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人材派遣会社の許認可取得!資格は必要?資本金規定や個人の場合、融資について

人材派遣会社を設立するには、どのような事項を確認しておくべきなのでしょうか。

人材派遣会社の設立は、他の業種と比較して、いくつかの相違点があります。

会社設立の途中で不備が見つかり、面倒なことになってしまわないように、あらかじめ人材派遣会社についての基本的な情報を知っておく必要があります。

今回の記事では、それらについて詳しく解説していきます。

人材派遣会社の設立の要件、資格はいるのか?

人材派遣会社とは

人材派遣会社は、「労働者派遣事業」を営む会社のことを言い、厚生労働大臣の許可が無ければ営業することができません。

仕事を探している人は、それぞれに得意なスキルを少なからず持っています。

その得意なスキルを活かせる職場が見つからない人たちを、人材派遣会社が自社の社員として雇用し、人材を求めている企業に送り出して仕事をさせます。

自社の社員として送り出すために、人選と教育をするのは、人材派遣会社の役割です。

職を求める人材が持つスキルを有効活用して社会に循環させることは、とても意義があることです。

企業が求める人材をリサーチし、必要に適した人材を企業で活躍させるお手伝いをするのが人材派遣会社の使命とも言えるのです。

人材派遣会社と人材紹介会社の違い

人材派遣会社の仕組み

人材派遣会社の仕組みは次の通りです。

人材派遣会社は、自社で雇用した「派遣スタッフ」を派遣し、派遣先企業で労働を提供します。

派遣先企業は、派遣スタッフに対して仕事の指示をして労働をさせます。

その労働の対価として、派遣先企業は派遣契約に基づいて、料金を人材派遣会社に支払います。

そして、人材派遣会社は、雇用契約に基づいて給与を派遣スタッフに支払います。

派遣スタッフとして人材派遣会社と雇用契約を結んだ労働者は、「労働派遣法」によって保護されています。

人材紹介会社の仕組み

人材紹介会社というのは、人材を雇用したい企業と、転職を希望する人材とを結びつける会社のことを言い、「有料職業紹介所」として厚生労働大臣の許可が必要です。

転職を希望する人が人材紹介会社に登録をして、ニーズに合致した企業があれば、人材紹介会社は企業に対して、人材紹介契約に基づいて人材を斡旋します。

企業側が人材の採用を決めると、企業と人材が雇用契約を結ぶことになり、企業は人材紹介会社に一定の料金を支払う仕組みです。

人材派遣会社と人材紹介会社の違い

人材派遣会社と人材紹介会社は、働く場を求める人材と働いてくれる人材を求める企業を結び付ける役割や社会的使命は似ています。

また、どちらも厚生労働大臣の許可が必要な点は共通しています。

しかし、その仕組みや事業内容は大きく異なります。

人材派遣会社が労働者と雇用契約を結んで、企業に派遣するのに対し、人材紹介会社は、採用された人材が企業と雇用契約を結ぶことになるのです。


さらに、人材派遣会社が派遣労働の対価を企業から受け取るのに対し、人材紹介会社は、紹介した人材が採用に至った時だけ、企業から一定の料金を受け取る形になります。

人材派遣会社 人材紹介会社
サービス内容 派遣先企業の業務に適した人材の派遣 採用企業の要件に合致した人材紹介と支援
契約形態 派遣会社と派遣スタッフが雇用契約 採用企業と採用決定者が雇用契約
利用料金 時間単価×労働時間 入社者の想定年収の35%程度

請負契約とは?どうやって収益上げるの?

