運送業は、ECサイトの普及に伴い需要が急速に増加しています。しかし、運送会社を設立するためには、特定の許可を取得しなければならず、その過程には多くのステップがあります。
この記事では、運送会社を設立するための具体的な流れや必要な許可、設立後の運営方法について詳しく解説します。
運送会社を設立する流れ
運送会社を設立する際の一般的な流れは以下の通りです。
- 事業計画の策定
- 定款の作成
- 法人の登記
- 運送業許可の取得
- 人員の確保
- 取引先への営業
事業計画の策定
運送会社を設立するためには、まず事業計画を策定することが重要です。事業計画は、会社の運営スケジュールや資金計画を明確にするためのものであり、初期費用としてトラックの購入費用や事務所の初期費用、人件費などを含めて計画を立てる必要があります。これらの費用をどのように調達するかを含めて計画を立てましょう。例えば、金融機関からの借り入れや補助金の利用を検討することが必要です。
定款の作成
次に、定款を作成します。定款は、会社の基本的な運営方針や構成を定める重要な文書です。株式会社の場合は公証役場で定款の認証が必要ですが、合同会社の場合は定款認証は不要です。定款の作成方法には、紙の定款と電子定款があります。電子定款を使用すると印紙税が免除されるため、費用を抑えることができます。
法人の登記
運送会社を法人として設立する場合、法人登記が必要です。法人登記は法務局で行い、登録免許税がかかります。株式会社の場合は15万円、合同会社の場合は6万円の登録免許税が必要です。
運送業許可の取得
運送業を営むためには、運送業許可が必要です。運送業許可には以下の3種類があります。
- 一般貨物自動車運送事業
- 特定貨物自動車運送事業
- 貨物軽自動車運送事業
一般貨物自動車運送事業は、不特定多数の荷主から荷物を預かり有償で運送業務を行う場合に必要な許可です。一方、特定貨物自動車運送事業は特定の荷主からの依頼のみを請け負う場合に必要な許可です。貨物軽自動車運送事業は、軽貨物のみを運送する場合に必要な許可で、他の運送業許可と比較して取得要件が緩和されています。
許可取得の要件
運送業許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 人的要件:運転手5人、運行責任者1人、運行管理者補助者1人、整備管理者1人が必要です。運転手は適切な運転免許を持ち、禁固刑の履歴がないなどの条件を満たす必要があります。
- 施設要件:従業員の睡眠スペースが必要で、1人あたり2.5平方メートルのスペースが求められます。また、車庫との距離が重要で、首都圏では10キロ以内が目安となっています。
- 車庫要件:各車両間で最低でも50cmの距離を確保することが条件です。
- 資金要件:事業を開始するために必要な資金を確保しておく必要があります。おおよそ600万円〜1200万円が必要とされます。
人員の確保
運送業許可を取得するためには、最低限の人員が必要です。一般貨物自動車運送事業の場合、運転手5人、運行責任者1人、運行管理者補助者1人、整備管理者1人が必要です。ただし、運行管理者補助者と整備管理者は運転手と兼任することが可能です。貨物軽自動車運送事業の場合は、1人でも許可を取得することができます。
取引先への営業
運送会社を設立した後、収益を上げるためには取引先の獲得が重要です。運送業界では下請け構造が強く、元請けに近い立場になることが求められます。取引先を見つけるためには、以下の方法があります。
- マッチングサービスの利用:荷物を運んでほしい人と運送業者をマッチングするサイトを利用する方法です。
- WEBマーケティングの利用:インターネットを使ったマーケティング手法で、荷主に直接訴求する方法です。
- 飛び込み営業:直接運送会社に営業をかけて、仕事を獲得する方法です。
運送業許可が不要な場合
運送業許可が不要な場合もあります。以下のようなケースが該当します。
- 運賃を受け取らない場合:第三者から運賃を受け取らない場合は、運送業許可は不要です。
- 自社の荷物を運ぶ場合:自社内での荷物運搬に限られる場合は許可が不要です。
- 軽貨物・バイクでの運送:軽貨物やバイクで荷物を運ぶ場合は、貨物軽自動車運送事業の許可で済みます。
運送会社が仕事を獲得する方法
運送会社が仕事を獲得する方法には以下の方法があります。
- マッチングサービスの利用:荷物を運んでほしい人と運送業者をマッチングするサイトを利用する方法です。
- WEBマーケティングの利用:インターネットを使ったマーケティング手法で、荷主に直接訴求する方法です。
- テレアポ:電話を使った営業手法で、直接顧客にアプローチする方法です。
- 飛び込み営業:直接運送会社に営業をかけて、仕事を獲得する方法です。
運送会社設立における追加の重要ポイント
1. 環境対策とエコドライブ
近年、環境保護の観点から、運送業界でも環境対策が求められています。エコドライブを推進し、燃費の向上やCO2排出削減を図ることで、企業の社会的責任(CSR)を果たすことが重要です。また、環境に配慮した車両の導入も考慮すべきです。
2. デジタル技術の活用
デジタル技術の進化により、運送業界でも効率化が進んでいます。運行管理システムやGPSを活用することで、運行の効率化や顧客サービスの向上が可能となります。また、インターネットを活用した荷物追跡システムを導入することで、顧客満足度を高めることができます。
3. 労働環境の改善
運送業界では、ドライバーの労働環境改善が重要な課題となっています。長時間労働を避けるためのシフト管理や、休憩施設の充実など、働きやすい環境を整えることが求められます。これにより、ドライバーの定着率向上やサービス品質の向上が期待できます。
4. 保険の加入
運送業を営む上で、万が一の事故に備えた保険加入は必須です。車両保険、貨物保険、賠償責任保険など、必要な保険に適切に加入することで、リスクを軽減し、安心して事業を行うことができます。
まとめ
運送会社を作るには、事前に計画を策定した上で許可の取得が必要になります。
そのほかにも、人員の確保が必要になるなど、準備を入念に行うことも重要です。
経営サポートプラスアルファでは、個人でも法人でも独立を少しでも考えている人のご相談に乗らさせていただいております。
相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。