理なく開業するポイントを銀行員が解説

フリーランス美容師の美容室開業資金~無理なく開業するポイントを銀行員が解説

現在の美容業界では新しい働き方として「フリーランスの美容師」が増えています。

いっぽう、理美容業界で目指す一つのゴールは、今も昔も「独立して店を持つ」です。

そこで今回は、美容室の開業資金を、フリーランス美容師を中心に銀行員が解説します。

フリーランスの美容師を目指している人、独立開業を夢に頑張っている人はぜひ参考にしてください。

フリーランスの美容師とは?

フリーランスを直訳すると「自由業」といった意味です。

そしてフリーランスの美容師とは「自分の店は持たず、また従業員も雇わないで、一人で経営している美容師」のことです。

雇用される従業員と違い、個人事業主として確定申告が必要になります。

フリーランス美容師の働き方

フリーランスの美容師の働き方には、代表的な以下3つの種類があります。

<フリーランス美容師~3つの働き方>

  • 面貸し
  • シェアサロン
  • 業務委託

面貸し(めんがし)

美容室のスペースを借りる、あるいは休業日や休憩時間などを使い、フリーランス美容師が営業するのが面貸しです。

「鏡を一面貸すだけ」という点から、このように呼ばれています。

面貸しでは、薬剤以外の椅子や器具などはその店から使わせてもらうのが一般的で初期投資はほとんど必要がありません。

面貸しの料金は、店のスペースプラス設備と光熱費など「売上の〇%」の歩合制が多いようです。

求人サイトに「面貸し、ミラーレンタルOK」などと紹介されています。

<参考 美容・治療・リラクゼーションの求人・転職情報 リジョブ/面貸し・ミラーレンタルOKの美容師・美容室の求人・転職・募集

シェアサロン

シェアサロンとはフリーランスの美容師が使う目的で作られた、専用の美容室をシェアして仕様する形態です。

フリーランス美容師の利便を考えて作られている店舗が多く、面貸しと比べても作業スペースが広く持てるなどのメリットがあります。

また面貸しよりも煩わしさがないため、シェアサロンだけで営業しているフリーランス美容師も多くいます。

<参考 GO TODAY シェアサロン/美容師をもっと自由にもっと楽しく

業務委託

業務委託は、契約期間や報酬などを契約相手(美容室店主)と交渉し、契約を結んで働く形態で、野球やサッカーなどプロ選手に似たイメージです。

業務委託では、顧客から見れば従業員と区別がつかないところも特徴です。

業務委託は、形態としては雇用に近いので面貸しと同じく求人サイトで募集しています。

フリーランス美容師の年収

フリーランス美容師の平均的な年収は500〜700万円と言われています。(筆者調べ)

いっぽう美容師の平均的年間賃金は約252万円(*参考引用)となっており、従業員として雇われるより年収アップが規定できます。

<参考 厚生労働省/賃金構造基本統計調査/2019年/企業規模10人~99人/きまって支給する現金給与額

フリーランスの美容師のメリット

続いて、フリーランス美容師のメリットを説明します。

「自由と責任」は独立開業と同じ

フリーランスの美容師は、実店舗を持たないだけで、他は個人営業の美容師と同じです。

従業員とは違い、自分の才覚で自由に働くことができますし、人気が上がれば、従業員としての給料より、収入が増えるチャンスもあるわけです。

いっぽう、売上の大小は直接自分に降りかかることになり、また確定申告や納税などは全部自分で対処することになります。

独立開業と同じように自由を得るメリットは、責任を伴うとも言えます。

経験、顧客、開業資金を「貯められる」

フリーランスで営業を続けていけば、美容師としての経験を蓄積できます。

また固定客を多く掴んでおけば、自分が独立開業するときのお得意様になります。

そして、経営する経費がかからない分、開業資金を貯めることができます。

美容室の開業資金~データにより解説

ここからは美容室の開業資金についてデータをもとに解説していきます。

美容室の開業資金は約1,000万円必要

美容室開業資金の平均は940万円というデータがあり、内訳は以下の通りです。

<美容室開業資金の平均額*不動産を購入しない場合>( )は開業資金に占める割合
【総額940万円】

  • 内外装工事:476万円(50.6%)
  • 機械、什器、備品等:197万円(21.0%)
  • 運転資金:150万円(16.0%)
  • テナント賃借費用:104万円(11.1%)
  • 営業保証金、FC加盟金:13万円(1.4%)