請負契約というのは、求められた仕事を完成させることで、その対価として報酬を受け取る契約のことを言います。

発注者から業務に関する指示を受けることはなく、仕事を完成させるまでは自己責任で行います。

請負契約の金額は労働に対する対価だけでなく、資材や外注などを含めた完成物を引き渡すまでに掛かる費用全般について算出します。

例えば、住宅建設の場合、住宅会社と発注者(施主)は建築に関する請負契約を締結します。

その場合は、建築に関わる全ての工事をひとまとめにして、一括して請負契約を結ぶ形になります。

そして完成した住宅を発注者に引き渡すことで請負契約が終了します。

資材の販売店や協力工事店、あるいは社員の誰が何時まで働くか、などの細かいことの取り決めは一切ありません。

あくまでも設計通りの住宅を完成させて引き渡すことの契約になるのです。

また、個人が発注者と直接請負契約を結ぶケースもあります。

例えば、ロゴマークを作成する特技がある個人が、ロゴマークの作成を依頼した会社と請負契約を結ぶのです。

個人は何時から何時まで作成の仕事をしようが、一切会社からの指示を受けません。

自分の好きな時間を使ってロゴマークを作成すれば良いのです。

会社はロゴマークの完成と同時に、契約した金額を支払います。

このように、請負というのは完成品を納品することを目的としているのです。

人材派遣会社の設立要件

人材派遣会社を設立するために必要な要件は5つあります。

「資産要件」「派遣元責任者の要件」「事業所に関する要件」「適正な事業運営についての要件」「個人情報の管理要件」の5つです。


「資産要件」というのは、自己資金で事業を継続的に運営することができるかどうかの判断をするために確認する要件です。

「派遣元責任者の要件」というのは、設立する会社が社会的責任を確実に果たすことができるための責任者の存在について確認するものです。

具体的には「派遣元責任者講習」を受講した者がいることが要件のひとつになります。

そして、事業主についての要件もあります。

事業主としての要件は多岐に渡っていますが、全てをクリアすることが求められます。

「事業所に関する要件」では、事業所の床面積の規定や、近隣に関する要件があります。

「適正な事業運営についての要件」というのは、労働者派遣事業の運営に関する禁止項目の取り決めについて確認をするものです。

「個人情報の管理要件」というのは、個人情報の管理体制についての確認と、差別や思想などの収集できない個人情報についての理解度を確認するものです。

人材派遣会社に資格は必要なのか?

人材派遣会社を設立するために必要な資格はありません。

但し、人材派遣会社設立要件のひとつである「派遣元責任者」を選任する必要があります。

そのためには、雇用管理経験者で「派遣元責任者講習」を受講した者がいなければなりません。

また、派遣元責任者になるための要件があります。

また、欠格事由に該当しないことが条件になります。

また、キャリア形成支援をするための有資格者であるキャリアコンサルタントを常駐させることも、人材派遣会社設立要件に含まれていません。

人材派遣会社設立にかかる費用

資本金規定

人材派遣会社を設立するために必要な資本金は、「資産要件」をクリアする金額以上なければいけません。

資産要件として規定されているのは3つです。

「基準資産額が2,000万円以上」「資産のうち1,500万円以上が現金もしくは預金」「基準資産額が負債の7分の1以上」この3つの要件を全てクリアしなければなりません。

基準資産額というのは「純資産」とも言います。

純資産というのは、総資産から負債を差し引いたもので、純粋に自分の資産のことを言います。

ちなみに、負債というのは、借入金など返済義務を伴う「他人の資産」と言われていて、純粋な「自分の資産」と真逆の資産です。

「総資産」というのは、会社が持っている全財産のことを言い、他人の資産である「負債」と自分の資産である「純資産」を足したものです。

なぜ、負債が会社の財産になるかと言うと、例えば土地を購入するのに借入金で賄ったとした場合、土地の名義は会社ですから財産になります。

しかし、お金を借りて取得した財産なので、「負債」という名前の財産にするという考え方です。

自分の資産が2,000万円以上あって、そのうちの1,500万円以上が現金もしくは預金ということですから、かなりの現金を持っていないと人材派遣会社を設立するためのスタートに立てないことがわかります。

