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【完全版】確認しておきたい個人事業主の3つのデメリットとその理由

個人事業主は、企業や法人と比べると信用度が低いことが特徴です。

また、税金でも不利な点が多いです。

また、会社員と比較すると、確定申告が必要になるなどのデメリットがあるため、個人事業をこれから始めようとしている方や既に個人事業主として活動している方は特に、今一度、個人事業主のデメリットも知っておきましょう。

大きく分けて個人事業主のデメリットは3つあり、

  • 個人事業主は赤字の繰越が3年までしかできない
  • 個人事業主だと社会的信用度が低くなる
  • 事業主が突然亡くなった場合のリスクが大きい

があげられます。

この3つのデメリットを考えて、再度個人事業主が良いのか法人が良いのか検討しましょう。

①個人事業主は赤字の繰越が3年までしかできない

個人事業主でも法人でも、前期の赤字分を当期以降で黒字が出た時期の黒字分から赤字分を差し引いた金額に対して税金を課していくということができます。

ですが、個人事業主と法人とでは繰越できる赤字分の期間が異なります。

以下で個人事業主と法人とでの赤字額が繰越できる期間の違いを解説します。

繰越欠損金

繰越欠損金とは、ある年度で税務上の赤字が出た際に、その年度中に青色申告で確定申告書を提出していた場合に翌年度の事業に赤自分を繰り越すことが可能な税制上の金額のことです。

「当期の黒字分」から「前期の赤字分(繰越欠損金)」を引いた差額に対して、税金がかかっていく制度が適用できるようになるため、当期の納税額を減らすことができ、結果、節税できるというシステムです。

3年間のみの個人事業主の繰越欠損金

個人事業主の場合、繰越欠損金は3年間しか適用できないので、注意が必要です。

しかも、「青色申告を行っていること」、「確定申告(損失申告)をしていること」が条件です。

さらに正確に述べると、個人事業主の場合、「純損失の繰越控除」と所得税法で呼ばれているので注意しましょう。

加えて、事業所得や山林所得、譲渡所得、不動産所得の損益においても純損失金額だけ、赤字を繰り越すことができます。

個人事業主の繰越欠損金は法人と比べて赤字の繰越し期間が短く不利であるという実情もあります。

最長10年間の法人の繰越欠損金

法人の場合の繰越欠損金は個人事業主と比べて、「最長10年間分の繰越ができるという点」が異なります。

もちろん、個人事業主と同じように、「青色申告をしているという点」や「確定申告(損失申告)をしている点」は必ず履行されなければなりません

個人事業主では、赤字分の繰越期間が法人と比べて短いというデメリットがあるので気をつけましょう。

②個人事業主だと社会的信用度が低くなる

個人事業主と法人とを比べた場合、法人のほうが個人事業主よりも信用度が高いというメリットがあります。

社会的信用度がある場合、金融機関での融資審査も通りやすく、また法人との取引においても有利であるという現実があります。

以下の見出しで、上記のことについて詳しく解説します。

社会的信用度が低いことで起こる問題の例

社会的信用度が低いと、「金融機関からの借り入れが難しい」や「事業の取引(特に法人との取引)が成立しにくくなる」ことがあります。

それぞれのマイナス面において、どのような状況になるのかを解説します。

金融機関からの借り入れが難しい

個人事業主は法人と比べて、金融機関からのお金の借り入れ審査を通過できる可能性が低いです。

個人事業主は法人やサラリーマンとくらべて、月々の収入が安定せず、金融機関は貸し倒れのリスクを考えないといけないため、審査が厳しくなります。

その点、法人だと信用度も個人事業主と比べて高く、金融機関からの借り入れ審査を通過しやすいというメリットがあります。

事業の取引がしにくくなる

個人事業主の場合、法人との取引実績を増やしていくことが難しいです。

というのも法人は、自分たちよりも社会的信用度の低い個人事業主との取引をリスクだと考えていることがあるからです

何か問題が発生した時に対応できる人材が少ない等と考えられがちです。

その点、社会的信用度が自分たちと同じような法人と取引していくほうがリスクは少ないと考える法人も多いため、法人化していくことは法人と取引していく上で大変メリットがあります

中には秘密保持の観点や会社の方針で個人事業主とは取引をしないという法人もありますので注意が必要です。

法人との取引をビジネスの中核として考えている場合には、法人のほうが有利であるといえるでしょう。

③事業主が突然亡くなった場合のリスクが大きい

個人事業主が突然亡くなってしまった場合、相続権をもつ親族が事業資産を相続できます。

しかし、プラスの相続だけでなく金融機関からの借入金返済といったマイナスの相続も同時に発生してしまうというリスクがあります

個人事業主が突然亡くなった場合、相続権を持つ親族が継承する

個人事業主が突然亡くなった場合、資産が個人事業主の個人資産ではない事業資産であるということがはっきりしていても、民法の解釈としては、個人事業主の個人資産ではない事業資産も相続の対象となってしまいます

では、相続権は誰にあるのかということですが、個人事業主の相続権をもつことになる親族がそのまま相続していくということになるので気をつけましょう。

したがって、個人事業主が亡くなった場合は、相続権のある親族に迷惑をかけることがあるのです。

会社継承の際、借入も引き継がれてしまう

個人事業主が突然亡くなったときに、個人事業主の相続権をもつ親族が相続し、会社を継承した場合、金融機関から借り入れていた事業資産も相続することになり、相続した親族が債務を返済していく義務が発生します。

一口に資産と言うと、プラスのものだとイメージされる方もいますが、債務といったマイナスのものも相続するということも頭の中に入れておくべきでしょう

よって、個人事業主が突然死してしまった場合、相続によってプラスの資産もマイナスの資産も両方相続するというリスクがありますので、注意しましょう。

借金のリスクを親族に背負わせるのは嫌だなと思う方は法人のほうが負債の相続というリスクを避けられるでしょう。

まとめ

個人事業主の3つのデメリットについて紹介しました。

法人と比べて、個人事業主になるためのハードルは低いですが、個人事業主がゆえのデメリットも存在しています。

しっかりとデメリットにも目を向けて起業していくことが重要です

デメリットを考慮して、個人事業主ではなく、法人として起業していくという戦略変更も長い目で考えて良い方向に行くこともあるのではないでしょうか。

自身の現在の状況やビジネスを鑑みて判断をしていきましょう。

とは言え、法人として起業するには様々な手続きが必要です。

1人でその全ての作業をやるのはかなり大変ですし、重要な事業内容を考える時間が無くなってしまうことにもなりかねません。

経営サポートアルファでは会社設立の手続きから起業後の相談まで、長期的にお客様をサポートすることが可能です。

既に個人事業主として起業している方で、法人化にお悩みの方の相談も受け付けておりますので、是非ご相談ください。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。