出典:日本政策金融公庫/新たに美容業を始めるみなさまへ創業の手引プラス+(平成27年8月)

自己資金はいくらまで準備すべきか?

いっぽう美容業を開業した場合、総額の3分の1は自己資金を準備したというデータ(*)もあります。

日本政策金融公庫には美容室開業でも利用できる融資があり、こちらも自己資金が必要なので、やはり美容室開業には少なくとも3分の1の自己資金を準備すべきだと考えられます。

(*)データは前出:創業の手引プラス+(平成27年8月)

この点、フリーランスの美容師なら雇用されるよりも早期に自己資金をためられる可能性があるのです。

美容室開業資金を少なくできる3つの方法

次に、美容室の開業資金を少なく抑えられる3つの方法を紹介します。

<美容室開業資金を少なくできる方法>

  • 共同経営
  • フランチャイズ
  • 居抜き物件

共同経営

共同経営なら、分担することで開業資金を抑えられます。

経営者が複数になることで、それぞれの強みを活かしたサービス提供や、経営判断を相談しあうことができます。

いっぽう、人が集まれば意見の対立や収入面でのトラブルなども起こる可能性があります。

<参考 美容業界ニュースメディアBeautopia/年商日本一を目指す6人の共同経営者 Londの経営本、出版2社が同日発行

フランチャイズ

こちらは、美容業界のフランチャイズと契約し美容室を開く(フランチャイジー)ことで、開業資金を抑える方法です。

フランチャイズでは、店舗物件の紹介や工事業者の手配、備品消耗品の提供などで費用を抑えることが可能になります。

反面、フランチャイズ契約で発生する費用(ロイヤリティなど)や契約内容などはしっかり確認する必要があります。

またフランチャイズでは内装や施術、美容薬剤などはほとんどが指定されたものしか使用できなくなるので、独自性を出しにくいというデメリットもあります。

<参考 ファミリーヘアサロン「SEASON」/SUPPORTのれん分け情報(開業支援)

居抜き物件

元・美容室(理髪店でも)などのいわゆる「居抜き物件」を購入または賃貸すると、内装や設備を引き継ぐことで開業資金を抑えられます。

もちろんイメージが重要な美容室では、全く費用ゼロというわけにはいきません。

しかしながら、そのまま継続して利用できるものがあれば費用の節約につながります。

そのいっぽう、注意すべき点としては、居抜き物件なので建物が老朽化している懸念があります。

また、美容室が撤退したという事実はあるわけで、周りの環境や客足の流れなど問題点がないか、しっかりと調査する必要があります。

居抜き物件は、美容室専門のサイトなどで探すことができます。

<参考 美容室・エステサロンの居抜き物件 サロン不動産ネット

美容室の開業資金を知れば、開業のリスクも減らすことができる~まとめ

美容室の開業資金について、まず基本事項と注意点を知ることで、開業のリスクも減らすことができます。

この記事が参考になれば幸いです。

なお日本政策金融公庫では、業種を絞って創業のポイントをわかりやすく説明していますので、こちらもぜひ参考にしてください。

日本政策金融公庫/創業の手引、創業のポイント集/キーワード美容業/創業ポイント集
日本政策金融公庫/創業の手引、創業のポイント集/キーワード美容業/創業の手引+(美容版)
日本政策金融公庫/創業の手引、創業のポイント集/キーワード美容業/創業計画書記入例

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