しかも、この金額は1つの事業所を設立するために必要な資金ですから、複数事業所を設立するとしたら、その数だけ現金が掛け算で増えていきます。

派遣元責任者講習にかかる費用

人材派遣会社を設立する際は、労働者派遣法により、人材派遣会社は「派遣元責任者」を選任して配置することが要件となっています。

そして、派遣業を営む場合には、雇用管理を適切に行ない、派遣労働者の保護等を図ることが求められています。

派遣元責任者となるためには、一般社団法人日本人材派遣協会をはじめとする17団体が主催する「派遣元責任者講習」を受講しなければなりません。

受講料は、一般社団法人日本人材派遣協会の場合を例にすると、協会会員であれば3,000円(税込)で、会員以外の一般の方は、9,000円(税別)となっています。

各団体によって、受講料が異なりますが、どんなに高くても9,000円ほどが上限となっています。

また、会場は全国の主要都市が中心になっているので、それ以外の住所地の人は交通費を掛けて出かけなければなりません。

受講は1日で終了しますから、他に宿泊代などは考えなくても良いです。

ただ、講習会の開始時間に間に合うか不安な人は、前泊することも考えなければならないかもしれませんが、多くの場合はそこまでかつかつなタイムスケジュールにはならないです。

従って、受講料に交通費を足したものが、派遣元責任者講習に要する費用と考えて良いです。

急遽やむを得ない事情が発生して受講をキャンセルする場合、キャンセル料が掛かります。

キャンセル料も各団体で異なりますが、当日キャンセルの場合は全額のキャンセル料が掛かる場合もあります。

詳しくは、受講する団体のホームーページなどで確認すると良いでしょう。

厚生労働省に労働者派遣事業許可申請

人材派遣会社を設立して事業を開始するには、労働者派遣事業の許可申請をしなければなりません。

提出する様式は3種類です。

「労働者派遣事業許可申請書」「労働者派遣事業計画書」「キャリア形成支援制度に関する計画書」この3つの書類に添付する書類が、14種類もあります。

そして、手数料として120,000円の収入印紙が必要になります。

また、登録免許税として90,000円納付しなければなりません。

合計すると、210,000円の費用を用意しなければなりません。

さらに、複数の事業所を同時に申請する場合は、2事業所目から1事業所につき55,000円の収入印紙を用意する必要があります。

これは、法人として事業を行なう場合も、個人で事業を行なう場合も同じです。

但し、添付書類や申請手数料等は住所地の都道府県によって異なる場合がありますから、あらかじめ確認しておくことが大事です。

それぞれの住所地を管轄する労働局に許可申請書を提出すると、申請書のチェックから始まって、事業所の現地をチェックし、厚生労働省が審査内容を確認し、そして、厚生労働大臣を通じて月1回の労働政策審議会で諮問をします。

会社や事業所の実体が無いと現地調査ができませんので、あらかじめ会社を登記しておいて、事業所を構えていなければなりません。

会社の定款の目的には派遣事業が掲載されていなければなりません。

許可申請書を提出してから、許可が下りるまで3ヶ月位は掛かります。

申請はしたけれど、結局許可が下りなかったとなれば、会社登記したことも、申請したことも無駄に終わってしまいます。

そうならないように、前もって、派遣事業に詳しい専門会社などに相談しておくべきことをおすすめいたします。

まとめ

・人材派遣会社の設立には、厚生労働大臣の許可が必要であるが、特別な資格は必要ない。
・人材紹介会社との違いは、その契約形態や利用料金などが挙げられる。
・人材派遣会社の設立には、「資産要件」という条件を満たす必要がある。

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派遣元責任者講習を受けるには?

人材派遣会社を設立する際に必要になる添付書類のひとつに、「派遣元責任者講習」の受講証明書があります。

これを労働派遣事業の許可申請をする前までに取得しなければなりません。

派遣元責任者講習の受講証明書を取得するために、責任者を選任して受講させなければなりません。

講習を受けるには、全国で17団体が主催している「派遣元責任者講習」のいずれかに申し込みをして、受講費用を支払って受講します。

講習時間はほぼ1日掛かると思った方が良いでしょう。

開始時間はそれぞれの会場によって異なりますから、申込み時に確認するようにしましょう。

講習内容は、「労働者派遣法について」「労働基準法等の適用について」「派遣元責任者の職務遂行上の留意点について」「個人情報の保護の取扱いに係る労働者派遣法の遵守と公正は採用選考の推進等について」となっています。

申し込みの方法などは主催する団体によって細かい部分で異なるかもしれませんが、大まかな流れは一緒です。

まずは、受講申込フォームに必要事項を入力して申し込みます。

会場には定員があるので、先着順で申し込みを受け付けるようです。

注意しなければならないことは、受講者の氏名と生年月日は、住民票に記載されている通りに間違いなく記入しなければならないことです。

受講証明書には、申込フォームに記入した氏名と生年月日の通りに記載されるので、間違ってしまうと、労働者派遣事業の許可申請の内容と異なることになり、許可が下りなくなってしまいます。

申し込みが完了すると、確認メールが届くので、内容を確認しておきます。

そして、受講料は、支払い期限までに振り込む形になります。

振込手数料は受講者負担となっています。

受講料の入金確認後に、受講票メールが届くので、それをプリントアウトして当日会場で使用する形になります。

受講の際には、厚生労働省の指示による本人確認が必須となっています。

受講票と一緒に公的な身分証明書の提示を求められます。

あとは、途中退席せずに、最後まで講習を受けるだけです。

特に試験は無く、最後まで受講すると「派遣元責任者講習」の受講証明書が発行されます。

もし途中退席をしてしまった場合、受講証明書は発行されませんが、受講を続けることはできます。

受講証明書は即日交付されるところもありますが、主催団体によって異なる場合がありますので、必要に応じて講習の主催団体に確認するようにしてください。

まとめ

・人材派遣会社を設立するためには、派遣元責任者講習の受講証明書が必要になる。
・また、事業を申請して許認可を取得するためには、いくつかの条件を満たす必要がある。
・許認可を取得は面倒な手続きが多いため、会社設立代行に依頼するのが良い。

人材派遣会社の許認可の手続きについて

許可の条件

人材派遣会社を設立して、労働者派遣事業の許可申請をした場合、実際に許可になるための条件がいくつかあります。

まず第一に、会社の登記事項に記載している事業主及び役員そして監査役の全てが、欠格事由に該当しないことが大前提になります。

欠格事由というのは、禁錮以上の刑に処せられて5年を経過していないこと、あるいは、労働法等に違反するなどして罰金刑以上に処せられて5年を経過していないことです。

例えば、不法入国した外国人や、不法に残留した外国人などを、不法就労活動のために雇用する「不法就労助長罪」の刑に処されてから5年経過していないのは欠格事由になります。

また、企業専属の派遣事業を行なう申請は許可されません。

さらに、派遣労働者の雇用を管理する「派遣元責任者」となる者にも、多くの要件がありチェックの対象になります。

また、派遣元の事業者に対しても多くの要件があり、全てをクリアしなければなりません。

そもそも労働者派遣事業の許可申請を提出する要件について、内容をほとんど知らずに事を進めるのはリスクが高くなります。

できるだけ、専門家もしくは専門会社に事前相談をするなどの準備をしっかりと考えておくと、スムーズな許可申請をすることができます。

用意するべき書類

申請書類は下記の通りです。

  • 1.「労働者派遣事業許可申請書」
  • 2.「労働者派遣事業計画書」
  • 3.「キャリア形成支援制度に関する計画書」
  • 4.「雇用保険等の被保険者取得状況報告書」

申請書類の他に添付する書類としては、下記の通りです。

  • 1.「定款」…内容に変更がある場合は株主総会議事録を添付します。
  • 2.「登記簿謄本」(履歴事項全部証明書)
  • 3.「代表者・役員の住民票の写し」(本籍地、または国籍及び在留資格記載のもの)
  • 4.「代表者・役員の履歴書」※写真は不要
  • 5.「最近の事業年度に係る貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書」
  • 6.「法人税の納税申告書」(税務署の受付が確認できるもの)
  • 7.「法人税の納税証明書」
  • 8.「賃貸借契約書」(自己所有の場合は、登記簿謄本)
  • 9.「派遣元責任者の住民票の写し」(本籍地、または国籍及び在留資格記載のもの)
  • 10.「派遣元責任者の履歴書」※写真は不要
  • 11.「派遣元責任者講習受講証明書」(許可申請受理日前3年以内のもの)
  • 12.「個人情報適正管理規定」
  • 13.「就業規則」
  • 14.「派遣労働者のキャリア形成を念頭においた派遣先の提供のための事務手引き、マニュアル等又はその概要の該当箇所」

その他にも、確認書類として、「事業所のレイアウト図」と「公正採用選考人権啓発推進員選任状況報告」があります。

手数料の金額

労働者派遣事業の許可申請手数料は120,000円となっており、他に複数事業所を同時申請する場合は、2事業所目から1事業所につき55,000円を加算します。

申請手数料は収入印紙を購入して納付します。

許可申請書の所定の位置に収入印紙を貼ります。

その他に、登録免許税が90,000円掛かります。

納付した領収証書の原本が必要になります。

領収証書の原本は、許可申請書に貼り付けをしないで、申請書と一緒に提出します。

資産要件

人材派遣会社を設立して、業務を行なうために、労働者派遣事業許可を取得するためには、資産要件を満たす必要があります。

資産要件は、「純資産額が2,000万円以上あること」「純資産の内、1,500万円以上が現金もしくは預金であること」「純資産が負債の7分の1以上あること」の3つ全てを満たすことが条件です。

これは、直近の年度決算書に記載している貸借対照表で確認することができます。

もし、この資産要件を満たすことができない場合は、増資等によって資産要件を満たす「月次決算書」を作成して提出することで要件をクリアすることができる場合があります。

このようなイレギュラーケースに対応できる税理士や公認会計士、社労士などのプロ集団が身近にいると助けてもらえます。

必要面積条件

事業所に関する要件の中に、必要面積の条件と近隣の状況に関する条件があります。

具体的には、事業所の中の事業で使うスペースとしての面積が20㎡以上あることが求められます。

純粋に事業で使える面積ですから、ミニキッチンスペースやトイレ、浴室などの床面積は含めることができません。

もし、賃貸物件を事業所として使うつもりの場合は、大家さんの許可が必要になります。

前もって確認しておきましょう。

また、近隣の状況というのは、風俗営業法の規制対象となるような風俗営業の店舗が近隣に無いことが条件になります。

賃貸マンション等を事業所として借りる場合は、近隣の状況についてもしっかりと確認しておくことが大事です。

事業所内部のレイアウト図を提出するので、図面と現地で確認する他、近隣の状況も同時に確認されると考えておくべきでしょう。

責任者のスペック

派遣元責任者講習を受講する社員のスペックとして求められるのは、成年に達した以降、3年以上雇用管理の経験があることです。

仮に受講証明書を取得したとしても、3年以上の雇用管理経験が無い場合は、派遣元責任者に選任することができません。

雇用管理経験というのは、人事や労務に関する担当者になることです。

担当者と言っても社員という意味ではなく、代表者や管理職という意味です。

あるいは、派遣事業の会社で、派遣労働者や派遣登録者の労務に関する職務を担当することです。

他にも、職業安定行政もしくは労働基準行政に携わった期間が成年後3年以上ある場合や、民間が経営する職業紹介事業に従事した経験年数が成年後3年以上ある場合、もしくは、労働者供給事業の従事者としての経験年数が成年後3年以上ある場合なども、雇用管理経験と見なされます。

個人と法人で手続きは異なるのか?

労働者派遣事業を個人で行なう場合と法人で行なう場合の許可申請については、基本的には同じです。

要件に関しても同じですが、要件を確認するための添付書類が異なります。

個人で許可申請をする際に必要な添付書類は、下記の通りです。

  • 1.「住民票の写し、履歴書」
  • 2.「所得税納税申告書の写し」
  • 3.「所得税納税証明書」(所得金額)
  • 4.「預金残高証明書」
  • 5.「不動産登記簿謄本の写し」
  • 6.「固定資産税評価額証明書」
  • 7.「賃貸借契約書」(事業所で使用する場合)
  • 8.「事業所のレイアウト図」
  • 9.「派遣元責任者の住民票の写し、履歴書」
  • 10.「派遣元責任者講習受講証明書」

法人と比べると、内容は同じでも書類の名称が異なります。

あくまでも、個人であっても法人であっても、要件を確認するための添付書類ですから、大きく異なることはないのです。

許認可の取得を相談するなら

労働者派遣事業の許可申請などを含めた、会社設立に関する手続きや許認可関係の申請及び取得に関しては、事業主や担当者が調べて手続きをしたり、必要書類を集めて申請をすることは、とても労力を使います。

ましてや、普段馴染みのない許認可申請となれば、わからないことだらけです。

しかし、申請書の提出先である省庁は、そのようなことを斟酌してくれるほど甘くはありません。

一つのミスで許認可の取得が出来なくなる可能性があります。

会社設立に関する手続きをスムーズにストレスなく行なうには、経験豊富な手続き代行会社に相談することが一番です。

費用が掛かっても、自分で全てを行なうことに比べると、格安で依頼することができます。

事業主は本来の業務に邁進するべきで、経験不足の申請関係は申請のプロに任せた方が良いでしょう。

まとめ

・許認可を受けるためには、会社の登記事項に記載している事業主及び役員、監査役の全てが欠格事由に該当しないことが第一条件である。

・資産要件は、「純資産額が2,000万円以上あること」「純資産の内、1,500万円以上が現金もしくは預金であること」「純資産が負債の7分の1以上あること」の3つである。

・許認可の手続きは慎重に行う必要があるので、専門家に代行会社に依頼するのが良い。

人材派遣会社設立時によくあるトラブル

資産要件を知らない

人材派遣会社を設立する時に、資産要件があることを知らなかったばかりに、負債の割合が大きいことを指摘された事例がありました。

会社設立時にこのことがわかっていれば、問題なくクリアできた要件だっただけに、非常に悔やまれます。

あらかじめ、必要事項についてしっかりとリサーチをすることができれば、どんなに素人であっても、初めての経験であっても大きなミスをすることなく、人材派遣会社を設立することができたかもしれません。

しかし、そうは言ってもやはり素人にはハードルが高いことも事実です。

大きなミスをしないためには、会社設立に関する専門家に相談だけでもするべきでしょう。

相談しただけでも貴重なアドバイスが得られることもあります。

自分だけで全てを解決しようとしないことも、会社設立には大事なことなのです。

資産要件が足りない

また、資産要件である、純資産の現金の額が不足していた事例もありました。

会社設立の大事な時期でしたが、急遽借り入れをしてことなきを得ました。

負債は増えましたが、負債比率の要件はクリアできていたので問題はありませんでした。

実際に借入で不足分を補うにしても、金融機関の融資を待つだけの時間的余裕が無い場合がほとんどです。

そのような時には、あらゆる手段を講じて借入れをするしかありません。

その具体的な資金調達法は以下の通りです。

「親や親族・知人から事業主個人が借りて、会社の資本金として入れる」

「親や親族から会社に出資してもらう」

「独立する前に、サラリーマンとしての信用があるうちにカードローンを作っておく」

「加入している生命保険会社から借りられないか調べる」

「現金が無い場合に、物を出資と見なす現物出資制度を利用する」

これらの方法が考えられますが、申請間際に慌てて資金調達に走るのはあまり良い得策とは言えません。

会社設立の構想段階から、税理士や公認会計士などがいるサポート会社などに相談しておくと安心です。

監査証明の出し方がわからない

労働者派遣事業の許可申請を提出した後で、資産要件を満たしていないことがわかった場合に、「監査証明」の提出を求められることがあります。

監査証明は、公認会計士または監査法人が発行するものです。

直近の決算書で資産要件に不備がある時は、借入をするか、増資をするなどして要件を満たす必要があります。

監査証明を発行することができるのは、公認会計士に限定されていますから、税理士は監査証明を発行することができません。

また、顧問税理士が公認会計士でもあるといったケースではどうかと言うと、公認会計士であっても自身の税務顧問先の監査はできません。

従って、顧問税理士が公認会計士であっても監査証明を発行することはできないのです。

このようなケースがあるので、監査証明に関してはサポート会社などに相談すると良いでしょう。

法律が改正されたがその情報を理解できていない

一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業があったのですが、平成27年に法律改正があり、新規で特定労働派遣事業を始めることができなくなりました。

現在は一般とか特定という表現は無しになり、労働者派遣事業という名称に一本化されています。

このような法律改正に関する情報不足により、人材派遣会社の設立を検討する段階で、事業計画を特定労働者派遣事業に該当する内容にしてしまうミスを犯すことがあります。

このような時代遅れの事業計画書を作成することが無いように、あらかじめ会社設立に関するサポート会社に相談するのが得策です。

最初に大きなミスを犯してしまうと、その後で挽回するにはかなりの労力を費やすことになります。

時間のロスと労力のロスを無くすために、サポート会社を頼ることを検討するべきでしょう。

事業報告を忘れてしまう

労働者派遣事業の許可を取得して、材派遣業を開始した後は、管轄する労働局に「事業報告」を行なわなければなりません。

無事に業務をスタートさせたからと言って安心していてはいけないのです。

毎年の事業報告を忘れてしまうと、是正勧告が出されてしまうことがありますので、気を付けなければなりません。

事業報告の書式は3種類あります。

実績があってもなくても提出する書類です。

報告書は下記の3種類です。

  • 1. 労働者派遣事業報告書
  • 毎年6月1日現在に過去1年間どういう状況であったのかを、実績とともに報告する書類です。
    提出期限が6月末となっているので、時間の余裕が無い中で報告書を作成することになります。

  • 2. 労働者派遣事業収支決算書
  • 事業年度が終わり、決算を終えて3ヶ月以内に作成して提出します。
    決算書を添付して提出します。

  • 3. 関係派遣先派遣割合報告書
  • 関係派遣先というのは自社のグループ会社ということです。
    派遣先がグループ会社ばかりということは禁止されているので、その割合を報告するのです。
    グループ会社に派遣している実績が無くても報告義務があるので、わすれてはいけません。
    提出期限は決算終了後3ヶ月以内となっています。

事業に追われて報告を怠ることが無いように、あらかじめ予定表に記載しておくなどして忘れないようにするとともに、可能な限り専門家に任せることも考えておくべきでしょう。

はじめは派遣契約ではなく業務委託で起業もOK?

人材派遣会社の設立を目指していても、資本金が不足していることが理由で、労働者派遣事業の許可申請を出せない場合も考えられます。

そんな時は、資本金を確保するまで待つのではなく、とりあえずできることを始めるのが得策です。

労働者派遣事業の許可が無くてもできることは、派遣先企業と派遣契約ではなく、請負契約で仕事をさせてもらうことです。

業務委託を受けて仕事をする上では、許可は不要です。

少ない資本金で会社設立だけはしておいて、業務委託で仕事をもらい、毎年利益の中から増資を行なうのです。

会社の目的には派遣業を加えておくことを忘れないように注意しましょう。

そして、資産要件がクリアできるような体制が整ったら、労働者派遣事業の許可申請をして、人材派遣会社としてスタートすると良いのです。

請負契約での実績があれば、派遣先企業からの信頼も構築されているので、受け入れてもらいやすくなるでしょう。

このようなアドバイスも、会社設立アドバイザーのサポート会社に相談すると教えてもらえます。

今後のためにも、サポート会社との接点を設けておくことをおすすめします。

まとめ

人材派遣会社の設立及び労働者派遣事業の許可申請には、慣れとコツがあります。

初めてでいきなり完璧に全てをこなすのは不可能ではありませんが、非常に難しいことです。

時間と労力を掛けて完璧を期していても、どこかにミスが生じるのはやむを得ないことです。

限られた時間内で書類作成をして、添付書類を取り寄せて提出したとしても、どこかに不備があると、訂正作業が入ったりします。

時間が戻れば良いのですが、過ぎた時間は戻ってきません。

ミスしてからあれこれと考えるよりも、事前に相談できる窓口があると楽に申請作業をこなすことができます。

経験ある専門家からアドバイスをもらいながら自分で行なうのも良いのですが、どうせなら、費用を掛けても専門家に依頼する方がずっと楽に会社設立も許可申請もできます。

自分で全てを行なうにしても費用は掛かります。

そもそも本業を考える時間を削るわけですから、費用負担の損失は大きくなります。

それを考えれば、専門家に依頼することが安上がりになると言えるのではないでしょうか。

そこで、弊社、経営サポートプラスアルファを頼ってみてはいかかでしょうか。

弊社は会社設立代行のエキスパートです。

そして、経営・財務コンサルティングのプロフェッショナル集団です。

会社設立時の煩雑な書類作成などの業務を一人で抱え込まずに、ぜひ我々に任せてみてはいかかでしょうか。

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